著者
木村 翔 筧 康明 高橋 桂太 苗村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.12, pp.2781-2790, 2008-12-01
被引用文献数
1

筆者らは,プロジェクタ映像の中に,人間には見えないメタ情報を埋め込んで投影できる可視光通信プロジェクタの開発を進めてきた.このメタ情報による機械の制御は,人が目にする映像と画素単位の精度で一致させることができる.本研究は,実世界に根ざした様々なインタフェースを実現するための基盤技術として位置づけられる,これまで,埋め込まれたメタ情報を読み出すにあたり,ホトセンサ付きの受光端末を用いて,映像中の1点での情報を取得していた.本論文では,高速度カメラを用いてこのメタ情報を読み出す手法を提案する.高速度カメラを用いることで,映像全体から複数のメタ情報を同時に取得可能になる.いくつかのアプリケーション例を示すとともに,実験を通じて,その有効性を明らかにする.
著者
河野 通就 星 貴之 筧 康明
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.41-46, 2013-09-27

本研究では,素材に対して外的な刺激や力を与えることにより,その素材特有の「生き物」のような振る舞いを抽出・表現することを目的としている.今回,筆者らは,音響浮揚によって粒状の物質を浮遊させ,あたかも小さなムシのように実世界の三次元空間上を移動させることを可能にし,さらに空中の粒子と人間との身体的なインタラクションを実現する.本稿では,コンセプト,システムの詳細,および実装したインタラクションについて報告する.
著者
岸 遼 筧 康明 苗村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.490, pp.15-18, 2009-03-17
被引用文献数
1

点滅パターンをもった1次元光点列を高速移動させることによって残像を生成し,2次元情報の提示を行うことができることは一般的に知られている.しかし,この方法では,光点列の移動速度と点滅パターンの同期をとることが必要不可欠であった.本稿では,このような移動速度と点滅パターンの同期を必要とせず,ユーザーがより自由な操作を行うことができる残像ディスプレイの提案を行う.具体的には可視光通信プロジェクタを用いて空間内に情報を高密度に充填し,その情報を光点列の移動過程でリアルタイムに取得,出力することによって残像を生成するシステムのプロトタイプを製作した.
著者
高 友康 筧 康明
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.1083-1094, 2023-06-15

オーディオゲームとは,視覚情報を用いずに音声のみでプレイするデジタルゲームジャンルである.オーディオゲームはこれまで視覚障がい者を中心に親しまれてきたが,視覚を前提とせず聴覚に集中してゲームをプレイするという体験は,より幅広い層から楽しめるコンテンツとして近年注目を集めている.すでに様々な種類のオーディオゲームが制作されているが,既存のオーディオゲームでは,音声のみでの空間的な情報提示が困難であるといった課題がある.それに対し今回筆者らは,プレイヤがより自由に空間的な移動・回転が可能なオーディオゲームの制作を試み,「大爆走!オーディオレーシング」と名づけるレーシング型オーディオゲームを提案する.これはゲーム内での音楽の連続的なパンニングをコース形状の手がかりとして用い,音の聞こえる方向へハンドルを操作することで走行が可能になるものである.また,ゲームとしてのエンタテインメント性を向上させるため,ボイス実況や,サウンド演出,適切な難易度での体験のための運転アシスト機能の設計を行った.本稿では,設計・実装の詳細と,オンライン展示および物理展示を通して得られた走行データから読み取れる考察,そして誘導方式について行ったユーザスタディについて述べる.
著者
高 友康 筧 康明
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.151-156, 2021-08-23

オーディオゲームとは視覚情報を用いずに音声のみでプレイするゲームジャンルである.今回筆者らは音のみを手がかりに遊ぶレーシングゲームを提案・実装する.これはゲーム内での音楽の連続的なパンニングをコース形状の手がかりとして用い,音の聞こえる方向へハンドルを操作することで走行が可能になる.さらに適切な難易度での体験のための走行補助などの設計を行った.本稿では,設計・実装の詳細と,オンライン展示および物理展示での様子について報告する.
著者
岡崎 桃子 中垣 拳 筧 康明
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1-6, 2014-09-12

一般的な編み物では毛糸の色を変える際,新しい別の色の毛糸を結び足す必要があるが,これは手間がかかり,その切り替えの箇所が作品の形に影響を与えてしまうなどの問題がある.本研究ではメタモインキの65℃以上で色が消える特徴を利用する.メタモインキを染み込ませた毛糸を,先端が発熱する編み棒を用いることで,任意の箇所で変色を制御可能な編み物を可能にする.さらに,本稿では,感情や周囲の環境の変化などを編み物の色に反映させるなど新たな編み物手法を提案する.
著者
橋田 朋子 筧 康明 苗村 健
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.5, pp.1-6, 2011-05-06

筆者らは,太陽光に含まれる紫外光・可視光の両方とフォトクロミック材料を活用して,発色により空間を演出する仕組み "ソラ・カラ" の開発に取り組んできた.ソラ・カラでは日照部分が発色し,日影部分が透明に梢色する.この仕組みによって,太陽の動きに応じて光の透過・遮断パターンを変化させ,床面を動的に彩ることができる.また,人やものがその場に入って紫外光を遮ることで,そのシルエットを床面に描きだし,その場に一定時間残すことが可能となる.このような,発光ではなく発色によって空間を演出する仕組みは,電源を必要とせず,太陽のあるさまざまな場面に導入できる.本稿はコンセプトの提案,光学設計,ミニチュアサイズで実装した結果を詳細に報告する.SolaColor is a scheme for creating a place whose color is varied in response to sunlight. By means of SolarColor, areas in sunlight are colored, while shaded areas are colorless. When this scheme is practically applied, in accordance with the movement of the sun, information is written on a floor space periodically in response to previously designed transmittance or blocking patterns of light. When a physical object enters that space, it blocks the light, and the silhouette formed by the blocking object remains as a pattern "painted" on the floor space. This scheme can be introduced in any location under sunlight without the need for an electrical-power supply. This paper describes the concept of the SolarColor scheme and presents some results obtained with the scheme implemented in miniature.
著者
筧 康明 苗村 健
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.185-188, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
5
被引用文献数
3 1

鏡は,その前に広がる光景を即時的に映し出す.我々は,“鏡の中の世界は,その前にある我々の世界そのものである”という常識を疑うことはない.この常識に対して,本稿で提案する“through the looking glass”は,その概念を覆し,鏡の中に別の世界を作り出す作品である.本作品では,何の変哲もない普通の鏡を用いる.しかし,鏡の前に配置された映像スクリーンと,鏡の中に映るそのスクリーンには,別々の映像が見えている.すなわち,鏡の持つ対称性や整合性に縛られない映像が,鏡の中と外で自由に展開されているのである.例えば,鏡に正対した観客は鏡の中にいる自身の鏡像とホッケーゲームを通じて対戦することができる.普段は一心同体であるはずの鏡の中の自分と,敵・味方の関係に分かれて戦うことで,観客は“鏡の中の世界”との,さらには自分自身との新たなインタラクションを体験することができる.
著者
西原 由実 筧 康明
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.220-229, 2021-12-24 (Released:2021-12-24)
参考文献数
25

Due to the development of 3D food printers, it has become possible to print foods in various shapes without using molds. However, this method still has issues such as low printing resolution, limited printable shapes, and long printing time. Thus, 4D fabrication methods creating flat foods that change into arbitrary 3D shapes in response to external stimulation have been gaining more attention. In this research, we propose magashi, a 4D food printing method using rice flour paste. Off-the-shelf ingredients are mixed to make the paste which is printed by an extrusion-based printer and baked in an oven to make the flat material bend into 3D shapes. With our simple method users are able to print the material in different shapes with intricate patterns to customize their food. The printing material’s ingredients, printing patterns and thickness are adjusted to control the material’s drying process, causing it to bend upwards or downwards. In this paper, we describe the shape changing mechanism, fabrication method and producible shapes of magashi, as well as its applications.
著者
蓑毛 雄吾 筧 康明 飯田 誠 苗村 健
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.21-29, 2005-03-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
16
被引用文献数
2

This paper proposes a real-time system transforming your shadow on a floor into a colorful visual media. This system is based on the effect of complementary color and multi-projection techniques. A user occluding the projector light may create an undesirable shadow in front-projector-based systems. We overcome and turn this problem into our advantage with an elaborately designed optics including multi-projection techniques (geometrical and photometrical alignments), so that our system makes it possible to display colorful textures, colorful pictures, sharp characters, and even a movie in your shadow.
著者
中垣 拳 今野 恵菜 田代 俊太郎 池澤 彩野花 木村 優作 仁義 勝 筧 康明
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.287-295, 2013-09-30 (Released:2017-02-01)

In resent years, in the field of virtual reality various system have been proposed to enhance virtual experience by providing haptic sensations. In our research we propose a handheld sized interface which can represent both shapes and textures of virtual objects. Using the metaphor of a rolling pin, we propose a rolling-pin-based interface, named a Petanko Roller, which enables users to experience the sensation of rolling out virtual doughy objects. The interface represents unevenness of virtual objects and the frictional forces acting on them. This time, we report the system design, implementation, an application for entertainment, and users' feedbacks in exhibitions.
著者
岸 遼 筧 康明 苗村 健
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-8, 2012-02-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
19

This paper proposes a new type of display system by which images come out in an open space according to the motion of users or devices. This is an application of the specialized projector with a function of pixel-by-pixel visible light communication, which the authors have previously developed. This projector permits image data as invisible high-speed flickering signals into the open space. In the space filled with the invisible image data, by scanning a specialized device, we can make the image show up. Based on this concept, this paper introduces two implementations: "SteganoScan" and "SteganoScan Orbs." SteganoScan is a kind of persistence of vision display. When a performer waves an array of LED module with photo-detectors quickly in the projection light, viewers can perceive floating 2D images caused by the effect of retinal afterimage. SteganoScan Orbs consists of tens of balls which glow like moving pixels and form an image.
著者
川上 玲 筧 康明 苗村 健 原島 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.165, pp.1-6, 2003-06-26
被引用文献数
1

本研究では,新たな映像情報環境を構築する試みとして,方向依存透明ディスプレイLumisightを提案・開発した.本ディスプレイは視界制御フィルムという特殊なフィルムをスクリーンとして使用することにより,方向依存性を実現させている.このフィルムに映像を提示させ詳細な観察実験を行った結果,視線方向による映像の切り替えが可能であること,多方向から映像が観察できること,透明性を維持できることなどが明らかとなった.この結果に基づき, Lumisightのアプリケーションとして,窓タイプ,ショウウィンドウタイプ,パーティションタイプの3種を試作し,実装・評価した.
著者
林 泰子 筧 康明 苗村 健
雑誌
研究報告 エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011-EC-19, no.11, pp.1-6, 2011-03-19

筆者らは,擬人化の効果に着目し,対面コミュニケーション支援を目的として,ラップトップ PC の擬人化を提案してきた.本提案を実装した ”ProsopoLaptop” は,ラップトップ PC の天板にパブリックなディスプレイを付加し,顔を提示する.その表情は,ユーザのコンピュータの操作状態と,周囲の人や他のシステムの位置などの現実の環境情報を基に変化し,リアルタイムに状況に即した擬人化表現が可能となる.本稿では,本システムの実装,特に現実の環境情報の取得手法と,環境情報と擬人化の対応について示す.またコミュニケーション支援の観点から行なった実験的検討の結果について述べる.
著者
山岡 潤一 筧 康明
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2014-EC-32, no.5, pp.1-6, 2014-05-30

dePENd2.0 は振動アクチュエータによる牽引力を用いたスケッチ支援のためのペン型デバイスである.リニア方向に振動するアクチュエータの加速度を非対称にすることで,任意の方向に仮想的な牽引力を発生させることができる.本研究では振動アクチュエータを 4 台配置したペングリップ型デバイスを用いることで,ペンを任意の方向に牽引したり回転させる.場所の制限なく使用できるので,予めコンピュータに入力した絵を,壁などの広い場所や手に持った物に描画することができる.また筆やクレヨン,スタイラスなど様々な筆記用具に装着できるので,それぞれの書き方や表現方法に応じた触覚的なガイドを提示できる.本稿ではシステム設計,評価実験,アプリケーションと今後の展望について述べる.
著者
久野 崇文 赤塚 大典 筧 康明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.109, no.466, pp.49-50, 2010-03-05
参考文献数
2
被引用文献数
5

本研究では,ミュージアム展示に対する鑑賞者の質問や感想の共有,および展示者と鑑賞者または鑑賞者同士の対話を促すことを目的とする.今回筆者らはQRコード付きの付箋紙を用いた感想共有システムを構築した.本システムでは,鑑賞者はコメントを自由に付箋紙に記して展示会場に残す.書かれたコメントは会場で共有されると同時に,ウェブ上にも公開され展示者や展示を見た別の鑑賞者が返信やコメントを付加することができる.本稿では,システム設計に加え,展示会で用いた際の様子に関して報告する.