著者
松田 毅 中山 康雄 加藤 雅人 長坂 一郎 茶谷 直人
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

我が国の哲学会においてはいぜん十分には認知されていない「メレオロジーとオントロジー」の主題群に関して、古代から現代を貫く概念と問題の連関・発展についての見通しを得た。また、「部分と全体」の問題と関わりの深い哲学者たちに焦点を定めた、これまで未開拓であった哲学史的分析とそれを基盤にした諸問題に関する現代的探究により、特に生命や心の存在論的探求への「部分と全体」の観点からのアプローチの有効性と可能性とが示された。
著者
茶谷 直人 久山 雄甫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、<魂><精神><身体>からなる「人間三元論」の系譜について、「プネウマ」から「ガイスト」にいたる概念の連なりに着目しつつ多角的に考察するものである。当年度は、茶谷と久山のそれぞれが発展させてきたギリシア哲学研究(プネウマ・プシュケー研究)とドイツ文学・思想研究(ガイス ト・ゼーレ研究) を発展的に継続させつつ、相互的な討議を行うことで、ひとまとまりの系譜論の構築をめざす作業を昨年度に引き続き遂行した。一連の作業を通じての本科研最重要の実績は、2021年12月12日に阪神ドイツ文学会シンポジウムとして「プネウマ、スピリトゥス、ガイスト――概念史点描の試み」をオンライン開催したことである(本科研が共催)。本シンポジウムでは茶谷がアリストテレス、久山がゲーテについて発表したほか、河合成雄氏(神戸大学教授)がフィチーノ、蘆田祐子氏(神戸大学博士課程後期課程)がシュティフターについてそれぞれ論じ、プネウマからスピリトゥスをへてガイストにいたる概念史を素描した。本科研が計画していたヨーロッパ思想史再検討の一端がこれによって実現したと言える。この実績は、本科研の最終的な目的である、プネウマとガイストをめぐる論文集刊行に向けてた蓄積作業を大きな柱の一つとなるものである。その他久山は、昨年度より延期されていた国際独文学会での口頭発表(ゲーテの『メルヒェン』論)をオンラインで行った。これは高い評価をえて国際論文集掲載の依頼があったため、発表内容を論文化して提出した(未刊)。また産総研でゲーテと化学についての招待講演を行い、一般雑誌『未来哲学』にゲーテ・ホムンクルス論を寄稿するなど、国内でも研究成果をひろく学際的ないしは社会的に提示し検討する機会に恵まれた。
著者
茶谷 直人
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

本年度は前年度に引き続き、アナロギア(アナロジー・類比)概念をキーワードに、アリストテレス哲学における解釈上の諸問題の解決、古代・中世哲学史の連続的把握、応用倫理学上の諸問題への新たな視点の提供を目指す、といった長期的展望のもとに研究を進めた。それにより、主に次の研究成果を生み出した。1.前年度からの継続課題として、アリストテレス『形而上学』Θ巻における二つのデュナミス(能力と可能態)の内実と関係、およびΘ6におけるアナロギアの意義を探った。両デュナミスの差異は排他的でなくパースペクティブ上のものであるがΘ3で両者の連続性が見出されること、Θ巻前半で提示される<能力:運動>というデュナミス:エネルゲイア図式は、Θ6でアナロギア(<現実態:可能態>関係の類比的説明)を展開する上で方法論的意義を有すること、などを示した。なお本研究については、日本哲学会編『哲学』へ論文を投稿の結果、審査を通過し掲載が決定した(論文題目:「アリストテレス『形而上学』Θ巻におけるアナロギアと二つのデュナミヌ」、本年3月公刊)。2.類比概念を、論証的知識から一歩距離を置きつつも単なる話術や修辞にも留まらない独特な知の様式として捉え評価し応用倫理学上の諸問題にアプローチする、という作業の一環として、インフォームド・コンセント(IC)に関し独自の観点からの考察を行った。そこではICについて、「医師の開示内容についての患者の有効な理解を如何に導得るか」という観点から検討し、それを実現する説明様式の一つとして、「アナロジーによる説明」を提示した。これは、高度に専門化された事象について患者の理解を促す策との一つとして有効である。本研究は、昨年11月に日本生命倫理学会大会において発表された(題目:「インフォームド・コンセントにおける<情報開示>と<理解>の関わりをめぐって--アナロジーの可能性」)。
著者
茶谷 直人
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.55, pp.218-230,30, 2004-04-01 (Released:2009-07-23)

In the Metaphysics Θ Aristotle introduces two types of dynamis (dynamis as ability (DA) and dynamis as potentiality (DP)). It has been often pointed out that his distinction between DA and DP is confusing. In this paper, I examine the difference between them and the significance of his detailed explanation of DA in the first half of Θ (ch.1-5), and thereby I show the following.In the first half of Θ, Aristotle basically understands DA as an external (objective) principle of motion. This characterization is neutral with regard to the framework of hylomorphism and whether relevant motion happens or not. But in his criticism against the Megarians who deny dynamis, he indicates that dynamis can be regarded as potentiality. This criticism serves as a point of contact between of ability and potentiality. On the other hand, in the latter half of Θ, the notion of potentiality implies that dynamis is only conceivable as energeia (actuality). However, DA and DP are not exclusive kinds, the difference consists in that of perspective and there is no genuine confusion.Further, DA plays an important role in introducing DP by analogy. In Θ6, DA functions as the starting point of an analogical argument. That is, there is an analogical progression which proceeds from the scheme of <ability-motion> to that of <matter-substance (form)>. In this respect DA has a methodological significance in Aristotle's potentiality-actuality theory.
著者
茶谷 直人 LEE Sangick
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

ジイン類と金属カルボニル錯体からシクロペンタジエノン-金属カルボニル錯体が生成することは古くから知られていたが、その塩化物の構造は推定されてはいたが、そのX線構造解析は報告されていなかった。本研究では、シクロペンタジエノン-ロジウム(カルボニル)塩化物錯体のX線構造解析に初めて成功した。さらに、ジイン類が量論量の金属カルボニルと反応し、シクロペンタジエノンが量論的に生成することは知られていたが、その触媒反応は知られていなかった。これは、生成するシクロペンタジエノン-金属カルボニル錯体が安定なことに起因していると思われる。つまり、シクロペンタジエノンが金属に強く配位し、解離できないため、触媒的に回らなかったためである。そこで、本研究ではロジウム触媒存在下、ジインと一酸化炭素から生成したシクロペンタジエノンにフェノキシ基を適当な位置に結合させておくと、反応条件下でクライゼン転位が起こり、その結果、ジイン類の環化カルボニル化/クライゼン転位のタンデム反応が起こる系を設計した。反応を行ったところ、期待通りタンデム反応が効率よく進行することがわかった。まず、初期生成物として得られたシクロペンタジエノン-ロジウムカルボニル錯体が、金属の配位のため続くクライゼン転位を通常よりも低温で進行させていると思われる。基質の適用範囲はやや狭いが、新しい形式の触媒的カルボニル化反応の開発に成功した。
著者
茶谷 直人 中尾 佳亮 村上 正浩 岩澤 伸治 伊東 忍 川口 博之 真島 和志 後藤 敬 城 宜嗣 林 高史
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

研究は、当初予定していた以上の成果を挙げることができました。領域全体として、5年間で発表した論文数は、1400報近くあり、多くの特許申請もありました。本領域は若手育成に積極的に取り組んできました。例えば、若手研究者の海外講演派遣・国際若手セミナーの開催をおこないました。企業との交流や共同研究への展開を促進することを目的として、企業班友を設立しました。HPだけでなく、班員の研究、トッピクスなどを紹介するニュースレターは、毎月1回、50号まで発行しました。さらに、国際シンポジウムの開催や分子活性化に関連するシンポジウムやセミナーなども主催あるいは、後援し、分子活性化の活動をサポートしてきました。