著者
菅野 健 大森 宣暁 長田 哲平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_809-I_816, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
27

少子高齢社会に直面する我が国において,近年,大学生の東京一極集中の進行など,地方都市における若年人口の減少が問題となっている.今後の大学キャンパスおよび周辺の施設立地を検討する上でも,大都市と地方都市の学生生活の実態と生活の質との関係を探ることが有効であると考えられる.本研究は,首都圏および地方都市の大学生を対象に,学生生活の実態と意識,特に余暇活動と主観的幸福感との関係を明らかにすることを目的とする.分析の結果,大学所在地が東京都心寄りであるほど余暇活動施設数や余暇活動に対する満足度および主観的幸福感が高く,学年,交際相手の有無,サークルや部活動への所属,アルバイトに対する意識,自宅内外の嗜好,余暇活動の頻度,余暇活動の満足度が,主観的幸福感に影響を与えることが明らかとなった.
著者
永島 琢也 田尻 道彦 菅野 健児 小島 陽子 鮫島 譲司 石川 善啓 大森 隆広 益田 宗孝
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.11-16, 2013-01-15
参考文献数
14

【目的】間質性肺炎に合併した気胸の多くは難治性である.手術の選択は,合併症を考慮すると判断が困難な場合がある.手術の効果・安全性を評価する.【対象と方法】間質性肺炎合併気胸に対し,手術を施行した14例を対象とした.患者背景,治療結果,術後再発症例の臨床的特徴と手術手技,術後合併症・手術死亡を検討した.【結果】全例で気漏を停止させることができた.気胸の再発は35.7%(5/14症例)に認めた.再発症例は全例,術前ステロイド使用症例であり,CT上間質性肺炎による肺組織構造変化が及んだ範囲内から発生した病変であった.手術死亡を7.1%(1/14症例:間質性肺炎悪化1例)に認めた.術後合併症は14.3%(2/14症例:膿胸1例,間質性肺炎増悪1例)に認めた.【結語】間質性肺炎合併気胸に対する手術は有効な方法であるが,再発しやすい症例や,術後間質性肺炎増悪に注意が必要である.
著者
新井 由季 玉田 喜一 佐藤 幸浩 和田 伸一 田野 茂夫 花塚 和伸 大橋 明 菅野 健太郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.1412-1416, 2005 (Released:2005-11-04)
参考文献数
17

胆嚢収縮能超音波検査において一般に用いられている卵黄に代わりカロリーメイト缶®を用い,その有用性について検討した.健常人ボランテイア27名を対象とし,腹部超音波検査にて空腹時胆嚢容積をellipsoid法にて求めた.カロリーメイト缶®飲用後,30分後と60分後に胆嚢容積を測定し,胆嚢収縮率(EF)を求めた.空腹時胆嚢容積は平均13.5 ml, EFは平均で30分後53%,60分後62%と充分な胆嚢収縮が見られ,カロリーメイト缶®は胆嚢収縮剤として有用と考えられた.また,空腹時胆嚢容積が4 mlに満たない例では前日の脂肪食の影響を除くために,禁食を厳重にして再検する必要があると考えられた.
著者
菅野 健太郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.321-326, 2009 (Released:2009-03-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1

非ステロイド消炎薬(NSAID)ならびに低用量アスピリン(LDA)による消化管障害が,全国的に重篤な合併症を引きおこしていることが,日本消化器病学会における発表や各地域の論文で報告され,とくにNSAIDやLDAが消化管出血のリスクを高めることはわが国でも確認されている.これらの薬剤による重篤な消化管合併症をきたす患者の多くは高齢者であり,その予防対策が喫緊の課題となっている.この問題の重要性に鑑み,現在NSAIDやLDAの消化性潰瘍発症に対する予防試験が進行中である.本総説では,NSAIDならびにLDAによる消化管障害と予防に関するわが国の現状を述べ現段階で可能な対策について考察する.
著者
佐野 友美 赤羽 学 八巻 心太郎 菅野 健太郎 今村 知明
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.293-300, 2008 (Released:2015-03-20)
参考文献数
19

【目的】国際疾病分類(ICD)は,現在ICD–10が広く世界で活用されている.しかし,医学の進歩や社会変化に伴い改訂の必要性が高まってきたため,WHOはICD–11への改訂に着手した.わが国は内科領域の議長国となり,改訂に強く関与することとなった.そこで本論文では,改訂へ向けた進展状況を報告するとともに,今後の課題に対して考察を加える.【現状】WHOは既に改訂に向け,内科や精神等の12個の領域で専門部会(TAG)を設立した.わが国も積極的に改訂にかかわるべく,国内内科TAG検討会を立ち上げ,各専門学会や行政等が連携し,問題点の抽出や課題の整理,改善案の提示,国際会議参加およびWHO動向の把握等を行っている.【考察】現在までに,多くの問題点が指摘されている.問題点の代表的なものとして,言語の問題,インフォメーションモデルの改良や「分類」として利用されているICDにどのようにして「オントロジー」の概念を組み込んでいくか等が挙げられる.【まとめ】今後,国内に加え世界的な意見集約・調整を行う作業は想像以上に困難であろう.現在はICD–10+を作成する作業段階であり,オントロジーまで含めた国際的合意が得られるようにするには多くの困難があると考えられる.
著者
山本 博徳 菅野 健太郎 喜多 宏人 砂田 圭二郎
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

ダブルバルーン内視鏡を用い、臨床使用経験を増やし、平成18年3月までにはダブルバルーン内視鏡を用いた小腸内視鏡検査は530件以上となった。これらの経験によりダブルバルーン内視鏡挿入手技が確立され、小腸における止血術、ポリペクトミー、狭窄拡張術、ステント留置、異物回収などの治療手技も確立した。また、独協医科大学との共同研究の形でカプセル内視鏡との比較も行い、今後の小腸疾患に対するアプローチ法の確立に努めた。ダブルバルーン内視鏡の応用として従来の方法では内視鏡挿入が出来なかった術後バイパス腸管や、ビルロートII法やRoux-en-Y吻合などの輸入脚に対する内視鏡観察、処置を積極的に経験し、これら術後腸管に対する胆道疾患の治療法も確立した。平成15年度に立ち上げた小腸内視鏡研究会内に世話人の施設を中心に、自治医科大学、日本医科大学、名古屋大学、京都大学、広島大学、九州大学、福岡大学の7施設でワーキンググループを立ち上げ、小腸疾患に関する多施設共同研究を行った。海外におけるダブルバルーン内視鏡の教育、普及にも努め、その結果世界33カ国以上で導入されている。既にヨーロッパ、アメリカ、アジア、オセアニアの諸国からその有用性、安全性の報告が多数見られており、世界レベルにおいてダブルバルーン内視鏡が小腸内視鏡検査のスタンダードとして認められてきている。国際的な経験の共有、技術の均一化、知識の向上のために日本、アメリカ、カナダ、ドイツ、オランダ、中国、韓国の代表者を世話人とした1st International Workshop on Double-Balloon Endoscopyを平成18年8月に東京で開催する予定で準備を進めている。ダブルバルーン内視鏡を用いた小腸の基礎的研究として腸内細菌叢の研究を自治医科大学の細菌学教室と共同で行っている。この研究には消化器内科から大学院生を専属で細菌学教室に派遣し、腸内容物を嫌気性条件で採取し、定量培養その他の手法を用いて細菌叢を定量的に同定するという手法で進めている。
著者
竹内 利行 菅野 健太郎
出版者
群馬大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

多くのペプチドホルモンは前駆体として産生され、まず生理活性ペプチドに隣接する塩基性アミノ酸対部分が限定分解を受け、更に生理活性ペプチドのカルボキシル(C)端のGlyがアミド化酵素によってC端アミドに変換される。限定分解やアミド化は内分泌細胞で特徴的におこり、上皮細胞や線維芽細胞のような非内分泌細胞ではおこらない。我々は限定分解能とC末端アミド化能が内分泌細胞の一般的特徴であることを知るために、アミド化ペプチド産生が知られていない下垂体前葉細胞も含め、種々の内分泌細胞と非内分泌細胞で限定分解能とアミド化能を検討した。そのプロ-ブとしてC端アミドの構造をもつガストリン及び、膵ポリペプチド(PP)のcDNAを、内分泌細胞(GH3,AtT20,RIN5F,PC12)及び非内分泌細胞(NIH3T3,BHK21,Hepalー6)に導入し、生産されたペプチドをそれぞれのC末端特異的抗体で検討した。内分泌細胞は全て前駆体からアミド化ペプチドを産生する能力を有していたが、非内分泌細胞ではガストリン,PP共にアミド化を受けない前駆体が産生された。ガストリンの場合は、予想通り大分子の前駆体として産生されていた。ところがPP前駆体はアミド化はうけていないものの限定分解をうけていた。非内分泌細胞で前駆体が限定分解されるには塩基性アミノ酸対の前ー4位またはー5位に、もう一つ塩基性アミノ酸が必要である。PPはーArgーTyrーGlyーLysーArgーのアミノ酸配列をもつので非内分非細胞で限分解をうけたものと考えられる。結論)アミド化ペプチド産生が知られていない内分泌細胞でも、アミド化され得るペプチドのcDNAを導入すると、アミド化ペプチドが産生されるが、非内分泌細胞では発現ペプチドのアミノ化はおこらない。しかし塩基性アミノ酸対の前方にもう一つの塩基性アミノ酸がある場合には前駆体は限定分解をうける。
著者
石野 祐三子 菅野 健太郎
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.12, pp.2508-2513, 2005-12-10
被引用文献数
2

消化管疾患,特に悪性疾患の早期診断に有用な検査として,胃癌については発癌リスク評価としての血清ペプシノゲン法,ヘリコバクター・ピロリ抗体検査がある.いずれも胃癌の青景因子である萎縮性胃炎を評価し,発癌高危険群の囲い込みに有用である.また大腸癌については便潜血反応の有効性が確立している.更に便中遺伝子変異を検出することで癌の局在診断に結びつけようとする研究も進んでおり,今後の進展が期待される.