- 著者
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藤尾 圭志
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.107, no.11, pp.2338-2343, 2018-11-10 (Released:2019-11-10)
- 参考文献数
- 10
医学の進歩により,従来単一の「疾患」とされてきた集団を,治療反応性や予後により層別化することの重要性が明らかとなった.まさに最近の技術的進歩は,次世代シークエンス,マスサイトメトリー等による,ヒトのゲノム,遺伝子発現,免疫担当細胞サブセットの網羅的解析を現実のものとしている.自己免疫疾患を含むcommon diseaseの疾患予後予測については,頻度が高いが,影響の小さい遺伝子多型の情報のみでは現在のところ不十分である.そこで,ゲノム情報に遺伝子発現データ等さまざまなレベルのデータを統合した解析を行う試みが進められている.従来,不均一性の高いヒト疾患検体の解析にはさまざまなハードルがあったが,近年の技術的進歩により,ヒト検体自体の解析が急速に広がりつつある.特に,海外では国家プロジェクトとして,大規模な産学連携プロジェクトが進行中であり,日本においても限られた独自の優れたリソースを戦略的に使うことが重要と考えられる.