著者
早水 彦 森崎 裕磨 南 貴大 藤生 慎 髙山 純一
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.7_1-7_13, 2019

<p>2018年9月6日3時7分頃に平成30年北海道胆振東部地震が発生した.厚真町では最大震度7が観測され,北海道では初めて震度7が観測された非常に強い地震であった.この地震の影響により,地震発生当日は北海道全域が停電し,震度6強に見舞われた新千歳空港では全便欠航となった.本研究では,地震発生時の新千歳空港利用者の中でも,道外の居住者を対象とし,発災後の交通行動,情報収集の方法等に関するWebアンケート調査を実施した.本稿における分析から,新千歳空港の全便欠航した情報を入手した状況について把握を行った.また,大規模なブラックアウト及び交通マヒが生じていた被災直後の北海道から,どのような交通手段を用いて道外の自宅へ帰宅したのか実態把握を行った.</p>
著者
藤生 慎 沼田 宗純 高田 和幸 大原 美保 目黒 公郎
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.4_189-4_200, 2012

本稿は東北地方太平洋沖地震で被災した三陸鉄道の現地調査やヒアリング調査を通じて、三陸鉄道の復旧・復興のプロセスをまとめたものである。当初、三陸鉄道は被害の状況から復旧は絶望視されていたが、沿線住民の復旧の強い要望や岩手県、沿線自治体の要望により新たな復旧資金スキームを創設し復旧のプロセスに入ることが可能となった。その背景には、東北地方太平洋沖地震での三陸鉄道の防災施設としての役割や三陸地方特有の地形による移動の困難さ、気候、復旧資金スキーム創設の考え方の工夫などがあり復旧することが可能となったことが明らかとなった。
著者
馬場 優大 藤生 慎 森崎 裕磨
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.942-951, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
20

我が国において,人口減少と少子高齢化が進行する地方では,地域の機能を維持し,活性化させていくことが課題となっている.こうした中,観光産業はこれらを解決する施策として注目されており,観光産業を発展させていくためには,観光客が抱いた観光地の改善点を把握し,これに即した新たな施策の立案・実施を行う必要がある.そこで本研究では,旅行情報サイトの観光地に関する口コミデータを収集し,深層学習を用いたセンチメント分析を行うことで口コミから観光客のネガティブな感情が伺える文を抽出し,テキストマイニングを行うことで観光地の改善点の抽出を自動的に行うシステムを構築した.また,システムに関して観光の研究を行う専門家へのヒアリングを行うことで得た評価を基に,システムの有意性や改良すべき点を考察した.
著者
吉田 裕実子 大澤 脩司 藤生 慎 高山 純一 中山 晶一朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_873-I_882, 2018 (Released:2018-11-01)
参考文献数
17

過去の被災事例より,被災者の元へ公的な支援物資が行き渡るには時間がかかることが明らかである.よって本研究では,各家庭で買い置かれている食料やコンビニエンスストア等の小売店の食料といった平時の地域に存在する食料に着目し,被災直後の食における住民の自助・共助を提案する.はじめに,地域に存在する食料の実態把握のため,平時の一般家庭・一人暮らしの学生の世帯に存在する食料に関するアンケート調査を実施し,食料原単位を算出した.さらに,小売店において調査を実施し,小売店に存在する商品の量を明らかにした.これらより,平時に地域に存在する食料を,災害時の食料供給源として活用する可能性に関して検討を行う.
著者
藤生 慎 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.453-457, 2013

我が国では近い将来,大規模地震の発生が懸念されており,莫大な数の建物被害が想定されている.これらの建物被害に対して迅速に被害認定を行い生活再建のための罹災証明書を発行するためには,莫大な数の人材が必要となる.しかし,危険かつライフラインが途絶した環境の被災地内に多くの調査員を派遣するには,調査員の安全や衣食住の確保に関する問題など,多くの困難を伴う.そこで筆者らは,地震後の迅速な被害認定・罹災証明書発行のために,ITを用いて被災地内と被災地外を有機的に結び付け,被災地外の人材を有効活用することを可能とする遠隔建物被害認定システムを提案した<sup>1), 2)</sup>.本稿では,提案システムのうち被災地内の要員が被災建物の写真撮影を行うプロトタイプシステムの開発,要素技術の検討,被災地内からの写真アップロードシステムを用いた実証実験について述べる.
著者
玉森 祐矢 藤生 慎 高山 純一 西野 辰哉 寒河江 雅彦 柳原 清子 平子 紘平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.2, no.J2, pp.841-847, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
18

日本の少子高齢化は世界に類を見ない速度で進展しており,我が国の医療費は増加の一途をたどっている.このような状況が続けば,日本の医療保険制度の維持ができなくなる.また,日本では生活習慣病の急増を受け,「第4次国民健康づくり対策」が策定されている.現在,高血圧症や糖尿病といった生活習慣病が増加しており,そのような生活習慣病を早期発見する機会である特定健康診査受診率が伸び悩んでいることが課題となっている.そこで,本研究では,国保データベース(KDB)を用いて,まず,生活習慣病と健診回数の関係を示し,健診の効果を示唆する.また,生活環境との関連を調べるため,地域の現況や特性を考慮した分析を行い,健康課題・健診率の地域差を明らかにし,地域別の健康課題や健康な地域の特性について把握する.
著者
藤生 慎 大原 美保 中山 晶一朗 髙山 純一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.I_865-I_872, 2015

大規模地震災害時に発生しうる莫大な数の建物被害認定調査を効率的かつ迅速に実施するための遠隔建物被害認定システムのうちスマートフォンを用いた建物被害認定の学習アプリを作成した.アプリの作成にあたり,いくつかの被災住宅を3Dモデル化し,地震動による被害を自動で生成できる建物被害生成システムを開発した.さらに,建物被害生成システムの結果をムービーとして出力し,iphoneやipadなどのモバイル端末で建物被害認定調査の学習ができるアプリを開発した.
著者
宮内 弘太 高田 和幸 篠原 もえ子 藤生 慎
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_19-A_28, 2021

<p>近年,高度道路交通システムの発展に伴い,車両の性能向上に関心が高まっている.一方で,我が国では,自動車運転者による故意な危険運転や煽り運転,高齢運転者による事故が深刻な社会問題となっている.これらの問題を解決する方法として,事故の発生に結びつく要因を検知し,車両が適切な対応をする技術が必要である.</p><p>本研究では,事故の発生場所が多いとされている交差点部の走行挙動に着目し,事故の発生に結びつく要因が表れた時に検知する手法の提案を行う.LSTM Auto encoder を用いて普段の運転とは乖離した走行挙動が観測された時に異常運転が発生したと仮定し,手法の有効性を検証した.提案した手法を既往研究と比較したところ,検知精度は最も高く,検知タイミングは比較的早く検知できることが確認された.</p>
著者
平子 紘平 藤生 慎 森崎 裕磨
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.2_29-2_37, 2020-06-30 (Released:2020-07-31)
参考文献数
18

様々な要素が複雑に絡み合う現在の社会課題解決には,大学と自治体との連携が一つの切り口となるが,その体制を効果的かつ継続的に推進していくためには,①大学側では「社会貢献」だけでなく「研究」の側面が重要である事,②個別の研究領域の枠を超えた「異分野融合」の体制で取り組む事,の2点が重要である.しかし,異分野融合研究に取り組む為には,研究チームの組成や研究成果の創出などの面で様々なハードルが存在する.異分野融合研究での成功事例に携わった研究者へのヒアリングを基に修正版・グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて,異分野融合研究チームの組成と研究成果の創出に向けたプロセスを明らかにする.
著者
平子 紘平 森崎 裕磨 藤生 慎 高山 純一 柳原 清子 西野 辰哉 寒河江 雅彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_41-I_51, 2018 (Released:2019-02-19)
参考文献数
18

東北地方太平洋沖地震において,高齢者や障がい者の被害も甚大であったことから,避難行動要支援者の名簿作成が各自治体に義務付けられた.一方,熊本地震において,庁舎の被災等により,名簿が活用できない事例が発生し,平時より避難行動要支援者の精緻な支援計画策定が重要視されている.本研究ではArc GISのNetwork Analystツールの到達圏解析を用い,道路ネットワークを考慮し,避難行動要支援者の避難施設へ到達可能性の検証を行った.本研究では,我が国における超高齢化に伴い,人数が莫大に増加している後期高齢者に着目し,中でも特に避難にケアを必要とする自宅に居住する要介護認定者を分析対象者とした.到達圏解析の結果,要介護認定者の避難時の実態と何人の要支援者が避難所まで到達できない可能性を持つのか,詳細な把握を行うことが可能となった.
著者
藤生 慎 沼田 宗純 大原 美保 目黒 公郎
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.96-105, 2013 (Released:2013-06-18)
参考文献数
11
被引用文献数
2

本稿は東北地方太平洋沖地震で被災した住家に対して実施された建物被害認定調査の実施状況をアンケート調査を通じてまとめたものである.アンケート調査では,調査期間,実施体制,支援体制,トレーニング体制などを明らかにした.分析の結果,各自治体とも発災後1か月以内に調査を開始しているが,1ヶ月以降に調査方針の変更などがあり,現場に混乱が生じたことが明らかとなった.また,過去の地震災害で実施された建物被害認定調査で指摘されている問題が解決されることなく今回の調査でも生じていた.特に判定要員のトレーニングは,調査実施前に短時間で実施されており,調査結果に対する影響が少なからず生じている可能性が考えられることも明らかとなった.
著者
藤生 慎 沼田 宗純 高田 和幸 松原 全宏 大原 美保 目黒 公郎
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.4_177-4_188, 2012 (Released:2012-09-28)
参考文献数
8
被引用文献数
2

本研究では、東北地方太平洋沖地震時に発生した帰宅困難者に対してwebアンケートを実施し、帰宅困難者の基礎特性や帰宅経路などを明らかにした。その結果を集計したところ、火災の危険性や建物の倒壊の危険性が高い地域を経由し帰宅行動がなされていることが明らかになった。また、帰宅困難者を被災地内(都心)で受け入れるための施設の在り方の検討を行った結果、病院では、帰宅困難者が多数発生する一方、出勤困難者に対する対応も必要であることが明らかとなった。