著者
田和 聖子 内本 亮吾 藤田 文彦 北 仁志
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.600-605, 2018-09-15 (Released:2018-11-08)

全身麻酔の覚醒時に,患者が夢を見ていたと発言することがあるが,その頻度と内容を,アンケート方式により調べた.夢を見ていたと言えるには,まず夢を見ることとそれを思い出すことが必要になる.夢を見た人は23%で,その中には内容を思い出せる人と,夢は見たが内容は思い出せない人がいた.夢を見た群は見ない群に比べ平均年齢が約10歳若かった.夢を見た群の3人と見ない群5人の脳CT(またはMRI)を計測すると,見た群では脳萎縮が少ない傾向だった.また,思い出せた夢の内容は94%が普通の夢だった.
著者
濵田 隆志 藤田 文彦 山下 万平 虎島 泰洋 黒木 保 江口 晋
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.1706-1709, 2015 (Released:2016-01-30)
参考文献数
11

Ehlers-Danlos syndrome(以下EDS)は皮膚過伸展,関節過可動性,皮膚と血管の脆弱性を3主徴とする遺伝性結合織疾患である.今回,癒着性イレウスにより多発小腸憩室を形成したEDSの1例を経験したので報告する.症例は50代,男性.開腹術後の癒着性イレウスで入院中,状態悪化し当院紹介.腹部CTで遊離ガスを認め消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.前回の手術創直下に癒着による小腸狭窄あり.狭窄部口側小腸は拡張し多発憩室を認め,そのうち一つは腸間膜に穿通し炎症性に硬化していた.EDSによる組織脆弱性から小腸切除および吻合は不適と判断し,癒着剥離によるイレウス解除術のみ行った.本症例は組織の膨張に対する歯止めの役割をもつIII型コラーゲンの減少が特徴であるEDS IV型と考えられた.そのため,組織脆弱性から閉塞部より口側腸管の内圧上昇によって組織が膨張し,多数憩室を形成したと推測された.
著者
能登路 雅子 藤田 文子 シーラ ホンズ 吉見 俊哉 谷川 建司 土屋 由香 矢口 祐人 梅崎 透
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は冷戦期を中心にアメリカの文化外交の実態を学際的に解明することを目的とし、特に1940年代から70年代にかけて米国国務省が民間人や民間機関、ハリウッド映画産業や航空機産業などの企業と緊密な連携を保ちつつ、日本を含むアジア地域で積極的な文化外交を展開した実態を3年間を通じて明らかにした。本研究が特に注目したのは文化外交の政策的内容よりも実践レベルにおける当事者の意識・行動とその調整・抵抗といった変容のプロセスである。第二次大戦後、戦略的重要性を高めたアラスカ・ハワイの州昇格の際にアメリカ政府が製作した広報映画の分析も研究成果のひとつであるが、太平洋地域における植民地統治と文化的影響に関する幅広い研究を進めたことも本プロジェクトの学術的貢献としてあげられる。特にサイパンとパラオ共和国における実地調査を通じて、スペイン・ドイツ・日本・アメリカによる統治が現地に残した文化とアイデンティティにおける多層な影響力をポストコロニアルの視点から理解し、文化外交が一国の国益を超えた文化混淆をもたらす実態を長い歴史的スパンで、またローカルな文化実践との関連で捉えることができた。
著者
田和 聖子 内本 亮吾 藤田 文彦 北 仁志
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.600-605, 2018

<p>全身麻酔の覚醒時に,患者が夢を見ていたと発言することがあるが,その頻度と内容を,アンケート方式により調べた.夢を見ていたと言えるには,まず夢を見ることとそれを思い出すことが必要になる.夢を見た人は23%で,その中には内容を思い出せる人と,夢は見たが内容は思い出せない人がいた.夢を見た群は見ない群に比べ平均年齢が約10歳若かった.夢を見た群の3人と見ない群5人の脳CT(またはMRI)を計測すると,見た群では脳萎縮が少ない傾向だった.また,思い出せた夢の内容は94%が普通の夢だった.</p>
著者
藤田 文彦 江口 晋
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

①ドナーラットより採取した脂肪幹細胞を肛門機能不全ラットの肛門周囲へ投与し、一定期間肛門内圧を測定する。最後に犠牲死させ、肛門周囲の組織からドナー由来の細胞を検証する。②肛門機能不全ラットの肛門周囲に脂肪幹細胞を直接注入し、さらには肛門周囲へ電気刺激を加えた肛門内圧の改善を観察する。③臨床にて肛門温存手術を受けた患者のうち、排便障害のある症例に対して十分なインフォームドコンセントを行った上で、肛門周囲組織へ自己脂肪由来幹細胞の移植を行う。腹部皮下あるいは大腿部の脂肪組織を吸引法にて採取し、閉鎖回路を用いて脂肪由来幹細胞のみを採取・濃縮させ、それを肛門周囲組織へ移植する。術後、創部の安定したころより電気刺激による肛門部リハビリを開始し、定期的に肛門機能の評価を行う。平成29年度は上記①に取り組み、長期間にわたり安定した肛門機能不全ラットモデルを作成することができた。さらに脂肪幹細胞を注入したところ、肛門内圧が上昇し肛門機能の改善が認められた。しかし、HE染色やαSMA染色などにより再生した筋組織の解明には至らなかった。結局のところbulking効果を示すような組織が存在している可能性がある。平成30年度は肛門機能改善を目指し、脂肪幹細胞をシート状にして塗布した試みを行った。この実験でも肛門内圧の上昇を示すことができたが、筋組織再生の証明には至っていない。注入した脂肪幹細胞から放出された物質の影響により、レシピエントに残存している筋組織が肥大していることが仮設として立てられた。
著者
瀬野 悟史 柴山 将之 有方 雅彦 戸嶋 一郎 小河 孝夫 星 参 藤田 文香 花満 雅一 清水 猛史
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.99, no.11, pp.967-977, 2006-11-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
11

We evaluated the efficacy of early treatment by ramatroban and antihistamine in patients with Japanese cedar pollinosis by comparing treatment before the start of the pollen season and treatment after the pollen had been dispersed. A pollinosis diary and Japanese allergic rhinitis standard QOL questionnaire (JRQLQ No. 1 and No. 2) were used to evaluate the effectiveness.Huge amounts of Japanese cedar pollen and Japanese cypress pollen were disseminated in Shiga prefecture in 2005. The nasal symptom score, medication score, and symptom medication score showed better outcomes in the early treatment group not only during the Japanese cedar pollen season but also the Japanese cypress pollen compared to the other group. The early treatment group also showed better results in every category of JRQLQ No. 1 and No. 2 compared with the late treatment group. No harmful side effects were observed through the course of this study.We concluded that early treatment by ramatroban in combination with antihistamine in patients with Japanese cedar pollinosis was useful not only for improving symptoms but also retaining the quality of life during such a heavy pollen-producing year.
著者
北嶋 和智 藤田 文香 田中 和成
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.186-191, 1992

/いーぴー/発話の際の口腔内圧のピーク値を用いて口腔内圧を推定する方法の妥当性について調べた./いーぴー/発話時の声門下圧を声門下に留置した微小トランスデューサーで測定し, その値とその時の口腔内圧のピーク値とを比較した.対象は正常人2名喉頭および咽頭疾患患者13名である.<BR>両者の間には強い正の相関があった (Spearmanの順位相関で0.95) .また両者の差は声門下圧が高い対象ほど大きい結果であった (Spearmanの順位相関は0.75) .このことを承知していれば, 口腔内圧による声門下圧の推定法は臨床上役に立つものである.
著者
金子 純一 藤田 文行 本間 彰
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

今年度は前年度良い結果の出たリフトオフ法を北海道大学に導入することを第一目標として研究を行った。Ib型基板を使用して連携研究先である産業技術研究所と同一の合成条件でCVD単結晶の合成を行った。合成した試料をリフトオフ法により自立膜化した。さらに化学処理ならびに電極製作を行い、検出器とした。製作した検出器に対してI-V測定、α線応答測定を行った。十分な印加電圧がかかり、α線に対して16%程度ではあるがピークの立つ応答を示す検出器の製作に成功した。今後、高品質基板を使用し、合成条件の最適化を進め実用的な人工ダイヤモンド放射線検出器の実現を目指す。また合成した結晶中の電荷捕獲準位を同定するための積極的電荷捕獲を利用した光I-V測定法の改良をすすめ、ある程度信頼性のあるデータが取得できる状況に達した。
著者
能登路 雅子 油井 大三郎 瀧田 佳子 藤田 文子 遠藤 泰生 ホーンズ シーラ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本科研最終年度にあたる平成18年度においては、4年間の研究成集のまとめとして、9月に専門家会議を開催し、7月に科研メンバーを集め、専門家会議の準備とともに成果報告書作成のための、最終的なミーティングを行なった。その上で、9月30日(土)に、東京大学駒場キャンパスにおいて、"US Cultural Diplomacy in Asia : Strategy and Practice"(「アジアにおけるアメリカの文化外交:その戦略と実践」)と題した専門家会議を開催した。同会議には、本科研の海外協力者であるSusan Smulyan(Brown Univ. )とThomas Zeiler(Univ. of Colorado, Boulder)を招き、研究分担者である藤田文子(津田塾大学)を加えて、映画、芸術、科学、教育、スポーツ交流など、多様な切り口からの報告を行なった。科研メンバーのほかに、関連分野の研究者、外交機関を含む実務者らが参加し、活発で刺激的な議論が行なわれた。同会議のコメンテーターは研究代表者である能登路雅子が、司会は分担者である遠藤泰生がそれぞれ務めた。この専門家会議のために提出された論文と研究代表者・分担者・協力者の論文をまとめて、平成19年3月に成果報告書として刊行した。
著者
藤田 文
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.227-235, 2007-12-20

本研究の目的は,魚釣りゲーム場面における幼児の交互交代行動の発達を検討することであった。4歳児(年中児)から5歳児(年長児)の同年齢のペア52組に魚釣りゲームで遊んでもらった。年中児の平均年齢は5歳0ヶ月で,年長児の平均年齢は5歳11ヶ月だった。この状況では1本の釣り竿しかゲームに使用することはできなかった。10分間のゲームの過程がビデオ録画された。ビデオ分析の結果,年中児よりも年長児の方が明確な規準で交代しており,特に年長女児でその割合が高いことが示された。また,年長女児では,釣り竿をもって実行している子どもが主導する交代が多いことも示された。これらの知見から,年長児は年中児よりもゲームの中で他者の行為を考慮していること,特に女児で男児よりもその傾向が早く発達することが示唆された。