著者
中島 秀之 諏訪 正樹 藤井 晴行
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.1508-1514, 2008-04-15

デザインとは,対象とするシステムにおける認識レベルの異なる層の間に縦の因果を作り出す行為であると定義する.因果関係というのは認知的関係であり物理的実体ではない.また,そこには機械論的なメカニズムは存在しない.そのような前提でイノベーションを考えると,生成・評価・方向性の絞り込みという3 つの行為のループが必要ということが分かる.これらのうち,特に方向性の絞り込みがイノベーションの核心部分である.これらの定式化を行い,進化論的方法論のみが有効であることを主張する.
著者
諏訪 正樹
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.26-36, 2004 (Released:2007-04-13)
参考文献数
16
被引用文献数
8

Arnheim (1977) claimed that the appearance of created things, for example, architecture and the work of art, has visual forces to let appreciators construct experiences of their own. What kind of cognitive processes of a creator enable appreciators to “experience” the created thing? The present paper proposes an answer to this question. This question has been treated as a kind of mystery so far, since the act of creation is not a transfer of what a creator wants to express from a creator to appreciators. The appreciators construct experiences of their own by being mediated by the created thing. We propose the following idea. The act of creation is a cognitive coupling of dynamic perception, actions of external representation and the construction of self, through which what a creator wants to express develops dynamically. What a creator should aim at is to focus on the practice of his or her own cognitive coupling and thereby keep augmenting subjective experiences. A creator's subjective experiences through cognitive coupling will leave in the created thing some seeds which encourage appreciators to construct experiences of their own. Our case study of a methodology of writing sentences supports this idea. Further, we propose an idea that a meta-cognitive practice of describing one's own cognitive coupling will improve the ability of dynamic perception and productive idea-generation, and hence enable persistence of the cognitive coupling. Our case study of a meta-cognitive practice of describing one's own act of singing a song supports the second idea. The ideas and findings in the present paper have pedagogical implications for all involved in the scene of creation.
著者
浦上 咲恵 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

我々が日々鳴らす音には、各々のライフスタイルが現れている。足音には所持品の特徴やその日の体調が、声の出し方にはコミュニケーションの取り方が反映される。しかしながら、我々が生活音から認識している生活者の情報を明らかにする取り組みは未だない。本研究では、筆者の身近な知人を対象に、彼らの鳴らす音及び発音体を観察し、それらから認識される人物像を記述した。生活音とその人らしさを紐づける筆者の身体知を解く。
著者
福島 宙輝 速見 友里 見上 拓也 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

感性をことばにし、伝えることは難しい。自分の感じた味わいを、他者に伝えるにはどうすればいいのか。他者のあじわいを、自分も追体験するにはどうすればいいのか。我々は、あじわいを語ることばの研究を通してこれらの問題にアプローチする。本研究では日本酒のあじわいを例題とし、あじわいを語ることばの事典を作成する。事典の作成にあたっては、香味成分の測定ではなく、身体メタ認知によってことばを紡ぎだすことを試みる。
著者
藤井 晴行 古川 聖 諏訪 正樹
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

デザイン知の形成と適用のプロセスを創造的認知プロセスとして解明すること,デザイン研究の方法論を構築することを目的とし,デザインの内部観測と外部観測の融合によって,従来の科学では捉えられないデザイン知を浮き彫りすることを試みた.デザイン主体の会話記録やインタビュー記録を資料とし,概念空間の遷移を創造的認知プロセスの現れとして分析した.概念空間を提示して創造的認知のメタ認知を促進し,概念空間の遷移に現れる影響を考察した.避難行動を生存のためのデザインとみなし,避難行動の証言の構成的構造を抽出した.概念空間を表現する手法の構築,「一人称」的デザイン研究の方法論を構築した.
著者
加藤 文俊 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

「わかることは、かわること」である。身体感覚の変容を促すための学習環境をデザインする上では、われわれの身体的な経験を一度「ことば」として外化・対象化し、それをふたたび自らの「からだ」で行動に結びつけるプロセスの理解こそが重要な課題となる。本研究では、筆者らが開発・実践をすすめてきた「まち観帖」を事例に、フィールドワークをつうじて、自らの生活環境への感受性を高める学習のあり方について検討する。
著者
忽滑谷 春佳 諏訪 正樹 浦上 咲恵 原 野枝 福島 宙輝
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

「体験」の記述・分析手法は知能科学の最重要課題である.体験は,現象を構成する物理的要素(もの)とそれに対する主観的な意味解釈(こと)から成り立つ.からだメタ認知は個々人の体験を内部観測的に記述できる手法であるが,ことば化は「こと」に偏り「もの」を捨象しがちである.本研究では,「もの・こと」双方の厚い記述をするための4つの手法,及び「もの・こと」に基づく分析手法を開発・提案する.
著者
西山 武繁 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

空手の組手競技における駆け引きは一種のコミュニケーションである。両競技者は時々刻々と変化する競技状況のなかで相手の意図を読み、自らの意図した行為を為す。駆け引きを学ぶことは、すなわち自らの身体を通して環境を知覚し、働きかけるという身体性を理解するプロセスである。本研究はコーチングの実践を通じて、競技者が駆け引きを学ぶ際に身体性に基づくコミュニケーションが如何に為されていくのかを考察する。
著者
忽滑谷 春佳 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

インタビューは個人の思考を知る手段として汎用される.自然科学主義ではインタビュアーの恣意的介入を避けてきたがインタビュアーとの積極的なインタラクションこそがインタビュウィーの身体性に富んだナラティブを創出し得る.本研究ではメモツールhexを用いたインタビュー手法を提案する.変数を記したhexの自由配置と配置関係の検討・再配置をインタビュウィーとインタビュアーが協同することでナラティブ創出を図る.
著者
坂井田 瑠衣 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

コミュニケーションスキルに熟達した状態とは何であろうか.「あの人は会話を盛り上げるのが上手い」など,スキルを主観的に評価することはできても,詳細なメカニズムは暗黙的である.そこで,誰もが会話熟達者として認めるお笑いタレントを採り上げ,スキル熟達度を定量的に示す手法を考案した.「役回り」と「レトリック」という指標を用いて統計処理による会話分析を行い,人気のタレントらが「なぜ面白いのか」を解明した.
著者
福島 宙輝 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

認知言語学の教育への応用としての「コア理論」は学習者に語彙のコアを示し,例文に演繹する教授法をとる.しかし本来言語獲得は用例からの帰納によるものであり,演繹的な教授法では認識語彙から使用可能語彙に発展しづらい.言語学習には帰納推論が必須と捉える本稿では言語と身体性の関係に着目し,用例を先に与え,ブロック等のツールを用いて用例の言語世界を机上に表現させることでコアの帰納推論を促す教授法を提案する.
著者
山田 雅之 栗林 賢 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

スポーツフィッシングにおいて,勝敗の行方を左右する大きな要因の一つにポイント移動が挙げられる.ポイント移動は「なぜ移動するのか?どこへ移動するのか?」といった問題に対し,状況を総合的に考慮し決断される.このような過程は暗黙的であり,その決断は極めて身体的な感覚によってなされている.本研究では,元プロの湖上での振る舞いを記録し,身体知獲得を支援するツールのデザインを実施した.
著者
福士 知加 田中 望美 斉藤 ひとみ 諏訪 正樹 福島 宙輝
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

生活者は誰しも心に物語を有するが,それを表現し伝えきるのは難しい.本人には当然の 事が省略されたり,語る内容の関係性に当人が気付かない事がよくある.我々は他者の視点 の介入がその顕在化を促せると考えメモキット知得めもを開発した.知得めもは対話の流 れを可視化するメモ、違う視点を導入するメモからなり、参与者の視点を強制的にインタラクト させる.話者は物語る事で新たな気づき(知)を得る.
著者
山田 雅之 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

コーチングは非常に複雑なスキルである.本発表は大学アイスホッケー部コーチである筆者が,プレーヤーの夏休みを利用し,ミーティングを実施した実践報告である.具体的には,プレーヤーが映像を集めることにより,テーマへの理解や関心が高まるようなミーティングをデザインした.また,その過程でのコーチおよびプレーヤーのメタ認知をもとに,ミーティングという学習環境をデザインする「コーチング方法論」について検討した.