著者
宮宇地 秀和 福田 忠彦 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.14, pp.13-18, 2005-02-18
被引用文献数
1

本研究は合奏を構築するプロセス,及びそこで見られるコミュニケーションを分析し,熟達者がどのようにして合奏という協調活動を維持しているのかを明らかにするのが目的である.本稿では音楽大学に通う,ペア内で経験の長さの違う女子学生1ペアに焦点をあて,2曲のヴァイオリン二重奏曲の主に合奏練習の過程で生理計測を行い,発話を収録した.眼球運動を計測した結果からは,合奏中には2回しかアイ・コンタクトが行われていないことがわかった.また,呼吸運動データの分析からは,個人,合奏練習にかかわらず,練習の最後の演奏の方が振幅,呼気相間の長さが共に多様になることがわかった.さらにプロトコル分析手法により,ペア内でより経験の長い奏者は音楽的アイデアを楽譜の音楽的形式や強弱,つながり等の要素に基づいて生成し,又それを言葉よりも演奏や弓のジェスチャなどによって表現し,伝達する傾向が明らかになった.The purpose of this study is to prove how expert maintain cooperative activity in ensemble by analyzing process of constructing ensemble and communication in ensemble.Focusing on a pair of female music academy student that there was a difference in experience between player while practicing two pieces of duet for violins,psychological data was measured and protocol was recorded.Analysis of eye movement proved that there was only twice eye-contact in ensemble.Analysis of respiration proved that an amplitude and expiration interval of respiration diversified in the latter performance of rehearsal both separated and joined practice.Protocol analysis revealed that more experienced expert tended to create musical ideas based on musical form or elements from music and convey these by musical performance or gesture than by language.
著者
大塚 裕子 諏訪 正樹 山口 健吾
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

本研究では、感じ方や表現方法の個人差を重視した言語化プロセスについて研究することを目的に、複雑で多様な日本酒の味わいを対象とした言語使用のデータを作成する。作成にあたり、個人が直感的に創作したオノマトペで味わいを表現し、その後、その言語音の創作理由を弁別的に分析し、言語化する。創作オノマトペと分析的用語の対応により、従来の味覚表現を超えた、個人差の反映された味わい表現リストを作成する。
著者
原 野枝 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

ある空間や生活の中で、シーンに見合った音楽を流すことは、場の雰囲気の質を高め、その場での様々なパフォーマンスを向上させると考えられる。本研究では、筆者が聴取者となり、楽曲ごとに感じ取った特徴や印象をメタ認知しデータベース化した上で、場の雰囲気をメタ認知し、音楽データベースに照合するという手法を試みる。これは、音楽の持つ要素が場の要素の一部となることを意味し、一種のサウンドスケープ・デザインである。
著者
諏訪 正樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4C3GS1304, 2020 (Released:2020-06-19)

「状況依存性」という概念は、人工知能/認知科学の基礎とも言える「情報処理モデル」へのアンチテーゼとして、1980年代中盤以降に登場した。「現場に入り込み渦中の人にならないと(もしくは実際に手を動かして実行してみるまでは)、どんな認知が生じるかが想定できない」ということを論じたものである。「現場に入ってみて(手を動かして実行してみて)初めてわかる(気づく)ことがある」ということである。さらに言えば「渦中の人になれば確実に何かに気づくのだけれど、それをあらかじめ予測すること(モデル化すること)が難しい」ということでもある。現場や実践はモデル化できるほど、単純ではない。当事者になってみないとわからないことで、満ちあふれている。 一方、フレーム問題は、人工知能が未だに越えられない高いハードルである。「認識フレーム」を臨機応変には変えられないという問題である。渦中の人になり、状況依存的に何かに気付くことが、認識フレームを変え、想定外の物事に対処するということであるという意味で、「フレーム問題」と「状況依存性」は表裏一体の関係にある。
著者
諏訪 正樹 高尾 恭平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第21回 (2007)
巻号頁・発行日
pp.1H36, 2007 (Released:2018-07-29)

身体技は一種の暗黙知であると考えられてきた.自分の身体の動きや体感を漏れなく完全に言葉にすることは不可能であるが、メタ認知的な言語化の実践は身体技の熟達に大きな貢献を与える.本研究は、8ヶ月に渡ってダーツの熟達を目指して練習を積んだ被験者の、言葉とパフォーマンスの関係を明らかにするものである.パフォーマンスの上達(スコアの局所的ピークおよび熟達度のブレイク)は、身体部位に関する言葉の数、その詳細度と比率、言葉同士の関係の数に如実に表れる.学習者がメタ認知的に自分の身体を語ることが熟達にどのような効果もたらすのかを論じたい.
著者
藤井 晴行 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回 (2014)
巻号頁・発行日
pp.2D5OS28b4, 2014 (Released:2018-07-30)

経験のデザイン,機械作曲,研究方法のデザインなどについての一人称研究の概要とそれらを通して得られた知見を身体性という観点から報告する.デザインの一人称研究は研究者や被験者の身体性を自覚的に扱う研究である.デザインの思考においては記号(設計図,図式,数式,ことば)の操作が身体性をもつことが重要であることは言うまでもない.身体性を欠く思考がデザインにいかなる弊害をもたらすかについても言及する.
著者
大塚 裕子 諏訪 正樹 山口 健吾
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回 (2015)
巻号頁・発行日
pp.2N5OS16b5, 2015 (Released:2018-07-30)

本研究では、感じ方や表現方法の個人差を重視した言語化プロセスについて研究することを目的に、複雑で多様な日本酒の味わいを対象とした言語使用のデータを作成する。作成にあたり、個人が直感的に創作したオノマトペで味わいを表現し、その後、その言語音の創作理由を弁別的に分析し、言語化する。創作オノマトペと分析的用語の対応により、従来の味覚表現を超えた、個人差の反映された味わい表現リストを作成する。
著者
山田 雅之 栗林 賢 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回 (2012)
巻号頁・発行日
pp.1O1OS66, 2012 (Released:2018-07-30)

スポーツフィッシングにおいて,勝敗の行方を左右する大きな要因の一つにポイント移動が挙げられる.ポイント移動は「なぜ移動するのか?どこへ移動するのか?」といった問題に対し,状況を総合的に考慮し決断される.このような過程は暗黙的であり,その決断は極めて身体的な感覚によってなされている.本研究では,元プロの湖上での振る舞いを記録し,身体知獲得を支援するツールのデザインを実施した.
著者
諏訪 正樹
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, 2017-03-01
著者
片寄 晴弘 平田 圭二 宮田 一乗 原田 利宣 西田 豊明 諏訪 正樹 安部 明典 Haruhiro Katayose Keiji Hirata Kazunori Miyata Toshinobu Harada Toyoaki Nishida Masaki Suwa Akinori Abe
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 = Journal of Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.434-444, 2009-05-01
参考文献数
4

非言語メディアは本質的に曖昧かつ主観的な記述でしか表現できないという性質がある.これまで,音楽,絵画,造形,モーションといった非言語メディアのデザイン支援の研究は,人工知能とあまり関連づけることなく,また互いにも関連づけることなく進展してきた.しかし,非言語メディアのデザイン支援の研究事例を俯瞰してみると,意外にも共通点が多いことに気づく.例えば,デザイン対象である非言語メディアの表現・記述の階層構造,すでに存在するコンテンツをいずれかのレベルで再利用して新しいコンテンツを生成する方法論,デザインプロセスにおける創造性支援などが共通点としてあげられる.本近未来チャレンジテーマ「事例に基づくデザイン支援と評価基盤の構築」は,「事例」の再利用・転写に焦点を当てて,非言語メディアのデザイン支援評価基盤に取り組むものとして,2002年に提案,採択された.2003年から,5年間のセッションの実施,サバイバルを果たし,今回,卒業となった.この間,「事例」の再利用・転写の技術,アプリケーションに関するテーマを中心に,メディア記述の定式化,「事例」参照デザインの社会インフラストラクチャ構成,評価手法を扱った38件の研究発表がなされ,2006年には,本チャレンジの提案者の一人平田圭二(NTT)の発表が本学会の全国大会優秀賞に選ばれた.本チャレンジ「事例に基づくデザイン支援と評価基盤の構築」が無事卒業となったことで,記念行事を執り行おうというお話がもち上がり,2008年10月4日に2名のゲストディスヵッサント西田豊明氏(京都大学),諏訪正樹氏(慶應義塾大学)をお迎えして,関西学院大学梅田キャンパスで座談会を執り行うこととなった.本稿では,その模様について報告する.
著者
坂井田 瑠衣 諏訪 正樹 野口 奈摘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料
巻号頁・発行日
vol.2011, no.11, 2011

<p>会話で臨機応変に役回りを演じ,場を活性化するスキルは暗黙知である.他者の発言を好機に,自己の個性を活かして多様な役回りを演じる顕著な例題として,お笑い番組を選び,出演するタレントらのスキルを詳らかにする.</p>
著者
諏訪 正樹 赤石 智哉
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.417-429, 2010 (Released:2011-03-08)
参考文献数
21
被引用文献数
8

The present paper advocates an argument that exploring art and skills is an act of “designing” own body. Providing evidence for a practice of designing own body to acquire embodied skills in Kendou, we discuss what kind of consciousness and acts are promoted by the methodology of embodied meta-cognition, and what the act of designing own body through meta-cognition brings about in life.
著者
諏訪 正樹 西山 武繁 Suwa Masaki Nishiyama Takeshige
雑誌
SIG-SKL = SIG-SKL
巻号頁・発行日
vol.03, no.04, pp.19-24, 2009-01-09

アスリートが「自分の身体を考え,吟味する」ことの重要性は認識されていながら,それを促す方法論の研究は未成熟である.本発表では,身体を考える能力を身につけるためには何が必要か,能力を育成するためのコーチング法や支援環境としてどのような考え方が必要かなどの問いを考察する.
著者
坂井田 瑠衣 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.2D4OS28a3, 2014 (Released:2018-07-30)

言葉を交わさなくとも息がぴったり合ってしまう「阿吽の呼吸」は,身体の観察可能性に支えられている.他者の身体の状態や動作の意図を察知し,相手の意図や要求に沿うような反応を返すことで「阿吽のインタラクション」が成立する.なかでも,当事者にすら顕在化していない意図や要求を他者が先回りして汲み取るという身体性に根ざした知的振る舞いの様相を,複数の異なる対面相互行為場面における事例分析から明らかにする.
著者
諏訪 正樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.2N5OS16b1, 2015 (Released:2018-07-30)

心理学における従来のメタ認知は、思考や行動を振り返ってことばにすることにより、自分をモニタリングして制御し、より知的・理性的な思考や社会行動を学ぶメソッドであった。知の状況依存性や身体性という観点からみると、メタ認知には身体の視点が欠落している。「からだメタ認知」は、体感や知覚など、暗黙知構造の近位項をことばで表現する点で従来的メタ認知の拡張であり、ことばと身体の共創を促すメソッドである。