著者
吉井 博明
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.49-52, 1987

最近家庭に普及した情報機器の中で特に注目されるのはテレビゲーム機である。ファミコンに代表されるテレビゲーム機は本質的にコンピュータであり, 子どもの遊びと結びつくことによって初めて家庭に普及したのである。子どもの遊ぴを対象により分類すれば, 対自然遊び, 対人間遊び, 対機械 (メディア) 遊ぴの3つになる。テレビゲーム遊びは, メディア (コンピュータ) との対話を楽しむ遊びであり, コンピュータの本質を直観的に理解することなしには楽しめない。子ども達はこの遊びを通して, 第2種のコンピュータ・リテラシーを自然に身につけると考えられる。本報告では, 長野, 千葉, 東京等の小学生とその両親を対象にしたアンケート調査をもとに, テレビゲーム遊びの実態とその社会的意味を探る。
著者
吉井 博明
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.47, pp.121-133, 1992-12

最近、特にロマプリエータ地震以降、日本においては災害時のボランティア活動をどう活性化すべきかが大きな関心を呼んでいる。本稿では、この点での社会的論議が活発になされているイタリアを取り上げ、防災体制の現状のレビュー、防災ボランティアの位置づけ、防災ボランティアの概況、代表的ボランティア団体の活動実態について検討した。特に興味深い点は、ボランティアを防災体制の一部として明確に位置づけ、保険や経済的補償の制度化をはかる一方で、役割や指揮系統の明確化、訓練の義務づけがなされつつある点である。このような論議は、日本における防災ボランティアの推進を検討する上で大いに役立つと考えられる。
著者
吉井 博明
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.71-79, 1983

In case of earthquake warning we have not had any experience to draw a lesson. The incident of false earthquake warning which happened at Hiratsuka City in Kanagawa. Prefecture in 1981 provided us with a kind of social experiment. In this paper, the reactions of residents to earthquake warning and the conditions of communication system to work well in warning period are discussed on the basis of analysis of survey done just after the incident.
著者
吉井 博明 八ッ橋 武明
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-11, 1999

Cable TV is expected to become one of the major media to realize fusion between broadcast and telecommunication. Recently many Japanese Cable TV operators provided internet connection service as the first step. Musashino-Mitaka Cable TV company was the first Cable TV operator to provide the service of internet connection. We conducted survey of Cable TV subscriber on the use of internet and evaluation of internet connetion service under the cooperation of Musashino-Mitaka Cable TV company in March, 1999. In this paper emphasis are put on findings of the survey : Cable TV subscribers are very intersted in inernet and the rate of internet use is very high, and the internet user of Cable TV subscriber are composed by two different groups, heavy users and light users.\n ケーブルテレビは、放送と通信の融合を進めるインフラストラクチャーとして大きな期待がかけられている。ケーブルテレビは、多チャンネル放送とインターネットの高速伝送を同時に実現する、最も有力なメディアのひとつとみなされている。ケーブルテレビの加入者は、ケーブルテレビ会社が提供するインターネット接続サービスを利用するか、別のインターネット接続サービス会社を利用することによって、自宅からインターネットを利用することができる。 ケーブルテレビ会社が提供するインターネット接続サービスは、電話回線を使ったダイアルアップ接続サービスに較べて、はるかに高速の接続サービスを提供できる点が大きな特長である。また、インターネットに接続するのに、電話回線を使うのではなく、ケーブルテレビ回線(同軸ケーブル)を使うことから、電話代が不要であり、しかもインターネット利用中でも電話を使うことができるという特長もある。さらに、ケーブルテレビ会社はサービス対象地域が限定されており、加入者がわかっていることから、パンフレットやチラシによる広報だけでなく、社員や営業マンが加入者宅を直接訪問し、勧誘や相談、あるいはセットアップ・サービスまで行うことができる。 このようなケーブルテレビ会社によるインターネット接続サービスは、2つのタイプのインターネット・ユーザー層を掘り起こす可能性がある。ひとつは、高速接続サービスを希望するユーザーで、おそらく現状の低速接続サービスに不満を持っているユーザー層であり、もうひとつは、インターネットに関心はあるが、加入の手続きやセットアップ等が苦手で加入していなかった潜在ユーザー層である。 そこで、本論文では、日本のケーブルテレビ会社の中で、最初にインターネット接続サービスを実現した武蔵野三鷹ケーブルテレビ株式会社の協力を得て、その加入者に対するアンケート調査により、インターネットに接続している世帯を選び出し、その利用実態を分析する。その際、ケーブルテレビ加入者のインターネット利用の特徴を明らかにするために2つの比較分析を行う。第1の比較分析は、①武蔵野・三鷹ケーブルテレビの加入者で武蔵野・三鷹ケーブルテレビのインターネット接続サービス(パークシティネット・以下p-netと略称)に加入しているインターネット・ユーザー、② 武蔵野・三應ケーブルテレビの加入者でp-netには加入しておらず(ケーブルテレビのみの契約世帯)、他のプロバイダーに自宅で加入しているインターネット・ユーザー、③一般的なインターネット・ユーザーという3グループ問の比較である。第2の比較分析は、p-netに加入しているユーザーを、①10Mbpsという高速接続サービスを受けているユーザー、②128kbps以下の接続サービスを受けているユーザーという2つのグループに分け、利用実態を比較するものである。
著者
田中淳 吉井 博明
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 = Information and Communication Studies (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
no.21, pp.79-94, 1999-01-01
被引用文献数
1

In this paper, the effects of a probabilistic estimation of earthquake occurrence on the awareness of disaster prevention are discussed. In May 1998, the Research Committee on Earthquake Disaster, founded by the Japanese government, estimated the probabilities with which several earthquakes would occur and announced them. According to the committee, the probability of an occurrence of the next Tokai Earthquake within 30 years was 36 percent. This probabilistic and long-term estimation is an revolutionary trial in earthquake prediction efforts, but there remain many problems. One of these problems is whether residents can evaluate such estimations properly and put them to practical use. Findings in psychology show consistently that people can't make full use of probabilistic information. In order to shed light on how residents accept such information and evaluate it, a mail survey was conducted in Shizuoka city in September 1998. The main results are as follows. On average, the citizens of Shizuoka estimated the occurrence probability of the next Tokai Earthquake at 60 percent by intuition. They felt that an earthquake was impending if they were told the disaster would occur with more probability than 30-50 percent. Consequently they took the estimation by the Research Committee as lower than their own. However, they thought that they had had better promote disaster measures as well as or more than their present level. And they didn't think that 30 years was too long to judge whether they should take disaster measures or that such probabilistic expression was too difficult to understand, making the announcement of this estimation insignificant. They also claimed that any information should be announced to residents but national and/or local governments should also tell citizens how to take the proper actions, adding to those information. Being based of these findings, some implications were discussed.\n 1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、人的にも物的にも甚大な被害をもたらしたが、それ故に我々に様々な教訓を残した。そのひとつに、災害環境に対する適切な知識の普及は極めて重要だというものがある。阪神・淡路大震災の被害が激甚であったことは、直接には地震が神戸市直下で発生し、揺れが強かったことによる。しかし、家屋の構造の弱さやその後の厳しい被災生活の幾ばくかは、地震に対する事前対策の低さに起因する。そして、その背景には神戸には地震が来ないという神話も指摘しうる。 阪神・淡路大震災以降、様々な災害情報が公表され、マスコミ等を通じて広く伝えられるようになった。その中に政府の地震調査研究推進本部が試算、発表している長期確率評価がある。この情報は、発生が予想される地震について、一定の期間内に発生する可能性を確率表現で示すものである。それまでの「大地震が発生する可能性がある」という表現から、定量的な表現に踏み込んだ点で画期的と言いうるが、新しい試みであるだけに問題も残されている。そのひとつに「30年以内」という期間の長さや「36%」あるいは「3.5%」という確率表現を、受け手である地方公共団体や住民がどう理解するのか、という問題である。30年というのは対策を実施するにはあまりに長期に過ぎる、「3.5%」では発生の可能性が小さく安心情報と受け止められる、といった恐れもあるからである。また、心理学の知見によれば、人間は事前確率の無視など確率的な情報処理は不得手であるとされている。 そこで、本研究では、長期確率評価の公表を住民がどのように受け止め、どのように評価しているのか、を明らかにすることを目的としている。「今後30年以内に発生する可能性は36%」と推定された東海地震を取り上げ、もし地震が発生した場合には大きな被害を受けると予想される静岡市民を対象としたアンケート調査に基づき、長期確率評価が防災意識に及ぼす効果を分析する。
著者
吉井 博明 川上 善郎
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 = Information and Communication Studies (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.39-55, 1986-01-01

The purpose of this paper is to analize status quo of various commercial services by videotex and telecommunication through personal computer and to make clear conditions for these media to be accepted socially. It is found out that the gap between technolical possibility and social possibility of these media is very large and that commercial services should be focused in the special profesional fields.
著者
吉井 博明
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.47, pp.121-133, 1992-12

最近、特にロマプリエータ地震以降、日本においては災害時のボランティア活動をどう活性化すべきかが大きな関心を呼んでいる。本稿では、この点での社会的論議が活発になされているイタリアを取り上げ、防災体制の現状のレビュー、防災ボランティアの位置づけ、防災ボランティアの概況、代表的ボランティア団体の活動実態について検討した。特に興味深い点は、ボランティアを防災体制の一部として明確に位置づけ、保険や経済的補償の制度化をはかる一方で、役割や指揮系統の明確化、訓練の義務づけがなされつつある点である。このような論議は、日本における防災ボランティアの推進を検討する上で大いに役立つと考えられる。
著者
吉井 博明 田中 淳
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.139-151, 1999
被引用文献数
1

Since Great Hansin-Awaji Earthquake short term prediction is perceived to be difficult at almost area in Japan. Instead of it long term probabilisic forecast is expected to be realized, and central government issued trial estimate of long term probabilisitic forecast of several large earthquakes as a first step. This long term forecast is expressed by a probability of occurring an earthquake within 30 years. According to the report issued by Headquaters for Earthquake Research Promotion in Prime Minister's Office in May, 1998 the probability of Earthquake at Kannawa-Kouzu-Matsuda Fault in Odawara city was 3.5%. In this paper the result of survey on responses of residents in Odawara city to this probabilistic long term forecast are shown. It is revealed that residents responded very wisely to the forecast. They don't neglect the long term forecast with very small probability of occurrence and they are willing to make it a good chance to promote earthquake preparedness. この30年間にわたる地震予知研究は、当初の期待に反して、場所、規模、時間を特定した短期的地震予知の困難さを明らかにした。一方、1995年に発生した阪神・淡路大震災は、普段、頻繁には地震が起きない地域でも大きな地震が発生し、大被害をもたらすことを改めて明らかにし、地域社会が予め地震に対する準備をしておくことの重要性を再確認させた。しかし、「地域社会が予め準備をするためには、何らかの手がかりが必要である。そこで、阪神・淡路大震災後、政府の地震調査委員会は、その手がかりとして、確率表現を用いた長期的予知(地震発生の長期確率評価)情報を提供する提案を行い、その試算結果1)を公表した。研究者の中には、活断層調査結果の社会還元としては、これが精一杯の情報ではないかと考える人もいる。 このような地震の長期確率評価情報は、①国や都道府県・市町村の防災対策の一般的支援(優先順位づけ、対策を具体的に考える手がかり)、②防災まちづくり(進行スケジュール等)への活用、③建物や土木構造物の耐震基準への反映(地域による上乗せ基準の設定)、④保険の掛け金算定基準、⑤立地コントロール(原発、危険物施設、一般住宅、その他の施設の立地規制)等に活用されることが期待される。しかし、現実に長期確率評価情報を利用するとなると、多くの困難があることも事実である。たとえば、地震という破壊現象には、大きな時間的ばらつきがあることから一定期間内の発生確率はかなり低くなり、その結果、切迫感がなくなり、むしろ安心情報と理解され、防災対策促進にはかえって逆風になるのではないかとか、この評価の信頼性が乏しく、しかも発生可能性がある、すべての地震を網羅した情報ではないために、コストが大きな対策の根拠としては不充分ではないかといった問題点も指摘されている。 この長期確率評価情報の有効性は、地域社会が、この情報をどう受け止め、地震防災対策の促進にどの程度結びつけられるかにかかっているのである。そこで、本調査研究では、長期確率評価情報の試算例のひとつとされた神縄・国府津一松田断層を抱える小田原市民を対象に、この長期確率評価情報をどのように受けとめているかを実証的に明らかにする。 なお、この調査研究は、文教大学情報学部共同研究費及び同教育研究特別予算の配分を受けて実施されたものである。
著者
吉井 博明
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.68, pp.165-174, 1999-03
被引用文献数
2

近年、短期的地震予知の難しさが広く認識されるようになり、その代わりに30年間にわたる地震発生確率を示す手法の開発が進んだ。その成果を試算という形でいくつかの地震に適用した結果が、1998年5月に公表された。この長期確率評価情報は、地震対策の優先度や地域毎の耐震基準の設定、立地規制や保険料率の設定等に有効であるといわれるが、確率のわかりにくさや30年間という長期にわたる発生確率であることなどから、短期的予知に「慣れている」日本では受け入れられにくいのではないか、といった指摘もなされた。本論文では、この長期確率評価情報が公表された東海地震と神縄・国府津―松田断層の地震の2つをとりあげ、これらの地震で大きな被害を被る可能性が高い静岡市と小田原市の一般市民を対象にしたアンケート調査の結果に基づき、長期確率評価の認知と受け止め方、確率評価情報と定性的予知情報との対応関係、火災や交通事故等の他のリスクとの相対比較、火災発生リスクとの比較に基づく地震対策への資金配分の説得力等について明らかにした。Recently, short-term prediction of earthquake are widely recognized to be very difficult in spite of its optimistic perspective in the early stage. Instead of it, long-term forecast with probability of occurrece within 30 years are paid much concern by many seismologists. In May, 1998, headquaters for Earthquake Research Promotion in Prime Minister's Office issued trial calculation of the probabilities to several future big earthquakes induding two earthquakes, Tokai Earthquke and Kan-nawa Kouzu-Matsuda Fault Earthquake. This forecast expects to be effective for determining priority of earthqukae preparedness, setting aseismatic standard, land use regulation, rating of earthquake insurance, and so on. But many defects such as difficulty to understand probability and too long time span are also pointed out by many researchers at the same time, which cause low acceptance of probabilisitic forecast in Japan. In this paper, two future earthquakes, Tokai Earthquke and Kan-nawa Kouzu-MatsudaFault Earthquake, are picked up. And the results of questionnaire survey to residents of Sizuoka City and Odawara City are analized. The qustionnaire includes psycological reactions to probabilisitic Forecast, qualitative understanding of probabilisitic forecast, relative risk evaluation between earthquake and the other risks such as tire, traffic accident, and so on. The results show that residents accept probabilisitic forecast very positively and that they are willing to use the forecast to promote earthquke preparedness in the region. And they agree to compare earthquake risk with tire risk and to put financial priority based on these probabilities of occurrence.
著者
坂本 朗一 高梨 成子 吉井 博明
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.355-360, 1995-11

これまでの地域防災計画(地震編)策定の考え方は、地域に被害をもたらすと予想される切迫性のある大地震の特定から出発し、断層モデルを設定した上で、統計学的に扱いが可能な物的被害を予想し、応急対策計画を策定するというものであった。このようなアプローチは、時間とお金がかかるだけでなく、地震学的にある程度わかっている地震しか対象にできず、しかも応急対策計画にとって必要な重要施設の物的・機能的被害を扱うことができないという欠点を持っていた。しかし、阪神・淡路大震災以降、震度7クラスの地震対策の必要性が叫ぱれている。この発想は、現在の地震学の知識の中で切迫性が高いと考えられるもののみに限定して地震応急対策を考え、計画化するという従来の考え方と一線を画すものである。すなわち、地域社会の安全を脅かすリスクからみて対策をとっておくことが必要と判断される地震をまず設定し、計画策定の基礎にしようとしているからである。このような課題を解決するための手法の一つとして、シナリオ型地震被害想定が考えられる。この手法は地震像の曖昧性と被災地域の狭域性から指摘される問題を解決し、さらに、被害想定と応急対策計画の明確な対応づけを行うと共に、策定過程においてのコミュニケーション・プロセスを重視するという点で、より実践的な防災計画を確立することが可能である。
著者
三上 俊治 橋元 良明 箕浦 康子 吉井 博明 八ッ橋 武明 柏倉 康夫 遠藤 薫
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、多チャンネル状況における地域情報メディアの利用実態を探るために、鳥取県米子市において、中海ケーブルテレビの視聴可能地域をエリアとして、テレビ、新聞、多チャンネルケーブルテレビ、インターネットの利用状況、地域情報の情報源、地域住民の情報発信手段としてのケーブルテレビの役割について、テレビ局での聞き取り調査、パブリックアクセスチャンネル(PAC)参加者へのグループインタビュー、米子市民へのアンケート調査を実施した。具体的には、米子市在住の20〜69歳男女819名を対象とする社会調査を実施した他、携帯電話、携帯メール利用者計約10名を対象として、特定の1週間の通話内容とメール内容を記録してもらい、これを起こしたスクリプトを使って会話分析を行った。社会調査の結果、次のような知見が得られた。(1)テレビとインターネットに関する利用と満足の構造は類似しており、ある程度の相互代替性、補完性がみられる。(2)ケーブルテレビの加入動機は、多チャンネル化と専門チャンネル視聴が大きく、多チャンネル化ニーズが強いことを示している。(3)中海テレビの地域チャンネルは比較的よくみられており、なかでも災害情報、選挙速報、お祭りなどのイベント情報へのニーズが高いことがわかった。(4)パブリックアクセスチャンネルの視聴率は低いが、ケーブルテレビの番組取材を受けた経験のある人が多く、これがケーブルテレビの地域的機能に貢献していることがわかった。携帯メールの会話内容を分析した結果、感情表現として絵文字や特殊記号が多用されていること、全体として文章が簡潔で短く、くだけた会話調であること、移動しながら、きわめて短時間に多くのメッセージが交換されていることなどの特徴が再確認された他、音声通話との使い分けの実態などが明らかになった。
著者
吉井 博明 松田 美佐 羽渕 一代 土橋 臣吾 石井 健一 辻 泉 三上 俊治
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

日韓台の携帯電話及びインターネットの利用実態を調査した結果、日韓台ともにほぼ同じ頃に急速に普及したという点では同じであるが、その利用形態には大きな違いがみられることを実証することができた。また、これらの通信メディアの使い分けは、各国・地域のコミュニケーション文化を色濃く反映する「通信文化」と呼ぶべきものが存在し、それに強く規定されていることがわかった。たとえば、韓国では、携帯電話を通話に使うことが非常に多く、日本では通話よりメールがよく使われている。この背景には、親しい人への連絡手段の選択に際して、相手が置かれている状況への配慮をどの程度すべきかというコミュニケーション文化の違いがある。韓国の場合は、「ウリ」と呼ばれる親しい集団の間では、遠慮をすることがあってはならないという文化があり、通信手段の選択に関しても遠慮しないことが求められ、その結果、リッチネスが高いメディアである、通話が積極的に使われる。これに対して日本では、親しい人への連絡に際しても、相手への配慮を欠いてはいけないとする「抑制」のコミュニケーション文化があり、このためメールが多用されるのである。また、日台の携帯電話利用の比較をしてみると、もっとも大きな違いは、利用の効用として「家族とのコミュニケーションが増えた」ことをあげる人の割合が日本では少ないのに対して、台湾では非常に多いことがあげられる。携帯電話利用がその社会でもっとも親しい集団の凝集力を強化する働きがあるという点では共通しているが、それがどの集団化ということになると、台湾では家族であり、日本ではふだんよく会う友人集団、韓国では「ウリ」という仲間集団ということになるのである。以上述べたように、日韓台の比較調査により、それぞれの国や地域に固有な通信文化が存在し、それが携帯電話を含む通信メディアの使い分けを規定していることがわかった。
著者
海野 徳仁 平田 直 小菅 正裕 松島 健 飯尾 能久 鷺谷 威 笠原 稔 丸井 英明 田中 淳 岡田 知己 浅野 陽一 今泉 俊文 三浦 哲 源栄 正人 纐纈 一起 福岡 浩 渥美 公秀 大矢根 淳 吉井 博明
出版者
東北大学
巻号頁・発行日
2008

臨時余震観測から本震時には西傾斜の震源断層が主に活動したが、それと直交する東傾斜の余震活動もみられた。震源域直下の深さ30~40kmには低速度域が広く存在しており、そこから3本の低速度域が地表の活火山にまで続いていた。GPS観測データから本震時すべりは岩手・宮城県境付近で最も大きかった。本震後の顕著な余効すべりは震源断層の浅部延長で発生し、地震時すべりと余効すべりは相補的である。強震動データでは0.1~0.3秒の短周期成分が卓越していため震度6弱の割には建物被害が少なかった。