著者
髙山 哲志 迫 秀則 安部 由理子 阿部 貴文 森田 雅人 田中 秀幸
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.320-323, 2019-09-15 (Released:2019-10-02)
参考文献数
15

症例は73歳女性.主訴は心窩部不快感とふらつき.前医循環器科にて,重度の大動脈弁閉鎖不全症と僧帽弁閉鎖不全症によるうっ血性心不全と診断され,入院となった.薬物療法に抵抗性で内科的治療では心不全コントロールが困難であり,外科的治療目的で当院紹介入院となった.当院入院後も心不全増悪傾向を示し,緊急で手術を行った.術中所見では大動脈基部-上行大動脈瘤と,右冠尖と無冠尖の間の交連部に離開を認めた.上行大動脈置換術と,Florida sleeve法に準じた大動脈基部置換術および二弁置換術を行い良好な結果を得た.離開部の病理組織検査では粘液腫様変性を認め,交連部離開の原因となった可能性が示唆された.
著者
梅野 惟史 迫 秀則 髙山 哲志 森田 雅人 田中 秀幸 岡 敬二 宮本 伸二
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.239-242, 2017-09-15 (Released:2017-09-27)
参考文献数
10
被引用文献数
2

左室内血栓症は,急性心筋梗塞後もしくは心筋症や重症弁膜症などによる低左心機能症例に合併するが,可動性血栓の場合や塞栓症の既往がある場合,さらに心機能が改善傾向にある場合などは積極的外科手術の適応となる.今回,急性心筋梗塞後に左室心尖部血栓を生じた1例と,うっ血性心不全治療中に左室心尖部血栓を生じた1例に対して,右第4肋間から,完全内視鏡下に経左房・経僧帽弁アプローチで外科的血栓除去術を行い,良好な結果を得たので報告する.
著者
井上 真 長尾 智己 迫 秀則 大久保 浩一 佐藤 博
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.219-226, 2015 (Released:2016-02-25)
参考文献数
20

手術後も消化管機能が保たれる心臓手術の術後は,経口摂取による栄養管理が早期に開始となる.経口摂取による栄養管理は患者の「食べようとする意志」に左右されるため,その摂取量には個人差が認められる.さらに,術後は多くの症例で食欲の低下を認め,必要と考えられている摂取量を充足していないケースも見受けられる.一方,手術技術の進歩により,体力的に難しかった心臓手術を80歳以上の高齢者も受けることが可能になってきた現在において,これまであまり気にされることがなかった心臓手術の術後の栄養管理にも目を向けていく必要が生じてきている.すなわち,術後の早期回復を目指し,経口で効率的に栄養を摂取してもらうための最適な食事内容を検討,評価していくことが今後の重要な課題である.
著者
宮本 伸二 葉玉 哲生 濱本 浩嗣 穴井 博文 迫 秀則 岩田 英理子 嶋岡 徹
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.862-865, 2002

症例は77歳,男性.身長169cm,体重66kg.特別な器具を用いず両側総腸骨動脈の拡大を伴う最大径7cmの腎下腹部大動脈瘤に対し全長12cmの小正中切開にて径腹的にYグラフト置換術を施行した.末梢側吻合は両側とも内外腸骨動脈分岐部で行った.術二日目に経口摂取を開始し術後経過良好で退院した.ほとんどの腹部大動脈置換術は小切開で可能と思われ,今後推奨される術式と考える.