著者
伊藤 美栄 上垣 まどか 遠藤 弘恵 大橋 和子 鈴木 希衣子 曽根 真由美 山地 佳代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.134-141, 2012-04
参考文献数
12

女性からみたパートナーとのジェンダー認知の差異とコンドームネゴシエーションの関連を明らかにするため,大学生または看護学生の女性1,582名に質問紙を配布し1,065名の回答を得た。そのうち性交経験のある未婚女性582名を分析対象とした(有効回答率36.8%)。結果,コンドームの使用を希望する女性は531名(91.2%)であったが使用頻度が「毎回」の者は325名(55.8%)にとどまった。ジェンダー・タイプとコンドームネゴシエーションの関連は女性が未分化型の場合は低く(P<0.01),パートナーが心理的両性具有型の場合は高かった(P<0.05)。また,パートナーが男性性優位型の場合はコンドームの使用頻度は低かった(P<0.01)。パートナーとのジェンダー認知の差異とコンドームネゴシエーションとの関連はなかったが,コンドームを毎回はしないと回答した女性のうち,パートナーより男性性は低く女性性が高い群と「相手がコンドームを装着してくれない」は関連がみられた(P<0.05)。女性のコンドームネゴシエーションはジェンダー・ステレオタイプに従っており,青年期男女へのジェンダーの視点をおいた性教育の必要性が示唆された。
著者
島 由樹 河相 安彦 郡司 敦子 遠藤 弘康 久山 佳代 山本 浩嗣
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.68-73, 2007-12-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
30

本報告では, 自傷行為によって生じた歯肉外傷の1例を示す。症例は54歳女性であり, 統合失調症と診断されている。唇側付着歯肉に限局した複数の潰瘍形成が認められた。他の口腔粘膜に病変は認めなかった。問診により過度なブラッシングが確認されたことから, 本症例は歯ブラシの誤用が原因で生じた歯肉外傷と診断された。患者には適切な口腔衛生指導を行い, 1週間後には歯肉症状の寛解が認められた。
著者
曽田 武史 遠藤 弘樹 矢倉 千昭 荻野 和秀 萩野 浩 辻井 洋一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.A0809, 2004

【目的】筋硬結などの筋病変は関節可動域制限や感覚障害のみならず,障害部位の冷え,発汗異常などの自律神経機能障害も複雑に絡んでいることが多い。マイオセラピーはMyoVib(マイオセラピー研究所)の振動刺激により,これらの障害を改善する治療方法として開発,考案された治療技術である。本研究では,健康成人を対象にMyoVibの振動刺激が自律神経機能に及ぼす影響について検討した。<BR>【対象】循環器障害の既往のない健常な成人6名(男性3名,女性3名)で,平均年齢は20.2±1.9歳であった。すべての対象者に対して研究主旨と内容を説明し,同意を得た上で研究を実施した。<BR>【方法】対象者は腹臥位となり,呼吸数を15回/分に維持させ,第2胸椎から第5胸椎レベルの多裂筋に振動刺激を20分間実施した。MyoVibは振幅3mm、周波数30Hzのものを使用した。心電計はLifeCorder-8(日本光電)を用い,CM5で記録した。記録は実施前,実施中,実施直後,実施終了10分後,実施終了20分後に3分間ずつ記録した。分析方法は心電図波形をBIMUTAS II (キッセイコムテック)でサンプリング周波数200HzにてA/D変換し,3分間の心拍から定常な128拍を分析対象に平均RR間隔,標準偏差,心拍変動係数(CVRR)の算出と周波数解析を行った。スペクトル解析ではRR間隔を平均RR間隔で再サンプリングし,スプライン補間にて連続関数を得た。解析方法は高速フーリエ変換を用い,得られたスペクトルから低周波成分(LF)および高周波成分(HF)のパワースペクトルを求めた。このパワースペクトルから,LF/HFを求め,LF/HFを交感神経活動,HFを副交感神経活動の指標とした。統計処理は実施前を基準に,実施中,実施直後,実施終了10分後,実施終了20分後の平均RR間隔,CVRR,LF/HF,HFの変化をWilcoxon signed rank testで行った。<BR>【結果】実施前と比較し,平均RR間隔は,実施中および実施終了20分後に有意な減少(p<0.05)が認められた。CVRRは実施中と実施終了10分後に有意な減少(p<0.05)が認められた。LF/HFは実施直後に有意な低下(p<0.05)が認められ,その後増加する傾向がみられた。HFは実施後および実施終了10分後に有意な低下(p<0.05)が認められた。<BR>【考察】CVRRでは実施中および実施終了10分後に有意に減少していることや,実施直後にLF/HF,HFがともに有意に低下していることから,MyoVibによる振動刺激は,交感および副交感神経の双方の活動を抑制する傾向がみられた。今後は対照群を設け,実施中,実施後の自律神経活動の変化についてさらに検討していく必要がある。
著者
遠藤 弘美 目黒 美紀 宮地 洋子
出版者
仙台白百合女子大学
雑誌
仙台白百合女子大学紀要 (ISSN:13427350)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.133-140, 1999-01-29
被引用文献数
1

塩味嗜好と調味との関係を検討するため,本女子大学健康栄養専攻の学生52人を対象に調査した。その結果は次の通りである。1)食塩味覚検査を行った結果,0.6%濃度で知覚できたものが52人中50人(96.2%)で,味覚感受性が高いと考えられる。2)塩味に対する意識と感度には正の相関性(r=0.38,p<0.01)が得られ,塩味意識が「薄い」と認識している者はそうでない者と比べて塩味感度「鋭い」と認識している傾向が認められた。3)0.4〜1.2%の5試料の食塩濃度のうちすまし汁としてもっとも好まれだのは,0.8%濃度で22人(42.3%),ついで1.0%で19人(36.5%)であった。被検者が5試料に与えた順位の一致度はw=0.48(p<0.01)であり被検者の塩味嗜好に一致性が認められた。塩味意識との間に正の相関性(r = 0.45, p<0.01)が認められ,「薄い」味を意識している者は塩味嗜好においても薄い塩味を好むことが明らかになった。4)被検者に調味させたすまし汁の食塩濃度は0.67〜1.51%の範囲にあり,平均値は1.01土0.21%で,塩味嗜好濃度より高値を示した。 0.6〜0.9%のすまし汁として適塩範囲内に調味している者は21人(40.4%)であった。塩味意識との関係は「薄い」から「濃い」になるにしたがい,調製食塩濃度も高値を示し,両者間に正の相関性(r=0.29,p<0.05)が得られたが,塩味嗜好との間には相関関係は認められなかった。5)12種類の料理における塩味嗜好の結果,コンソメスープ及び茶碗蒸しにおいて有意差が得られ,塩味意識が「濃い」とする者が「薄い」「ふつう」より評点が高かった。料理の嗜好度では全ての料理が好まれ,塩味意識別に有意差がみられたのはスクランブルエッグ及びかぶときゅうりの即席漬であった。終わりに,官能検査にご協力下さいました本女子大学健康栄養専攻の学生の皆様に感謝いたします。なお,本報文の概要は,日本家政学会東北・北海道支部第43回大会において発表した。
著者
福井 次矢 高橋 理 徳田 安春 大出 幸子 野村 恭子 矢野 栄二 青木 誠 木村 琢磨 川南 勝彦 遠藤 弘良 水嶋 春朔 篠崎 英夫
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.2681-2694, 2007-12-10
被引用文献数
5 4

平成16年度に開始された新医師臨床研修制度が研修終了時の研修医の臨床能力にどのような影響をもたらしたのかを調査する目的でアンケート調査を行った.旧制度下の研修医(平成15年3月の2年次研修医)に比べて新制度下の研修医(平成18年3月の2年次研修医)は,調査対象となった幅広い臨床能力の修得状況(自己評価)が全般的に著しく向上し,以前認められていたような大学病院の研修医と研修病院の研修医との差がほとんど認められなくなった.また,調査対象となった82の症状·病態·疾患と4種類の医療記録すべてについて,旧制度下の研修医に比べて新制度下の研修医の経験症例数·記載件数が有意に多かった.新医師臨床研修制度による研修医の幅広い臨床能力修得という目的は達成される方向にあることが示唆された.<br>