著者
萩野 浩
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.898-904, 2018-11-16 (Released:2018-12-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

わが国の地域在宅高齢者の年間転倒発生率は10~25%で,施設入所者では10~50%程度である.高齢者の転倒による外傷発生頻度は54~70%程度で,骨折に至る症例は6~12%程度である.転倒の危険因子は身体機能の低下に起因する内的因子と,居住環境などに起因する外的因子とに分けられる.地域在宅高齢者の転倒を防止するためには,まず,対象の高齢者に関して転倒の危険因子を明らかにすることが必要である.単一の転倒防止介入は転倒防止に有効ではなく,個別の危険因子の評価と包括的介入が必要となる.施設入所者の転倒対策では,まず転倒事例の調査とその要因分析を実施する.転倒防止のための介入は在宅高齢者と同様に単一の介入は有効ではなく,個別の危険因子の評価と包括的な介入が必要である.
著者
松本 浩実 中祖 直之 松浦 晃宏 秋田 朋子 萩野 浩
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11092, (Released:2015-12-12)
参考文献数
42

【目的】ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)の重症度と転倒頻度,低骨密度およびサルコペニアとの関連性を調査すること。【方法】地域在住の高齢者217名を研究対象とした。対象者を非ロコモ群,プレロコモ群,ロコモ群の3群に群分けし,転倒頻度,低骨密度およびサルコペニアの有病率を調査した。転倒,低骨密度およびサルコペニア,それぞれの有無を従属変数,ロコモ3群を独立変数とし,年齢,性別で調整した二項ロジスティック回帰分析を行った。【結果】非ロコモ,プレロコモ,ロコモの転倒頻度はそれぞれ13.8%,14.3%,34.2%,低骨密度は32.5%,23.2%,57.9%,サルコペニアは3.3%,3.6%, 15.8%であった。二項ロジスティック回帰分析では,転倒とロコモが有意に関連し,非ロコモがロコモとなった場合の転倒リスクは約3.5倍であった。【結論】年齢,性別を問わずロコモに対する転倒予防対策が必要である。
著者
松本 浩実 大坂 裕 井上 和興 朴 大昊 萩野 浩
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11657, (Released:2019-11-29)
参考文献数
22

【目的】地域高齢者におけるフレイルの進行度と運動および運動自己効力感の関連性を調査すること。【方法】地域の集団健診に参加した239 名中,1)65 歳以上,2)日常生活が自立しているもので,要介護認定者を除外した男性85 名,女性127 名,平均年齢76 歳を対象とした。自己記入式アンケートにて運動および運動自己効力感を評価し,日本版Cardiovascular Health Study Index 基準を用いたフレイル判別にてロバスト,プレフレイル,フレイルに群分けした。【結果】多項ロジスティック回帰分析を実施した結果,プレフレイルと散歩やウォーキングなし(Odds:11.521),筋力トレーニングなし(Odds:6.526),集団体操なし(Odds:10.089)が,フレイルと運動自己効力感(Odds:0.826)が関連した。【結論】フレイル予防には運動習慣とともに運動自己効力感を高める心理的,教育的なサポートが重要である。
著者
萩野 浩一 有友 嘉浩
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.654-661, 2013-10-05

On August 12, 2012, the anticipated event for the element 113 (with the atomic number 113 and the mass number 278) was detected in the fusion reaction between ^<70>Zn and ^<209>Bi by the experimental group led by Dr. Kosuke Morita at RIKEN. The potential energy between two colliding nuclei consists of a short range nuclear attraction and the long range Coulomb repulsion, and the potential barrier, which is referred to as the Coulomb barrier, appears due to the strong cancellation between the two interactions. For relatively light systems, such as ^<16>O + ^<209>Bi, fusion takes place once the Coulomb barrier is overcome. In contrast, for massive systems, such as ^<70>Zn + ^<209>Bi used in the experiment by Morita, et al., the quasi-fission process, in which the two nuclei reseparate after the Coulomb barrier is overcome, becomes increasingly dominant, and the fusion cross sections are hindered accordingly. Moreover, even if the fusion is succeeded, the compound nucleus quickly decays by the (ordinary) fission. In this article, we first discuss how it is rare to synthesize a new element by heavy-ion fusion reactions and discuss a significance of the experimental result of Dr. Morita, et al. We also discuss a comparison between the so called hot fusion and cold fusion reactions, a transition of fusion dynamics from light systems to heavy systems, and the role of nuclear structure such as nuclear deformation on fusion of massive systems.
著者
内藤 智也 萩野 浩一 小林 良彦
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.99-102, 2022-02-05 (Released:2022-02-05)
参考文献数
51

話題アイソスピンの符号の慣習をめぐって
著者
松本 浩実 大坂 裕 井上 和興 朴 大昊 萩野 浩
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.429-436, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
22
被引用文献数
1

【目的】地域高齢者におけるフレイルの進行度と運動および運動自己効力感の関連性を調査すること。【方法】地域の集団健診に参加した239 名中,1)65 歳以上,2)日常生活が自立しているもので,要介護認定者を除外した男性85 名,女性127 名,平均年齢76 歳を対象とした。自己記入式アンケートにて運動および運動自己効力感を評価し,日本版Cardiovascular Health Study Index 基準を用いたフレイル判別にてロバスト,プレフレイル,フレイルに群分けした。【結果】多項ロジスティック回帰分析を実施した結果,プレフレイルと散歩やウォーキングなし(Odds:11.521),筋力トレーニングなし(Odds:6.526),集団体操なし(Odds:10.089)が,フレイルと運動自己効力感(Odds:0.826)が関連した。【結論】フレイル予防には運動習慣とともに運動自己効力感を高める心理的,教育的なサポートが重要である。
著者
萩野 浩一 小林 良彦 豊田 直樹 中村 哲
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.655-658, 2019-09-05 (Released:2020-03-10)
参考文献数
23

歴史の小径ラザフォードの指導を受けた日本人若手研究者――S. Obaとは誰か
著者
小林 恵理 萩野 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.23-28, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
35

〔目的〕変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee:膝OA)患者の足部形態を調査し,転倒発生との関連を検討することである.〔対象と方法〕対象:一次性膝OAに対する手術目的で入院した40歳以上の女性患者30名.方法:手術前日に転倒歴の聴取,自己記入式アンケート調査,足部形態評価,歩行分析,運動機能評価を実施した.〔結果〕手術適応のある膝OA患者において,舟状骨沈降度(navicular dropping test:NDT)が転倒リスク因子として挙げられた.〔結語〕手術適応のある膝OA患者において,足部の機能訓練やテーピング,足底挿板療法などを用いた物理療法など,足部へ介入することは,患者の転倒を予防する可能性があると考える.
著者
中河 真吾 萩野 浩
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.73-77, 2023 (Released:2023-02-15)
参考文献数
25

〔目的〕医療従事者を対象に肩こりの関連因子を探索し,肩こりと筋硬度の関連を検討することを目的とした.〔対象と方法〕合計138名の看護師と療法士を研究解析対象とし,アンケートにて,年齢,職務の経験年数,身長,体重,Body Mass Index,肩こりの有無,痛みの部位と程度(VAS)を自記させ,さらに自己効力感(PSEQ)と破局的思考(PCS)とストレスの各有無を調査した.加えて,超音波診断装置を用いて僧帽筋上部線維の筋硬度を測定した.対象者を肩こり有群と肩こり無群に分け,さらに,肩こり有群は,VAS高値群とVAS低値群に分けて2群比較を行った.〔結果〕肩こり無群と比べて,肩こり有群のストレススコアが有意に高かった.PCSスコアは,VAS高値群がVAS低値群より高い結果となったが,筋硬度には2群間で有意な違いはみられなかった.〔結語〕看護師および療法士の肩こりの有無とその痛みの程度は,筋硬度よりストレスや破局的思考といった心因的なものとの関係が強い可能性が考えられた.
著者
提嶋 浩文 曽田 武史 松本 浩実 射塲 靖弘 尾崎 まり 萩野 浩
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0265, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】高齢者は転倒すると骨折に至る危険性が高いことが知られている。要介護の約10%は骨折,転倒に起因するものであり,転倒危険因子を調査することは,転倒予防の観点からも重要である。転倒要因は,内的要因,外的要因に区別される。内的要因には筋力やバランスなど身体機能に関するもの,転倒歴などが含まれ,これらに関する先行研究は散見される。一方,外的要因には履物や環境整備等が挙げられる。履物に関する研究において,一般的にスリッパは靴と比較して転倒率が高いとされているが,動作時のスリッパと靴の違いを比較,検討した報告は多くはない。今回の目的は靴とスリッパの違いが歩行に与える影響を3軸加速度計と表面筋電図を使用して分析し,転倒との関係性を検討することである。【方法】対象は整形疾患,中枢疾患の既往のない健常人15名(男8名,女7名,年齢23.8±1.7歳,身長166.2±8.1cm,体重56.5±7.4kg)とした。市販の靴とスリッパを使用し,裸足で着用した。歩行加速度の分析には3軸加速度計MVP-RF8-BC(MicroStone社),歩行時の筋活動の分析には表面筋電図Bagnoli-8 EMG System(Delsys社)を使用した。全被験者に対して14mの自由歩行を練習1回,測定を2回実施し,いずれも2回目のデータを採用した。また前後2mを除く,中間10mの歩行時間も計測した。3軸加速度計はベルトにて第3腰椎棘突起部に設置し,前後,左右,上下3軸の体幹加速度を測定した。得られた加速度信号の波形を無作為に1000個のデータを選択し,Root Mean Square(RMS)にて解析を行い,歩行速度に依存するため,速度の二乗で除した。また,無作為に10歩行周期のデータを選択し,Auto Correlation(AC),Coeffecient of Variance(CV)にて解析を行った。表面筋電図は右側の前脛骨筋,内側腓腹筋を測定筋とし,フットセンサーを踵部に設置し,筋電図と同期させた。得られた筋電図波形から,歩行時の立脚期,遊脚期の筋電位平均を求め,最大随意収縮時の筋電位で(MVC)で除して,最大筋力に対する活動の割合(%MVC)を算出した。統計分析は対応のあるt検定を用い,有意水準を5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に沿って,被験者には研究の目的および方法を説明し,理解と同意を得た。【結果】歩行速度の平均は靴1.31±0.1m/sec,スリッパ1.25±0.1m/secと有意差が認められた。歩行時の動揺性の指標となるRMSは左右成分で靴0.68±0.13に対してスリッパ0.79±0.17,上下成分で靴1.27±0.26に対してスリッパ1.37±0.27とスリッパが有意に高値となった。歩行の規則性の指標となるACは1歩行周期間の分析では前後成分で靴0.65±0.08に対してスリッパ0.59±0.12とスリッパが有意に低値となった。1歩行周期時間の変動率を示すCVは靴2.52±0.62,スリッパ3.03±0.87とスリッパが有意に高値を呈した。歩行時の立脚相,遊脚相における内側腓腹筋,前脛骨筋の%MVCは両群間に有意差を認めなかった。【考察】スリッパは靴と比較して左右,上下方向のRMSが高値となった。RMSが大きくなると動揺性が大きくなり,不安定な歩容になると報告されている。靴と比較してスリッパは側方の支持性が乏しく,片脚支持期の安定性の低下につながり,体幹加速度の動揺性が増大したことが考えられる。また,スリッパでは前後方向へのACは低値を示し,また1歩行周期時間の変動率を示すCVに関してもスリッパが高値を呈した。スリッパは規則性の低下を示す結果になったと考えられる。高齢者に関してCVは転倒群で有意に高値を呈し,転倒のリスクを推測する評価方法として有効であると報告されている。以上のことから履物の違いは歩行速度や歩行時の安定性,リズムに影響を及ぼすことが示唆された。高齢者の転倒は歩行中に生じやすく,歩行の規則性,安定性の低下は転倒につながることが多く,さらに加齢に伴う身体機能の低下,合併症の存在,バランスを崩した際の代償機構の破綻があるとよりスリッパ着用時の転倒リスクが高くなることが考えられる。しかしながら,本研究は若年成人を対象としており,加齢や運動機能の程度によって履物の違いがどれほど影響するのか,さらに検討する必要があると考えられる。【理学療法学研究としての意義】履物の違いが歩行に与える影響を転倒との関連性について検討した。転倒の原因である外的要因に関する転倒リスクを明確にし,転倒予防の啓発につながることが考えられる。
著者
森田 鉄二 松本 浩実 馬壁 知之 萩野 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.499-504, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
23

〔目的〕地域在住高齢者の立位姿勢と身体機能,複数転倒との関連性を明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は地域在住高齢者219名(平均71.6 ± 9.1歳)とした.過去1年間の転倒回数,ロコモティブシンドローム,歩行速度,四肢骨格筋量,握力,骨量を評価した.立位姿勢は,円背指数,体幹傾斜角度,脊柱後弯角度(上位傾斜角度・下位傾斜角度)を評価した.〔結果〕上位傾斜角度,下位傾斜角度,体幹傾斜角度が大きいほど年齢が高く,ロコモティブシンドロームが進み,歩行速度も遅く,骨量も低かった.転倒なし群と転倒単回群と転倒複数回群で比較を行ったところ,複数回群は単回群に比べ,上位傾斜角度が高値であった.〔結語〕上位傾斜角度が大きいと身体機能が低く,複数転倒と関連する可能性がある.
著者
大森 隆生 萩野 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.181-186, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
17

〔目的〕理学療法学生の臨床実習前後における自己効力感の変化を調査し,その変化に関連する要因について検討した.〔対象と方法〕対象は理学療法士養成校の4年生の学生142名で,アンケート調査を実習前,1期実習終了後,2期実習終了後に実施した.アンケート項目は,特性的自己効力感尺度,実習に関する質問を中心に調査した.〔結果〕自己効力感は,実習前と比較して2期実習終了後は有意に向上した.自己効力感の不変向上群は,低下群と比べて,2期実習終了後の実習に関する質問において担当数,目標達成,課題達成,症例理解,指導者の肯定的言動,達成感の項目で有意に高かった.〔結語〕自己効力感の変化には,臨床実習を積み重ねることと最後の実習内容が影響してくることが示唆された.
著者
中澤 知洋 森 浩二 村上 弘志 久保田 あや 寺田 幸功 谷津 陽一 馬場 彩 幸村 孝由 内山 泰伸 斉藤 新也 北山 哲 高橋 忠幸 渡辺 伸 中島 真也 萩野 浩一 松本 浩典 古澤 彰浩 鶴 剛 上田 佳宏 田中 孝明 内田 裕之 武田 彩希 常深 博 中嶋 大 信川 正順 太田 直美 粟木 久光 寺島 雄一 深沢 泰司 高橋 弘充 大野 雅功 岡島 崇 山口 弘悦 森 英之 小高 裕和 他FORCE WG
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 72.1 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.508, 2017 (Released:2018-04-19)

NGHXTあらため、FORCE衛星は1-80 keVの広帯域X線を高感度で撮像分光し、まだ見ぬ隠されたブラックホールや超新星残骸のフィラメントでの粒子加速の探査を目指している。2016年に変更した計画の内容、検出器および望遠鏡の開発状況、およびサイエンス検討の進捗を報告する。
著者
曽田 武史 遠藤 弘樹 矢倉 千昭 荻野 和秀 萩野 浩 辻井 洋一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.A0809, 2004

【目的】筋硬結などの筋病変は関節可動域制限や感覚障害のみならず,障害部位の冷え,発汗異常などの自律神経機能障害も複雑に絡んでいることが多い。マイオセラピーはMyoVib(マイオセラピー研究所)の振動刺激により,これらの障害を改善する治療方法として開発,考案された治療技術である。本研究では,健康成人を対象にMyoVibの振動刺激が自律神経機能に及ぼす影響について検討した。<BR>【対象】循環器障害の既往のない健常な成人6名(男性3名,女性3名)で,平均年齢は20.2±1.9歳であった。すべての対象者に対して研究主旨と内容を説明し,同意を得た上で研究を実施した。<BR>【方法】対象者は腹臥位となり,呼吸数を15回/分に維持させ,第2胸椎から第5胸椎レベルの多裂筋に振動刺激を20分間実施した。MyoVibは振幅3mm、周波数30Hzのものを使用した。心電計はLifeCorder-8(日本光電)を用い,CM5で記録した。記録は実施前,実施中,実施直後,実施終了10分後,実施終了20分後に3分間ずつ記録した。分析方法は心電図波形をBIMUTAS II (キッセイコムテック)でサンプリング周波数200HzにてA/D変換し,3分間の心拍から定常な128拍を分析対象に平均RR間隔,標準偏差,心拍変動係数(CVRR)の算出と周波数解析を行った。スペクトル解析ではRR間隔を平均RR間隔で再サンプリングし,スプライン補間にて連続関数を得た。解析方法は高速フーリエ変換を用い,得られたスペクトルから低周波成分(LF)および高周波成分(HF)のパワースペクトルを求めた。このパワースペクトルから,LF/HFを求め,LF/HFを交感神経活動,HFを副交感神経活動の指標とした。統計処理は実施前を基準に,実施中,実施直後,実施終了10分後,実施終了20分後の平均RR間隔,CVRR,LF/HF,HFの変化をWilcoxon signed rank testで行った。<BR>【結果】実施前と比較し,平均RR間隔は,実施中および実施終了20分後に有意な減少(p<0.05)が認められた。CVRRは実施中と実施終了10分後に有意な減少(p<0.05)が認められた。LF/HFは実施直後に有意な低下(p<0.05)が認められ,その後増加する傾向がみられた。HFは実施後および実施終了10分後に有意な低下(p<0.05)が認められた。<BR>【考察】CVRRでは実施中および実施終了10分後に有意に減少していることや,実施直後にLF/HF,HFがともに有意に低下していることから,MyoVibによる振動刺激は,交感および副交感神経の双方の活動を抑制する傾向がみられた。今後は対照群を設け,実施中,実施後の自律神経活動の変化についてさらに検討していく必要がある。
著者
萩野 浩子 澤木 佳弘 小田 知生 孫田 亜希子 村田 香織 上田 実
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.271-277, 2000-09-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate the postoperative one-year positional change following Intraoral Vertical Ramus Osteotomy (IVRO). Retrospective radiographic assessments were performed on 43 patients who underwent bilateral IVRO to setback without interosseous fixation.The results were as follows:1. No relationship was observed between the openbite and the mandibular displacement during postoperative treatment for one year. In addition, no relationship was observed between the amount of mandibular displacement following surgery and that during postoperative treatment for one year.2. The postoperative mandibular position following IVRO was stable, and this method was effective to correct mandibular protrusion.
著者
秋田 朋子 中祖 直之 松浦 晃宏 松本 浩実 萩野 浩
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】世界有数の長寿国である我が国において,医療技術の進歩,健康志向の高まりにより,今後もさらに平均寿命が延びると予想される。同時に,要介護者の割合も年々増加し,介護予防は大きな課題である。要介護状態となる原因の一つとして,加齢に伴い筋肉量が低下するサルコペニアがあげられる。サルコペニアを引き起こす要因は複数あるが,中でも活動量の不足は中核的な問題であり,特に退職後の高齢期における活動量の減少が懸念される。一方,山間地域では高齢期にも農業に従事する者が多く,その場合の活動量は高く維持されると考えられる。そこで,本研究では,山間地域在住高齢者におけるサルコペニア有症率を調査し,さらに農業への従事がサルコペニアに関連するかを検討した。【方法】鳥取県西部の山間地域で実施された特定健診において,平成26年または27年に受診した65歳以上の高齢者で,研究参加への同意の得られた281名(年齢75.4±6.8歳,男性105名,女性176名)を対象とした。自己記入式アンケートおよび問診にて,運動器疾患の診断歴,現在の職業と農業従事の有無などを聴取した。サルコペニアの判別はEWGSOPの診断アルゴリズムに従った。補正四肢骨格筋量低下はインピーダンス法により測定し,Tanimotoらの基準(男性7.0kg/m<sup>2</sup>未満,女性5.7kg/m<sup>2</sup>未満)を採用した。そのうち,握力低下(男性30kg未満,女性20kg未満)もしくは歩行速度の低下(0.8m/s以下)のある者をサルコペニアと定義した。統計解析は,サルコペニア群と非サルコペニア群間で説明変数の差の検定を行った。次に単変量解析にて有意差の認められた項目を説明変数とし,年齢と性別を調整変数,サルコペニアの有無を従属変数とするロジスティック回帰分析を行い,サルコペニアの有無に関連する要因を検討した。有意水準は5%未満とした。【結果】農業従事者155名中11名(7.1%)がサルコペニアに該当し,非従事者は126名中19名(15.1%)がサルコペニアに該当した。対象者全体の有症率は10.7%であった。サルコペニア群と非サルコペニア群間における単変量解析では,年齢(P<0.001)と農業従事の有無(P<0.05)に有意な差を認めたが,その他には認めなかった。サルコペニアの有無を従属変数とし,農業従事の有無を説明変数,年齢と性別を調整変数として行ったロジスティック回帰分析においては,農業従事の有無は有意な関連を認めず(odds ratio=0.61,95%CI:0.25-1.43,P=0.254),年齢にのみ有意な関連を認めた(odds ratio=1.19,95%CI:1.11-1.27,P<0.001)。【結論】山間地域の高齢者においては,農業従事者はサルコペニアの有症率が有意に低いという結果を得た。これは農業を行うことが身体活動性を高く維持し,サルコペニアの発症頻度を軽減させる可能性を示唆する。また,サルコペニアは農業活動以上に加齢の影響を受けやすいことが考えられた。
著者
萩野 浩之 利根川 義男 タナー マーティン ボロビンスカヤ オルガ 疋田 利秀 下野 彰夫
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.1341-1346, 2017 (Released:2018-05-15)
参考文献数
6

本研究では,誘導結合プラズマ飛行時間型質量分析計(ICP-TOFMS)を自動車排出粒子中の無機元素に対し,連続測定を行う技術へと応用した.ガソリン自動車排出粒子に対し,エンジンオイルの添加物に由来する各元素を検出することが可能であった.
著者
和田 崇 松本 浩実 谷島 伸二 萩野 浩
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11361, (Released:2018-03-24)
参考文献数
30

【目的】術前腰部脊柱管狭窄症患者における痛みの破局的思考の実態および関連因子を明らかにすること。【方法】腰部脊柱管狭窄症の手術予定患者45 名(男性:25 名,女性:20 名,平均年齢:68.4 ± 9.4歳)を対象に横断研究を行った。基本属性を収集し,下肢痛,腰痛,Pain Catastrophizing Scale(以下,PCS),歩行速度,Timed Up and Go test,握力測定,筋量測定,連続歩行距離を評価した。PCS のカットオフ値を30 点とし「重度PCS 群」と「軽度PCS 群」に分け比較し,多変量解析を行った。【結果】PCS は平均34.7 点であった。多変量解析の結果,歩行速度(OR: 0.036,95%CI: 0.001–0.937,p = 0.046)がPCS 関連因子として抽出された。【結論】本患者群のPCS は高値であり,歩行速度がPCS の関連因子であることが示唆された。
著者
萩野 浩一
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

中性子星内部で起こる核融合反応に関して、連星中性子星からのX線スーパー・バーストで重要となる 12C+12C 系の核融合反応の研究を行った。クーロン障壁以下のエネルギーにおけるこの系の核融合反応断面積には複数の共鳴ピークが観測されている。また、最近になり、非共鳴エネルギーにおける核融合反応断面積が 12C+13C 系及び 13C+13C 系の断面積に比べて著しく小さくなっていることが見出された。これらの実験的な事実を説明するために、核融合反応で生成される複合核の準位密度の観点から核融合反応断面積のエネルギー依存性を議論した。具体的には、虚部の強さが複合核の準位密度に比例する光学ポテンシャルを用いて結合チャンネル計算を行い、核融合反応断面積を求めた。このアプローチにより、12C+12C 系でできる複合核は12C+13C 系及び 13C+13C 系でできる複合核より比較的低温状態になること、及び12C+12C 系でできる複合核の24Mg は中性子及び陽子ともに偶数である偶偶核のため準位密度がそもそも小さいこと、の2つの要因から12C+12C 系の核融合反応断面積が小さくなることを明らかにした。この課題に加え、12C+12C 系及び 28Si+28Si 系に対する核融合反応断面積の振動現象を解析した。その際、よく核融合反応断面積に対してよく知られている Wong 公式の拡張を提唱した。これは、Wong 公式で用いられるクーロン障壁に関するパラメータを「かすり角運動量」において評価しエネルギー依存性を持たせるように拡張したものである。この拡張した Wong 公式が量子力学的な求められた核融合反応断面積の数値解をよい精度で再現することを明らかにした。この成果を原著論文にまとめ、Physical Review C 誌に発表した。