著者
鈴木 卓磨 川合 里佳 足立 有右 足立 佳奈子 山下 雅幸 澤田 均
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.566, 2004

近年、日本各地で外来種の侵入問題が顕在化してきた。我々は外来種の侵入が確認された河原の植生構造を把握し、急流な東海型河川の河原植生に関するデータベースの作成を目的として、一昨年度より静岡県内の主要河川において植生調査を行っている。特に、侵入種として問題視されているシナダレスズメガヤ<i>Eragrostis curvula</i>の優占地に注目し、本種の分布拡大が県内の河原植生にどのような影響を及ぼしているのかを検討している。<br> 河原の植生調査は、静岡県西部の天竜川、中部の安倍川、東部の富士川の3河川の下流域で2002年から2003年の春と秋に行った。また、安倍川と富士川については中流域にも調査地を設けた。調査方法は河流に対して垂直にコドラート(1×1m)を並べるライントランセクト法を用い,コドラート内の種数、個体数及び植被度を調査した。<br> 調査の結果、3河川とも1年生草本が最も多く、次いで多年草が多かった。今回の調査地では、外来種が出現種数の過半数を占めるコドラートが多く、帰化率は天竜川の調査地で10%、安倍川と富士川ではともに30%以上で、外来種の侵入程度が極めて高いことが明らかとなった。 特にシナダレスズメガヤについては、河岸近くで大きな集団を形成しているところが中・下流域で広く確認された。各河川の生育地において本種の形態を測定したところ、平均で草丈138cm、株周り55cmと大型化した個体が多く、河原植生に及ぼす影響が大きいものと推察された。<br> 今後、河川植生の保全活動のためにも、生育している個々の種を継続して詳細に調査していくことが必要である。特に帰化率の高かった河原では外来種の優占化,それに伴う種多様性の低下が懸念されるため、在来種と外来種双方からの研究アプローチが不可欠であろう。<br>
著者
鈴木 卓治 安達 文夫 小林 光夫
雑誌
じんもんこん2000論文集
巻号頁・発行日
vol.2000, no.17, pp.25-32, 2000-12-15

本稿では,博物館の視点から「デジタルアーカイブは構築できるか」を考察する.デジタルデータの記録・復元,蓄積・保存,活用の3つの段階に分けて議論する.はじめに,デジタルアーカイブに関する国内外の状況を述べる.つぎに,デジタルアーカイブの技術的問題について論じ,国立歴史民俗博物館における3つの事例を通じ,博物館におけるデジタルアーカイブ活用の方向性を示す.最後に今後の課題を述べ,提言を行なう.
著者
永田 和宏 羽二生 篤 鈴木 卓夫
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.87, no.10, pp.665-672, 2001 (Released:2009-06-19)
参考文献数
15
被引用文献数
2

The Tatara is the traditional iron-and steelmaking process in Japan. The box type furnace is about 1 m width, 3 m length and 1.2 m height. The process produces steel bloom and pig iron from iron sand and charcoal. The furnace is built on the charcoal bed in a big underground construction which is separated into upper and lower parts by a thick clay layer, "Kobune Kawara". The lower part is a drainage. The upper part has a charcoal bed, "Hondoko", with twin caves, "Kobune", on the both sides. The "Kobune" keeps its temperature lower than 41°C and humidity higher than 89%, that is, 4.8×10-2kg·m-3 in terms of water vapor concentration, during "Tatara" operations. The heat flow and temperature distribution around the furnace during operation was numerically simulated. The water vapor in "Hondoko", hearth and "Doi" flows to "Kobune" according to heat flow and disperses to the surroundings. Further the historical development of underground construction is discussed.
著者
鈴木 卓哉
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.1102-1110, 1996-12-01
被引用文献数
22

咀嚼筋や顎関節に異常があると種々の運動障害が生じるが,その1つに下顎の側方偏位がある.そのため,開閉口時の下顎切歯路は重要な診査事項となっているが,これだけでは十分な診断根拠とはなりえない.この現象を理解するためには,関節円板の動態と顆頭運動を組み合わせて追究することが求められる. 本論文は,関節円板前方転位症例における開閉口時の顆頭運動を解析したものである.開口量は顆頭移動量に依存しており,開口量が45mm以上の場合には関節円板前方転位の影響がほとんどみられないことを示している.
著者
前川 健二郎 前田 智雄 大島 千周 鈴木 卓 大澤 勝次
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.315-320, 2006-09-15
被引用文献数
8 8

数種アブラナ科野菜の高機能性スプラウト生産技術を確立するため,抗酸化活性成分含量および抗酸化活性に及ぼす照射光強度の影響について検討した.その結果,栽培中の光強度を高めることで,スプラウトの胚軸長は短くなるものの,フラボノール,アントシアニンおよび総ポリフェノール含量の増加が認められ,抗酸化能(DPPHラジカル補足活性,スーパーオキシド消去活性)も高まった.これらのことから,光を強めた環境で栽培することにより抗酸化活性が高いスプラウトの生産が可能であることが分かった.
著者
前田 智雄 前川 健二郎 戸田 雅美 大島 千周 角田 英男 鈴木 卓 大澤 勝次
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.83-89, 2008-06-01 (Released:2009-09-04)
参考文献数
25
被引用文献数
4

種々の光源の組合せによる補光がブロッコリースプラウトの生育およびポリフェノール含量に及ぼす影響を効率的に検討することを目的として,商業生産システムを模した実験装置を設計,製造した.ブロッコリースプラウトの胚軸長,生重,乾物重および総ポリフェノール含量に及ぼす種々の波長の蛍光管の組合せによる補光の影響を検討した結果,48時間の補光後に,1)白色蛍光管とブラックライト(UV-A);2)赤色蛍光管とブラックライトの組合せにおいて総ポリフェノール含量が暗黒や商業生産レベルの光強度に対して有意に高まった.一方,胚軸長はやや短くなったが乾物重には有意差は認められなかった.このことから,ブラックライトを組み合わせて補光を行うことで,抗酸化能を高めたスプラウトを収量や外観品質を損なうことなく生産できるものと思われる.
著者
鈴木 卓治 五島敏芳 牟田昌平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.8, pp.25-26, 2008-01-25

情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会において「デジタルアーカイブ」が重要な研究テーマのひとつにとりあげられるようになって久しい.デジタル技術の発達は目覚しく,「ボーンデジタル」な資料(他の媒体上で作られた資料のデジタルコピーでない,最初からデジタルデータとして作られた資料)の急速な台頭や,「Google≒デジタルアーカイブ」という視点の登場など,早くからアーカイブズとデジタル技術の問題に強い関心を寄せていた当研究会としては,この潮流を正確に把握して,デジタルアーカイブ研究をどの方向に発展させていくべきかについて,よく学ぶ必要がある.われわれは,アーカイブズの専門家を招いて,アーカイブズとデジタル技術にまつわる最新の状況と課題について理解を深めることを目的とする「アーカイブズ小特集」を全2回の予定で開催することとした.本稿は,その第1回として,国立公文書館の牟田昌平氏を招いて実施する,公文書のデジタルアーカイビングの現状と未来を探るパネル討論についての予稿である.This is a preliminary report of the 1st panel discussion titled "How will digital archives develop in the future?" Studying the current state and the future of digital archiving of various kinds of materials is very interesting and important task for our SIG. Two panel discussions of this problem are planned. Some archivists will be invited as panelists of the discussion. This panel discussion discusses the problem of digital archiving of the government documents. We will know the latest, correct information about relationship between "true archives" and digital technology by the discussion.
著者
鈴木 卓治 五島敏芳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.73, pp.39-40, 2008-07-18

本稿は,アーカイブズの専門家を招いて,アーカイブズとデジタル技術にまつわる最新の状況と課題について理解を深めることを目的とするアーカイブズ小特集 「アーカイブズとデジタル技術の未来を考える」 (全 2 回)における第 2 回パネル討論 「アーカイブズの概念とデジタルアーカイブ」 についての予稿である.アーカイブズの理論的な存在根拠である 「永久保存」 の概念を正しく理解し,アーカイブズとしてのデジタルアーカイブの確立のための必要要件を知ることが今回の目的である.This is a preliminary report of the 2nd panel discussion titled "How will digital archives develop in the future?" In this discussion, we try to study and understand the concept of permanent (archival) value of data on the archives. It is essential ability for future digital archivists to construct "true" digital archives.
著者
鈴木 卓夫 永田 和宏
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.905-910, 1999-12
被引用文献数
2

In 1977, Japan Institute of Art Japanese Sword was reconstructed Tatara furnace for direct steelmaking from iron sand and charcoal, so called Kera-oshi method. This Tatara furnace called Nittouho Tatara was constructed on the base of Yasukuni Tatara furnace which had been operated until the end of the World War II in Yokota city in Shimane prefecture. For this reconstruction of the furnace and the direct steelmaking operation, the great effort of Mr. Yoshizo Abe as a leader Murage had been paid and his techniques should be made clear. Until the age of Yasukuni Tatara, Kera-oshi method was consisted of 4 stages ; Komori, Komoritsugi, Nobori and Kudari. In the 2nd stage of Komoritsugi, Komori iron sand had been used to charge because of easy reduction and production of pig iron. In 1977, Mr. Abe had met difficulty to collect Komori iron sand. Then, he developed the new technique of Tatara operation using only Masa iron sand for the last two stages in spite of Komori iron sand. He controlled the wet of iron sand and made the residual time of iron sand longer in furnace. The reduced iron particles have enough time to absorb carbon for producing pig iron.