著者
澤野 由紀子
出版者
日本教育政策学会
雑誌
日本教育政策学会年報
巻号頁・発行日
no.19, pp.8-22, 2012-07-15

Sweden is known as a country with a strong system of child care support in which children's right is secured. However, as population with foreign background increased to reach 19% in 2011, situation surrounding child care and education is changing rapidly. There are increasing number of children and youth at risk of child abuse and delinquency, which necessitate collaborative measures to be taken by different administrative sections in charge of children and youth at national, regional and community levels. In this paper, the author describes the background and process of multi-agency working involving different sectors in charge of children and youth, which is promoted in Sweden from the mid 20th century, together with the structure and concrete strategies of administrative integration for children and youth. The integration of administration for children and youth in Sweden has been realized bottom up starting from the needs of the people at community level. It is contrasting to the top-down approach which tends to start from re-organization of central government in order to integrate different ministries and agencies.
著者
山田 達雄 稲葉 継雄 坂野 慎二 一見 真理子 本間 学 白土 悟 池田 充裕 山田 礼子 佐々木 毅 澤野 由紀子 馬将 光場
出版者
中村学園大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

イデオロギー対立の終焉の後の失われた10年と言われる間に、経済開発モデルとしての日本の地位は地に落ちた。代わってグローバリゼーションが風靡し、各国の経済開発を牽引するモデルとしてアメリカの地位が強大になった。国際的な経済競争に勝つか否かは教育システムがボーダーレスになった世界経済に適合しているかどうかが一つの重要な鍵になっているのではないかと考え、平成11年度から平成13年度までの3年間、英、米、独、仏、オランダ、ノールウエー、ヨーロッパ連合、中国、韓国、台湾、タイ、マレーシア、シンガポール、オーストラリアの12カ国2地域を訪問し、これらの国で学校と企業の間のパートナーシップの状況を調査した。調査には団体あるいは個人で25回延べ36人が出かけた。またこの間に、国内学会で3回、国際学会で2回、国際セミナーとワークショップでそれぞれ1回発表し評価を受けた。報告書は第2年度に中間報告書(125頁)と最終年度に最終報告書(232頁)を刊行した。調査の結果、共通に見られる傾向としては、脱イデオロギーと経済競争への対応が教育の最も強力な動因となったことにより、官僚支配が弱まり市場化・民営化がどこの国も起こっており、グローバリゼーションの影響を強く受けていることが分かった。その結果、教育システムと経済システムの調和的あり方がどこの国においても重要な課題とされており、教育改革が模索されている。その対応のあり方に、経済そのものの建て直しがうまくいっていないロシア連邦などと、急成長を遂げつつある中国などとは大きな差が見られた。他方、新経済開発国(NIES)と言われる韓国、台湾及びシンガポールではグローバルな経済に対応した人材育成に成功している。注目すべきことは、これらの国が脱日本の政策をとっているらしいことである。かつて日本を先頭とする国際分業の雁行モデルが語られたことがあったが、今は影を潜めてしまった。逆に、日本は改革のスピードが遅く、日本のまねをしていてはならないという考えが強くなっている。韓国、台湾、シンガポールの国々は、米国を先頭とするグローバリゼーションに柔軟についていく姿勢を見せており、イギリスに倣って学校教育と就職後の職能開発を統合する傾向がある。
著者
所澤 潤 中田 敏夫 入澤 充 小川 早百合 古屋 健 江原 裕美 澤野 由紀子 志賀 幹郎 山口 陽弘 田中 麻里 YOFFE LEONID G 服部 美奈 山崎 瑞紀 日暮 トモ子 猪股 剛 小池 亜子 小室 広佐子 近藤 孝弘 三輪 千明 市川 誠 音山 若穂 前田 亜紀子 徳江 基行 モラレス松原 礼子 佐藤 久恵 林 恵 清水 真紀 福田 えり (石司 えり) 白石 淳子
出版者
東京未来大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

ドイツ、イタリア、チェコ、ブラジルは、学齢児の就学義務を設定している。ドイツとイタリアでは子供は社会の責任で国籍に拠らずに最低限の教育を受けさせねばならないという考えがあり、また、4国には、居住する子供を国籍で判別することが技術的に困難であるという共通の事情がある。それに対して、中国、韓国、台湾、タイでは、日本と同様、国家は自国民の子供に対してだけ就学/教育義務を課すという考えが主流である。いずれの国でも教授言語を習得させる特別な教育が設定されているが、並行して母語保持教育を実施する点についてはいずれの国もほとんど制度化が進行していない。
著者
嶺井 明子 関 啓子 遠藤 忠 岩崎 正吾 川野辺 敏 水谷 邦子 森岡 修一 福田 誠治 松永 裕二 澤野 由紀子 大谷 実 高瀬 淳 木之下 健一 タスタンベコワ クアニシ デメジャン アドレット ミソチコ グリゴリー アスカルベック クサイーノフ セリック オミルバエフ 菅野 怜子 サイダ マフカモワ 伊藤 宏典 アブドゥジャボル ラフモノフ ズバイドゥッロ ウバイドゥロエフ
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中央アジア4カ国は独立国家樹立後、国連やユネスコ加盟を果たし、脱・社会主義、民主的法治国家の樹立をめざし教育改革に着手した。国外からの協力と援助(ユネスコ、国際援助機関、ロシアなど)、及び国内事情(多民族国家、イスラム的伝統、都市と農村の格差、経済の人材需要など)の葛藤の中で教育政策が推進されている。初等中等教育の高い就学率、教育の世俗制、多民族への配慮などソ連時代からの正の遺産を多く継承しているが、教育へ市場原理が導入され競争的環境が強化されている。高等教育ではボローニャ・プロセスに対応した改革が進んでおり、無償制は後退している。
著者
長島 啓記 馬越 徹 澤野 由紀子
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
日本教育学会大會研究発表要項
巻号頁・発行日
vol.62, 2003-08-20

アメリカやイギリス、ロシア、中国、韓国などの教育から、学ぶことは多い。しかし、そうした国や地域の教育について研究していて、「外国のことを調べているだけで比較になっていない」と言われたことがある者は多いに違いない。そして「日本のことはいつも頭の中にある…」とつぶやいたかもしれない。これまで要因分析法、段階分析法など、比較教育学のさまざまな理論・方法が提唱されてきたが、それらを明確に意識した研究は必ずしも多いとは言えない。だからと言って、成果が上がっていないというわけでもない。世界システム論などの近年の理論・方法は難解でもある。また、研究対象の広がりから、「比較教育学」ではなく「国際教育学」あるいは「比較・国際教育学」という分野も注目されるようになっている。これらの理論・方法という、古くて新しい、また悩ましくもあるテーマに関する意見交換の場としたい。