著者
鈴間 潔 赤木 忠道 村上 智昭 宇治 彰人 北岡 隆 藤川 亜月茶 築城 英子 松本 牧子 木下 博文 前川 有紀 劉 美智 高見 由美子 浜崎 幸子 高橋 政代
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

2011年に故笹井芳樹先生らのグループよりマウスES細胞から網膜を組織として3次元的に再生できることが報告された(Eiraku M, Nature 2011:472:51)。我々は再生された網膜の周辺部に形態学的に毛様体組織と類似した構造があることを発見し、故笹井先生らのグループと共同で毛様体組織を効率的に再生する方法を開発することに成功した。本研究は再生毛様体を眼内に移植することにより眼球癆の治療法開発、同時に房水にサイトカインや細胞生存因子を分泌させるという新しいドラッグデリバリーの方法を応用した眼疾患の治療法開発を目指す。今後は動物モデルへの移植研究を行う予定である。
著者
秋葉 龍太朗 万代 道子 高橋 政代
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.29-38, 2021-01-10

眼球の構造 人が得る情報の8割は視覚に由来しているといわれている1).眼球をカメラに例えると,外界からの光は眼球の表面にある透明な組織である角膜,レンズである水晶体を通して眼球内へと入り,フィルムにあたる網膜に到達する(図1a).光はまず網膜の最も外層にある視細胞にて電気信号に変換され,視細胞は双極細胞などの介在ニューロンに信号を伝達し,情報処理が行われる.この情報は最終的に神経節細胞へと伝達され,中枢神経へと送り出される(図1b).
著者
高橋 政代
出版者
医歯薬出版
雑誌
医学のあゆみ (ISSN:00392359)
巻号頁・発行日
vol.226, no.11, pp.961-964, 2008-09-13
著者
高橋 政代 山下 英俊
出版者
メディカル葵出版
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.1327-1329, 2007-10-30
著者
森永 千佳子 平見 恭彦 浦尾 充子 日高 庸晴 高橋 政代
出版者
公益財団法人先端医療振興財団
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、現在のところ治療法が確立されておらず、治療研究の進歩の過渡期にある網膜色素変性(RP)の患者の状況に即した支援の検討を目的としている。①RPの患者対象の個別半構造化面接と②RPの医療や患者支援に関わる専門家・医療者へのヒアリングを実施した。①②で得られた情報を元に、③より広くRPの患者の実態を知るために質問調査項目の設定とWEB調査実施のための検討を重ね、WEB調査システムを構築し、④RPの患者対象にWEBによる質問調査を行った。患者の視点に配慮した支援体制と情報提供のあり方の検討の土台となるデータが得られたことは、RPを取り巻く医療の発展において、患者‐医療者双方に有用である。
著者
高橋 政代 吉村 長久 高梨 泰至 栗山 晶治 喜多 美穂里 谷原 秀信 小椋 祐一郎 岩城 正佳
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

網膜色素上皮細胞は神経網膜と脈絡膜の間に存在する単層上皮細胞であるが、増殖性硝子体網膜症の発生時に網膜色素上皮細胞の異常な増殖が見られることが知られている。網膜色素上皮細胞に見られるこれらの異常は様々な原因によって惹起されるものであるが、血液眼柵の破綻によって各種の細胞増殖因子が眼内に放出されることも一因として考えられる。そこで以下の4点に関し研究を行った。1)培養網膜色素上皮細胞が産生する細胞増殖因子及びその受容体についてスクリーニングを行うこと。これについては予定していたスクリーニングを終了し、TGF-β、PDGF及びその受容体、aFGF・bFGF及びその受容体、IL-1及びその受容体、TNF-α、IGFなどについてその発現を調べ、学会および雑誌にて発表を行った。2)遺伝子導入が網膜色素上皮細胞にも応用できるかどうかの検討を行うとともに必要があれば遺伝子導入法の基礎的な検討をする。-これに関しては一時的な発現を得ることには成功したが、継続的な遺伝子発現を初代培養の網膜色素上皮細胞を用いて行うことは困難であった。現在各種の細胞株を用いて検討中である。3)細胞増殖因子受容体遺伝子の発現量を変化させて、培養網膜色素上皮細胞の機能がどの様に変化するかについての基礎的な検討を行う。-これについては2)の結果を待って行う予定であるため検討中である。4)網膜色素上皮細胞に特異的な細胞増殖因子受容体の有無についての予備的実験を行う。-網膜色素上皮細胞に特異的に発現する線維芽細胞増殖因子受容体遺伝子を見つけるため共通配列をプラズマ-としたポリメラーゼチェーン反応を行った。これによりいくつかのクローンを獲得したが、その塩基配列並びに機能については現在検討中である。
著者
高橋 政代 高橋 淳
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2001

我々は過去に成体ラット脳由来の神経幹細胞網膜に移植し生着と神経への分化を確認した。しかし、網膜神経の分化に最適な環境である胎児網膜に移植しても脳由来の神経幹細胞から視細胞を分化誘導することはできなかった。そこで、眼球組織から神経幹細胞/神経前駆細胞を海馬由来神経幹細胞と同様の条件で培養した。ラット胎児網膜からは効率よく視細胞に分化する神経前駆細胞がneurosphereの形で得られた。また、成体ラットの毛様体色素上皮や虹彩上皮を同様の条件で培養して分裂増殖する神経前駆細胞を得、さらに視細胞に特異的なホメオボックス遺伝子を導入することによって視細胞のマーカーであるロドプシンやリカバリンを発現させることができた。海馬由来神経幹細胞ではロドプシンの発現はみられなかった。次いで京都大学医の倫理委員会の承認を受けて、ヒト胎児脳および網膜から神経幹細胞/神経前駆細胞を培養した。ヒト胎児脳からは神経幹細胞のクローンが得られ、網膜からはneurosphere法にて神経前駆細胞が得られた。それぞれ神経およびグリアに分化する多分化能を有することが確認された。また、ラット虹彩細胞と同様にヒト虹彩細胞からも視細胞様細胞が分化するか確認するため、通常の緑内障手術で廃棄される虹彩組織を用いて虹彩上皮細胞の培養を行い、ヒトでも虹彩上皮細胞の培養増殖が可能となった。ラットで神経幹細胞が組織特異性を示したのと同様にヒト胎児脳由来の神経幹細胞も前脳、中脳、菱脳それぞれの由来によって分化してくる神経のphenotypeや発現している遺伝子に差がみられ、組織特異性があると考えられた。
著者
高橋 政代 本田 孔士 柏井 聡
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

我々が、過去にin vivoで報告した角膜上皮の細胞骨格蛋白fodrinの創傷治癒過程における分布変化をin vitroにおいて再現し、さらに培養細胞を用いてfodrinの分布変化の機構を検討した。牛眼の角膜上皮初代培養細胞を使って以下の結果を得た。confluentな状態になり細胞間の結合装置も完成した状態の角膜上皮初代培養細胞において、一部にabrationを行うとその周囲数層の細胞で受傷10分後にはfodrinの分布変化を認めた。すなわち受傷10分後には細胞膜裏打ち蛋白であるfodirnが細胞壁より離れて細胞質中にび慢性に分布するようになった。また、細胞内のプロテインキナーゼCを活性化するphorbol esterを培養液中に添加すると10分後にはやはりfodrinは分布変化をおこす。一方、細胞内カルシウム濃度を上昇させるカルシウムイオノフォアを添加した場合は分布変化が起こらなかった。以上の結果より、in vivoにおいて創傷治癒過程でおこる細胞骨格蛋白の分布変化がin vitroにおいても起こること、またその変化は細胞内カルシウムの上昇を介したものではなく、細胞内プロテインキナーゼCの活性化によって起こる可能性が示唆された。今後、細胞骨格蛋白の分布変化が細胞間及び細胞基質間の接着にどのように影響しているのか検討を進める。また、網膜の機能を保つために重要な役割を果たしている網膜色素上皮細胞等においても同様の変化が起こるか検索していく。
著者
高橋 政代 高橋 淳
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000

ヒト胎児脳および網膜からの神経幹細胞の分離培養11週齢のヒト胎児から大脳と眼球を摘出し、眼球からは網膜のみを剥離する。大脳および網膜を機械的および酵素にて細胞に分散したのち、DMEM/F12に塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)と上皮細胞増殖因子(EGF)を添加した無血清培地にて培養したところ、徐々に増殖、増大する細胞塊が得られた。この細胞塊を形成する細胞の多くはネスチン陽性の未分化な神経系細胞であり、神経幹細胞を含むと考えられているneural sphereと同様の細胞集団と思われた。さらに、この細胞塊をラミニンコートした培養皿でbFGFとEGFを除去して培養すると細胞は培養皿上に接着し、形態を変化させた。神経突起様の突起を伸ばした細胞の一部は免疫細胞化学的検討にてβチュブリンIII陽性の幼若な神経細胞に分化しており、また、一部はGFAP陽性のグリア細胞に分化していた。これらの結果からヒト胎児脳および網膜から神経幹細胞あるいは神経前駆細胞が得られたと考えられる。ヒト成体虹彩神経色素上皮細胞の培養我々は、成体ラット虹彩色素上皮細胞を上記と同様の培養条件で培養することにより、神経とグリアに分化する能力を有するネスチン陽性の神経前駆細胞が得られることを確認している。同様にして、緑内障手術の際に得られるヒト成体の虹彩色素上皮を培養することにより、増殖する細胞を得ている。現在この細胞の多分化能を検討中である。以上の実験はいずれも京都大学医の倫理委員会の承認を受けて実施したものである。