著者
風間 佳之 作道 直樹 段 慧 木戸脇 有美 平橋 航 鴫原 一人 海上 智昭 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.2, pp.1-6, 2013-03-06

近年の組込みソフトウェアの大規模化,高機能化のため,RTOSに対するメモリ保護機能の需要が高まっている.RTOSはソフトウェアの中核をなすため,高い品質が求められるが,メモリ保護機能に対するテストプロセスやテスト手法,テストの規模は明らかになっていない.本論文では,RTOSのメモリ保護機能に対するテストプロセスやテスト手法,テストの規模,およびテストの効果を明らかにした.メモリ保護機能に対応したRTOSとして,AUTOSAR仕様ベースのRTOSを使用した.
著者
小澤 慶祐 本田 晋也 松原 豊 高田 広章 加藤 寿和 山本 整
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2020-ARC-240, no.37, pp.1-8, 2020-02-20

近年,先進運転支援システムや自動運転の普及により,車載システムのアーキテクチャおよび車載システムの研究開発が変化している.そのような車載システムの研究開発において,プロトタイプ開発では設計生産性の高い ROS2 を,製品開発では信頼性の高い AUTOSAR-AP をソフトウェアプラットフォームとして使用することが考えられている.しかしながら現状では,ROS2 を用いたプロトタイプから AUTOSAR-AP を用いた製品とする設計フローが確立していない.そこで本研究では,ROS2 から AUTOSAR-AP への移行を含む設計フローの提案,検討を行った.はじめに,設計フローの要件を提案し,提案した要件を満たすような設計フローの提案を行った.次に,設計フローの検討のために,ROS2 で作成された自動走行ロボットのデモアプリケーションを AUTOSAR-AP のアプリケーションに書き換えるケーススタディを行った.最後に,ケーススタディの結果を踏まえ,提案した設計フローのより詳細な検討を行った.結果として,ROS2 から AUTOSAR-AP への開発環境の移行は可能であるが,効率的な移行のために ROS2 での開発時に記法や使用する機能を一部制限することが好ましいと考えられる.
著者
高田 広章
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.3_45-3_66, 2020-07-22 (Released:2020-09-22)

使用するOSオブジェクトをシステム構築時に生成する静的OSにおいては,OSオブジェクトの生成に必要なコンフィギュレーション情報を,何らかの方法で記述する必要がある.静的APIは,リアルタイムOSのコンフィギュレーション情報を記述するための記述言語である.μITRON4.0仕様においてはじめて導入し,TOPPERS新世代カーネル仕様において改善を行った.本論文では,静的APIに求められる要件と,それらの仕様における静的APIの具体的な仕様について述べる.また,静的APIを処理するコンフィギュレータの設計と実装について,TOPPERSプロジェクトにおける約20年間の開発の歴史に沿って述べる.
著者
松村 潤 松原 豊 高田 広章 大井 正也 豊島 真澄 岩井 明史
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.7, pp.1-6, 2013-03-06

車載ネットワークのゲートウェイに用いられるCAN-Ethernetプロトコル変換アルゴリズムの研究がこれまでに行われている.従来の手法はCANメッセージの遅れ時間とゲートウェイの処理量の低減に着目している.しかし,どちらかを低減させる手法なので,CANメッセージのデッドライン制約とゲートウェイの処理量のトレードオフを考慮して,適切にネットワークを設計することが困難である.そこで本論文では,CANメッセージのデッドライン制約を満たすことに着目したデッドライン型アルゴリズムを提案する.提案手法は,メッセージの送信周期内に通信が間に合うようにゲートウェイ内での待機時間を調整する手法である.提案手法の評価を行うために,離散イベントシミュレータOMNeT++をベースにシミュレーション環境を開発した.評価実験の結果,提案手法ではデッドライン制約を守りつつ,従来手法に比べてネットワーク負荷を低減できることを確認した.
著者
越塚 登 高田 広章 坂村 健
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.73(1991-OS-052), pp.1-8, 1991-09-06

本稿はGUIプログラミングの労力の軽減を目的とした、BTRONの新しいウィンドウシステムについて述べる。そのアーキテクチャやプログラミングインタフェースは、グループウェアや、カット&ペースト機能、付箋を使ったバッチ処理メタファなどのような、新しい対話スタイルのGUIのプログラミングがサポートできるように設計されている。とのGUIプログラミングモデルのベースとして、本稿では始めに対話モデルを提案する。そして、その対話モデルに基づいた、プログラミングインタフェースモデルである、Abstract Event/Window Callセットを提案する。そして、この、Abstract Event/Window Callセットを実際に実現するソフトウェアである、Window Shared Data Pool()についても述べる。また、本稿ではWSDPのプロトタイプバージョン上に、このブログラミングインタフェースを生かして、分散共有黒システムを少ないソースコード量で実装できたことも加えて報告する。"
著者
高瀬 英希 冨山 宏之 高田 広章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.558, pp.109-114, 2008-03-20

本研究では,マルチタスク環境にスクラッチパッドメモリを活用することにより,組込みシステムの命令メモリにおける消費エネルギーの削減を目指す.固定優先度付きの周期タスクが複数存在するシステムに対応した,スクラッチパッドメモリ領域分割方針を提案する.提案するスクラッチパッドメモリ領域分割方針は,領域分割法,時間分割法,および混合分割法の3種類である.各方針について,タスクごとの領域分割およびコード割当てを同時に決定可能な整数計画問題として定式化する.評価実験を行い,提案手法の有効性を確認した.
著者
大鐘 崇史 渡辺 陽介 高田 広章
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.77-78, 2020-02-20

詳細な地図の上に標識や信号情報、車両や歩行者の動的情報を載せたダイナミックマップの活用において、自動運転車と人運転の車が混在する。人運転でもこのダイナミックマップを活用するために、道路上にあるステレオカメラから得られた情報を用いて、ドライバーに的確に伝わる指示を出せるシステムを構築することを目指す。 また、複数の車両が認識され、それらが同じ色や特徴をもつ車両の場合、それ以外の特徴を最小限の情報で伝える必要がある。 そこで、距離情報と画像データが得られるステレオカメラと、その画像データの車両特徴量を学習・識別できるYOLO v3を用いる。距離情報と識別情報を紐づけ、ドライバーに識別情報を伝えるための必要十分なタグを選択するアルゴリズムを作成する。
著者
高瀬 英希 冨山 宏之 高田 広章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.559, pp.109-114, 2008-03-20

本研究では,マルチタスク環境にスクラッチパッドメモリを活用することにより,組込みシステムの命令メモリにおける消費エネルギーの削減を目指す.固定優先度付きの周期タスクが複数存在するシステムに対応した,スクラッチパッドメモリ領域分割方針を提案する.提案するスクラッチパッドメモリ領域分割方針は,領域分割法,時間分割法,および混合分割法の3種類である.各方針について,タスクごとの領域分割およびコード割当てを同時に決定可能な整数計画問題として定式化する.評価実験を行い,提案手法の有効性を確認した.
著者
日高 隆博 山崎 二三雄 中本 幸一 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2009-EMB-14, no.1, pp.1-8, 2009-07-17

車載ソフトウェアの大規模化に伴って,従来型開発手法による安全性検証が困難となってきている.本研究では,安全性分析手法であるHAZOPを用いてソフトウェア異常検出条件を導出する手法について提案する.また,この異常検出条件を用いたソフトウェア異常監視機構について実装を行い,本手法の有効性について評価を行う.本手法は特にコンポーネント機構を用いたソフトウェアに対して有効であり,また,組込みソフトウェアの制約に合わせた監視条件の設定が容易であることを示す.
著者
飼鳥 晴康 日比野 裕 高田 光隆 高田 広章
雑誌
組込みシステムシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.147-148, 2014-10-15

名古屋大学附属組込みシステム研究センターでは,AUTOSARプラットフォームの研究開発に取り組み,その研究成果である ATK2(OS),A-COMSTACK(COM),A-RTEGEN(RTE) を TOPPERS プロジェクトより公開した.本ポスターでは公開成果物を含む研究成果について説明し,今年度より開始した高品質な車載制御システム向けソフトウェアプラットフォームに関する研究開発について紹介する.
著者
石田 利永子 本田 晋也 高田 広章 福井 昭也 小川 敏行 田原 康宏
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.4_219-4_243, 2012-10-25 (Released:2012-11-25)
被引用文献数
2

近年,組込みシステムの分野においてもマルチプロセッサシステムの利用が進んでいる.組込みシステムはシステム毎に求められる性質が異なり,リアルタイム性が要求されるシステムや,スループットが求められるシステム,両方の要件を同時に要求されるシステムも存在する.既存の組込みシステム向けマルチプロセッサ用RTOSは,いずれか一方の要求を満たす実装がされている.そこで,TOPPERS/FMPカーネルは,両方の要求を満たすよう設計実装を行った.リアルタイム性を確保するため,RTOSが自動的にロードバランスを行うことはしない.しかし,スループット向上と,システムに最適なロードバランス方式をサポートできるように,アプリケーションからの要求(APIによる要求)によりタスクを実行するプロセッサを変更するマイグレーション機能を提供する.本稿では,TOPPERS/FMPカーネルのマイグレーション機能の設計と実装について述べる.設計・実装したマイグレーション機能を使用して,アプリケーションレベルで複数のロードバランス方式を実現できることを確認した.
著者
熊谷 康太 石川 拓也 本田 晋也 高田 広章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.497, pp.49-54, 2014-03-15

近年,組込みシステムの大規模化,複雑化が進んでいる.そのため,組込みソフトウェア開発における機能更新の容易性と生産性の向上が重要となっている.また,組込みシステムの大規模化と複雑化により,十分に検証することが困難なシステムが増加しており,安全性の担保も重要となっている.一方で,組込みシステム向け軽量スクリプト言語が開発されており,この言語は開発における機能更新の容易性と生産性が高いという性質を持っている.しかし,安全性を担保するには,まだ機能の面で不足する点が存在するという問題がある.本研究では,組込みシステム向け軽量スクリプト言語であるmrubyへアクセス制御機構を導入し,安全性を担保できる実行環境を提案する.提案するアクセス制御機構は,リアルタイム制御アプリケーションを用いて評価する.評価の結果から,mrubyに対してアクセス制御機構を導入する影響は小さいと考える.
著者
横山 哲郎 今井 敬吾 曾 剛 冨山 宏之 高田 広章 結縁 祥治
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.54-69, 2009-03-23

動的電圧制御 (DVS: dynamic voltage scaling) は,プロセッサへの供給電圧とその動作周波数をプログラム実行時に変化させる技術であり,現在,多くの商用プロセッサに実装されている.本稿では,デッドラインなどの制約のあるリアルタイムシステムを対象に,DVS システムにおいて動的エネルギー消費のより少ないプログラムを開発する方法論の 1 つを提示する.DVS システムで実行されるプログラムに動的エネルギー消費の最適化が有効であるためには,残り予測実行時間の実行早期の正確な見積りを容易にすることが重要である.そのため,プログラムは何を計算するかに加えどう計算するかをうまく指定する必要がある.しかし,プログラム改変によるエネルギー消費の最適化はプログラムのモジュール性を著しく損なう.本稿では,プログラムから独立し,エネルギー消費の最適化戦略を開発する手法を提案する.提案手法により,エネルギー消費の最適化を行うときに元のプログラムの部分正当性が容易に保存され,元のプログラムおよびエネルギー消費の最適化を行うための評価戦略が独立してそれぞれモジュール性を有するようになった.遅延評価などのプログラミング言語の特徴や構成的アルゴリズム論における組化などを活用することにより半自動化が実現できたことが,本開発法の特徴の 1 つである.本稿では,整列,選択,文字列検索などの基本的なアルゴリズムに提案手法を適用する.また,電力モデルを備えた命令セットシミュレータ(ISS: instruction set simulator)において実験を行い,エネルギー消費がどれだけ最適化されたかを評価する.基本的なアルゴリズムにおいて,本稿のアプローチが有効であることから,複雑なアルゴリズムに対しても本手法が効果的であることが期待される.DVS (dynamic voltage scaling) is a technique for scaling the processor's supply voltages and working frequencies. Several commercially available processors provide voltage/frequency controls. We propose a development method for deriving dynamically energy efficient programs on DVS-enabled real-time systems, which have several constraints such as deadline. In order to improve energy efficiency of programs on DVS systems, it is necessary to accurately estimate remaining predicted execution time in the early phase of the execution of programs. Thus, how to execute codes is as important as what codes to execute. However, the revision of programs for energy efficiency seriously harms their modularity. We separate concerns of the development of energy optimization strategy from the development of programs. As the result, partial correctness of original programs is preserved, and each of original programs and energy optimization strategy has modularity, independently. Lazy evaluation of functional programming languages and tupling in constructive algorithmics are employed for realizing the semi-automation of our development method. Our techniques are applied to basic algorithms such as sorting, selection, and string matching. Their energy efficiency is evaluated by using an instruction set simulator (ISS) with a power model.
著者
加藤 寿和 石川 拓也 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.27, pp.1-6, 2013-03-06

近年,大規模化するリアルタイムシステムにおいて,メモリ保護機能が必要となっており,その実現のためにMMUが使用される.MMUでは,TLBというキャッシュ機構を使用するが,TLBミスの発生を予測することは難しく,そのために,最悪実行時間の予測が困難となる.本研究では,まず,リアルタイムシステムにおいて,TLBミスが最悪実行時間へ及ぼす影響を調査する.次に,その影響を低減させるための,TLBロック機能を用いた改善手法を提案する.そして,評価実験により,提案手法の有効性を示す.
著者
土本 幸司 川島 裕崇 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.8, pp.1-6, 2013-03-06

昨今の自動車の高機能化に伴い,車載ソフトウェアが大規模・複雑になってきている.その結果,ソフトウェア開発のコストが増大し,大規模なソフトウェアを含む車載システムの安全性を確保することが困難になってきている.こうした背景を受け,高い安全レベルを要求される車載ソフトウェアをできる限り少ないコストで開発するためのパーティショニング機構(DefensiveZone)の開発を行なった.DefensiveZoneでは,小規模なハードウェアをマイコンに付加することによって,あるソフトウェアの不具合が他のソフトウェアへ波及しないように保護を行なう.性能評価においては,DefensiveZoneはAUTOSAR OSのメモリ保護機能に比べて半分程度の実行オーバヘッドでソフトウェアの保護を行なえることを確認した.
著者
三浦 功也 太田 貴也 Daniel Sangorrin 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.1, pp.1-6, 2013-03-06

本研究では組込み向け高信頼デュアルOSモニタSafeGを用いた,汎用OSの監視手法を提案・実装した.SafeGは単一の組込みシステム上で,リアルタイムOS(RTOS)と汎用OSを同時実行するために提案・実装された小規模なソフトウェアモジュールである.SafeGを用いてRTOSから汎用OSを監視することにより,汎用OSのカーネルや,既存の監視機構が正しく動作していることを保証することができる.そこで本研究では,SafeGを用いて,RTOSから汎用OSの実行シーケンスの監視を行う機構に着目し,その実装と評価を行うことで,実際に汎用OSの監視機構が実現できることを示した.
著者
西村 惇 松原 豊 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2023-EMB-62, no.48, pp.1-8, 2023-03-16

コンテナ型仮想化は,VM 型仮想化より資源効率や処理速度で優れており,組込みシステムを含め,多くの分野で利用が広まりつつある.コンテナを作成する低レベルランタイムはコンテナのアプリケーションの実行性能やセキュリティを大きく左右するため,最適な選択を行う必要がある.一方で,セキュリティ分野を筆頭に評価が十分になされておらず,評価方法も確立されていない.本研究では新たに評価ツールを実装し,x86_64 環境と ARM 環境で,アプリケーションの実行性能,リソース使用量,セキュリティの観点から,runc,crun,gVisor,Kata Containers の 4 つの低レベルランタイムの評価を行った.
著者
水谷 太貴 松原 豊 高田 広章
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2018-SLDM-183, no.5, pp.1-6, 2018-02-28

先進運転支援システム ADAS や自動運転の実現に向けて,車載制御システムに対する機能要件や性能,アーキテクチャの柔軟性や再利用性が求められている.これらに対する車載ネットワークを実現するため,サービス指向通信ミドルウェアである SOME / IP (ScalableService-Oriented MiddlewarE over IP) の標準化が進められている.一方,航空交通システムや金融システムなどで採用実績のあるデータ中心指向である DDS (Data Distribution Service) も候補として挙げられる.本論文では,SOME / IP と DDS を対象に,機能と通信性能の両面から,比較 ・ 考察する.
著者
水谷 太貴 松原 豊 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2017-EMB-44, no.5, pp.1-6, 2017-03-02

先進運転支援システムや自動運転の実装により環境の変化が非常に加速している自動車業界では,車載システムの柔軟性や再利用性が求められるようになってきた.それらをサポートするため,サービス指向通信ミドルウェアである SOME / IP (ScalableService-Oriented MiddlewarE over IP) の標準化が進められている.車載ネットワークの通信ミドルウェアに対する性能要件として,サービスの利用確立までの遅延や,通信メッセージのリアルタイム性などがある.サービス指向はサービスをネットワーク上で連携させてシステムの全体を構築していくため,動的なネットワークの設計を行う必要がある.従来,静的にネットワーク設計を行っていた車載システムに比べてオーバーヘッドが増加することは明らかである.本研究では,SOME / IP の Service Discovery における通信確立遅延を測定し,考察する.
著者
坂村 健 高田 広章
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.20(1992-ARC-099), pp.1-8, 1993-03-11

TRONプロジェクトは、近い将来に高度にコンピュータ化された社会(電脳社会)が到来することを想定し、コンピュータシステムのあるべき姿を総合的に研究するプロジェクトである。コンピュータシステム構築の基礎パーツとなるCPUや目的別に設計された3種類のオペレーティングシステムの研究・開発を行なう基礎プロジェクトと並行して、電脳社会における問題点を検討するために、電脳社会のプロトタイプの構築を行なう応用プロジェクトを進めている。本稿では、TRONプロジェクトの現状とプロジェクトの目指すところについて、TRONプロジェクトで重視している実時間処理の面を中心に紹介する。