著者
寺尾 日出男 西村 弘行 松居 勝広
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.289-296, 1983 (Released:2010-04-30)
参考文献数
25

道産品のハツカ草の揮発性精油がユーカリ油に近い性状であることを知り, 寒冷地植物ハツカ油の火花点火機関燃料としての適応性を検討している。第1報はハツカ油2種類―ペパーミント油およびスペアーミント油を―無鉛ガソリンに混合したブレンド燃料で機関で運転した結果, 1) ガソリンに対する気化器設定のままでは, 空気過剰率は希薄側へ移行する。その結果, ガソリン単味使用時に比べ, 見掛上, ハツカ油ブレンド燃料の方が軸出力・正味熱効率とも向上する結果が得られた。2) しかし, 同一の空気過剰率で比較した場合, ガソリン単味およびペパーミント単味の両者間には軸出力・正味熱効率とも全く差異は認められないことが判つた。
著者
井上 慶一
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.27-36, 1998-01-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10

大豆の乾燥制御のためのシミュレーションモデル作成のために, 大豆の比容積, 見かけ体積, 空隙率など乾燥に影響する大豆固有の物性量について理論的考察を行い, これらを基本的な物性量 (乾物比容積, 充てん係数) と水分の関数として表わした。さらに調査した5品種 (タチナガハ, タマホマレ, フクユタカ, スズユタカ, エンレイ) の大豆に適合する以下の近似式を得た。Vm=V0+γ・m=0.771+0.965m (0.1<m)Vm={(m/ρw)2+2V0c(m/ρw)+V02}1/2 (0<m)Vm′=Vm/(1-ε)=6Vm/kπただし, m(d. b. decimal), Vm; 乾量基準の比容積 (10-3m3/kg), Vm′; 見かけ体積, ε; 空隙率, V0=0.771(10-3m3/kg), V0c=0.746, k=1.00-0.029m以上の結果, 乾燥シミュレーションに必要な物性量を少ない基本的定数で表すことができるようになった。
著者
古谷 正
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.587-592, 1980 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

根菜の収穫作業は, 人力手作業を主体とする重労働にたよっており, 機械化技術の開発が望まれている。収穫の機械化研究は, 一方ではトレンチャーやサブソイラなど既存の機械利用の多目的化により, 他方では欧米諸国で開発された根菜収穫機の改良研究という方向で検討が進められている。収穫の機械化がいづれの方向で進むにせよ, まず, 根菜収穫の基礎事項として根菜の物理性を明らかにしておく必要がある。本報では, 根菜の物理性を明らかにするとともに, わが国の農業事情下でも適応した小型でしかも構造的に単純な根菜収穫機構を開発し, 収穫機の作物に対する適応性を解析した。第1報では根菜の物理性に基づく問題を提起し, 第2報では平行した2枚の矩形板により根菜を周囲の土ごと収穫する根菜収穫機構について解析, 第3報では小型円板による根菜収穫の模型実験について解析, 第4報では試作した新しい根菜収穫機の性能を解析した結果を報告する。
著者
清水 浩 林 節男
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.551-557, 1977 (Released:2010-04-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

この報文は, もみがらを熱利用した残滓のもみがらくん炭が, ろ材として利用されるときに示す特性についての研究結果である。研究には, もみがらおよび各種燃焼度で各種破砕度のもみがらくん炭の計7種の材料を対象とした。これをろ材として利用するときに関係する基礎的な物性値を, まず把握した。その同一材料を供試して, 各種加圧力条件下での流水抵抗と圧縮歪とを求め, これを Kozeny-Corman の式に適用して, 圧縮層の仮想毛細管の直径を供試材料別に算定した。また, 実用装置の場合について, 流速と層厚との関係で最終加圧力を計算し, 供試材料別にろ過層の機能を明かにして, 適正条件を探究したものである。
著者
佐竹 利子 福森 武 劉 厚清 河野 元信 佐々木 泰弘
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.115-121, 2004-01-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2

玄米の水浸漬条件が, 米粒内のGABA (γ-アミノ酪酸) と遊離必須アミノ酸の生成量, 並びにビタミンB1とミネラルMgの含有量に及ぼす影響を明らかにし, 高い機能性を有する主食用米の調製加工技術の開発を図る。本報では浸漬工程における処理条件を解明することに主眼を置き, 続く蒸熱, 加湿熱風, 通風冷却, 精米, 通風乾燥の一連の工程については同一条件で処理した。試験の結果, GABAと遊離必須アミノ酸の生成量は浸漬条件によって大きく異なり, ビタミンB1とミネラルMgについては, 粒内各部位の含有率に変化が生じた。試験条件の範囲では, 水温30℃で2時間浸漬後に水切りし, 吸水玄米が乾かないようにして雰囲気温度30℃で22時間放置した場合に, GABAと遊離必須アミノ酸が最も顕著に増加し, ビタミンB1とミネラルMgと同様に胚乳部に移行することを認めた。
著者
林 尚孝 森泉 昭治 弓矢 智生 唐橋 需 森本 国夫
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.343-348, 1985 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18

耕うんの効果を判定するためには, 土壌状態の変化を評価できる試験法が確立されねばならない。そのためには砕土状態や反転状態を定量化して表現する必要がある。砕土状態を表わす土塊分析法にも多くの問題がある。採土法や篩の目開き体系などが標準化されていない上, 篩別された土塊の評価法も確立されているとは言えない。本報告では, レイリー分布によりロータリ耕うん後の土塊分布がきわめて良く近似でき, 近似式のふたつのパラメータから平均重量直径と標準偏差, その他の土塊に関するパラメータが簡単に求められることを明らかにした。砕土状態を数量化することができるので, 土塊分析にとり本方法は有力な手法となろう。
著者
城崎 博美 北野 昌則
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.509-515, 1979
被引用文献数
1

本研究は, 装軌車の軌弱地における旋回性能について基礎的な解析を行うものである。本報ではこれまでに検討してきた堅固路面における旋回理論をもとにして, 履帯と路面間の摩擦力が履帯のすべり量によって異なったり, 車両重量や履帯のすべりのため路面が沈下したりする場合について定常旋回理論式を導き, 数値解析を行った結果について報告する。第2報以降では履帯のすべり特性, 路面の沈下や盛上り, 旋回半径, 旋回に必要な起動輪トルク等について実験用模型装軌車を用いて実験を行った結果と数値解析結果を比較検討するとともに, 車両の形状や重量, 履帯幅やグローサの形状等車の構造諸元や, 土の諸性第質が旋回性能に及ぼす影響などについて報告する。
著者
常松 栄 吉田 富穂 松居 勝広
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.37-40, 1955-11-15 (Released:2010-04-30)
参考文献数
5

The pulling performance of the tractors, which are well adapted to heavy duties, as soil-improvement work and reclamation work etc., should be determined with not only the drawbar horse power but the maximum drawbar pull and the increasing rate of slip causing by the draft.This paper contains the maximum drawbar pulls and the maximum specific drawbar pulls (The maximum drawbar pull/Total weights of tractor including fuel, oil, water and operater) characterized to the type of tractor-crawler, semi-crawler, and wheel-which were investigated in the different types of soils-dry or wet heavy clay soil, clay-loam and volcanic light sandy loam or gravelly soil. i. e.1. If the type of tractor and the method of hitching are both similar, the max. specific drawbar pulls are approximately constant value concerning with the type of soil. (vid. Table 3)2. The value of the max. specific drawbar pull may be higher in heavy clay soil, lower in volcanic soils, and medium in clay-loam.3. In heavy clay soil, increasing the moisture content, decreases the max. specific drawbar pull. But just opposite in volcanic soils.4. Where the moisture content is not so much in heavy clay soils, the max. specific drawbar pull of crawler tractor is a little higher than wheel tractor. But in volcanic soils, the difference of these values is evidently large amount.5. If wheel tractors are set the wheels on the land for subsoil-plowing, where the furrow walls may collapse easily, the max. specific drawbar pull decreases evidently, in such field it is almost impossible to increase the max. drawbar pull by setting the wheels in the furrow-sole.
著者
新家 憲 前川 司 常松 哲 高 鋭 趙 和平
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.61-66, 1990 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8

アスパラガスの主根群域へ液体肥料を深層高圧圧入するインジェクタを開発した。まずアスパラガス根系域の広がなりを調べ, 根をなるべく切断しないように液肥を圧入すべき位置を決定した。つぎに室内ほ場で水の高圧圧入によるけん引抵抗力試験を行い, けん引抵抗力の減少及び全所要動力の低減を試みた。結果としてアスパラガスの根は深さ10-30cmに大部分あり, 横の広がりは50cmであった。従ってこの根域をさけて圧入する必要がある。けん引抵抗力の減少量は走行速度, 水の測量, 水を流さない時の初期けん引抵抗力の大小に影響された。けん引抵抗力は条件の良い時におよそ45%, 所要動力は16%が減少した。
著者
陳 介余 宮里 満 石黒 悦爾
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.65-72, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
15

スイカを完全弾性球体モデルと仮定し, その質量, 周波数, 伝播速度とセン断弾性係数の関係を理論的に解析し, 内部品質判定の指標を導いた。試料の打撃音および振動波形をFFTアナライザで解析し, これらの結果を判定措標に用いることにより簡便にスイカ内部の空洞や煮え等の内部品質の検出が可能であることを示した。さらにパワースペクトル解析により第1ピークと第2ピークの振幅差と第1ピークの振幅の比と重量の関係を利用すると空洞の大きさの推定が可能であった。
著者
古賀 康正
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-7, 1989

収穫後処理技術は社会的諸条件に強く関連しており, その技術協力には総合的な視点と柔軟な対応とを要する。技術的改善の実現は社会的前提を要するが, 公的援助においては外交的配慮によって明示されないことも多い。また資金的援助の実施が自己目的化されることもあるが, 現実の改善はその国の人々自身の活動によってのみ達成される。日本の貢献が期待されるが現状は不十分である。民間による技術協力も推進する必要がある。農業機械技術者はその活動が社会的福利を実現するような方向を判断して活動すべきである。
著者
繆 冶煉 アガド マルシャル D. 豊島 英親 吉崎 繁
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.71-77, 1996-07-01
参考文献数
11
被引用文献数
3

米の食味改善および健康食品の開発を目的に玄米の培養処理を提案し, 精米粉の糊化に及ぼすその影響を反応速度論的および組織学的に検討した。30℃のまき床で培養を行うと, 玄米内部の既存酵素が活性化され, さらにこれらの酵素反応によりアミロプラストの包膜が破れ, 澱粉粒が分解された。培養玄米の精米粉は異なる糊化特性をもっており, 最高粘度およびブレークダウンが培養時間によって増加と減少の二段階で変化した。また, 一次反応モデルを用いてシミュレーションを行った結果, 米粉の糊化過程はアレニウス方程式で表され, 活性化エネルギーは30℃まき床での培養により1.157×10<sup>5</sup>から1.492×10<sup>5</sup>J/molに増加したことが明らかになった。
著者
ブクタ アッティラ 笹尾 彰 酒井 憲司 渋澤 栄
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.45-53, 1998-07-01
参考文献数
15
被引用文献数
2

高生産性, 高作業能率を達成するために, トラクタの走行速度向上への要求が強まっている。しかし, トラクタのほ場間における高速度行時に, 作業機ヒッチング部に大きな負荷が作用し, 破損や事故を引き起こす場合もある。本研究では, 3点リンクにおけるフリープレイ (あそび) がトラクタ作業機系の非線形振動を発生させるものを考えた。Collins, 酒井らによって行われた研究結果に基づき, 3点リンクにおけるフリープレイを, 衝突要素とする衝撃加振器としてトラクタ作業機系をモデリングした。得られたモデルを用いて数値実験を実施し, 系の非線形挙動を調べた。起振力の周波数を制御パラメータとする, 周期振動, 倍周期振動, カオス振動の分岐構造を明確にした。
著者
繆 冶煉 アガド マルシャル D. 吉崎 繁
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.37-41, 1997-01-01
参考文献数
10

培養玄米の遊離脂肪酸度, 胴割および搗精特性を調べた。また, 搗精性能を向上させるために培養玄米のパーボイリング処理を検討した。15~40℃のまき床での培養処理では, 玄米の遊離脂肪酸度は26mgKOH/100gから18mgKOH/100gに減少した。培養玄米の胴割率は23℃の定温実験室内で自然乾燥後に60~80%と極めて高かった。培養玄米を100℃で2分間以上パーボイリング処理してから搗精すると, 砕粒の発生が減少すると同時に, 原料玄米の場合とほぼ同じ搗精歩合が得られた。また, 水中における精白米の胴割率も0~3%と非常に少なかった。