著者
呂 慶云 後藤 清和 西津 貴久
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.291-296, 2010-05-01 (Released:2013-03-05)
参考文献数
9
被引用文献数
2

「GABA富化玄米」は健康食品であり,「発芽玄米」として市販されている。本報においては,GABA富化条件(温度,時間,送気等)のGABA含有量,発芽率,質量損失等の発芽玄米の品質に対する影響を検討した。また,GABA富化時に浸漬水での微生物の繁殖を抑制するために電解酸性水を使用し,効果を検討した。その結果,富化条件と「GABA富化玄米」の品質の間には種々の関係が存在することが明らかとなった。
著者
清水 浩 山崎 稔
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.43-50, 1995 (Released:2010-04-30)
参考文献数
12

本研究は, 画像処理技術を応用した三次元非接触計測システムを用いて, バーベナ (Verbena bonariensis L.) の伸長生長量に対する昼夜間温度差 (DIF) と日長の相互作用を計測, 解析したものである。昼間温度が夜間温度より高い正のDIFでは一日当たりの節間生長が促進され, またその逆である昼間温度が夜間温度より低い負のDIFでは抑制された。DIFは明期における生長に顕著な効果を示すが, 暗期の生長にはほとんど効果のないことが判明した。さらに単位時間当たりの生長量である生長速度は, 日長には影響されずDIFの値のみによって決定されることが明らかとなった。
著者
田中 芳夫 小川 洋司
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.61-67, 1990
被引用文献数
5

温州ミカンを対象とした果実収穫ロボット用視覚センサの開発を目的として, パソコンベースの色彩画像処理による果実検出法を検討した。<br>カラーTV出力を容易に利用できる手法として, カラー濃淡画像の判別しきい値法によるしきい値処理および色差信号による特定色度領域の抽出法を検討し, それぞれの手法を直射日光下の野外の果樹園における画像に対して適用した。いずれの方法も, 反射, 影等の外乱下で良好に果実を検出することが可能であった。
著者
長広 仁蔵 岩本 順二郎 樋口 健
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.79-87, 1989 (Released:2010-04-30)
参考文献数
1

極微細気泡は, 食品の感覚機能の改善や水中の溶存酸素量を急増させるのに有用である。本研究は極微細気泡のこのような有用性に着目し, 種々な液体中に極微細気泡を発生させる新しい技術を開発する目的で行ったものである。そのため, ガスノズルの主要寸法や液体噴流速度などエゼクタ式ガスノズルの最適設計標準値を決定するために多数の実験を行った。その結果, 試作したエゼクタ式ガスノズルによって直径10~200μmの極微細気泡を, 水, サラダ油, 卵溶液, 溶融チョコレートなどの各種液体中に安定・連続的かつ高能率で発生できることを確認した。
著者
長広 仁藏 岩本 順二郎 樋口 健
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.75-83, 1989 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8

第1報に引き続き, 試作したエゼクタ式ガスノズルの発泡性能に及ぼす諸因子の影響を究明するための実験を行った。その結果, (1) エゼクタ式ガスノズルの開発に必要な最適設計標準値を決定した。また, (2) 液体ノズルから噴出する液体噴流のウエーバ数予Weとガスノズル内に吸引される空気流のレイノズル数Reの関係は, 両対数グラフ上でWe=bRemの方程式にしたがって直線的に変化することがわかった。そこで, (3) このWe~Reの関係から, 吸引ガス流量Qgと液体噴流の流量QLとの比で表される流量比ζの予測計算式を導出した。
著者
長廣 仁藏 岩本 順二郎 樋口 健
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.81-87, 1989 (Released:2010-04-30)
参考文献数
2

エゼクタ式ガスノズルによる極微細気泡の発生は, ガスノズル平行部内の非常に限られた狭い領域で行われる。そこで, ガスノズル平行部内の液体噴流と吸引ガス流などの流れの状況を可視化して, 極微細気泡発生のメカニズムを解明するための実験を行った。その結果, 極微細気泡は, 液体ノズルからガスノズル平行部内に噴出した液体噴流と, ガスノズル平行部内壁面に付着残留した液体層との間に挾まって, 液体噴流表面と空気との間に働く粘性力の作用で引きずり込まれた三角管形状の吸引空気流が, その先端部すなわち液体噴流と付着液体層の接触部で, 液体噴流と空気流の相対運動により剪断されることによって発生することが判明した。
著者
平田 晃
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.22-26, 2003-11-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
稲野 一郎 大波 正寿 鈴木 剛
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.59-66, 2007

直播てんさいの出芽率を確保するために, 播種前工程における鎮圧法を明らかにした。低地土においてはハローパッカによる中層鎮圧に加え, ロータリハロー付属のローラによる鎮圧を施すことで, 深さ10~20cmのコーン指数を1.0MPaに高め, 目標出芽率85%を確保できた。ハローパッカは, ディスクハローに比べ, その作業後のロータリハローのPTO軸所要動力が1.5kW増加する。一方, 多湿黒ボク土でハローパッカを2回施工したところでは, 作土下層部に不透水層ができ出芽率が低下した。低地土における出芽率85%を確保するための土塊径4.75mm以下の割合と深さ10~20cmのコーン指数の組み合わせは, 土塊径4.75mm以下の割合58%で1.0MPa以上, 60%で0.9~1.0MPa, 65%で0.9MPa未満であった。
著者
長広 仁蔵
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.257-267, 1982

本研究は, およそ10PS {7.5kW} ぐらいまでの小形汎用空冷ロータリ機関を基本設計する際に必須の (1) 正味平均有効圧, ガスシール類の最適スキマ, 主要部品の設計寸法比などの設計基準値, および (2) 主要部品の適正材質, ロータハウジングのトロコイド面の表面処理方法, 適正潤滑油などを明らかにする目的で行われたものである。<br>第1報では, 二つの試作機関に関し最終的に得られた全開出力性能とこれに関連する諸事項, および機関の負荷運転時における高温燃焼ガスの主吸気通路への漏れなどが主原因する体積効率の低下現象すなわち出力性能の向上限界などの諸問題を取扱った。<br>引続き第2報以下において, (1) 出力性能に影響を及ぼす諸因子の検討, (2) 低負荷域における不整燃焼とその対策, (3) 排気ガス組成および排気ガス温度低減対策, (4) 機関の冷却および (5) 耐久性などに関する諸問題を取扱う。
著者
秋永 孝義 岡留 博司 國府田 佳弘
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.51-56, 1994 (Released:2010-04-30)
参考文献数
12

沖縄県産の黒糖は粘度, 硬度, 色, 水分などの物性が産地によって異なり品質が安定せず, 主な需要先である加工業者からは安定した品質の製品が望まれている。品質の向上や製造技術を改善するためには黒糖の各種の特性を調査する必要がある。そこで, 沖縄県内全工場の黒糖の物理的特性を調査した。その結果, 黒糖の物性が産地によって大きく異なり, その原因が製造工程, 特に最終濃縮工程にあることを示唆した。
著者
孫 明 高橋 照夫 戸次 英二
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.53-60, 1997-07-01
参考文献数
16
被引用文献数
3

本研究は, リンゴ収穫のロボット化を実現するために必要な果実検出の視覚システムを開発しようとするものである。本報では, 2値画像で果実の描画率が80%以上得られることを目標に, 色信号を用いた画像処理法を検討した。果実, 葉, 枝等の色信号濃度ヒストグラムの解析から求めたしきい値で, 収穫時のカラーTV画像に2値化処理を施した。その結果, 赤色系果実に対して色差信号G-Yのしきい値-5を用いると, 順光状態では目標の描画率80%を得られたが, 逆光状態では果実の輝度が低下して目標に達しなかった。黄緑色系果実に対しては, 2原色の差信号R-Bでしきい値30を用いると, 果実の輝度が110以上において描画率80%以上を得られた。ただし, 逆光では目標に達せず, また太陽光の葉面反射で果実と葉との識別を誤ることがあった。
著者
目崎 孝昌 佐竹 利子 福森 武 池田 善郎
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.61-71, 2005-09-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
12

米粒における短時間の水の移動に関する研究は, 洗い仕上げ無洗米のような精米後の処理技術を開発するために重要である。米粒内への吸水速度は, 乾燥や精米後の表面処理状態によって大きく影響を受けることが予測される。しかしながら, 微視的な穀粒構造の中で水移動を観察することは困難であった。本研究では, 液体窒素による急速冷却効果を利用して, 浸透水の氷結晶化による微細構造の変化をとらえ, 精白米中の吸水現象を可視化することを試みた。その結果, 精白米のデンプン胚乳 (デンプン貯蔵組織) では, まず水は複粒デンプンを通過し, 二次的に単粒デンプンを通って浸透した。さらに, 白米表面に糊粉層を残すと穀粒への吸水が妨害されることが確認され, アリューロン層を残すことは水浸入の防止策となるものと考えられる。
著者
尾畑 納子 桑原 宣彰 岡本 嗣男
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.157-164, 1999-01-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14

農薬散布作業時に着用する農作業服の効果的な洗浄方法を確立するため, 各種洗浄条件のもとで, 綿, ナイロン, ポリエステル素材について, それらの除去性を中心に検討した。結果は以下の通りである。1) 繊維に付着する農薬量は, 40℃で24時間アセトン溶液に浸漬した後, ガスクロマトグラフのFPD検出器により定量することができた。2) 各繊維への農薬の付着量は, 綿が最も多く, 次いで, ポリエステル, ナイロンの順となった。3) その洗浄性は繊維の種類によって異なり, 綿は洗浄しやすく, 水のみでも可能であった。ナイロンは, 40℃でアルカリ性にしたSDS溶液で優れた効果が認められた。ポリエステルは, 洗浄しにくいが, LASとNCIの界面活性剤によって比較的良好な洗浄効果が得られた。
著者
水島 晃 野口 伸 石井 一暢 寺尾 日出男 行本 修 山本 聡史
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.96-102, 2001-07-01
参考文献数
22
被引用文献数
2

本研究は内界センサによる推測航法を採用することで極力ローコストな自動直進車両の開発を目的としている。航法センサとして地磁気方位センサ (Geomagnetic direction sensor; GDS) とジャイロスコープを使用し, センサを複合化することでセンサ精度, 直進精度の向上を図った。第1報では, ジャイロスコープに比較的精度の高い光ファイバージャイロ (FOG) 方式を採用し, センサ精度の評価と複合化手法を検討するために, 自律走行トラクタによる自動直進走行試験を行い, その性能を評価した。センサの複合化にはカルマンフィルタを適用し, 車両の運動モデルを構築することで車両方位と横方向偏差を推定した。カルマンフィルタによってGDSとFOGを複合化することで, 個々のセンサ単独による推測航法よりも精度の高い自動直進走行システムを開発することができた。
著者
斎藤 正博 玉城 勝彦 西脇 健太郎 長坂 善禎
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.312-317, 2012-07-01
参考文献数
9
被引用文献数
1

自脱コンバインをベースとし,RTK-GPS,方位センサによる位置,方位情報に基づいて収穫作業を行う無人自脱コンバインを開発した。センシングデバイスや制御アクチュエータ等をモジュール化し,デバイス間の通信規格として CAN バスを採用した。100 m &times; 30 mの圃場での小麦収穫の作業精度は,長辺方向で RMS0.04 m,短辺方向で RMS0.08 mであり,刈り残しや踏み倒し無く収穫作業が可能であった。無人自脱コンバインの収穫作業全体の作業能率は,手動で行った最外周の周り刈りと排出作業を含めて 18.7 a/hであった。
著者
瀧川 具弘 バハラヨーディン バンチヨー 小池 正之 ウサボリスット プラティアン
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.60-67, 2002-09-01
参考文献数
10
被引用文献数
2

タイ製コンバインを用いた稲収穫作業受託者の役割と活動状況についてタイ国中央平原の Nong Pla Mor 区での聞き取り調査結果を中心に報告した。タイ製コンバインは普通コンバインの一種で, 価格は輸入製品に比べ安価であった。このコンバインは, 1990年代初めから普及し始め, 現在は約3,000台程度が稼働している。収穫作業委託は, 経費が安価で, かつ適期に短時間で作業が実施できる点で評価されていた。Nong Pla Mor 区では後継者がいる農家は少なく, 将来はコントラクタへの作業全面委託を選択肢と考える農民が多かった。この種のコントラクタは100km以上に及ぶ地域を移動しながら年間7月以上にわたって受託収穫作業を行っていた。このような広範囲での活動は, 作業受委託を仲介する地域の実力者でもある仲介者 (タイ国でナイナーと称する) によって支えられていた。
著者
瀧川 具弘 バハラヨーディン バンチョー 小池 正之 ウサボリスット プラティアン 佐久間 泰一 楊 印生
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.51-59, 2002-09-01
参考文献数
14

タイでは, 経済発展に伴い農村での労働力減少, 高齢化が進行しており, 併行して大形農業機械を使用する受託農作業システムの普及が着実に進んでいる。本研究では, 中央平原の Nong Pla Mor 区を対象とした調査に基づき, このような受託農作業者 (コントラクタ) の運用実態を報告する。ここでは, Nong Pla Mor 区でのコントラクタ利用の特徴的な状況についてアンケート調査により農民意識と技術受容構造の関係について調べた。調査地では, 全農家が耕起から収穫までの諸作業でコントラクタを利用していた。こうした受託農作業では, 小形農業機械を利用した互助的形態と, 高価な大形機械を利用する半専業的形態とがあった。後者には, 乗用トラクタによる耕起作業受託とタイ製普通コンバインを用いた収穫作業受託が該当した。
著者
アブドゥラカシム ワンラット 小池 正之 瀧川 具弘 長谷川 英夫 余田 章 バハラヨーディン バンチョー ウサボリスット プラティアン
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.77-85, 2005-03-01
参考文献数
13
被引用文献数
1

本研究は, 移動中の車両荷重によって変化する土中応力を, 乾燥密度の変化として把え, 土壌の締固め状況を予測することを目的としている。土中応力は, 八面体応力変換器を用いて実測した。またニューラルネットワークモデルは, 乾燥密度が土の物理的特性と応力関連変数の関数であるとして構築した。乾燥密度の予測では, rms値誤差は4.28%, 相関係数は0.838であった。さらに感度解析により, 垂直応力とせん断応力は, 土の締固めの主要な影響因子であることが分かった。締固めの発生し易さは, 主に初期乾燥密度と含水比に依存した。
著者
ジュンユセン パユンサク 瀧川 具弘 小池 正之 長谷川 英夫 バハラヨーディン バンチョー
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.61-69, 2005-03-01
参考文献数
12
被引用文献数
2

本論文では, 農用車両にけん引されるトレーラの地点への誘導のために利用できる軌跡制御器の開発を報告する。この制御器は, 軌跡を直交座標での多項式で表現するフィードフォワード制御を行うご制御の目的は, トレーラを与えられた地点まで軌跡に追従走行して到達することである。トラクタ・トレーラの運動モデルを用いてエラーが存在しない条件で行ったシミュレーションでは, このフィードフォワード制御は目的地点への走行可能であることを確認できた。しかし, 誤差がある場合, 後退時には目的地点での位置誤差が無視できない程大きくなった。そこで, 軌跡周りに線形化したシステム方程式を用いて設計したフィードバック制御を, 後退時の走行安定化と目的地点での誤差縮小のために導入した。フィードバック系の設計には極配置法と最適制御とを用い, 両者を比較した。シミュレーションでは両フィードバックともシステムを安定化できたが, 最適制御理論により設計した制御器が極配置法に比べ優れていた。