著者
桂 秀樹 橋本 幾太 平良 真奈子 角陸 知妹 山脇 功
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1239-1243, 1996-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
16

柴朴湯による薬剤性肺炎の1例を報告した. 症例は72歳, 男性. 咽頭違和感に対し柴朴湯の投与を受けた. 投与後42日目より呼吸困難, 発熱を認め来院. 呼吸不全及び胸部X線写真上びまん性線状, 粒状影を認めた. 経気管支肺生検では胞隔の軽度肥厚を伴う器質化肺炎像を呈し, 気管支肺胞洗浄ではリンパ球, 好中球, 好酸球の増加を認めた. リンパ球刺激試験では柴朴湯に対し陽性を示し同剤による薬剤性肺炎と診断した. 同薬剤の中止及びプレドニゾロンの投与により臨床症状, 呼吸不全, 胸部X線写真の改善を認めた. 当薬剤による薬剤性肺炎の報告は疑診例を含め本邦で第5例目と思われる.
著者
戸島 洋一 山崎 琢士 徳留 隆博
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.904-910, 1996-08-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
7

小柴胡湯による薬剤性肺炎の2例を報告した. 症例1はC型肝硬変の61歳男性で, 内服開始約50日後, 発熱, 下痢, 呼吸苦で発症, 来院時PaO2 26Torrと著明な低酸素血症を呈した. 画像は上肺野優位のびまん性粒状影, すりガラス影でステロイドパルス療法に反応せず, 人工呼吸も施行したが消化管出血を合併し, 入院45病日に死亡した. BALFではリンパ球および好中球比率が増加, 死亡時の肺組織は硝子膜形成を伴わない胞隔の肥厚, II型肺胞上皮細胞の腫大を示した. 症例2は68歳男性で, 内服開始約80日後に咳, 呼吸苦, 発熱で発症, PaO2 61Torr, 両下肺野に不規則な浸潤影を認めた. BALFではリンパ球 (CD8+) の増加, TBLBでは肺胞腔内へのフィブリン, 好中球の滲出 (一部は器質化) の所見を得た. ステロイドの反応は良好で約40日で軽快退院した. 両症例とも小柴胡湯に対する末梢血DLSTが陽性であった. 症例2は小柴胡湯による薬剤性肺炎として典型的であったが, 症例1のような劇症型は稀である.
著者
丸山 佳重 丸山 倫夫 高田 俊範 原口 通比古 宇野 勝次
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.84-89, 1994-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14
被引用文献数
1

六君子湯による薬剤性間質性肺炎の1例を報告した. 症例は79歳, 女性で間質性肺炎の疑いで入院した. 労作時息切れと咳嗽, 胸部X線上両肺の容積減少とびまん性粒状網状影認めた. 薬剤性間質性肺炎を疑い, 全内服薬を中止すると共に, プレドニン治療を開始したところ, 臨床症状, 検査所見, 胸部X線・CT上に改善を認めた. 経気管支肺生検では間質性肺炎像を呈し, リンパ球刺激試験・白血球遊走阻止試験では六君子湯に対し陽性を示した. 当薬剤による薬剤性間質性肺炎の報告は本邦で第1例目と思われる.
著者
鈴木 和恵 立花 昭生 畠山 忍 岡野 弘
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.156-159, 1995-02-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

シロスタゾールによる薬剤性肺炎の1例を経験したので報告する. 症例は73歳男性. 3回目の急性心筋梗塞を発症し, シロスタゾールの内服が開始された. 約70日後に呼吸困難, 乾性咳嗽, 発熱が出現した. 高度の低酸素血症と胸部X線, 胸部CTでびまん性スリガラス様濃度上昇を認めた. 薬剤性肺炎を疑い, 硝酸イソソルビド (冠動脈拡張剤) を除くすべての薬剤の中止とステロイド治療を施行し, 改善した. シロスタゾールのリンパ球刺激試験は陽性であり, 同剤による薬剤性肺炎と考えられた. これまでにシクロスタゾールによる薬剤性肺炎の報告はみられず, 本症例が第一例と思われる.
著者
山田 峰彦 柿崎 藤泰 渋谷 まさと 中山 秀章 廿楽 裕 田中 一正 鈴木 一 本間 生夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 = The Japanese journal of thoracic diseases (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.646-652, 1996-06-25
被引用文献数
12

呼吸筋ストレッチ体操 (RMSG) プログラムを作成し, 肺機能, 運動能力, 呼吸困難感, 生活の質 (QOL) に与える効果について4週間のトレーニングの前後で検討した. 13名の慢性閉塞性肺疾患患者 (平均FEV<sub>1</sub>: 1.24L) を対象とし, 4週間にわたりRMSGを1日3回実施した. 12名が検討終了した. FRC (前4.19±1.27, 後3.88±1.03L), TLC (前5.98±1.35, 後5.66±1.20L), RV (前3.29±1.16, 後2.89±0.89L), 残気率 (前53.9±11.2, 後50.6±9.74%) はそれぞれ有意 (p<0.01) に低下した. 6分間歩行距離 (6MD) は平均43±30m (+15%, p<0.01) 延長した. 6MD終了時の呼吸困難感 (150mm VAS) は (前65.1±40.8, 後36.1±36.8mm) と有意 (p<0.05) に低下した. QOLは Guyatt らの The Chronic Respiratory Disease Questionnaire により評価し, 有意な改善が認められた. RMSGは呼吸リハビリテーションとして有用性があると考えられた.
著者
桶谷 典弘 斉藤 博之 江部 達夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 = The Japanese journal of thoracic diseases (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.983-988, 1996-09-25
被引用文献数
5

半夏瀉心湯による薬剤性肺臓炎の1例を報告した. 症例は72歳の女性で, 口内炎の治療のため半夏瀉心湯と白虎加人参湯を内服したところ, 8ヵ月後に労作時息切れと胸部X線写真上びまん性の斑状影が出現し, 間質性肺炎の疑いで入院した. 薬剤性肺臓炎を疑い, 内服薬を中止したところ, 臨床症状, 胸部X線写真の改善を認めた. 気管支肺胞洗浄の検査では, リンパ球の増加とCD4/CD8比の低下を認め, 肺生検の組織像では, 細気管支周辺および肺胞壁に, リンパ球を主とする細胞浸潤を認めた. 白血球遊走阻止試験では, 半夏瀉心湯に対し陽性を示し, 半夏瀉心湯による薬剤性肺臓炎と思われた. 当薬剤による薬剤性間質性肺炎の報告は, 本邦で第1例目と思われる.