著者
高野 浩一 森下 宗彦 山本 正彦 山県 香 高田 勝利
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, pp.769-774, 1977-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
12

BCG-CWS was administered in 30 patients with primary lung cancer, and in most cases this was in conjunction with other therapeutic procedures such as irradiation, chemotherapy and/or surgery.Oil-attached BCG-CWS was prepared by homogenizing 4mg of BCG-CWS, two drops of mineral oil and 2ml of 0.2% Tween 80 saline.Two hundred μg of BCG-CWS was injected intradermally every week. In patients with carcinomatous pleuritis, 400μg of BCG-CWS was injected into the pleural cavity every week.Prolonged survival periods in advanced lung cancer cases treated with BCG-CWS was observed in comparison with historical controls. Most of the patients showed increased PPD skin reaction and increased in vitro PHA response after BCG-CWS administration.As adverse reactions, minimal skin ulceration was observed in 37% of the patients, and fever in 57% after repeated intradermal injection of BCG-CWS, none of which necessitated the interruption of immunotherapy. No serious side effects, however, have been observed during the BCG-CWS treatment.
著者
須永 吉信 田中 哲治 黒沢 元博 根本 俊和 笛木 隆三 小林 節雄
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.655-659, 1985-06-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

アスピリン喘息 (AIA) では, アスピリンなど多くの非ステ言イド性解熱鎮痛剤により呼吸困難発作が惹起される. このためAIAの発熱, 疼痛時にいかなる薬剤を投与すべきか問題となっている. 著者らは, 古来より解熱鎮痛剤として用いられている地竜 (ミミズ, Lumbricus spencer) がAIAにいかなる影響を与えるかを検討し, 以下の成績が得られた. 1) AIAに地竜エキス500mgを投与し自他覚症状とFEV1, FVCを観察したが, 喘息症状に変化は認められなかった. 2) AIAに地竜エキスを1日1,500mg連続3日間または7日間投与し喘息症状とPEFRを観察したが, 投与前後にほとんど変化は認められなかった. 3) AIA発熱時に地竜エキス500mgを投与したところ喘息症状の悪化なく解熱効果が認められた. 以上の結果より, 地竜はAIAに対し安全に使用できる解熱剤であると考えられた.
著者
鈴木 信哉 中林 和彦 大河内 啓史 畑田 淳一 川口 真平 酒井 正雄 佐々木 徳久 伊藤 敦之
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.61-66, 1997-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
19

閉鎖環境の条件が厳しい潜水艦において感染性が低い結核患者の周囲の乗員に結核感染が疑われた例を経験した. 本症例は艦艇の環境と感染性及びその対策を考える上で貴重な症例と考えられたので, 考察を加えて報告した. 症例は35歳男性の潜水艦乗員. 定期健康診断の間接胸部X線で異常陰影を指摘され精査した. 咳嗽なく喀痰塗抹陰性であったが,胃液検査にて塗抹陽性であった. 定期外集団検診時のツベルクリン皮内反応 (ツ反) では強陽性者が, 発見2ヵ月のツ反では陽転者が発生源の周囲に多くみられた. 発生源と離れた場所に居住し接触があまりない乗員にも感染が疑われたので, 閉鎖循環方式の空調が関与した可能性も示唆された. 閉鎖環境における結核発生例に対しては環境の的確な把握が必要であり, 化学予防は積極的に行うべきで環境の除染には薬品による消毒よりも換気及び紫外線照射が有効であり, 艦艇には防疫対策として標準装備されることが推奨される.
著者
吉富 淳 佐藤 篤彦 須田 隆文 千田 金吾
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.1352-1355, 1997-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
13
被引用文献数
2

症例は86歳の女性で, 気管支拡張症感染増悪のため1996年6月10日に緊急入院し, 気管内挿管下に人工呼吸管理となった. 病室は3階の個室でほぼ毎日家族が付き添っていた. 口腔内洗浄も連日行われていたが, 6月19日に鼻腔, 口腔から体長約1cmのハエ幼虫 (ヒロズキンバエ) が20匹以上出現した. 虫体を除去するとともに, 内視鏡にて鼻咽腔から喉頭を観察したが, ハエ幼虫の温床となるような化膿性病変や壊死性病変は指摘できなかった. 経過から, 挿管後数日の間に親バエが鎮静剤の投与された患者の鼻腔または口腔に産卵したと考えられた. 清潔を旨とする病院においてもハエの侵入は認められ, ハエ幼虫症という事態が起こり得ることに留意する必要がある.
著者
久保 恵嗣 小林 俊夫 福島 雅夫 芝本 利重 酒井 秋男 上田 五雨
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.825-832, 1988

肺水腫における熱とインドシアニン・グリーン (ICG) 色素を用いた二重指示薬希釈法による血管外肺水分量測定の有用性を検討するために, 肺リンパ瘻を作製した麻酔下緬羊を用い, 本法による血管外肺水分量 extravascular lung thermal volume (EVLTV) と, 左房圧上昇 (IP, n=5), Escherichia coli エンドトキシン注入 (ETX, n=5) および肺微小空気塞栓 (Air, n=4) 時の肺循環および肺リンパ動態とを比較検討した. また, 肺リンパ液中のICG濃度を測定した. IP群では, 左房圧 (Pla) 10mmHg上昇に伴い肺動脈圧 (Ppa) も上昇し, 肺リンパ流量 (Qlym) は有意に増加した. 肺リンパと血漿との蛋白濃度比 (L/P) は有意に減少した. EVLTVは有意に増加した. ETX 1μg/kg, iv, 投与3~5時間後, Qlym およびL/Pは有意に増加したが, EVLTVは変化なかった. PpaとPlaは変化なかった. Air群では, 肺動脈主幹部に挿入した細いチューブ (内径0.3mm) より1.2ml/minの空気を3時間にわたり注入した. Ppaは空気注入中有意に増加したが, 注入終了後すみやかに前値に復した. Plaは変化なかった. Qlymは空気注入後より増加し, 注入終了後もその増加は持続した. L/Pは注入終了後軽度増加した. EVLTVは空気注入中著明に減少し, 注入終了後有意に増加した. 肺リンパ液中のICG濃度はETX群で著明に増加したが, 他の2群では変化なかった. 以上より, EVLTVはエンドトキシンおよび肺塞栓存在時の肺水腫の存在の可能性を過小評価する. また肺微小空気塞栓による肺血管透過性の機序は, エンドトキシン肺傷害のそれとは異なることを示唆するものと思われる.
著者
大西 隆行 藤田 次郎 池田 和真 泰 ゆうき 山地 康文 塩谷 泰一 高原 二郎 桑原 宏子 佐藤 明 根ヶ山 清 宇多 弘次 入野 昭三
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.365-371, 1991-03-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

症例1は70歳男性, 肺小細胞癌に対する化学療法後, 両肺にびまん性斑状陰影が出現. 症例2は49歳男性, 悪性リンパ腫に対する化学療法後, 右肺に巨大結節影が出現. 両例とも抗生物質投与にかかわらず陰影は増悪し, 呼吸不全にて死亡した. 剖検材料より得られた浸出液の培養にて Trichosporon beigelii が検出された. Trichosporon beigelii による呼吸器感染症は本邦では稀と考えられたのでここに報告する.
著者
鈴木 幹三 岸本 明比古 山本 俊幸 足立 暁 山本 和英 白井 智之
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.1078-1082, 1986-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
18

剖検で確認した高齢者肺炎102例を臨床病理学的に検討した. 60歳以上の剖検180例中102例 (57%) に肺炎が認められ, このうち53例 (52%) は肺炎が直接死因となった. 基礎疾患は脳血管障害後遺症, 心疾患が大半を占めた. 病理学的な肺炎病巣の拡がりは肺炎死因率と正の相関を示した. 肺炎は両下葉および右上葉に好発し, 病理学的に炎症病変は巣状分布を示す例が最も多く, これらのなかに沈降性肺炎, 嚥下性肺炎の関与する例がみられた. 大葉性肺炎, 嚥下性肺炎, 肺化膿症は直接死因となる頻度が高く, 肺うっ血水腫は49%にみられた. 病変発現部位では, 肺胞性肺炎が70%を占め, 混合型肺炎は10%であった.
著者
桶谷 典弘 斉藤 博之 江部 達夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.983-988, 1996-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20
被引用文献数
1

半夏瀉心湯による薬剤性肺臓炎の1例を報告した. 症例は72歳の女性で, 口内炎の治療のため半夏瀉心湯と白虎加人参湯を内服したところ, 8ヵ月後に労作時息切れと胸部X線写真上びまん性の斑状影が出現し, 間質性肺炎の疑いで入院した. 薬剤性肺臓炎を疑い, 内服薬を中止したところ, 臨床症状, 胸部X線写真の改善を認めた. 気管支肺胞洗浄の検査では, リンパ球の増加とCD4/CD8比の低下を認め, 肺生検の組織像では, 細気管支周辺および肺胞壁に, リンパ球を主とする細胞浸潤を認めた. 白血球遊走阻止試験では, 半夏瀉心湯に対し陽性を示し, 半夏瀉心湯による薬剤性肺臓炎と思われた. 当薬剤による薬剤性間質性肺炎の報告は, 本邦で第1例目と思われる.
著者
手丸 理恵 山下 直宏 松井 祥子 大田 亨 川崎 聡 小林 正
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.485-490, 1994-05-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

柴朴湯による薬剤性肺臓炎の1症例を報告した. 症例は60歳の女性で, 平成4年10月12日外来にて柴朴湯を投与され一包内服したところ, 約2時間後に悪寒, 呼吸困難が出現したため, 翌10月13日外来を受診, 著明な低酸素血症と胸部X線写真上両肺野にすりガラス様陰影を認めたため, 急性間質性肺炎を疑い, ステロイドパルス療法を施行し軽快した. その後, 成分が柴朴湯と近似した煎じ薬を3日間服用したところ, 再び発熱・呼吸困難が出現し, 胸部X線写真上も両肺野にすりガラス様陰影を認めた. 再びステロイドパルス療法を施行し軽快した. 薬剤によるリンパ球刺激試験および皮膚貼布試験では, 柴朴湯に対して陽性を示し, 経過とあわせ, 柴朴湯による薬剤性肺臓炎と診断した.
著者
樫山 鉄矢 戸島 洋一 溝尾 朗 今橋 正令 安田 順一 藤田 明 渡辺 明 鈴木 光 木村 仁
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.1175-1179, 1992-06-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
7

症例は84歳の女性. 背部痛で発症. 頚部のリンパ節腫大と, 胸部X線写真上両側肺野に多発する腫瘤様陰影を認めた. 経皮肺生検では壊死が強く, 特異的な所見が得られなかったが, 気管前のリンパ節生検にて diffuse large cell lymphoma と診断された. 脳梗塞による全身状態の悪化のため化学療法等の治療を行えなかったにもかかわらず, 左頚部のリンパ節および肺内の病変の大部分は自然に退縮した. 患者は後に, 汎発性腹膜炎のため死亡. 剖検では, 悪性リンパ腫の全身諸臓器への播種を認めた. 大部分の肺内の病変は瘢痕化していたが, 壊死組織の中に腫瘍細胞の残存が認められた. 小腸粘膜の腫瘍が壊死に陥り, 穿孔していた. 入院後の全経過は約6ヵ月であった. diffuse large cell lymphoma の自然退縮はまれであり, 若干の考察を加えて報告した.
著者
岡村 明治
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.325-346, 1973-06-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
67

Fourty autopsy cases of malignant tumors treated with Bleomycin were studied histopathologically on the serious side effects of the lung, and the following conclusions were obtained:1) Pulmonary changes induced by Bleomycin treatment were observed in 29 (75.5%) among 40 autopsy cases including the case of slight changes, and Bleomycin pneumonitis showing moderate degree worthy of it's name was found in 21 cases (52.5%), and pulmonary fibrosis in 14 cases (35%). There were 15 cases (37.5%) died mainly of this pneumonitis.2) From macroscopical findings, Bleomycin pneumonitis was classified into three types; 1) diffuse type, 2) nodular type and 3) peripheral type. Among them, the diffuse type was the cases which were treated by the largest amount of the dosage, and the nodular type was given the smallest amount.3) Histological features of Bleomycin pneumonitis was interstitial pneumonitis involving alveoli, alveolar duct and bronchioli; at first edema appeared in alveolar walls and spaces with desquamation and bizarre change of proliferated alveolar lining cells. Hyaline membranes and large mononuclear cells were also seen in alveolar spaces. And then, these exudates and proliferated cells fell into degeneration and necrosis, and they rapidly changed into organization tissue in alveolar spaces. Finally, characteristics of this pneumonitis were the intraalveolar loose fibrosis mainly composed of reticular fibers and marked proliferation and squamous metaplasia of epithelia in many respiratory bronchioli and in allied alveolar sacs which occasionally resembled to squamous cell carcinoma.4) Pulmonary changes induced by Bleomycin are chemical pneumonitis, i. e. Bleomycin damages directly the alveolar walls involving alveolar lining cells and bronchiolar epithelia through blood vessels, and gives rise to serous exudation and regeneration, proliferation as well as bizarre change of alveolar lining cells, leading lastly to pulmonary fibrosis. On that occasion, Bleomycin pneumonitis has a tendency to occur in the aged men over than 55-60 years old, and it was produced by a very small amout of dosage with intrapleural administration. Careful application is needed as intramuscular injection of the drug produces the pneumonitis more easy than intravenous injection.5) Histological differentiation between Bleomycin-pneumonitis and allied interstitial pneumonitides were described.
著者
小林 義昭 長谷川 隆志 佐藤 誠 鈴木 栄一 荒川 正昭
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.810-815, 1996-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
17

症例は47歳の女性. 平成2 (1990) 年から慢性肝疾患の診断で某院に通院していた. 平成5年4月に肝硬変と診断され, 中国産漢方薬「片仔廣」の内服を開始したところ, 5月頃より湿性咳嗽が出現, 増悪したため, 7月当科に入院した. 両背下部に fine crackle を聴取し, 胸部X線写真で両下肺野に網状影を認めた. 血液ガス分析ではA-aDO2の軽度開大がみられ, 呼吸機能検査では拘束性障害と拡散能の低下を認めた. 薬剤性肺炎を疑って, 片仔廣を中止して無治療で経過観察したところ, 自覚症状, 画像所見, 呼吸機能のいずれも改善した. また, 白血球遊走阻止試験では, 片仔廣による遅延型過敏反応が認められた. 以上の結果から, 片仔廣による薬剤性肺炎と診断した. 本症例は, 本邦における片仔廣による薬剤性肺炎の第1例と思われる.
著者
濱田 泰伸 坂谷 光則 上田 英之助
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.771-777, 1996-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

KL-6は間質性肺炎の血清中, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中において高値を示すことが報告されている. 今回各種の間質性肺炎において血清中, BALF中のKL-6の測定を行い, BALF中の細胞数および呼吸機能検査など臨床的パラメーターと比較しその有用性について検討した. 間質性肺炎患者の血清中KL-6値は高率に高値を示し, BALF中のリンパ球数と有意の正相関を認めた. さらに, 経過を追って血清KL-6を測定しえた間質性肺炎患者において, KL-6の変動はその臨床経過をよく反映していた. 一方, BALF中KL-6値も間質性肺炎患者で高値を示し, BALF中の総細胞数, リンパ球数, 好中球数および好酸球数と有意の正相関を認めた. 血清中, BALF中KL-6値は%VC, %DLCO, %DLCO/VAとの間にそれぞれ有意の負の相関を示した. KL-6は各種の間質性肺炎患者において, 胞隔炎の程度と呼吸機能の状態を反映するマーカーであり, 疾患活動性の有用な指標であると思われた.
著者
北条 聡子 藤田 次郎 大林 由佳 大西 隆行 山地 康文 岡田 宏基 高原 二郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1259-1264, 1997-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

日本人とドイツ系アメリカ人との混血であり, かつ双生児の姉妹に発症した嚢胞性線維症を経験した. 1例は胎便イレウスにて発症し, もう1例は6歳時にアスペルギルス肺炎で発症した. 2例とも消化酵素, ビタミン剤, 周期的な抗生物質での治療, 最近では体内留置力テーテルによる在宅の抗生物質静注療法, およびDNase吸入療法にて23歳の現在も比較的良好な経過をたどっている. 19歳時 cystic fibrosis transmembrane conductance regulator (CFTR) 遺伝子異常のスクリーニングをうけ, ΔF508変異を指摘された. 今回この症例と母親の遺伝子解析の結果, 新たにCFTR遺伝子の exon 7 (R347H) と exon 16 (D979A) の missense mutation が明らかになった. 長期生存に加え, 遺伝子学的な検討を行った興味深い症例と考えられたのでここに報告する.
著者
水上 陽真 渡辺 弘之 五十嵐 隆夫 村上 巧啓 佐々 学 河合 幸一郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.287-291, 1986-03-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
7

19歳の女性銀行員にみられたユスリカ喘息の一例を報告した. 患者は富山県東部の黒部川河口付近の純農村地帯に居住している. 耕地は殆んど水田であるが, 同地では毎年, 決って6月中旬にユスリカの成虫が群飛する. 患者は3年前より同時期にユスリカ成虫が眼に入り, 著明な眼険浮腫, 結膜充血をきたすエピソードを数回経験していた. 1985年6月17日, ジョギング中, 空中を飛んでいる虫の一群の中を走りぬけた際, その虫を気管内に吸いこみ, 約30分後, 著明な呼吸困難, 喘鳴, チャノーゼを呈して救急入院した. 入院後, 気管支拡張剤, 副腎皮質ホルモンの投与にて症状は改善した. この場所に群飛していた虫は Tanytarsus oyamai オウヤマチビユスリカと同定された. 同ユスリカより抗原液を作製し, 皮膚テスト, RAST, 吸入誘発試験を施行した. これらのアレルギー学的検査はいずれも陽性であり, ユスリカを抗原とする気管支喘息であることが確認された.
著者
篠崎 史郎 松沢 幸範 須沢 和美 山口 伸二 岡田 和義 早野 敏英 吉川 佐知子 藤本 佳作 小林 俊夫 関口 守衛
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.1034-1039, 1993-08-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14
被引用文献数
1

症例は37歳の男性. 昼間の傾眠および家人に睡眠時呼吸停止を指摘され, 精査目的で入院した. 終夜睡眠ポリグラフの結果無呼吸指数 (Apnea Index, AI) は57.5と高値を示し, 混合型と閉塞型無呼吸が優位の上部気道閉塞型の睡眠時無呼吸症候群 (SAS) と診断された. 背臥位と側臥位における体位別の検討を行った結果, AIは背臥位82.4に比べ, 側臥位では5.9と著明に低く, 無呼吸時間, SaO2の最低値, 睡眠の質はいずれも側臥位で著明に改善していた. 7kgの減量後の終夜ポリグラフの再検の結果, AIは33.2と著明な改善を示した. しかし体位別には背臥位77.3側臥位3.8とそれぞれ軽度の改善にとどまっており, AIのみかけ上の改善は側臥位睡眠時間が相対的に増加したための結果と考えられた. 上部気道閉塞型のSASには, その診断および治療効果判定に, 睡眠体位を考慮すべき症例が存在すること, また側臥位睡眠そのものが治療の一つになり得る可能性を示す重要な症例と考えられる.
著者
木村 郁郎 坪田 輝彦 上田 暢夫 多田 慎也 吉本 静雄 十川 重次郎 白石 高昌 玉木 俊雄 植野 克巳 藤田 豊明 今城 健二 入江 正一郎 難波 次郎 福田 俊一
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.1074-1081, 1989-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
9

びまん性汎細気管支炎 (DPB), 特発性間質性肺炎 (IIP) の中にATLを発症ないし抗ATLA抗体陽性を示すもののあることを見いだしたが, ATLの側からみればその肺病変の中に肺炎とか腫瘍細胞浸潤以外に細気管支肺胞領域に特異的な病態像を形成するものがあり, この病態をHTLV-I関連細気管支・肺胞異常症, HTLV-I associated bronchiolo-alveolar disorder (HABA) と称した. そして, これまでに見いだした細気管支型5例及び肺胞型1例の計6例の臨床的特徴について述べた. 本病態はHTLV-I感染後長年の間に形成されるものと考えられるが, DPB, IIPの成因についての示唆を与えるものと思われる.
著者
中川 晃 山口 哲生 高尾 匡 天野 裕子
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.12, pp.1361-1366, 1995-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

当院における小柴胡湯・インターフェロン-αによる薬剤性肺臓炎の症例は5例であった. 全例基礎疾患にC型慢性肝炎またはC型肝硬変を有していた. 使用薬剤はインターフェロン-α単剤1例, 小柴胡湯単剤2例, 両者の併用2例であった. このうち3例では気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中のリンパ球増多を認めた. インターフェロン-α単剤による1例では, BALF中の好中球増多を認めた. 薬剤によるリンパ球刺激試験 (DLST) は末梢血で4例, BALFで3例施行し全例で陽性であった. 当院の慢性肝炎・肝硬変患者における, 小柴胡湯・インターフェロン-αによる薬剤性肺臓炎の発症頻度を調査したところ, インターフェロン-α単剤投与群では0.5%, 小柴胡湯単剤投与群では0.7%, 両者の併用投与群では4.0%であった. 小柴胡湯とインターフェロン-αとの併用により, 薬剤性肺臓炎の発症頻度が高まる傾向が認められた.
著者
井上 修平 鈴村 雄治 高橋 憲太郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.861-866, 1994-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
10

48歳, 男性に発症した間質性肺炎を経験した. 給湯用の銅管溶接作業に従事し, 約7時間の作業終了前頃より悪寒, 発熱がみられ, 呼吸困難となり紹介入院となった. 胸部X線写真で両肺野のスリガラス様陰影があり, 動脈血ガスは PO2 34.5Torr, PCO2 29.4Torr と著明な低酸素血症を示していた. 経気管支肺生検では胞隔へのリンパ球浸潤や線維化がみられ, 肉芽腫性肺臓炎の所見を呈した. 症状および胸部X線異常陰影はステロイド剤の投与で軽快した. この間質性肺炎の原因として銅管溶接時に使用した銀ろうに含まれるカドミウムフュームが考えられた. 本論文で自験例を掲示し, 若干の文献的考察を加えて報告した.