著者
加部 精一
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.341-352, 1967-03
著者
野田 実香
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.1570-1575, 2006-09-15

眼窩脂肪脱orbital fat prolapse(眼窩脂肪ヘルニアherniated orbital fatともいう)は,眼瞼皮下と結膜下に生じ得る。筋円錐外の脂肪織が眼窩隔膜の脆弱部から皮下にヘルニアを起こすと眼窩脂肪脱として認められ,筋円錐内の脂肪織がテノン囊の脆弱部から結膜下にヘルニアを起こすと結膜下脂肪脱として認められると考えられている1~3)。強膜の前に脱出した結膜下の脂肪は,CTなどの画像検査で筋円錐内の脂肪織と連続していることが確認されている1,3)。 結膜下脂肪脱の原因は主に加齢であるが,ほかに外傷,テノン囊下への注射4)が原因になることがある。鑑別診断として,脂肪腫,涙腺脱,リンパ腫が挙げられる。
著者
林 正雄 青木 繁 石川 哲
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.815-817, 1979-06-15

緒 言 糖尿病患者の瞳孔異常については,現在まで幾つかの報告がなされている。近年における代表的なものを表1に示すが,いずれも網膜症との因果関係について詳しく研究された報告は無い。著者らの一人林は,2年前に双眼電子瞳孔計を利用して,糖尿病患者における瞳孔のメタコリン感受性が正常者コントロールにくらべて,有意に高いことを報告し,さらにそのメタコリン反応は網膜症の重症度にある程度,相関することを示した。 今回は,あらたに交感神経系剤について同様の検討を行なうとともに,副交感・交感神経系各種薬剤点眼時における対光反応因子と網膜症との因果関係について検討し,若干の知見を得たので報告する。
著者
中泉 行弘 林 尋子 安部 郁子
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.94-98, 2010-01-15

清朝,乾隆年間に武英殿が刊行した『医宗金鑑』は最後の漢方医学全書といわれた書である。清朝の盛時に大学士鄂爾泰らが高宗の勅命を受け,国家的規模で編成した近世中国医学の代表的医書である。総計90巻のこの医学書を実際に纏め上げたのは医官の呉謙らで,医家の実用を主旨として編集され,最初に『傷寒論』『金匱要略』という基本書をおき,後に図,説,歌訣でわかりやすく解説している。 その明解さは『四庫全書提要』において評価され,「学者をして考究し易く,誦習に便ならしめてある」と書かれている。こうした実用書が望まれた背景には,「聖済総録や和剤局方などの官選医書もただ博いだけで要は少なく,或は偏して中を失い実際の治療に裨益するものではない」ということがあったためで,日常の臨床の際に役立てることを考えれば,単に網羅してある医書では扱いに手間取るため,わかりやすく覚えやすい医学書が望まれていたのであろう。
著者
川野 晃嗣
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.76-77, 1993-10-30

斜切開について 超音波乳化吸引術および6mm光学部直径眼内レンズ移植の際に強角膜切開の中心を1時半ないし10時半に置いて12時経線を切開しないでおくと(斜切開すなわち後述のベント切開),術後早期から角膜乱視の変化が少なく長期に安定している(図1)。これはこの切開部位が,外眼器(眼瞼,外眼筋)の影響を受けにくいために創傷治癒が起こりやすいことで説明される。 一般に眼球外の病的組織や器官,あるいは外眼手術が角膜乱視と関連をもつことについては過去に多くの報告がある。古くは霰粒腫が一過性に角膜乱視をひき起こすという報告があり,また眼瞼いちご状血管腫が眼球を圧迫することによって,その圧迫方向に角膜乱視強主経線が形成される報告,また先天性眼瞼下垂による角膜乱視が原因で屈折性弱視をひき起こすという報告,さらに眼瞼下垂の手術法によっては角膜乱視が減少したり増強するとした報告など,またさらには斜視手術後の一過性角膜乱視変化の報告などである。
著者
金児 由美 保谷 卓男 海平 淳青 吉村 長久 福嶋 義光
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1106-1108, 1997-06-15

(26C2-3) 異常な顔貌,心雑音,股関節脱臼,体重増加不良などで染色体異常が証明された生後3か月の女児が眼科に紹介された。前額部の隆起青後頭部扁平,球状鼻,耳介低位付着,小口症があり,生後1年の時点で,全身に発達遅延と肺動脈弁狭窄,両眼に眼瞼下垂,眼瞼狭小,眼球上転障害,小眼球,小角膜,虹彩低色素,片眼の虹彩角膜癒着などがあった。G染色法による染色体分析で,核型は[46,XX,6q+]であり,6p21を切断点とする6pトリソミーであった。本症としては眼所見が多彩であった。
著者
筑田 真 宮倉 幹夫 田中 寧 小原 喜隆
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.979-981, 1991-06-15

両眼の老人性白内障と左眼の黄斑部網膜上膜形成による視力低下および変視症を訴える症例に対して,右眼に白内障手術,左眼に白内障手術と同時に硝子体手術を施行した。左眼白内障は硝子体手術が可能な程度の後嚢混濁であったが,黄斑機能の改善を言的に早期に網膜増殖膜の除去と白内障手術を行った。その結果,網膜機能の回復は順調で,視力は改善し,変視症も消失した。また,両眼視機能も良好となった。高齢者の増加に伴って白内障と黄斑病変を有する症例に遭遇することが多くなる。黄斑上膜の手術予後は良好なことから,白内障との同時手術は視機能の回復のために試みる方法と考える。
著者
髙田 幸尚 白井 久美 岡田 由香 雑賀 司珠也
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.515-520, 2013-04-15

要約 目的:白内障手術を受けた網膜色素変性患者の術前の期待や術後の感想の調査報告。対象と方法:過去5年間に両眼に白内障手術が行われた網膜色素変性患者7例を対象とした。男性3例,女性4例で,年齢は39~71歳である。手術に至る経緯と動機,術後の視機能や感想につき,手術から平均2年後にアンケートで調査した。客観的な視機能は診療録などで調べた。視力はlogMARで評価した。結果:平均矯正視力は術前1.25±0.71,術後1.11±0.85であった。5例が眼科医に手術を勧められた。全例が術後の視機能の改善を期待し,5例で視機能が改善した。手術を後悔している症例はなかった。結論:網膜色素変性患者での白内障手術では,高い満足度が得られた。術前に詳細な説明をすることで,満足度がより高くなることが期待される。
著者
徳川 英樹 切通 洋 山本 修士
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.801-803, 2006-05-15

目的:網膜色素変性症患者に施行した白内障手術の結果と問題点の解析。症例:過去3年間に白内障手術を行った16眼22例を対象とした。年齢は40~82歳(平均61歳)で,ゴールドマン視野検査でⅠ-2イソプターに対する損失率は98%であった。視力は平均0.148であった。全例に水晶体超音波乳化吸引術と眼内レンズレンズ挿入術を行った。結果:手術3か月後の視力は平均0.426で,有意に改善した(p=0.0097)。手術前後で視野に有意な変化はなかった。結論:網膜色素変性症患者に対する白内障手術で視力が改善し,生活の質(QOL)が向上した。
著者
古嶋 正俊 今泉 雅資 中塚 和夫
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.835-838, 1994-05-15

若年性糖尿病患者の糖負荷試験で,調節麻痺眼にも近視化と眼圧降下が生じる。こうした屈折調節系の変化が高血糖に基づくものか否かを明らかにする目的で,調節麻痺剤点眼処置をした若年健常人5名に経口糖負荷を行い,血液生化学と屈折調節系の変化を調べた。糖負荷により,血糖値と血漿浸透圧が上昇し,眼圧の降下,屈折度の近視化,浅前房化,水晶体の肥厚が生じた。近視化の程度は,調節麻痺による残余調節力以上の変化を示した。負荷後の血糖値正常化に伴い,眼圧は正常化し,近視化も改善した。以上の結果から,高血糖に伴う近視化は,眼圧降下によって生じたチン小帯張力の減少が誘発した水晶体肥厚に基づくと推論された。遠視化は血糖正常化に伴う近視化の改善によると考えられた。
著者
川添 裕子 高原 真理子 望月 學
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.525-528, 2006-04-15

34歳男性が前日からの急激な近視化を主訴として受診した。裸眼視力は従来は左右とも1.5であったという。初診時には右眼に-3.5D,左眼に-3.0Dの近視があった。軽度の毛様充血と浅前房があったが,明らかな虹彩炎の所見はなかった。蛍光眼底造影で斑状の色素漏出,髄液に細胞増多があり,原田病と診断した。メチルプレドニゾロンによるパルス療法とプレドニゾロンの内服で多発性滲出性網膜剝離は軽快し,右眼+1.0D,左眼+0.5Dの遠視になった。この症例は,原田病が急性近視で初発する可能性があることを示している。
著者
加藤 研一 井戸 稚子 岩崎 義弘 松村 美代 後藤 保郎 新井 三樹
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.1859-1861, 1989-11-15

生後15日で当科初診となった片眼性第一次硝子体過形成遺残の症例に対し,視機能保持の目的で硝子体手術を行った。初診時,前眼部に異常を認めず,水晶体は透明でその後方の硝子体腔に白色組織塊がみられた。眼底後極部は透見不能で,超音波検査で高エコーレベルの組織塊が,水晶体後方より漏斗型を呈しつつ視神経乳頭へ連なる像を認めた。術前flash VEP検査において左右差をみなかった。生後22日目にpars planavitrectomyが施行された。術中,白色組織塊は水晶体,網膜と癒着していなかったが,視神経乳頭とは索状物でつながっていた。透見可能となった眼底に異常所見はみなかった。現在術後170日経過しているが,合併症はみていない。 今回,我々の経験した症例は,透明な水晶体を保存できたこと,生後早期に手術により視軸の透明性が得られたことより視性刺激遮断弱視の発生予防に関して有利であると考えられ,良い視機能が期待される。
著者
吉沢 利一 茂垣 貴弘 渡辺 達磨 船崎 貴美子 溜 友香 緒方 裕治 太根 節直
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.1186-1192, 1995-06-15

23歳のステロイド緑内障の症例に,急激な眼圧上昇と弱主経線屈折力にして-5.5Dの片眼性の急性近視が生じた。水晶体厚の有意な増大と浅前房及び硝子体長の延長には,ピロカルピン点眼,D—マンニトールおよびメタゾラミド投与の影響が考えられた。眼圧上昇の著明な右眼に,角膜曲率半径の減少と眼軸長・硝子体長の延長があった。右眼に対する線維柱帯切除術とD—マンニトールおよびメタゾラミドの中止後,眼圧低下とともに近視は約4か月で-0.75Dに回復し,角膜曲率半径は有意に減少した。本症例は抗緑内障薬による近視化に加え,急激に眼圧が上昇した片眼に角膜突出と眼軸長の延長が生じた一過性近視が特徴であった。
著者
安部 勝人
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.1149-1151, 1977-09-15

動物の視力に重要な影響を及ぼすのは,視軸の発散と脈絡膜と網膜の構造である。 脈絡膜の境界層は家畜(豚兎を除く)にはなくこの部分の血管板と毛細管板の間で乳頭より上方部位によく輝くTapetum Lucidumという一種の反射層がある。このタペタムは動物によりその組織が異なつている。馬,牛,羊など草食獣は線維性であり,犬,猫など肉食獣は細胞性で強い反射力をもつ。タペタムの作用は弱光が眼に入る時,タペタムで反射され視細胞を再度刺激することである。当然ながら,絶対暗室ではその作用は役立たない。タペタムのある部位では網膜の色素上皮層は色素を欠き,タペタムの作用をたすける。猫のタペタムは写真の黄色フィルターと同じような作用をしていて,コントラストをさらに強める働きをする。猫は弱光中でも注視した物体の輪郭がはつきりみえる。その反面,日中の強力な光線は猫にとつては異常にまぶしく,夜間に強力な光が急に眼に入るとタペタム反射が強いため,一時的に失明状態となる。夜間動物の眼に光をあてると青く,赤く,時にオレンジ色に輝いて見えるのはタペタムの色素によるものである。
著者
中泉 行弘 林 尋子 安部 郁子
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.1638-1642, 2014-11-15

『世医得効方』は元代の医学者,危亦林(1277〜1347)が著した医方書である。危亦林は南豊(現在の江西省)の生まれ,字を達斎という。内科,婦人科,小児科,眼科のほか,骨折や脱臼の治療にも通じていたと伝えられ,現在の外科学や歯科の知識も持っていたようである。その序は1337年に書かれているが,古来の医方があまりに多く「一証而百方具」というありさまであるので,これを『聖済総録』の分類に倣って13科に分け,5代にわたって伝えられてきた秘方を加えてこの本をまとめたと書かれている。 序文が書かれてから8年ほど後,江西医学太医院の審査を経て至正5年(1345)『世医得効方』は刊行された。自身も医学教授を務めていたといわれ,代々続く医師の家の人物が,わが家に伝わる秘方と文献とを駆使して,後学のためにわかりやすい医書を編纂しようと思い立ったというところであろうか。
著者
石橋 康久
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.174-175, 1991-10-30

1.診断にあたって注意する点 角結膜の薬物腐蝕は労働災害と関係することが多く,化学腐触(chemical burns)とも呼ばれる。化学薬品が眼に飛入した事実と角膜所見とから診断は容易である。酸性の薬物とアルカリ性の薬物とによる場合があるが飛入した薬物の性状と角結膜と接触していた時間とで障害の程度が変わってくる。 酸としては塩酸,硫酸,硝酸などの実験用薬剤が多い。アルカリとしては苛性ソーダ,苛性カリ,石灰,セメント,アンモニアなどである。