著者
一條 裕之 中村 友也 竹内 勇一 川口 将史
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.343-351, 2016-12-25 (Released:2017-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
3

本研究は肉眼解剖学実習を活用して, 能動的学修 (active learning: AL) を行うことができることを示す. 実習の全ての内容を問題探求の題材としたAL (解剖学セミナー) を実習後に行った. 解剖学セミナーは講義, グループ討議, リソースアワーと発表会から構成されている. 学生の75.1%が解剖学実習を活用したALを「非常に学修を進めやすい」または「学修を進めやすい」と評価し, 実習を活用したALが有用であることを示した. 解剖学実習を活用したALは解剖学教育を補うばかりでなく, 他の基礎医学科目や臓器別の臨床医学教育科目に向けた導入となり, 水平型および垂直型の統合教育の機会を提供する.
著者
服部 良信 水野 美穂子 野々垣 浩二 小鹿 幸生 西尾 昌之 藤中 憲二 小西 靖彦 村岡 亮
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.298-299, 2014-08-25 (Released:2016-05-16)

優れた臨床研修指導医の養成が必要で,指導医は臨床研修指導医講習会(講習会)の受講が必須である.平成25年6月の臨床研修運営委員会(委員会)で開催提案し,7月の委員会で否定された.理事長・病院長の指示で,9月の委員会で指導医のレベルの向上等を目的とした大同病院のスタッフ単独での開催を決定した.タスクホースは,チーフと院外講師を除き院内から選出し,予行会を3回,総合リハーサルを1回施行した.他の事務の協力を得て,平成26年2月に大同病院の第1回講習会を実施した. 単独開催により,臨床研修に対する意識改革ができ,受講者・タスク・事務方のレベルアップおよび良い人間関係の構築ができ,一体感が得られた.
著者
久保 沙織
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.215-220, 2022-06-25 (Released:2022-11-04)
参考文献数
9

教育測定学の専門家としての立場から, 現状の医師国家試験の問題点を明確にした上で, item response theory (IRT) に基づくcomputer-based testing (CBT) 導入の利点と課題について検討した. CBTにより, 多様な問題形式を利用することで, 構成概念の代表性という側面から測定の妥当性向上に貢献することが期待できる. さらに, IRTの枠組みで等化された項目プールを用いてテストを運用することにより, 難易度や測定精度を制御して一定の質を満たす問題セットを継続的に作成し, 実施日程や会場, 受験者集団が異なる場合でも, 共通尺度上のスコアとして表現することが可能となる. 一方で, 事前の綿密なテスト計画と, 大規模な項目プールの構築・維持が最大の課題となる.
著者
西城 卓也 堀田 亮 藤江 里衣子 下井 俊典 清水 郁夫 川上 ちひろ
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.23-28, 2022-02-25 (Released:2022-06-19)
参考文献数
20
被引用文献数
1

困難な状況にある学習者の支援は難しい. 効果的に支援することは病院・大学等の医育機関の責務の1つである. 従来は, とかく学習者に焦点が当たるバイアスがあり精神論で説得されがちであった. しかし教育現場で困難な状況にある学習者が生まれる要因には, 実は学習者の他, 教育者, 環境も挙げられる. さらに各要素を分析する際にも, 教育学・心理学・文化等からのアプローチがある. 今後は, まず, 支援者一人で複数の視点を持つことを提案したい. しかし支援者にはおかれた文脈があり, 多面的に見ることには限界がある. したがって複数の立場の, 複数の支援者が, 複数の視点をもちより, 大局的視座が担保された支援体制が医育機関には期待される.
著者
吉田 絵理子 金久保 祐介 久保田 希 坂井 雄貴 山下 洋充
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.35-40, 2023-02-25 (Released:2023-03-16)
参考文献数
6

一般社団法人にじいろドクターズでは, 卒後3年目以上の医師を対象に, 所属機関で何らかの実践を目指すことを目標とし, 6カ月間のLGBTQに関するヘルスケア学習コースを提供したので報告する. 反転学習として, 学習テーマに沿った映画や書籍にて事前学習を行い, 集合型研修では講義だけでなくLGBTQ当事者との対話や, 当事者が模擬患者役を演じるロールプレイを行い, 毎回スモール・グループでの振り返りを行った.
著者
丹治 史也 南部 泰士 柿崎 真沙子 嶋谷 圭一 西本 大策 黒澤 昌洋
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.69-79, 2023-02-25 (Released:2023-03-16)
参考文献数
22

背景 : 看護系大学のIR活動・業務の実態, IR組織の担当項目と他の看護系大学と比較したい項目の差を検討した. 方法 : 看護系大学48校・424名を調査対象とした. 結果 : 回答者116名のうち51名 (44.0%) が「IRの名称・役割ともに知っている」, 82名 (70.7%) が「IR組織がある」に該当した. IR組織の担当項目と比較したい項目ともに教学関連が多く, 入学志願者・卒業生調査では比較したい項目での割合が高かった (p<0.05). 考察 : 看護系大学ではIR組織の設置が先行し認知度が低く, また現状の分析項目と他大学と比較したい項目にはギャップがあるため, 各大学でIRの共通理解を図ることが課題である.

1 0 0 0 OA 積極的傾聴法

著者
楡木 満生
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.341-346, 1989-10-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10
被引用文献数
2
著者
朝比奈 真由美
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.151-155, 2021-04-25 (Released:2021-11-14)
参考文献数
6
被引用文献数
1

医療専門職教育では, 医療面接, 臨床手技, 臨床見学, 臨床実習など体験学習を方略とするものが多い. 体験学習は「体験と振り返りを通した能力の更新」プロセスであり, 体験を振り返る (リフレクション) ことによりその意味や価値, 実践能力を経験知にしていく生涯学習に必須の作業である. そこに他者の視点からの情報を追加し, 振り返りを深めるのがフィードバックである. 効果的なフィードバックを行うためには指導者と学習者の双方のフィードバックリテラシーの向上が必要である. 今回は学習者のフィードバックリテラシー向上のための方略と模擬患者のフィードバックリテラシー・トレーニングの実践例を提示したい.
著者
錦織 宏
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.133-135, 2015-04-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
15
被引用文献数
5

1999年にHardenがBest Evidence Medical Education (BEME) を提唱して以後, 主に英語圏から発信される医学教育研究の結果を科学的根拠として医学教育の諸問題について議論する潮流は強まってきている. 一方で, 文化や制度を考慮せずに医学教育, 特にプロフェッショナリズムのようなテーマについて論じると, しばしばその本質を見失う. 本稿では, 日本人医師のプロフェッショナリズムについて, 武士道をそのモデルとした論を紹介する. 本論が我が国における医師のプロフェッショナリズム教育の議論の土台となることを期待する.
著者
田川 まさみ 西城 卓也 錦織 宏
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.25-35, 2014-02-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
53
被引用文献数
4

医学教育におけるカリキュラム開発の背景と基本事項を概論する. カリキュラムは学習者,指導者,管理者が学習・教育を遂行するためのガイドとなる情報である.学習者中心の教育とアウトカム基盤型教育を基本的理念とし,グローバル,国内,地域のニーズ,状況に基づいて教育プログラムの包括的な目的を決定し,期待されるアウトカム,学習方略,学習者評価を計画し,教育評価と改善のための体制も整備する.モジュール,統合,スパイラルカリキュラム,実践の場での学習は専門職の能力を修得する為に効果的である.学習者もカリキュラム開発に参画する.教育の成果,質の社会への公表は医学教育の説明責任を果たし,医師の質保証につながる.
著者
平山 陽示 大磯 義一郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.140-144, 2021-04-25 (Released:2021-11-14)
参考文献数
5
被引用文献数
1

医療倫理は生命倫理の一分野であり, その中に研究倫理と臨床倫理がある. 医療倫理学自体は学説や原理に基づいて, 普遍妥当的あるいは一般的な価値判断を示すのに対し, 臨床倫理学はそのケースに合った暫定的蓋然的価値判断を示すケーススタディであり, 応用倫理である. 一方, 研究倫理については「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」や「臨床研究法」が制定されている. 「医療法学」は, 古くから医学部教育の中に存在していたが, 「その他諸規則」扱いにとどまっていた. 近年の社会情勢の変化を受け, 独立した領域として適切な専門家による教育がなされるべきとの要請の下, 「医療法学」としてモデル・コア・カリキュラムに示されることとなった. 現在, 「医療の法化」が過度に進んでおり, 医療現場に弊害が生じている. 「医療法学」教育においても, プロフェッショナル・オートノミーが重要である.
著者
橋本 忠幸 小杉 俊介 金澤 剛志 徳増 一樹 木戸 敏喜
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.157-162, 2022-04-25 (Released:2022-09-07)
参考文献数
15

医学教育者の次世代育成が強調される一方で, 比較的若い世代の医師が, 多忙な臨床業務の合間に日頃から医学教育学の知見を深める場を得ることは難しい. 生涯学習の方略としてジャーナルクラブがあるが, 質の担保されたジャーナルクラブ運営・維持することは困難である. 我々は, 全国の異なる機関に所属する卒後9~12年目の勤務医で医学教育オンラインジャーナルクラブを立ち上げた. 対面でも継続的な実施が難しいと言われる中, 我々はオンラインで1年間に40回以上開催し, 多様なテーマの論文を用い, 継続できた. なぜそのような実践が可能であったのかをsocial congruence theoryと自己決定理論とを引用し考察した.
著者
角南 なおみ
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.203-207, 2021-06-25 (Released:2021-07-22)
参考文献数
10

背景 : 2020年のCOVID-19発生を受け, 本学医学部1年次生のコミュニケーション授業の対面と実習が中止となった. 方法 : 授業内容を刷新し, Keynote, Slack, Power Point, Zoom等を使用した授業プロジェクトを有志学生とともに立ち上げた. 結果 : 新入生に対し, "正解のない問いを探求する" "学生をつなぐ" というテーマのもとICTを使用して実践された. 考察 : 新たなコミュニケーション授業におけるICT活用は, 1) 新入生同士をつなぎ, 2) チーム課題を通して関係構築の場を提供し, 3) チャット機能による参加者全体の双方向的交流に役立った. これらの実現には, 学生のフィードバックと協力が重要であった.
著者
金沢 彰
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.11-12, 1973-02-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4