著者
栃木 謙一 野村 朋宏 長谷川 達也 森下 充史
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.801-806, 2013 (Released:2014-10-01)
参考文献数
4

各務原大橋は,一級河川木曽川を渡る橋長594mのPC10径間連続フィンバック橋であり,移動架設桁を用いた張出し架設工法により橋梁上部工の施工が行われた。本工事においては,高粘性のコンクリート(設計基準強度50N/mm2早強ポルトランドセメントを使用)を長距離圧送する必要があり,圧送時に流動性の低下が生じた場合,充填性に大きな影響を与えることが懸念された。また,単位セメント量が多くなるため,温度応力による有害なひび割れの発生が懸念された。本稿では,これらの課題に対する検討と対策およびコンクリートの施工状況について報告する。
著者
青山 博之
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.5-16, 1992-09-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
35
被引用文献数
2

アメリカ, 日本, ニュージーランドでの鉄筋コンクリート柱はり接合部の耐震設計方法の不統一に端を発した論争を終結させるための三国協力研究が, 1991年に終了した。この総説は, 柱はり接合部論争を生むに至った三国の研究および設計法開発の経緯を明らかにし, 協力研究の内容を概観し, その結論を各国がそれぞれの国の設計規準にどのように生かそうとしているかについて述べたものである。とくにニュージーランドにおける最近の動きのなかに, 実験式 (経験式) から理念に基づく式 (マクロモデルによる理論化) へという研究動向の転換を感じ取ったものである。
著者
大即 信明 鎌田 敏郎 今本 啓一 長田 光司
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.638-643, 2014 (Released:2015-08-01)
参考文献数
2

日本コンクリート工学会では,コンクリートのひび割れ調査,補修・補強指針-2013-を同指針-2009-の小改訂版として刊行した。この指針は,ひび割れに関心のあるすべての方が,ひび割れ発見から,調査,原因推定,評価,判定,補修・補強を体系化して行える指針である。本稿では同指針の内容を解説する。
著者
田村 雅紀 野口 貴文 友澤 史紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.29-35, 2000-11-01
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

物品の資源循環に関わる動向が盛んである。コンクリートに関しては, 構造物から高品質の再生骨材を回収し, 質の低下を引き起こさないで再び構造用コンクリートに適用する技術等が実証化され, 現在は, それらの運用が経済的に成立するかを市場にて試行する段階にある。<BR>資源循環性の確保には, 設計時にあらかじめ更新レベルを設定することが重要になると考えられるが, 本報告では, 他産業で実績のある分解可能性・社会対応性設計の考え方に基づき, 解体後の更新のあり方を, 材料設計に反映させたリサイクルコンクリートについて, その概要を報告する。具体的には, コンクリート全量がセメントおよび骨材として完全にリサイクルすることを可能とする手法の提案, 完全リサイクルコンクリートを実構造物へ適用した国内初の施工事例について紹介する。
著者
黒田 悌且 今木 甚一郎 石橋 忠良 小林 明夫
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.27-33, 1982

本稿は,沿線火災によって被害が生じた鉄道の鉄筋コンクリートラーメン高架橋の復旧工事について述べたものである。設計の考え方, 復旧に伴って行ったコンクリートの配合試験, 新旧コンクリート及び吹付けコンクリートの一体化試験結果について報告する。
著者
川人 麻紀夫 久保 智彦 大郷 貴之 図司 英明
出版者
Japan Concrete Institute
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.905-910, 2013-11-01

東北本線浦和駅周辺高架化工事では,湘南新宿ライン等の浦和駅停車を目的とした改良工事や乗降場新設がプロジェクトの一環として進められてきた。東北貨物線の改良工事においては,駅部アプローチ区間における既設高架橋の改築や補強工事,さらに乗降場新設においては,営業線供用下で既設高架橋を仮受し,既設高架橋の柱や梁を撤去・改築する工事など,これらの計画,設計ならびに施工は難易度の高いものであった。本稿では,湘南新宿ライン等浦和駅使用開始に向けて行われた既設高架橋の改築,補強ならびに仮受工事について報告する。
著者
加賀 秀治
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.4-12, 1986-09-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9

コンクリートの発展過程をその構成材料の面からとらえるべく, 各材料の変遷について調べた。セメントは生産量の増大とともに種類や品質の改善が加えられたが,骨材は資源の不足から種類が多様化し, 品質の悪化がコンクリートの耐久性低下の一因となった。また, 新たにアルカリ骨材反応などが発生した。一方, コンクリートの品質や施工性を改善するために各種の混和剤が開発され, 現在では不可欠なものとなった。
著者
村松 浩成
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1_37-1_42, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2
著者
天谷 公彦 原 幹夫 吉田 雅穂 阿部 孝弘
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1067-1074, 2014 (Released:2015-12-01)
参考文献数
5

十郷橋は,我が国初のポストテンション方式のPC道路橋で,2013年で建設から60年が経過し,現在も供用中の歴史的な橋梁である。今回,この十郷橋の詳細調査を行い,その健全性を評価した。なお,PC鋼材などの調査は,十郷橋の4カ月後に施工され,同じ材料が使用されている石徹白橋(水害により落橋)にて実施している。調査の結果,コンクリートは緻密で高い強度を有しており,劣化も進行していないことが分かった。さらに,鉄筋・PC鋼材の品質およびグラウトの充填性も確認でき,十郷橋は建設から60年が経過した現在においても健全な状態にあることが明らかになった。