著者
野口 貴文
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.218-226, 2018 (Released:2019-03-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

長崎市からの委託により「供用不可まで劣化破損が進行したコンクリート構造物の補修・補強工法に関する研究委員会」が2015~2016年度に設置された。軍艦島は,2014年に国の史跡指定を受け,2015年に世界文化遺産の構成資産として登録されたため,委員会では,廃墟と化して残存する著しく劣化した鉄筋コンクリート造建築物群の保存方策に関して,技術的・文化財的な観点から様々な検討がなされた。特に,保存優先順位の高い3号棟,16号棟および65号南棟に対しては,具体的な補修方法,補強方法,および補修工事・補強工事の施工方法に関して具体的な検討がなされた。本稿は,それらの概要について取り纏めたものである。
著者
松下 哲郎 平尾 宙 丸山 一平 野口 貴文
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.73, no.623, pp.1-8, 2008-01-30 (Released:2008-10-31)
参考文献数
51
被引用文献数
8 2

In this study, Powder X-ray diffraction (XRD)/Rietveld analysis, which has been utilized in recent years as a technique for quantifying the crystal mineral phase of cement and cement paste, was applied to quantify the reaction rate of cement minerals and the proportions of hydration products. Its accuracy and availability was verified by comparing with the following properties, reaction rate of minerals by internal standard methods of XRD quantitative analysis, rate of heat liberation of cement by conduction calorimeter and amount of combined water of cement paste. Experimental factors were three types of cements, three levels of W/C, three levels of mixing/curing temperatures. The results showed that XRD/Rietveld analysis can quantify the hydration rates and products of cement paste with high accuracy.
著者
松本 悠実 野口 貴文 石橋 亮 高田 遼 高村 正彦 長縄 肇志 木村 智
出版者
日本建築仕上学会
雑誌
日本建築仕上学会 大会学術講演会研究発表論文集 2015年大会学術講演会
巻号頁・発行日
pp.37, 2015 (Released:2016-03-31)

窓サッシへの応用が期待されている塩化ビニル樹脂に促進耐候性試験を行い、紫外線による劣化について検討をした。添加剤条件の異なる4種類の塩ビ樹脂において、色差測定、衝撃試験、引張試験、化学分析を行った。そして、樹脂の劣化に伴う色変化の分析評価、添加する顔料及び耐候助剤の比率と劣化挙動の相関性の評価、またそれぞれの試験と化学分析との関係を評価し、窓サッシ用樹脂の耐久性能の評価と検討をした。性能評価の結果、強度低下よりも色変化の方が著しく、窓サッシとして使用していく際に大きな課題であるといえる。
著者
田村 雅紀 野口 貴文 友澤 史紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.29-35, 2000-11-01
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

物品の資源循環に関わる動向が盛んである。コンクリートに関しては, 構造物から高品質の再生骨材を回収し, 質の低下を引き起こさないで再び構造用コンクリートに適用する技術等が実証化され, 現在は, それらの運用が経済的に成立するかを市場にて試行する段階にある。<BR>資源循環性の確保には, 設計時にあらかじめ更新レベルを設定することが重要になると考えられるが, 本報告では, 他産業で実績のある分解可能性・社会対応性設計の考え方に基づき, 解体後の更新のあり方を, 材料設計に反映させたリサイクルコンクリートについて, その概要を報告する。具体的には, コンクリート全量がセメントおよび骨材として完全にリサイクルすることを可能とする手法の提案, 完全リサイクルコンクリートを実構造物へ適用した国内初の施工事例について紹介する。
著者
桝田 佳寛 野口 貴文 兼松 学
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.11-18, 2005-02-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
6

2004年3月, 日本建築学会「鉄筋コンクリート造建築物の耐久設計施工指針 (案) ・同解説」が発刊された。本指針は, 建築学会の材料施工分野において初めて性能設計に具体的に踏み込み, 今後の材料施工分野の雛型となるべく性能指向型の指針として提案したものである。具体的には, 性能規定としての耐久性能の整理と理論体系の構築を行い, 「性能検証型一般設計法」および「標準仕様選択型設計法」, 「性能検証型特別設計法」の3つの設計ルートから成る耐久設計の枠組みを提案した。また, 構造体および部材の限界状態の設定方法を性能論的な観点からまとめ, 鉄筋, コンクリート, 仕上材など各材料の限界状態との関係から定義した点で意義深い。
著者
友寄 篤 野口 貴文 袖山 研一 東 和朗
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.674-681, 2018-03-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

結晶質などが混入した天然のシラスを乾式比重選別・粉砕した火山ガラス微粉末の1ヶ月間連続製造において、組成や粒度などの変動が少ないことを示した。抽出した4ロットはいずれもシリカフュームのJISの活性度指数の基準値を満たし、材齢28日ではより高置換でさらに強度増進し、流動性についても安定した実験結果が得られた。地域差の大きいシラスに含まれる火山ガラスの広範囲での物性変動の少なさを指摘し、コンクリート用混和材として火山ガラス微粉末が安定製造される可能性を示した。'
著者
堀居 令奈 今本 啓一 兼松 学 萩原 伸治 中島 史郎 吉野 利幸 野口 貴文
出版者
日本建築仕上学会
雑誌
日本建築仕上学会 大会学術講演会研究発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

本研究は,窯業系サイディング住宅外装材の維持管理手法を確立することを目的としたものである。外装材は気温変化,風雨や紫外線など直接的に受ける部材であるが,この外装材の維持管理手法として確立されたものはない。実環境下における挙動を把握し,将来的な劣化予測とモニタリング手法からなる維持管理手法を確立する上で,特に外装材の弱点となる目地の挙動に着目し,温度ムーブメントの低減率等について検討した。
著者
野口 貴文 兼松 学 福山 智子
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.1091-1096, 2016 (Released:2017-11-01)
被引用文献数
1

2016年7月,日本建築学会より「鉄筋コンクリート造建築物の耐久設計施工指針・同解説」の改定版が発刊された。2004年に発行された初版では,鉄筋コンクリート造建築物の耐久設計における性能設計の枠組み・方向性が導入された。本改定では,関連規基準類への整合化,設計劣化外力の見直し,仕上材の有する躯体保護性能とその経年低下の考慮,塩害やアルカリシリカ反応に関する最新技術の取込み,凍害モデルの再構築,品質管理・検査に関わる新手法の紹介,付録における耐久設計例の充実などが行われた。本稿では,2016年改定版の主な改定点を取り上げて解説する。
著者
野口 貴文 小山 明男 田村 雅紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.5-10, 2009-04-01
参考文献数
2
被引用文献数
1

日本建築学会では,環境に配慮したコンクリートおよび鉄筋コンクリート工事のあり方を示すことを目的として,2008年9月に「鉄筋コンクリート造建築物の環境配慮施工指針(案)・同解説」を制定した。本稿は,その概要をまとめたものである。
著者
袖山 研一 友寄 篤 野口 貴文 東 和朗
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.574-581, 2017-08-15 (Released:2017-08-20)
参考文献数
15
被引用文献数
5

“Shirasu” is a whitish sand found in pyroclastic flow deposits that includes a crystal mineral and an amorphous silicate. It has the properties of both a fine aggregate and a mineral admixture owing to its pozzolanic reaction. To utilize Shirasu as industrial resource, separation of the amorphous silicate and the crystal mineral is required. It is shown in this study that dry gravity classification is effective for dividing Shirasu into the crystal mineral and pumice, and can be used to obtain the amorphous silicate. This paper reports fundamental experiments on a high-strength concrete with a pulverized fine Shirasu powder used as a mineral admixture. In particular, fine Shirasu powder comprising the amorphous silicate pulverized to a particle size of 1μm exhibited high performance as mineral admixture equivalent to that of silica fume.
著者
丸山 一平 長井 宏憲 野口 貴文 友澤 史紀
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.823-828, 2000-06-01

本研究は,構造物に要求される性能から材料に求められる性能が定義できるという仮定の元で,要求された性能を満たすコンクリートの調合設計手法を確立することを目的としたコンクリートの要求性能型調合設計に関する基礎的研究である。本研究ではコンクリートに対する多くの要求性能値を同時に満たす調合問題を多目的最適化問題として扱い,遺伝的アルゴリズムを用いて,その解を導出するシステム構築を目指したところ、一定の成果が得られた。