著者
箕田 春香 林 孝雄 中川 真紀
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.79-85, 2004-07-31
参考文献数
23
著者
鈴木 智哉 金井 敬 蝋山 敏之 若林 憲章 江口 秀一郎 江口 甲一郎
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.255-258, 1998-11-30
参考文献数
4

開散麻痺発症後,早期に手術加療を行い良好な予後を得た一例を報告する。<br>症例は34歳男性で落馬事故により頭部を打撲後,開散麻痺をきたし,入院により薬物治療並びにシノプトフォアによる開散トレーニングを約3ヶ月間行った。しかし,主訴である遠方視時の同側性複視は改善されなかった。プリズム眼鏡装用にて複視の消失が得られたが,職業上眼鏡装用が不可能であったため,また患者自身の強い希望もあり,受傷後約3ヶ月の段階で手術加療を施行した。通常,眼球運動神経麻痺では自然治癒の可能性も考慮し,発症後最低6ヶ月間の経過観察を行う。今回われわれは,患者の背景を考慮した結果,受傷後約3ヶ月という早期の段階で手術加療を行い,良好な結果を得た。
著者
川村 緑
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-11, 1986-07-23 (Released:2009-10-29)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2
著者
宗像 恒次
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
no.29, pp.57-63, 2001

患者さん自らの価値観や人生の目的に照らし、本人自身で適切な治療法を選択するよう支援するには健康相談法とは異なるヘルスカウンセリング法が必要となる。患者さんが本当は何をしたいのかに気づき自己決定するには、ミラーリング効果と共感効果をもてる面接法によって、本人の隠れた本当の気持ちや要求に気づけるよう支援することである。また本人が必要とするセルフケア行動を促すには、その行動を妨げる無力感や見放される怖さや罰意識さなど過去のトラウマ感情をもつイメージの存在を気づかせ、そして変容させ、本人の自信の回復するイメージに変換することである。構造化連想法を用いた本ヘルスカウンセリング法はそれらを構造化された方法で簡便にクイックに実現しうるだろう。
著者
原 たみ子 武井 一夫
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.167-171, 2000-11-30
参考文献数
11

第一・第二鰓弓症候群による耳介形成不全を合併した屈折異常弱視、内斜視の4歳女児に対し、弱視治療を目的とした幼児眼鏡支持法を考案した。眼鏡テンプルを市販のシリコン製ヘアバンド(カチューシャ)とマジックテープ付きのストッパーにて固定し、眼鏡装用時の安定性を確保した。その眼鏡のデザインは患児に好まれ、装用後10ヶ月で、視力、中心固視および内斜視は著明な改善を示した。<br>新たに製作された眼鏡の外観は良好で、安価な作製費用で済み、既製の眼鏡装用困難な耳介の形成異常や位置異常、不随意運動を伴う症例にも有用な方法と考えられた。
著者
牧野 恵奈 牧野 弘之 宇都宮 千鶴 名和 良晃
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.141-146, 2007-10-31
参考文献数
19

老視矯正法の一つであるモノビジョン法の視覚への影響を知るために、遠近両用コンタクトレンズ装用者12名に対し優位眼遠見重視モノビジョン法、優位眼近見重視モノビジョン法を行い、立体視機能の測定、患者満足度調査を行い分析した。<br>患者満足度調査におけるアンケートの結果、調査8項目の合計スコアの平均値はモノビジョン優位眼遠見重視法では20.5、モノビジョン優位眼近見重視法では23.0であった。また、スコアのピークはモノビジョン優位眼遠見重視法では20.95、モノビジョン優位眼近見重視法では23.33であった。遠近両用HCL適正モノビジョン法を優位眼近見重視法で行うと患者満足度ポイントが12.2%高い評価が得られその有用性が高いことが分かった。また、優位眼を近見に合わせた場合も満足が得られ、立体視機能は61.7(sec:平均)であった。ただし、今回の2方法のモノビジョン法を行った12名の内91.7%のHCL装用者は、近見重視の生活を送っていた。<br>更に、CSQ-8J(Client Satisfaction Questionnaire)-8J)のα係数は、優位眼遠見重視法においては0.80、優位眼近見重視法においては0.93、CSQ-8Jの信頼性は満足できた。
著者
三柴 恵美子 平塚 英治 小町 裕子 鈴木 賢治 新井田 孝裕
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.233-238, 2010-12-29
参考文献数
8
被引用文献数
1

<B> 目的:</B>ロービジョン者がどのくらい視覚補助具を保有しているのか、またそれらを有効利用できているか、もしできていないならその要因は何かということを検討するため、JRPS(日本網膜色素変性症協会)栃木県支部の協力を得て、アンケート調査を行った。<BR><B> 対象と方法:</B>対象は、JRPS栃木県支部会員49名のうち、回答のあった29名である。方法は、ロービジョン者用にアンケート形式を工夫し、郵送にて行った。<BR><B> 結果:</B>保有視覚補助具数は、平均3.6種類だった。遮光眼鏡、白杖、携帯用ルーペ、拡大読書器の順で多かった。視覚補助具の有効利用に影響する因子として、使い方が簡単である、眼の状態に合っている、説明や訓練を受けたことがあげられた。一方、有効利用を妨げている要因としては、眼の状態に合わない、説明や訓練の不足であった。病院,眼鏡店,市(区)町村役場の窓口の対応に関する満足度では、市(区)町村役場の窓口の対応に不満の多い傾向がみられた。有効利用に今後必要と思われるものとして、行政の窓口担当者の知識向上、使用法の説明や訓練、アフターケアの充実に対する要望が多かった。<BR><B> 結論:</B>視覚補助具を有効利用するためには、個々のロービジョン者の眼の状態を考慮した選択に加え、使用法の説明や訓練の充実、行政の窓口担当者の知識向上が必要と考えられた。
著者
馬嶋 昭生
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
no.25, pp.7-13, 1997

ごく一部の眼科医と,彼らを支持する少数のいわゆる知名人は「学校保健法に基づく一斉色覚検査を全廃せよ」という運動を執拗に続けてきたが,色覚とその異常の本質を理解している研究者と,多くの眼科医の強い反対によって阻止された。しかし,文部省は,「小学校4年生で1度だけ行う」というこれらの意見の折衷案か妥協案のような改訂を行った。本論文では,全廃論に対する反論,小学校1年生での検査の重要性,今後の対策として学校現場での正しい検査法や事後の措置などを解説した。眼科医や視能訓練士は色覚異常者の視機能を十分に考慮した指導や助言ができる学識を身に付けることの重要性,色覚検査廃止論者の好んで使う「異常者の差別」という言葉の誤りを指摘した。筆者は,個人の好まない学校現場での一斉検査が他にもあるのに,全廃論者が何故に色覚検査のみに執拗に拘泥するのかその真意を知りたい。
著者
根本 加代子
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.67-80, 1998-07-10 (Released:2009-10-29)
参考文献数
76

弱視と弱視治療に関する先人の業績を回顧することは、私たちが臨床の場で出会う多くの問題や疑問に答える糸口が得られることである一方では、私たちが同じ知識基盤を共有し、同じ学術用語を用いて、討論をすることで、お互いがより深く理解し合えるのであるこのような同じ知的背景の中から、私たちがより良い治療法や新しい訓練法の創造、そして、従来からの訓練治療にたいする学術的批判をも可能とし、その改善に繋がるのである。今回まとめた内容について以下に記す。弱視の病態に関する基礎的研究(弱視のニューロンの基礎)。弱視治療に用いられる遮蔽法についての神経生理学的考察。日本における弱視の頻度は約2.3%と推定される。器質弱視の訓練は視力回復の可能性があることを前提とし、訓練終了の時期を明確にする。遮蔽治療が困難な時、ペナリゼーションは有効である。間歇遮蔽か終日かの選択は症例の症状に基づき決定される。アトロピン遮蔽は重篤な健眼視力低下をもたらすことがある。点眼中は瀕回の視力チェックを要する。健常視力かそれに近い回復が得られる年齢的限界は15歳前後である。なんらかの回復が期待できる年齢の限界は不明である。弱視治療訓練終了判定基準としては視力の向上した者は交代固視でき、さらに不同視弱視では中心窩抑制が取れ、両眼開放視力が等しくなった時をもってする。また、治癒効果が得られない判定は終日遮蔽にて連続3回の検診でも視力が不変の時をもってする。健眼失明者の弱視眼の30%に0.3~1.0(3ライン以上)の改善が見られた症例とそのメカニズムの考察。L-dopaあるいはciticolineで抑制暗点の縮小や視力の向上が見られるが、副作用の除去、効果の持続、作用機序の解明が不十分であり、これらの解析が進すめば、新しい治療法が生まれる可能性があること。
著者
伊藤 幸江 石川 均 西本 浩之 向野 和雄 石川 哲 佐藤 喜一郎
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.211-216, 1990-12-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
12

今回,輻湊痙攣による内斜視,調節痙攣,縮瞳の3症状が同時にみられる近見反応痙攣の2症例を経験した.症例1は18歳女子高校生,3歳半頃,頭部打撲後より内斜視に気づいた.両外転神経麻痺がみられたが徐々に改善した.ところが,15歳頃,全身運動した後に頭痛と複視を自覚し,近見反応痙攣が出現した.症例2は28歳女性,26歳頃より症状が出現し,現在も恒常的に近見反応痙攣が続いている.この痙攣に対して上原らが用いたアモバルビタールの静注を我々も行ってみた.症例1は静注前と著明な変化はみられなかった.症例2は3時間程持続効果がみられ以前の状態に戻ってしまった.近見反応痙攣の発作は,皮質中枢の異常興奮・輻湊の中間中枢,動眼神経核,EW核への抑制の障害などが考えられ,アモバルビタールの有効性からも推定できる.
著者
五十嵐 多恵
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.7-12, 2018 (Released:2021-02-06)
参考文献数
15

近視は、遺伝要因と環境要因の相互作用が原因となり発症し進行する。近代化に伴う環境変化によって小児の近視患者が急増加する一方で、近視が強度で病的であるほどMendel遺伝疾患や稀な影響力の大きい遺伝子変異が関与する傾向が知られており、幼少期からの強度近視患者には、遺伝要因が近視の発症と進行の主因と考えられる患者の割合が高い。近年は学童近視に対しては近視進行予防治療が行われ、単一遺伝性の網膜疾患に対しては遺伝子治療が行われるようになった。今後、近視診療従事者は、個々の近視患者の発症と進行の原因を正しく理解し、適切な医療情報の提示を行うことが重要になると予測される。また病的近視患者の視機能を生涯に渡り良好に維持するためには、小児期の早期に病的患者を同定し、適切な合併症管理に結びつけることが重要である。眼底写真で視神経乳頭周囲のびまん性萎縮の形成を確認するとともに、脈絡膜厚をモニタリングすることや、広角OCTを用いて後部ぶどう腫の初期病変を同定することは、早期診断のための有用な指標と考えらえる。
著者
清水 みはる 稲泉 令巳子 寺本 恵美子 澤 ふみ子 中村 桂子 内海 隆 上野 正人
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
no.25, pp.75-82, 1997

検眼用フレームとして現在普及しているものはフィット感や重さ,耐久性が十分とは言い難く,満足できるのがないのが現状である。そこで使いやすさや耐久性を重視し,またカラフルな色彩を採用した検眼用フレームの開発・改良に参加し,試用する機会を得たので報告する。対象は平成8年2月1日から同9月30日までの8ヶ月の間に大阪医科大学附属病院眼科外来を受診した患者のうち,無作為に抽出した2980名と高槻市3歳児検診を受診した350名である。方法は従来からの固定三重枠<sup>&reg;</sup>((株)はんだや)およびシンプルBC<sup>&reg;</sup>((株)高田巳之助商店)を対照に,今回新しく開発した検眼用フレーム(増永眼鏡(株))と比較検討した。新しいフレームは材質としてホルダー部分には抗菌作用や耐磨耗性,強靱性のあるエンジニアリングプラスチックを用い,金属部分にはチタンを使用しているのでかなり軽量である。フィッティングを良くするための独自の工夫と子供が受け入れ易いように配慮したカラフルな色彩が特徴である。結果として,新しいフレームはレンズの装着感が良く,検者側からの評価も高く,患者の満足度も十分で,眼鏡処方時の長時間の装用テストにおいても好評であった。明るい色合いは小児に特に好まれた。今後の実用化が期待される。
著者
奥村 詠里香 追分 俊彦 掛上 謙 林 顕代 中川 拓也 林 由美子 林 篤志
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.97-102, 2015

<b>【目的】</b>白内障混濁別の散乱光と白内障手術前後における散乱光の変化を検討する。<br><b>【対象及び方法】</b>平成26年4月から同年9月までに富山大学附属病院で白内障手術を施行した38例50眼に対し、白内障手術前後に眼内散乱光測定装置C-Quantを用いて散乱光を測定した。核白内障、皮質白内障、後嚢下白内障、retrodotsに分類して混濁の程度分類を行い、各白内障の混濁程度、術前視力、眼球高次収差と散乱光の関係、白内障手術前後の散乱光の変化について検討した。<br><b>【結果】</b>核白内障、皮質白内障の混濁程度と散乱光値には相関が認められた(p<0.01)が、retrodotsの混濁程度と散乱光値には相関はなかった。核白内障、皮質白内障の術前視力と散乱光値、眼球高次収差のRMS値と散乱光値には相関はなかった。核白内障、皮質白内障の散乱光値は術前と比較し、術後で散乱光値が有意に低下していた(p<0.01)。後嚢下白内障は症例数が少なく統計処理は行っていないが、核、皮質、後嚢下白内障の中で後嚢下白内障の術前散乱光値が最も高値であった。<br><b>【結論】</b>今回、白内障の混濁別の散乱光値について検討できた。核白内障、皮質白内障の混濁増加に伴って散乱光値は上昇し、白内障手術によって散乱光値は低下した。 混濁別では後嚢下白内障の散乱光値が最も高値であった。散乱光測定検査は、白内障の診療に役立ち、また、視力以外の見えにくさの評価法として用いることができると考える。
著者
野原 雅彦 高橋 まゆみ
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.115-120, 2001-07-15 (Released:2009-10-29)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

小中学校での眼科学校健診において、オートレフラクトメーター使用による屈折検査を導入し、屈折分布や変化を検討した。対象は長野県小県郡丸子町の小中学生1719名で、キヤノン社製RK-3Rを用いて各眼3回以上測定し、その平均値を使用した。等価球面度数は、小学校1年生+0.09D±0.61D(平均±標準偏差)、2年生-0.17D±0.69D、3年生-0.33D±0.82D、4年生-0.50D±0.92D、5年生-0.62D±1.12D、6年生-0.99D±1.55D、中学校2年生男子-1.09D±1.61D、2年生女子-1.34D±1.39D、3年生男子-1.33D±1.75D、3年生女子-2.07D±2.17Dであった。乱視度数は、学年や男女差はなく0.4~0.6Dであった。学年が進むにつれて近視化していき、標準偏差も大きくなった。中学生では女子の方が近視化傾向が強かった。また教諭の測定した裸眼視力が良好でも、屈折異常が大きくある者がみられた。学校健診において屈折検査を導入することで、屈折状態を把握し適切な指導を行うことができ、有用と思われた。
著者
矢野 隆 魚里 博 鈴木 博子 嶺井 利沙子 根本 徹 清水 公也
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.95-102, 2002-08-25 (Released:2009-10-29)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

眼軸長測定には散瞳下・無散瞳下(自然瞳孔)のどちらの条件が適しているか。また新しい光学式の眼軸長測定装置ZEISS社製IOLMaster™(以下IOLMaster)を従来の超音波Aモード装置NIDEK社製US-800™(以下Aモード)と比較し、その有用性について検討したので報告する。対象は正常有志10名20眼(年齢22歳~28歳)。散瞳前後の眼軸長及び前房深度をAモードとIOLMasterで測定比較した。眼軸長及び前房深度の各測定において無散瞳下のAモードに対する3群(散瞳下のIOLMaster・無散瞳下のIOLMaster・散瞳下のAモード)の間で有意差を認めた。また前房深度測定においてIOLMasterは散瞳前後でも有意差を認めた。眼軸長及び前房深度の各測定の標準偏差値はIOLMasterは散瞳前後では小さく、無散瞳下のAモードでは一番大きかった。瞳孔径別の眼軸長及び前房深度測定の標準偏差値はIOLMasterでは、ほぼ一定であった。Aモードでは瞳孔径が小さいと標準偏差値は大きく、瞳孔径が大きくなるほど標準偏差値は小さくなった。Aモードでは散瞳下での測定、IOLMasterでは散瞳下・無散瞳下のどちらの条件でも測定に適していると考えられた。新しい光学式の眼軸長測定装置IOLMasterは、臨床においても極めて有用な装置であると考えられる。
著者
小島 ともゑ 貫名 香枝 船曳 昌子
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.190-193, 1990-12-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
7

A retrospective study was performed on intermittent exotropia patients who received surgery at our clinic between Oct. 1979 and Nov. 1987.A total of 544 patients were divided into 4 groups according to their age at the time of surgery: 0-5yrs., 6-12yrs., 13-18yrs., and 19yrs. and older.It was found that prior to surgery the 19yrs. and older group had the highest percentage of large exodeviation, poor convergence, and absence of simultaneous perception as tested with the major amblyoscope.However, the corrective effect of uniocular resection-reccession was greatest in this groupe, and the rate of recurrence was lowest.
著者
金永 圭祐 岡 真由美 星原 徳子 橋本 真代 森 壽子 河原 正明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.249-255, 2014 (Released:2015-03-19)
参考文献数
18
被引用文献数
1

【目的】注意欠陥多動性障害(以下、ADHD)児は眼球運動異常を伴うことが報告されている。今回我々はADHD児において文字間隔と行数が読みの眼球運動に与える影響について検討した。【対象および方法】対象はADHD児5例(平均年齢6.4 ± 0.5歳)(以下、ADHD群)とした。このうち間欠性外斜視が2例であった。対照は正位または斜位5例を対照群(6.4 ± 0.5歳)、間欠性外斜視5例(7.0 ± 0.6歳)を斜視群とした。読みの眼球運動発達検査はDevelopmental Eye Movement test(DEM)を用いた。DEMはテストA、テストBおよびテストC で構成されている。テストA、Bでは数字が縦(2行)に等間隔に、テストCでは横(16行)に不等間隔に配列されている。DEM測定中の眼球運動の記録にはEye Mark Recorder-9®を用いた。分析はテストCの1行あたりの読み時間、文字間の視角別(<2º、 2º≤ <4º、 4º≤ <6º、 6º≤ <10º、≥10º)の衝動性眼球運動(saccade)回数、saccade速度、停留時間とした。【結果】DEM比率の平均はADHD群が1.90±0.3、対照群が1.47±0.1、斜視群が1.40±0.2であった。ADHD群は対照群に比べ1行あたりの読み時間が3、4、5、6、7、13行目で延長した。saccade回数は文字間の視角が4º未満の場合、両群に差はなかった。しかし文字間の視角が4º以上ではADHD群のsaccade回数が有意に増加した。両群のsaccade速度および停留時間に差はなかった。【結論】ADHD児は文字間隔と行数が読みの眼球運動に影響していた。ADHD児には眼球運動の側面から視覚教材の文字配列を工夫し、学習障害の早期発見と予防を行う必要がある。