著者
永松 義博
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.346-352, 1993-03-26 (Released:2011-07-19)
参考文献数
3

九州地方に残つている古庭園 (上古~江戸時代までの226庭園) の現地調査を実施して, 造園手法の特徴について調査した。多くの庭園は江戸時代の中, 末期に造られており, 上級武士, 藩主所有の庭園が極めて多く存在している。その背景には産業交通の発達, 参勤交代の制による文化の興隆があったと考えられる。九州地方には庭園が集団として残る13地区があり, その庭園群区にそれぞれの特徴をみることができた。庭園様式では, 池泉回遊, 池泉定視の様式をもつた池庭が多い。池泉への導水は (1) 山畔を利用 (2) クリークを利用 (3) 河川を利用 (4) 伏流水を利用 (5) 湧水利用の手法が採られている。枯山水式の庭園は, 特に沖縄と鹿児島地方にみられ, この様式は江戸時代に出現している。
著者
小椋 純一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.37-42, 1988
被引用文献数
2 1

古い時代の植生景観を考える上で, 絵画は参考になるものであるが, それがどの程度の資料性をもっかを述べることはなかなか容易ではない。ここでは, 文化年間の京都一円の景観を描いた「帝都雅景一覧」をとりあげ, その景観を分析, 検討することにより, 当時の京都周辺山地の植生を考察した。その結果, その頃の京都周辺山地には, かなり低い植生の部分が広がっていた一方, 小さな孤立林がしばしば見られたものと考えられる。
著者
渡辺 達三
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.29-39, 1971

In this study, the author tries to inquire into the formative and developmental processes of the village shrines as the public squares in ordrer to know the same processes of the squares in the feudal age in Japan.<BR>In chapter 2, the changed characters of <I>Chinju on mori</I>, which they must have underwent on occasion of growing the village public open spaces, are studied in the case of the <I>Hino shrine</I> in the Mannor <I>Kaivaraba yashi</I>.<BR>However, the formation of the <I>Chinju on mori</I> does not mean that all the members of the village are able to join it. In this study, the author suppose that the development of the squares should mean morse members joining in it.<BR>And in chapter 3, the developmental processes ari tried to be studied through the medium of the organ zation of <I>Miyaza</I> which is apt to close most.
著者
河原 武敏
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.7-12, 1982-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
11

古典文学に描写された庭園の様々な姿を抽出し, 史書による研究を補完あるため, この研究は藤原道長の榮華を中心に書かれた「榮花物語」40巻を対象とした。抜き出された庭園数は16, 描写文は63で今回の (1) は「殿」名の付いた上御門殿等7庭園39文を修景・供用・管理の面から考察し, 庭園施設の光・音i・色による修景効果, 各種の積極的な庭園供用の実態, 維持管理の有様など寝殿造り庭園の様相を更に深く浮き彫りにした。
著者
中村 一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.14-15, 1955-11-10
著者
坂口 次郎 鈴木 雅和
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.247-252, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
8
被引用文献数
2

筑波研究学園都市の街路樹は, 緑量の増加と樹冠の一体化を意図して2本立植栽がなされ, 植栽デザインとして特徴的である。しかし, 植栽後約20年経過して観察すると, 必ずしも当初のデザイン意図どおりの効果を達成していないものも見られる。本研究はそれら街路樹に関する活力度調査および視覚的評価によりデザイン意図と成果の検証を行うことによって, 植栽デザインの方法論を考察したものである。その結果, ユリノキ, アメリカフウではデザイン意図を達成しているが, トウカエデ, シラカシ, エンジュでは達成していないことがわかった。今後, 植栽デザインにおいて樹木の経年的変化と管理方法を考慮する必要性が明らかになった。
著者
吉川 需
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.7-20, 1950-03-31 (Released:2011-04-13)
参考文献数
17
著者
鈴木 忠義
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.91-95, 1960
被引用文献数
2

今回の1958~1960の調査では、この地区の施設整備、周辺ルートの整備、一般の好景気にもとずくレクリエーシヨン情勢などの変化から、これまでの最高339,000人(1957)を10%も上まわる370,000人(1959)の最高の利用者を示したが、根本的な変化はみられない。しかし次の諸事項が変化として考察される。<BR>1定期バス、貸切バス、乗用車に海水浴目的が強くあらわれている。しかし、後2者は海水浴前後の回遊性が強い。<BR>2 鉄道はピークの発生時刻が早くなり、出のピークがこれまでのロング・ピークよりするどくなつてきている。<BR>3 通過性は貸切バスに減少が見られ、乗用車も、全体の増加から数の増加は見られるが、比率は減少の傾向にある。<BR>4 全体として現象が0.5~1時間早くあらわれてきている。<BR>5 乗用車の滞留時間が4~8時間と、複雑になつてきている。<BR>6 最高滞留時における利用密度は3.5~5.5m2/人でこれまでと同様、高い密度を示している。
著者
鈴木 忠義
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.5-9, 1956

片瀬江の島海水浴場における1952~1955の夏の各最盛期1日を利用者について調査した結果から次の考察を行つた。<BR>1. 十数万を海浜に運ぶ問題として鉄道輸送が重要な機関である。とくに直通性をもたすことが有利と考えられる。<BR>2. 貸切バスの海水浴への利用増加とその時間的集中性は極めて大きい。<BR>3. 自動車路線はそれぞれ利用上の特色が強くあらわれている。<BR>4. この地区では夏季でも通過交通 (自動車) が多い<BR>5.利用者は廻遊性ルートを好む。又特に帰途の直通性の要求も現れている。<BR>6. この地区えの利用者の到着時刻は10a.m.離散時刻は5p.m.頃である。<BR>7. 平均滞留時間は7時間である。<BR>これらの傾向からしてこの地区の今後の施設計画として、CGreの複数化、休憩及び静的レクリエイシヨン施設の導入、バス乗降場とモタープール、鉄道駅とビーチえの動線が重要課題といえよう。しかし海水浴という季節的影響の大きい洪水的利用のある一方、四季型観光地でもあるこの地区の実態は、他のシーズンの調査を必要とするのは当然であり、上記調査に基く結論がこの地区のレクリエーシヨン施設計画に対する最後的結論ではないことをおことわりしておく
著者
宮本 克己
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.397-402, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
26
被引用文献数
1 9

戦前の過大都市抑制思想を引継ぎ, 戦後混乱期の暫定的な意味をも含み設定された東京の緑地地域は, 終戦直後の混乱期, まず自作農創設事業との調整から始まり, その後幾多の難題をかかえながら, 大小の区域変更を繰り返えし, 首都圏計画の動向に対応しつつ紆余曲折を経て今日に至っている。本稿は, その経過を明らかにしようとするものであり, 緑地地域が漸次解除されて行くその時々で激しく繰りひろげられた議論とその背景を仔細に検討するものである。緑地地域をとりまく周辺の種々の計画との関連において, 緑地地域がいかなる意味を有していたのか, ここに改めて考察しようとするものである。
著者
大塚 守康
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.54-58, 1981 (Released:2011-03-05)
著者
中村 一
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.43-48, 1984-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
8
被引用文献数
1

世界の国立公園が創設された年を国別に調べて分析した。また, 創設の背後にある政治経済的諸条件を概観することによって, 国立公園成立の歴史的類型を8つ取り出した。さらに, これらの類型の形成に関係すると考えられるナショナリズム, 観光, 自然保護の三契機を見出した。これらの類型は, 世界の国立公園の歴史的性格を説明する上で有用と考えられる。その類型のひとつとしてのファシズム型の適用を日本の場合について検討した。
著者
横山 光雄
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.2-12, 1962-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
9
著者
堀 繁
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.281-286, 1987
被引用文献数
4 6

視覚心理試験をとおして森林風景を意味的に捉えようとした。「聖」と「清」を評価軸として提案し, 聖・俗・清・汚という4方向の評定空間のなかで, 多様な森林タイプの分類を試みた。その結果,「聖」と「清」は森林風景の評価においては違う意味内容を持つものであることが判った。また, 天然林が聖, 針葉樹人L林が俗, 落葉樹林が清, 照葉樹林が汚などの特徴が抽出され, この評定空間で森林の説明が可能であることが示された。