著者
石田 敢 亀山 章 高柳 敦 若生 謙二
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.19-24, 1991-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

日本人の動物観をとらえるために, 動物に対する態度の類型化を行った。 動物に対する態度は, 動物に関する職業や運動についている専門家が最も極端なものをもっていると考えられることから, 専門家に対するヒアリング調査とアンケート調査を実施することによって, 日本人の動物観の極限としての輪郭の把握を試みた。この調査はS. ケラートがアメリカ人に対して行った調査と同様の方法で行ったが, 審美的態度については日本人とアメリカ人とでは内容が異なることが明らかにされた。 また, 日本の専門家は自然主義的態度と生態学的態度を強くもっている者が多いことが明らかにされた。
著者
飛田 範夫
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.43-48, 1989-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
6

京都市の青蓮院は, 火災や移転などによって大きく変化している。しかし, 青蓮院の記録をまとめた『門葉記』と『華頂要略』によって, その変遷をたどることができる。13世紀前半頃の「三条房指図」を見ると建物も庭園も寝殿造の形態になっている。14世紀前半の「十楽院差図」の時代には, 園池は建物に近接するなど害院造の邸宅の影響が見られる。19世紀中頃の「御本坊総図」からは, 書院造の建築に付随した庭園の状態がうかがえる。
著者
小野 良平
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.73-78, 1989-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

市区改正に始まる近代都市公園整備が, 帝都復興事業を経て一つの結実を見るまで, その間の公園設計の史的展開は不明な点が多い。主に東京の都市公園を対象に新設公園の現れた明治中期から復興事業の完了した昭和初期に亘る公園設計の源流を辿ることにより, 近代化の中で公共造園設計が, 西欧から何を学び如何なる系譜の下に展開してきたのかを明らかにすることを試みた。
著者
井手 任 守山 弘 原田 直國 横張 真
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.161-166, 1986-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

ヒヨドり等の果実食鳥により種子を散布される植物の林外から林内への散布特性を把握するため, エンジュの散布量及び芽生え数の調査を実施した. 芽生え数は高木層にアカマツ・スキの樹冠か存在する部分の種子供給源側及ひピサカキの樹冠の下に特異的に多く, 高木層に樹冠の存在しない落葉広葉樹林下では林縁からの距離とは無関係に安定的に少なかった. これらの芽生え数の偏りは, 種子散布特性を反映したものであると考えられた
著者
外村 中
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.258-271, 1993-02-28 (Released:2011-07-19)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

大仙院の庭園を代表とするいわゆる枯山水は, はたして, 本当に, 日本独自の庭園様式なのであろうか。本稿は, 日本において枯山水が成立したと考えられる時代に, 日本とほぼ同様の庭園趣味が, 韓国にもあったらしいことを紹介し, 枯山水の新たな解釈の方向性を示すものである。
著者
小林 章 金井 格
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.154-170, 1983-02-28 (Released:2011-07-19)
参考文献数
77
被引用文献数
1 2

京都の造園用石材の地域性を明らかにするため地域性を石材の高目の構成 (特徴: 多くの京都産の品目。京都産・他地域産の品目の併存。数百年にわたり記載のある品目。多様な形質の品目) により記述した。その域因の解析に地域の自然要素として地形・地質を, 人文要素として庭石商の性格を採り上げた。多様な石材が京都の多くの河川・山地・丘陵地から採取きれてきた。庭石商は近世水運または資源により立地し, 石材を供給してきた。
著者
鈴木 誠
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.61-66, 1984-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
5

20年以上放置され荒廃した明治期の庭, 旧伏見宮家別邸銚子瑞鶴荘の庭を発掘調査し, 実測, 文献, ヒアリングにより往時の姿を推定した。特に主庭部分については旧景観の図上復元を試みた結果, 明治期の庭園の特徴とされる自然を生かした借景庭園であることがわかった。また, 千葉県銚子犬吠埼という庭の立地の意味するものもあわせて考察した。
著者
河原 武敏
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.91-96, 1992-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
2

庭園の造営または管理上必要な植物材料の入手が平安鎌倉時代において, どの様になされていたかを古文献によって研究し, その結果, 需要に対する入手の方法に (1) 野外採取,(2) 召し上げ,(3) 献上,(4) 贈答などの手段が採られていたことが明らかとなり, 供給を業とする者は見受けられず, 贈答に関係して, 挿し木など行う庭木愛好者の存在することが確かめられた.
著者
小野 佐和子
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.55-60, 1984-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
57
被引用文献数
3

自然と人間との遊びを媒介としたかかわりをさぐる一助として江戸時代の園芸植物の流行現象を考察した。江戸時代のたび重なる園芸植物の流行は, 奇品-通常とは異なる珍しい植物の嗜好を大きな特徴とするか, そこでは, 奇品は自然が人間の助けをえて作り出す傑出した作品であると考えられた。また奇品の流行には競争及び賭の要素を, 流行の背景には武家と植木屋の積極的な関与の存在を認めることができる。
著者
進士 五十八 吉田 恵子
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.155-165, 1988-02-15 (Released:2011-07-19)
参考文献数
15
被引用文献数
4 8

本論は、小学校隣接配置による地域密着型小公園として、或いはリバーサイドパーク・勤労者対応型公園として評価される震災復興公園について、既往記録などを整理し、その全体像を明らかした上で、東京日日新聞1大正12年9月1日-昭和10年8月31日の12年間) の公園関連記事 (191) を抽出し、公園かどのようにして市民社会に定着してゆくか、行政の動きを市民や専門家はどのように受けとり、反応してゆくか、現石からふりかえ一、たとき震災復興公園はどのように評価されるか等について考察した。その結果、計画に対する地元の反対や「不良とルンペンの巣云々」等の生活史を明らかにした、また公園意匠などの特徴を2類7型に整理した。
著者
勝浦 康之
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.6-16, 1965

昭和40年5月1日より開園した兵庫県立西武庫公園分区園の利川状況を調査した結果次のような結果が得られた。<BR>1.夏、秋花壇の草花腫類は平均10種類、最低21腫類であつた。<BR>2.費した費用は種苗、肥料合せて平均1,200円である。<BR>3.所有している園芸用具は、平均4種類、最高10種類であつた。<BR>4.利用者の年令層は比較的若い層が多く、20代、30代の利用者が約60%である。<BR>5.利用者のうち77%が団地居住者であり、分区園の近くに居住するものが多いので、利用回数は全体の60%の人が一週間のうち2日以上来園している。<BR>6.分区園利用は、子供の情操教育、健康増進、団地生活にうるおいをもたらすなど、都市生活者にとつて広範囲な効果があつた。
著者
河合 健
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.61-66, 1989
被引用文献数
4

日本に持ち込まれた外国空間がどの様に変貌してゆくのか。この問題を, 明治期の神戸外国人居留地を例に考えてみた。具体的には, 外国人らが居留地に造成した公園に注目し, 造成当初のデザインを明らかにするとともに, 彼らがそのデザインを求めた背景を考察した。その結果, この公園は外国人らが非日本人の共同空間として策定したものであり, 日本空間からは完全に分離=「異化」した空間となった, と結論づけた。
著者
山根 ますみ 篠原 修 堀 繁
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.215-220, 1990-03-30
被引用文献数
5

長期的にみた場合の景観に対するイメージ形成のメカニズムを解明するための試論として,東京の自然の代表である武蔵野を取りあげ,各時代短のイメージの内容とその変化の過程,イメージ変化と景観変遷との関係,イメージ変化の要因について分析した。その結果,イメージと景観は異なる変化のしかたをしてきたこと,イメージ変化のきっかけとして文学作品などが重要であったことが明らかになった。
著者
石川 幹子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.84-89, 1991-03-30
被引用文献数
4

アメリカの公園緑地系統の成立において先鞭をつけたボストン公園緑地系統は,1850年代にその萌芽がみられ,半世紀をかけて徐々に確立された。計画思想は,当初より都市公園の整備と緑地保全の思潮を合わせもった広域的なものであった。実現のプロセスは,1850年代の良質の都市基盤整備,1880年代のエメラルド・ネックレスの建設,1900年代の大都市圏公園緑地系統の成立と,段階的発展をとげたことが特色である。
著者
三田 育雄
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.42-47, 1984 (Released:2011-03-05)
著者
中村 一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.43-47, 1983-03-31
被引用文献数
1 1

イエローストーン国立公園の成立については,いままで主として探検隊による発見を主要な契機として説明されてきた。しかし,なぜ1870年代初頭に国立公園が制定されねばならなかったのかという問題についての追究はほとんどなかった。本研究では金融資本家ジェイ・クックの置かれた経済史的条件に注目して,ふたつの契機,ナショナリズムと「自然」がかれをして公園化運動を推進せしめたという仮説を提出する。
著者
藤井 英二郎 李 基徹 金 承煥 糸賀 黎
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.401-406, 1989
被引用文献数
1 1

韓国東南部に位置し, 伝統的農村集落形態を残している清道地域を対象に農家の庭の構成とその特徴について調査, 考察した。農作業の場であり, 生産の場でもある農家の庭は広庭を中心にした実用本位の庭であるが, その構成には儒教の影響とともに, 閉鎖的な房と開放的な大庁とを合わせもった韓国農家建築の特徴を反映したものと考えられるいくつかの特徴, さらには韓国の人々の自然に対する考え方をも示唆する特徴が見られた。
著者
中瀬 勲 清田 信
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.253-258, 1988-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1 5

外部空間での人々の快適性とそれに関連した気象環境要素等との関係をモデル化し, これを造園計画・設計へ応用することが本研究の目的である。まず, 人々の反応行動: RBは, 温度: T, 日射: S, 風速: W, 湿度: H, 樹影: V, 着衣: C1等で説明できるとして次式を設定した。RB=f (T, S, W, H, V, Cl) このモデルの要素間の関係を検討して外部空間での至適温度帯等を明らかにし, さらに造園計画・設計への展開について言及した。
著者
渡辺 達三
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.27-33, 1972

This is a study of the open spaces in which peasants' aprising are rasied in the feudal age of <I><B>Edo</B></I> in order to know the character of some open spaces as <I><B>Square</B></I> (the first report).<BR>In chapter 1, it is pointed out that the peasants' uprising in the feudal age of Edo is firmly based on the <I><B>Agrargemeinde</B></I>, and therefore, the places in and by which the members ofthe <I><B>Agrargemein wesen</B></I> are able to concentrate physically and Spiritually will be needed.<BR>Some such places corresponding to the introduction to the finale of peasants' uprising, are studied in chapter 2.