著者
曲山 幸生 七里 与子 宮ノ下 明大 今村 太郎
出版者
家屋害虫研究会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.93-99, 2009
参考文献数
10

食品害虫問題を対象にした研究情報を,消費者を含めた関係者にわかりやすく興味深く紹介することを目的に,「食品害虫サイト」を開設した.すでに公開していた「貯穀害虫・天敵図鑑」では,食品に混入した昆虫の情報や,その駆除の方法を記載している.「食品害虫サイト」は,これを拡張するという形で,「この虫何?」(虫の検索),「ニュース」,「コラム」,「食品害虫クイズ」,「用語集」,「リンク集」のページを設け,提供する情報を充実させた.また,ページの有効性を評価するためにアクセス数の解析もおこなった.食品害虫のことならとりあえず「食品害虫サイト」にアクセスしてみる,といった状況になるように,わかりやすく,深く,広く,情報を提供するサイトをめざす.
著者
竹内 将俊 田村 正人
出版者
家屋害虫研究会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.11-23, 1995-07-20
参考文献数
16
被引用文献数
3

東京都世田谷区の大学構内で同所的に棲息するチャコウラナメクジ,オナジマィマイ,ウスカワマイマイの季節的発生経過,日周活動,利用食物について調査を行った。発生量はチャコウラが最も多く,夏期以外の季節に活動し,カタツムリ類は春期と秋期に活動した。活動時間は3種類とも体サィズに関係なく日没から明け方までで,カタツムリ類は活動個体の出現頻度に変異が大きく,明確なピークは認められなかった。また糞の内容物の解析の結果,野外で利用している食物は3種間で大きな違いは認められなかった。
著者
大澤 貫寿 Dadang
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.31-46, 1998-06-30

インドネシア,沖縄など熱帯および亜熱帯植物からの抽出物について,農業および衛生害虫に対する殺虫,摂食阻害ならびに忌避作用について調査研究し,活性成分の精製と単離同定を行った。1)バンレイシ科の植物種子の抽出物からアズキゾウムシとコナガに対して殺虫性の非常に強いSuqamocinなどアセトゲニン関連化合物を単離した。2)ハマスゲの塊茎からは,コナガ幼虫に対して殺虫性と摂食阻害活性を有する化合物α-Cyperoneを単離同定した。3)ショウガ科ナンキョウの根茎からはコナガ幼虫とアズキゾウムシに対して殺虫性を示す化合物1'-acetoxychavicol acetateを単離した。4)アオギリ科サキシマスオやキク科のセンジュギクからチャバネゴキブリの忌避物質としてそれぞれSafroleとPiperitoneを見出した。5)シソ科パチョリとイネ科べチバーからネッタイシマカの忌避物質としてPatchouli alcoholとα-Vetivoneなどのテルペン系化合物を同定した。6)センダン科植物23種についてコナガ幼虫に対する摂食阻害試験を実施しクラブウッド(Carapa guianensis)に非常に強い摂食阻害活性を認めた。
著者
三原 實
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-50, 2003-06-30
被引用文献数
4

ゴキブリ目は,石炭紀後期(約3億年前)地層より化石が発見され,国内でも2億3千年前の翅の化石が山口県美祢市で出土している歴史の旧い昆虫である.地球上のゴキブリは現在まで約3,500種が知られ,日本では9科25属52種が纏められている(朝比奈,1991).ゴキブリは熱帯・亜熱帯が主な生息域であり,国内における分布状況も南西諸島に多くその種数は45,九州23,四国11,本州17,北海道3,小笠原8種である.自然界におけるゴキブリの生活場所は森林や草原の地表で,林内では落葉内,石の下,倒木下,浅い土中,樹木根際,樹木では樹葉上,樹皮下,樹洞内,朽木内,その他草原や叢中などに生息し,植物の腐食有機物,動物,昆虫などの屍骸,樹液,朽木などを食餌としている.
著者
富岡 康浩 中村 茂子
出版者
家屋害虫研究会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.100-104, 2000
参考文献数
13
被引用文献数
3

The insect fauna from the nests of birds (domestic pigeons, Columba livia ; tree sparrow, Passer montanus ; house swallow, Hirundo ruskica) were investigated in Japan. At least 15 species of insects were recorded from the pigeons nests. Black carpet beetle, Attagenus unicolor, was the most numerous insect in the nests of both pigeons and sparrow. Among these species identified in the pigeons nests, they are four species of beetles, Dermestes haemorrhoidalis, Anthrenus verbasci, Tnnodes rufescens (Dermestidae), and Aiphitobius diapeninus (Tenebrionidae) ; three species of moths, Aglossa dimidiata, Pyralis faninalis (Pyralidae), Tinea translucens (Tineidae) ; one species of booklice, Liposcelis entomophilus (Liposcelidae) and some flies, Fannia caniculanis (Muscidae) and spp. (Calliphoridae). Many lavae of T. rufescens were found from the sparrow nest. Especially, the lavae densities of T. translucensinea in the swallow nests were high.
著者
田中 和夫
出版者
家屋害虫研究会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.34-52, 1987
著者
柴山 淳 吉垣 茂 富岡 康浩
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.41-43, 2001-07-30

植物精油16種のイエバエに対する忌避効果をオルファクトメーターを用いた試験により評価した.その結果,スペアミント,シナモン,レモンでは特に高い忌避効果が認められた.さらに,ゼラニウムやローズウッドなどにも比較的強い忌避効果が見られた.
著者
水谷 澄 新庄 五朗 田中 生男
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.115-118, 2004-12-15

オオチョウバエの各種飼育法の概要を示した,さらに人工汚水と森谷らが1969年に報告したエビオス水溶液による飼育方法を室内観察で比較検討した.その結果,雌成虫が産卵適期であれば両法共培養液を設置後すぐ産卵した.25℃の温度下では,設置52時間後に一部1齢幼虫が孵化したので,卵期間は2〜3日であった.その後設置4日後まで双法の間で幼虫の発育に差は認められなかった.しかしそれ以降は人工汚水区の方がエビオス水溶液区より発育が早く進行した.成虫は両法とも自然個体と同様な大きさの個体が得られた,卵期間は2〜3日,幼虫期間は人工汚水区が8〜14日,エビオス水溶液区が10〜15日,蛹期は双法とも3〜4日であった.成虫の寿命は比較的短く,通常の湿度環境(60〜80%RH)では2週間以内にほとんどが死亡した.
著者
吉村 剛 インドラヤニ ユリアティ
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.37-45, 2006-06-30
被引用文献数
3

1970年中頃より日本でその被害例が報告されるようになったアメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor (Hagen))の被害の現状とその対策について,現在解析が進みつつある食害生態における特徴とともにまとめた.アメリカカンザイシロアリの被害は全国的に拡大しつつあり,現在では日本全国に薄く広く分布していると考えるべきである.現状の被害報告件数から類推して,日本全国で数千軒以上の被害家屋があると思われるが,その被害は家屋上部,特に屋根部材に集中して発生する.食害行動や樹種嗜好性,および好適摂食環境条件などにおいて,アメリカカンザイシロアリはイエシロアリやヤマトシロアリとは大きく異なっていた.イエシロアリやヤマトシロアリを対象とした現在のシロアリ防除システムではアメリカカンザイシロアリに適切に対応することは不可能であり,新たな防除マニユアルの作成が早急に望まれる.これ以上の被害の拡大を防ぐために,行政-研究者-業界団体-薬剤メーカー-施工業者がスクラムを組んで真摯に取り組む必要がある.
著者
中野 敬一
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.94-96, 1994-12-20
被引用文献数
1

1993年の冬期と夏期から秋期に,東京都内の地下鉄駅において,昆虫等の生息および生息の痕跡の有無を確認し,気温と相対湿度を測定した。昆虫等の生息率(生息確認箇所/調査箇所)は冬期で25.4%,夏・秋期で44.8%であった。生息の確認された昆虫等は,チャバネゴキブリ,チカイエカ,オオチョウバエ,ホシチョウバエ,ユスリカsp.,ガガンボsp.,ノミバエsp.,ハエトリグモsp.,ウズグモsp.,であった。地下空間の広域化と複合化は,昆虫等の生息場所の拡大と最適な温度環境の提供を促進すると考えられた。

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著者
家屋害虫研究会 [編]
出版者
家屋害虫研究会
巻号頁・発行日
1979
著者
田村 正人
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.25-36, 2002-07-30
参考文献数
39
被引用文献数
1

本稿は1940~1952年の農村に於ける伝統的な家屋害虫の防除法,とくに土用干し,ハエ(蝿),カ(蚊)およびネズミ(鼠)の駆除法に対してIPMの光を当てることを目的として総括した.人と昆虫との関わりは古く広く深いので,生活の向上と安定化の歴史は「文化」を生んだものと考えられるので,語源や由来についても若干の考察を試みた.また本学会では,過去5年間「家屋害虫のモニタリング」を年次大会のメーンテーマに連続とり上げているので,ネズミのモニタリングについて,ラットサインによる生息の確認と,記号放逐法や捕殺除去法による個体数の推定を,わかり易く解説した.モニタリングによって防除の要・不要を判断し,さらには防除効果の評価も可能となる.