著者
大野 知子 濱田 義和 中塚 静江 飛田 寿美子 三浦 英夫 長鶴 佳子 北井 夏子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.71-80, 1990-04-01 (Released:2019-07-01)

1)対象者の94.1%が昼食を「職場内食事」あるいは「外食」に依存していた.2)「職場内食事」は,各年代とも給食の利用が多く,取り寄せ物は50代が,手作り弁当は30代が他の年代に比べて多かったが,テイクアウト物はどの年代もほとんどみられなかった.3)外食店舗は,各年代ともうどん・そば店の利用率か高く,店舗の選択理由も「手軽・迅速」を挙げた点からも納得できる.4)昼食費は,週5〜6回以上では600円未満が,それ以外の頻度では600円以上の者が過半数を占め,月2〜3回程度の者には低額喫食者層と高額喫食者層の二極にわたってバラツキがあった.このことから,喫食頻度と昼食費は相互に関係していると推察できる5)料理の平均選択数は,低年齢層あるいは低頻度の者のほうが多くなる傾向にあった.6)年代・頻度別に選択した料理の種類では,低年齢層と高年齢層の2つのクラスターが形成された.7)サラリーマンの外食での昼食は,定食・うどん類・そば類・ラーメンなど選択の容易さで済まされている傾向にあった.
著者
江上 いすず
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.35-43, 2001
被引用文献数
1

わが国の高齢化の進行は世界一であり, それだけに高齢者対策は急務を要する.高齢社会においては, 第1に高齢者の疾病予防・健康増進対策, 第2には, 高齢者のライフスタイルとして, 自己の成長と子育てが終わり, 残りの人生をいかに楽しくすごすことができるかという余暇活動の充実があげられる.このような現在の高齢者が直面するさまざまな問題を踏まえ, 高齢者のQOL(生活の質)を高めるには, 高齢者にとってどんな要求課題が考えられるか, また, 必要課題は何なのか, これらを検討することを目的とする.第1章には高齢者の疾病予防, 第2章には高齢者の生きがいとして高齢者教室の事例報告などを記述し, これらを背景として第3章に高齢者における要求課題と必要課題を提言する.特に, 高齢者の要求課題としては, 地域社会での仲間作り, 老人会等の充実・活性化がある.また, 生涯教育の第一線となる各種高齢者対象の教室も, 現在の日本が直面するあらゆる問題について, 今後は世代を超えた教育の場が望まれる.高齢者の必要課題としては, 高齢者自身による疾病予防・健康増進の具体的な実践であろう.また, 余暇活動として中高年期からの早めの生涯教育を実施することで, 高齢期につなげた長期に及ぶ学習意欲の継続を図ることが必要である.21世紀のわが国は, 5人に1人が高齢者という超高齢社会をポジティブに受けとめ, 国, 地域, そして, 高齢者自身が一体となってQOLを高めることが重要であると考える.
著者
芳本 信子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.141-149, 1996

近年, 日本の食文化は「飽食」「食の簡便化」「外食化」あるいは「食の外部化」などの流行語に左右されるような食生活の変容がみられる.この現象は, 1960年頃からの産業構造の高度化と家庭の幸せを重視したマイファミリー家族の誕生した時代に由来する.加工技術の進歩によって開発されたインスタント食品, また, 1985年秋から始まった肉類や乳製品の輸入枠の拡大による異食文化との接触やマス・メディアによる多彩な情報によって, 生活はますます豊かになった.そして, これらに深く関わっていると考えられるのが, 象徴的に増加を続ける動物性脂肪である.それは同時に潜在性疾患に続く, 慢性疾患(成人病)の増加を招き, 疫学的調査においても, それらは相関関係にあることが立証されるようになった.厚生省をはじめとする各省は危機感をもって, 日本国民全体の食生活の内容を指導する提言をまとめた.このような日本における食文化の変容の過程に介在する人間(特に母親)が環境と主体的にかかわる生活の中で, いかに食文化変容にかかわっているのかの検討を各種, 文献を用いて試みた.母親を通して, 好ましい食文化が, 各世代ごとに適切に認識されることは, 個人の健康のみならず, 社会全体の健康を約束することになるからである.
著者
下田 隆信
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.59-62, 2003

ポリウレタンを常圧下と加圧下の各種条件で熱分解を行い,有効成分の回収を目的とした場合の生成物に対する反応諸条件の影響について検討した.常圧および加圧熱分解において,ガス状生成物の主成分は二酸化炭素と,低級炭化水素はメタン,プロピレンの生成が各条件とも特に多く認められたが,反応温度400℃,常圧法では1,3-ブタジエンの生成は多くなるが,加圧法では温度上昇とともに消失した.液状生成物については,常圧法の主成分はテトラヒドロフラン(以下THFと略記),シクロペンタノン,アニリン,p-トルイジンおよび1,4-ブタンジオールであった.加圧法では,THF,アニリンおよびp-トルイジンで,シクロペンタノンの生成は微量であり,1,4-ブタンジオールの生成は認められなかった.
著者
石田 和夫 三浦 英雄
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.43-48, 2000

1997〜1999年の3年間にわたり, 本学学生399人を対象に水洗い, セッケン, 0.2%塩化べンザルコニウム30秒間及び数秒間浸漬, 70%エタノール, 薬用Mセッケンの6通りの方法で手指を洗浄または殺菌消毒させ, 手洗い前と手洗い後の手指の生菌数の比較を行った.その結果, 0.2%塩化べンザルコニウム30秒を除いては, 手洗い後に生菌数が増加する傾向が見られた.また殺菌消毒後にも残存検出された菌株について簡易同定を行ったところ, 皮膚常在菌と思われる<i>Staphylococcus</i>属の細菌が約80%を占めていた.またこれら残存した菌株について殺菌消毒剤に対する抵抗性を調べたところ, 一部<i>Bacillus</i>属を除いて, 抵抗性はなかった.以上の結果より, 殺菌消毒剤を使って手洗いを行った場合, 残存検出されるものは手指の皮膚において圧倒的多数を占める常在菌群であり, 一時的に付着した病原細菌等は殺菌除去できるものと示唆された.
著者
加藤 恵子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.81-88, 1990-04-01 (Released:2019-07-01)

精神作業の疲労回復に及ぼす運動の効果については18才女子12名を対象に実験を行った.休息の前後に精神作業として内田クレペリン精神作業検査を実施した.休息に,軽運動をとり入れた積極的休息群と消極的休息の統制群の2グループに分け,その検査成績を比較した.又,行動の区切り毎に産業労働研究会自覚症状調査用紙による疲労度の調査を合わせて実施した.その結果,次のことが明らかになった.①精神作業の正答数について,積極的休息群は休息後,明らかに成績は良くなっており逆に統制群は成績が悪くなっていた.正答数の変化量を比較したところ,0.1%の危険率で有意差が認められた.従って軽スポーツ実施による積極的休息は精神作業の疲労回復に有効であることがわかった.②誤答数については積極的休息群は休息後減少しており,統制群は逆に増加していた.この変化量について検定したところ,1%の危険率ではあるが有意差がみられた.ここでも積極的休息の効果が認められた.③疲労度の自覚症状検査結果から,全体的に統制群の疲労訴え率は高かった.特に統制群の消極的休息後の訴え率は高く,積極的休息群の訴え率との間に2%の危険率で有意差が認められた.又,積極的休息群の軽運動実施後の自覚症状の訴え率は非常に低く,自覚的に疲労状態はないという結果であった.
著者
國友 宏渉 江上 いすず 長谷川 昇 鈴木 真由子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.75-79, 1999-03-31 (Released:2019-07-01)

日々の生活習慣が健康に与える影響は大きいといわれる.誤った生活習慣は年齢に関わらず, 生活習慣病と呼ばれる厄介な病気につながることがある.このことは大学生の学生生活, とりわけ不規則な生活スタイルに陥りやすい学生にとっては重大な問題である.そこで本研究は, 学生の生活習慣と健康状態との関係に着目し, どのような生活習慣が健康に対してどれだけの影響力をもつのか, また各生活習慣要因の相対的な影響力の位置関係がいかにあるのかについて明らかにしようとした.本調査によって得られたデータを分析した結果, 学生生活において日常的かつ基本的な生活習慣, 特に食生活に関わる習慣が健康状態を大きく左右する要因として浮かび上がった.中でも, 「食事の規則性」, 「睡眠時間」, 「欠食」などの要因が相対的に大きな規定力をもって現れた.また, 毎日の食品摂取の在り方においても, 「清涼飲料」, 「インスタント麺」, 「菓子類」等の過剰摂取が健康状態にマイナスの因子として働いていることが示唆された.
著者
長谷川 孝子 沼沢 忠祐 松谷 みゆき
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.17-24, 1988
被引用文献数
1

市販の食パン,フランスパンのレオメータ一による弾性率と水分量及び水分活性を測定し,パンの硬さと水分の関係を明らかにした1)パンの弾性率は保存につれて増大するとともに水分量は減少した.2)パンの水分減少につれて,水分活性の低下がみられた.特にフランスパンにその傾向が大であった.3)フランスパンではパンの弾性率の増加につれて水分活性の低下がみられたが,食パンにはその傾向はみられなかった.終わりに,本研究はエリザベス・アーノルド財団の研究費助成によった.また本研究に対し,ご好意を賜わったフジパン株式会社なちびに同財団及びご指導頂いた諸先生に深く感謝の意を表す.
著者
林 慶雲
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.25-36, 1999-03-31 (Released:2019-07-01)

香港は, 1997年7月1日, 約150年にわたるイギリスの植民地の歴史を終え, 中国に返還された.返還後の香港は, 社会主義の国に戻ったが, 確立している資本主義的な経済体制, 自由主義的な社会体制をそのまま維持することになっており, いわゆる「一国二制度」が実施されている.イギリスの植民地時代, 香港の会計制度ならびに会計制度の一部である財務報告制度は, イギリスのそれを範としたものと思われる.しかし, 中国への返還が確実となった1980年ごろからは, 多くの香港企業が返還という現実を見こんだ企業行動をとり始めた.そのなかの1つは, さらなる経営国際化である.企業経営国際化の進展にともない, 資本市場の国際化が一層促進され, そのため, 財務報告制度の国際調和化問題も問わされるようになった.本研究は, 香港における財務報告制度を, 香港の特別な社会状況との関連から考察し, その制度の特殊性や国際会計基準との調和化などについて検討するものである.
著者
松田 康子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.151-155, 1996-04-01 (Released:2019-07-01)

ヘミングウェイのIn Our Timeが出版されたのは1925年で, 世界大戦の間の世界中が混迷している時代であった.この作品は15編の短編から成っているが, そのなかの8編に登場するNick Adamsは物語をおうごとに少年から青年へと成長していく.なにもかも未経験のNickは父や母の影響ばかりでなく人間の生と死に直面し, なにか大きなものに導かれながらはっきりとした目的を持った大人になっていく.作者のHard-boiled非情な文体で描かれた我らの時代は, 戦争の悲惨さや無秩序な社会を読者に伝えている.たんたんと描かれたシーンであればあるほど読者の想像力を刺激する.この作品の中のとても短いイタリック体で書かれた部分は特に悲惨な戦争や闘牛士の場面が多いが, 作者は題名のないこの部分とNickの成長のようすを意図的にちりばめて短く鮮烈な印象を読者に伝えている.世界大戦後の先の見えない時代にNickの成長の姿が明るい希望となっている.
著者
関川 靖
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-66, 1997-04-01

平成8年4月に保険業法が, 45年ぶりに改正された.これにより, 生命保険業の規制緩和が実施されるようになった.しかし, この規制緩和は, 金融自由化からの影響や消費者のニーズ及び経済環境の変化からそれに対応する経営方針の変化が不可欠であるため, 必要に迫られて生じたものと言われているが, 必ずしもそうではないと考えられる.この規制緩和は, 外国からの圧力や規制緩和の時勢と平仄を整えるために, そして政府の失敗を解消するために行なわれたのではないかと思われる.規制緩和は, 本来資金の効率的配分と消費者に利益をもたらすことを目標とするものであるが,実際にこの保険業法改正に於いてこのことが必ずしも該当するとは思われない.規制緩和の最初の段階だからといって, 規制緩和の方針が不明確で良いとは言えない.どこまで規制緩和すれば, 消費者の効用が最大になるかを明示すべきである.本論文は, 保険業における規制緩和の要因を明確にし, この規制緩和が経済環境の変化によるなものかどうかを検証するとともに, 保険業の特殊性も考慮に入れて規制緩和の範囲を明らかにするものである.
著者
小俣 謙二
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.9-16, 1992-04-01 (Released:2019-07-01)

本調査ではCook(1970)によって報告された座席選択行動をもとに,日本人の学生のさまざまな状況での座席選択行動を質問紙法を用いて検討することで,日本人の空間行動の特徴を明らかにした.質問紙ではさまざまな心理的に異なる状況で,親しさの異なる相手(異性または同性の見知らぬ人,友人,極めて親しい友人)と同席する際の座席選択を尋ねた.その結果,Cook(1970)の結果とは異なり,横並びの席と離れた席が主として選択され,その使い分けは状況には関わりなくもっぱら相手の親密度に応じてなされていることが示された.この座席選択の傾向はできるだけ相手との視線を少なくしようとする日本人学生の心理特性を反映したものと解釈された.
著者
松田 秀人
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.13-17, 2001-03-31 (Released:2019-07-01)

咀嚼筋(咬筋と側頭筋前部)の活動度と咀嚼能力の関係を調べた.女子大生(19〜20歳)126人を対象として, 咀嚼能力を咀嚼能力測定ガムで測定した結果, 咀嚼能力が強い群が18名, 咀嚼能力が標準の群が92名, 咀嚼能力が弱い群が16名であった.各群の咀嚼筋の活動度を皮膚温の上昇度として把握した.皮膚温はサーミスター温度計で測定した.皮膚温の測定部位は, 咬筋中央部(左右)と側頭筋前部(左右)の合計4ヶ所とした.皮膚温測定中の咀嚼は, 咀嚼ガムを用い, 各自の一定のリズムで10分間咀嚼させた.その結果咀嚼能力が強い群は, 普通群や弱い群に比べて皮膚温の上昇度が有意に高いことがわかった.したがって, 咀嚼能力が強い群ほど咀嚼筋の活動が高く, 咀嚼能力が低い群ほど咀嚼筋の活動が低いことが判明した.
著者
上田 實
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.45-54, 1995-04-01 (Released:2019-07-01)

百貨店「松坂屋」は, 平成5年度の売上高4,594億円, 従業員7,797名, 10店舗を有する業界第4位, 我が国の代表的な百貨店である.江戸時代に創業して今なお百貨店として発展を続けているのは三越(創業1673)大丸(1717)高島屋(1831)松坂屋の僅か4店に過ぎない.なかでも松坂屋の歴史は最も古い.初代伊藤源左衛門祐道が慶長16年(1611)ささやかな呉服店を創業.爾来伊藤次郎左衛門家の家業として, 仏教の精神を経営理念とし, 御用商人として尾張藩主の愛顧をうけ, 緊密な主従関係, 信用と名声を得て発展して来た.明治時代に入って伊藤銀行を設立して経営に成功.地方財閥としての姿を整えた.小論では伊藤次郎左衛門家の家業について, 生成から明治期の地方財閥の形成に到るまでの, 当主の企業者活動を展望し, 連綿として維持・継続させた来たその要因を明らかにするものである.
著者
日比野 久美子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-15, 2004-04-01 (Released:2019-07-01)

機能性食品という名称と概念は世界に先駆け日本から発信されたものである.機能性食品の研究と開発の進展に伴い,食品中のフラボノイド・テルペノイド・揮発性物質などの非栄養性成分が疾病予防の上に有する機能を科学的に解明する研究が増加している.文部科学技術省は世界に先駆け非栄養性機能物質の体系化を目指し,食品成分表に記載されている植物について,フラボノイド・ポリフェノール類,テルペノイド・カロテノイド類,含硫化合物・揮発性成分・香辛物質等の含量と機能を分析・体系化して,現在試験的に"機能性食品因子データベース"としてホームページで公開している.これらの機能性成分は植物の二次代謝物質であり,様々な環境ストレスに対する植物の防御物質として機能していることが明らかにされつつあり,これらの物質については今後学際的な研究の広がりが期待される.
著者
長谷川 孝子 沼沢 忠祐
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.65-69, 1990-04-01 (Released:2019-07-01)

パンの水,砂糖の配合差及び乳化剤の添加が及ぼす影響をパン生地,調製パン,1日保存パンについてレオメーターによる弾性率の物性値と水分量を測定した.またパンについては水分活性も測定し,パンにおける配合差を物性値と水分量から明らかにした.1)調製パンの水分量は水添加の高いものが高く,砂糖添加3%と6%の差は焙焼,保存時とも6%添加が水分の蒸散を抑える傾向がみられた.2)乳化剤によって,焙焼,保存時とも水分の蒸散を抑える効果があった.中でも1%モノステアリン酸グリセロール添加の効果が高かった.3)パン生地の弾性率は水添加量と反比例した.4)調製パンの弾性率は砂糖添加量に大きく関係し,6%砂糖添加が3%添加より弾性率は低く,軟らかいパンであった.また6%砂糖参加では1日保存で弾性率の上昇を抑える効果が著しかった.5)乳化剤添加のパン弾性率は無添加パンに比べ,焙焼,保存時とも低かった.中でも1%添加がその効果が大きかった.6)パンの水分活性は1日保存によっパン中の水分量は減少したにもかかわらず,上昇傾向を示した.終りに本研究はエリザベス・アーノルド富士財団の研究費助成によった.また本研究に対し,ご好意下さいましたフジパン株式会社ならびに同財団及びご指導頂いた諸先生に深く感謝の意を表します.
著者
下田 隆信
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.59-62, 2003-05-29

ポリウレタンを常圧下と加圧下の各種条件で熱分解を行い,有効成分の回収を目的とした場合の生成物に対する反応諸条件の影響について検討した.常圧および加圧熱分解において,ガス状生成物の主成分は二酸化炭素と,低級炭化水素はメタン,プロピレンの生成が各条件とも特に多く認められたが,反応温度400℃,常圧法では1,3-ブタジエンの生成は多くなるが,加圧法では温度上昇とともに消失した.液状生成物については,常圧法の主成分はテトラヒドロフラン(以下THFと略記),シクロペンタノン,アニリン,p-トルイジンおよび1,4-ブタンジオールであった.加圧法では,THF,アニリンおよびp-トルイジンで,シクロペンタノンの生成は微量であり,1,4-ブタンジオールの生成は認められなかった.
著者
小林 あづみ
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.63-74, 2001-03-31

亭子院歌合とは,延喜一三年(九一三)三月一三日に宇多法皇によって催された,史上初の内容の整った晴儀歌合として注目される。主催者宇多法皇は,一旦源姓を賜った後に即位した異例の天皇であり,その後菅原道真等を重用し「寛平の治」と呼ばれる親政を行った人物である。譲位の後には仁和寺で出家し,初の法皇となるが,仏道修行とともに,朱雀院・亭子院・六条院・宇多院といった諸院にも住し,多くの風流行事を催した。本歌合はそのうちの一つであり,宇多退位後のもっとも大がかりな風流行事として知られている。本歌合については萩谷朴氏の「平安朝歌合大成 増補新訂 一」(平成七同朋舎出版)に詳細な本文研究がある他,峯岸義秋氏の「歌合の研究」(三省堂 昭和二九)をはじめとする歌合全体の研究のなかで,その行事次第・役柄,あるいは後世の歌合にない和気藹々とした雰囲気についてコメントされていることが多い。もちろん本歌合はそれだけではなく,歌合日記の存在・多様な参加者・服飾や装飾品・「古今集」以下多くの和歌集に入集したレヴェルの高い和歌表現など様々な角度からの考察が可能である。
著者
加藤 恵子 三浦 英雄 藤田 公和
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
no.28, pp.31-37, 2004-05
被引用文献数
1

飽食の時代である今日において運動不足も加わり生活習慣病の問題が深刻になってきた.このような時代において健康への意識は高まり,栄養への関心が高まった.また若者の間ではマスメディアの影響を多大に受け身体のスリム化現象がいわれており偏った食への関心が出てきている.ますます食生活への関心が高まってきたといえよう.そのターゲットにあがってきたのが栄養補助食品(以下,サプリメント)である.サプリメントはあらゆるマスメディアのターゲットになりサプリメントの効能を説くことによって消費者を煽っているのが現状である.本研究は愛知県私立短期大学体育研究協議会で実施された調査中の特に栄養士豚吹の女子短期大学生96名に着目しサプリメント利用実態を明らかにし,さらに食物摂取調査を実施し栄養摂取状況を探った.サプリメント利用者は31%,過去に利用したことがある者は47%で,いままでにサプリメントに関わってきた者が非常に多かった.利用頻度は毎日が40‰週1目が30%であった.ビタミン類を利用している者が多かった.また利用目的は美容のため57%,健康のためが半数いた.ダイエットのためと回答した者は少数であった.食物摂取調査から分析した栄養摂取状況は第6次改定日本人の栄養所要量と比較をしたが栄養素16項目中10項目が下回っていた.また食品群別摂取量についても基側直(健康栄養時報研究会編)と比較すると17項目中14項目が下回っていた.さらに三人栄養素比率でも脂質の比率が適正比率より高い傾向であった.これらのことから栄養士教育を受けている学生にも関わらず食物摂取状況は必ずしも良好とはいえない結果であった.効果の実感が薄い,もしくはわからないまま利用する,美容のために利用する,健康・栄養のアンバランスをサポートする等でサプリメントを利用することが窺えた.サプリメントを利用することが栄養素の過剰摂取にも繋がりかねないため,適切な利用法を教育する必要性を痛感した.
著者
山辺 春雄
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.111-115, 1998-04-01

In this paper we discuss the stability characteristics of a laminar jet which has a rectangular velocity profile and is bounded by two planes parallel to the basic flow. It is founed that the neutral stability curve is similar to that of unbounded jet and the critical Reynolds number of the jet increases with reducing distance between plane walls.