1 0 0 0 OA 賴山陽と酒

著者
池田 明子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1, pp.32-36, 2013 (Released:2017-12-21)

筆者は著書「吟醸酒を創った男」で,この業界に知られる作家。北陸の古都・金沢に生まれ育ち,広島へ嫁いだのち,賴山陽に傾倒し著作も多い。「山紫水明」は山陽発明の語,山陽の晩酌は「酒に自分好みに水をブレンド」していた由。本解説を楽しく味わっていただきたい。
著者
李 大勇
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.124-129, 1992

本誌86巻9号に, 第1回国際酒文化学術討論会の様子を報告した。今回は同討論会の通訳を勤め, 坂口先生の「日本の酒」を中国語に翻訳紹介された筆者に, 歴史, 自然, 文化に恵まれた中国四川省の酒周辺について解説していただいた。本稿は筆者が, 自から日本語で書かれた文章なので, その実際と雰囲気を直に味わうのに充分である。
著者
山下 勝 金藏 満次 津田 達志 丹下 達也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.11, pp.874-879, 1991
被引用文献数
1 2

発酵調味料貯蔵タンクの底に, 冬期白色沈澱物が多量に析出した。これを分離し, 調べたところ, キサントプロテイン反応+, フォリン反応+であり, 薄層クロマトグラフィーのRfがチロシンと一致し, かつ赤外吸収スペクトルからもチロシンであることが確認された。<BR>析出が認められた発酵調味料は, アミノ酸度が7m1以上と高くかつチロシンも400-500ppm含まれていた。この高濃度チロシンが冬期の低温で溶解度が減少し, 沈澱物として析出したものと考えられた。<BR>発酵調味料を活性炭処理すると, チロシンが析出しやすくなった。活性炭処理をした発酵調味料は, チロシン溶解度が減少しており, 活性炭吸着物はチロシン溶解度を向上させた。活性炭に吸着されたアミノ酸を調べたところ, トリプトファン, フェニールアラニン, メチオニン, パリン, プロリン, シスチン, リジン, グルタミン酸, セリン等が多く認められた。これらのアミノ酸のチロシン溶解度向上力を調べたところ, チロシン溶解度を向上させるものが多く, 特に, トリプトファン, リジン, シスチン, グルタミン酸等は溶解度向上が著しかった。これらの結果から, 活性炭処理は, 各種アミノ酸を吸着除去するため, チロシンの溶解度が減少し, その結果, チロシンが析出することがわかった。<BR>アミノ酸以外にチロシンの溶解に関係する成分はないか調べたところ, エチルアルコール濃度が大きくなるとチロシン溶解度が減少することが認められたが, その他のグルコース濃度, 食塩濃度, 乳酸濃度, pH等はチロシン溶解度にはあまり大きく関与しなかった。<BR>チロシン析出防止法としては, チロシン含量を400ppm以下にすること, アミノ酸度を7m1以下にすること (アミノ酸度に比例してチロシン含量が減少するため), あるいはチロシンの溶解度を向上させるようなアミノ酸類 (カザミノ酸, 清酒古粕水抽出液等) を添加することが考えられる。一番簡単なのは, チロシン含量の少ない他の発酵調味料を添加することであるが, あるいは糖液を加えて火入れすることにより, メーラード反応を進行させチロシン含量を減少させるのも現場サイドでの実用的なチロシン析出防止法となり得ると思われる。
著者
野村 佳司 高橋 利郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.372-377, 2005-06-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

清酒には固有の色があり, 品質の4部であるともに風味のバロメータ4になっている。流通段階で清酒が過度に着色するとクレーム対象となるため, 日光着色については万全の対策が講じられている。一方, 着色は日光ばかりではなく蛍光灯によっても起こることはしばしば経験される。筆者らは蛍光灯による清酒の着色現象を詳細に調べている。本稿は着色の実態とその防止策について貴重な情報を提供している。
著者
柏 伸典
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.213-218, 1990-04-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

平成元年4月の酒税法改訂を機に, 日本の酒類市場は一気に国際化に向けて走り出したといえる。特に, ウイスキー市場は世界的な酒類資本のM &Aと絡み, 他の酒類以上に大きな変化を迫まられた。今後の市場展開には, 海外情報の適確な把握が必要といえる。
著者
小山 淳
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.746-755, 1997-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

昭和52年に全国的規模の市販清酒調査が国税庁鑑定企画官室と各国税局鑑定官室によって開始されてから平成8年で20年を経過した。調査結果はその都度発表され, 消費者が購入する時点での酒質を知る貴重なデータとして活用されてきた。今回は, 級別制度が廃止された平成4-7年度のデータを中心に, 主力製品, 吟醸酒, 純米酒, 本醸造酒ごとに紹介していただいた。今後の清酒の商品設計を考えるうえで, 貴重な基礎デ地タであり大いに活用できる内容と思われる。
著者
平田 大六 岡崎 直人
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.905-911, 1999-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14

最近, また酒の歴史を感じさせる出来事があった。新潟県関川村渡邉邸の土蔵から, 宝暦の古酒が発見されたと言うことである。本稿では, 歴史的な背景を踏まえ, 本古酒の成分値から見る, 造られた当時の酒について推論していただいた。
著者
高野 博幸
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.88-94, 1989-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

朝食のパンの香りと風味は, 人生の幸せを感じさせる。このパンの香りと風味は, パン屋の深夜作業からもたらさせる。パン製造業の従業員数別工場数をみると, 従業員5人未満が全体の53%, 従業員10人までの工場が全体の74%で圧倒的多数が中小企業である。パン屋の作業形態改良法として冷凍生地製パン法が工夫されているが, 通常のパン酵母は冷凍障害を起こし発酵力が下がる。これを克服したバイオテクノロジーとして, 冷凍耐性酵母が1970年代に日本で発見された。冷凍耐性のしくみも次第に明かにされつつあり, 工場生産への応用もはじまっている。凍耐性のしくみも次第に明かにされつつあり, 工場生産への応用もはじまっている。バイオテクノロジーが工業生産システムの改変をもたらしたよい例として, やさしく解説していただいた。
著者
工藤 デヴィッド
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.524-530, 2009-07-15
被引用文献数
1

1970年代より、ロサンゼルスやニューヨークなど、日本人・日系人が多く集まる都市を中心に到来した「寿司ブーム」は、カリフォルニア・ロールなど日本食でありながら日本人としては少々違和感を覚える「スシ」や「ロール(マキモノ)」を生み出し、今や「ブーム」から一般アメリカ人の食生活に溶け込んでいく様子すら見受けられる。生魚を食べる習慣がなかったアメリカ人に、海苔などを始めとする未知の日本食材への抵抗を減らすために裏巻きにし、アボカドやカニカマなど本来寿司には用いられなかった食材を用い、わかりやすいマヨネーズやホットソースのはっきりした味で和えることによって、ロール寿司は進化していった。「寿司ブーム」はその後、本格的江戸前すしに的が当たり、流行に敏感な大都市のメディアや富裕層に支持され、「マキモノ=スシ初心者、江戸前スシ=日本食通のための寿司」という構図が出来上がるが、今現在、広く全米の大衆に浸透しつつある「スシ」はロール類に他ならない。そして「寿司ブーム」はスシだけでなく、全米での日本食レストラン数の飛躍的な増加、日本酒・焼酎の到来、わさびや柚などの日本の調味料や薬味の提供など、多くの日本食文化を米国にもたらす結果となった。本稿では、日本食レストラン発展とそれに伴う日本酒の消費拡大と、今後の日本食業界と日本酒、焼酎の可能性について、北米で唯一のバイリンガルの日本食業界誌を発行する立場で、模索してみようと思う。
著者
Du DongDong 海老澤 香里 宮本 悠紀 吉永 真理子 上原 誉志夫
出版者
日本醸造協会
雑誌
醸協 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.126-136, 2014
被引用文献数
1

わが国の伝統的発酵調味料として「和食」の味を支えている味噌は,多くの生理機能成分を含むと考えられているが,同時に食塩を含むことから高血圧症の原因となるとして,消費者から敬遠され,消費量が年々漸減する傾向にある。しかし,最近の研究から,味噌汁として摂取する量では高血圧症の原因とはなりにくいことが解りつつある。味噌の食塩を敬遠するよりも味噌の成分がもつ機能性をより有用と考えて,おいしく食事をいただく方が,より健康によいことがわかり始めている。本解説では,味噌汁を摂取することが食塩による血圧上昇には直接つながらないことを動物実験により示し,むしろ味噌にふくまれる成分の複合的作用による血圧上昇抑制について解説していただいた。味噌には多くの成分が含まれ,それらの複合的作用について今後の研究へ期待が大いにもたれる。
著者
佐々木 定
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.84-91, 2005

日本経済に明るい見通しを期待する発表が出始めているが, 酒類業界においては酒類の総消費数量が減少傾向を示しており, 消費の伸びが期待できない材料が多く見受けられる。<BR>そこで, 総務省の家計調査を基に消費者の嗜好の変化や消費行動などについて分析を試みたところ, 若者の酒離れ, 低価格商品へのシフトといった傾向が顕著となっている。<BR>将来に向かって酒類市場が縮小していくと思われる中で, 流通を含めた酒類業界全体で業界構造を見直し, 低価格商品への依存から脱却して, 収益を重視した取り組みを考える時期が来ていると提唱している。
著者
宇都宮 仁 磯谷 敦子 岩田 博
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.12, pp.882-889, 2004-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
3

消費者に有用な情報を提供することを目的に, 専門家パネルの官能評価結果と分析値を基に重回帰を行い, さらにこの回帰式を単純化して甘辛区分判別式を定義した。AV=G-AAV: 新甘辛度, G: グルコース (g/dl), A: 酸度 (ml)(AV: 0.2以下を辛口, 0.3から1.0をやや辛口, 1.1から1.8をやや甘口, 1.9以上を甘口)清酒の飲用経験が豊富なパネル及び飲用経験が少ないパネルにより市販清酒の官能評価を行い, 甘辛表示と甘辛評価が異ならないことを確認した。
著者
岩野 君夫 三上 重明
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.791-796, 1988-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
35
被引用文献数
4 5

麹造りにおいては, 清酒では黄麹菌が, 焼酎では白麹菌が, また泡盛では黒麹菌が使用されるが, 各麹菌は酵素力価やpH安定性など, それぞれ異なった特徴を有している。本稿では, 本格焼酎の製麹に用いられる「白麹菌」にスポットをあて, あらゆる角度から他の麹菌と比較検討した結果について解説していただいた。各麹菌の持つ特徴が, 詳細なデータで示されており興味深い。
著者
染谷 光男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.12, pp.974-979, 1999-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

醤油の国際化が進んでいる。キッコーマンは1973年に米国工場を建設したのを皮切りにアジアに2拠点, さらには97年ヨーロッパ工場, 98年米国カルフォルニア工場へと海外での生産拠点を設けている。今回はオランダのヨーロッパ工場建設の経緯と国際戦略, 特にヨーロッパを中心に事業展開の経緯を解脱していただいた。
著者
鮫島 吉廣 中島 雅樹
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.615-620, 1998-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

サツマイモは糖質原料と澱粉質原料の特性を併せもつユニークな醸造原料であるが, これまではもっぱら蒸留酒に利用されるに留まっている。そこで, 新しい醸造酒の開発に取り組んでいる筆者から「サツマイモ発泡酒」についてご紹介いただくことにした。
著者
松尾 眞砂子
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.619-626, 1996-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14

テンペはインドネシアが世界の食文化に貢献する最高のものとされ, 海外の研究者からも注目されてきた。そのテンペ菌を利用して発酵したおからの食材としての加工適性, 保存性および機能性について解説していただいた。