著者
青木 淳一 唐沢 重考
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.5-9, 2007-05-25
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

ササラダニ類イチモンジダニ科フタツワダニ属(新称)Fenestrellaには世界に2種が知られているが,今回沖縄本島から第3の種が見出され,新種として記載し,フタツワダニ(新称)Fenestrella japonicaと命名した.本種は後部背面にある「輪っか」が後方にまで伸びて一連の輪になっていることなどで,既知の2種と区別される.本新種を含め,本属の3種は全てアジアの亜熱帯-熱帯(ベトナム・中国・日本)から発見されている.
著者
清水 伸泰 野下 浩二 森 直樹 西田 律夫 桑原 保正
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.57-64, 2004 (Released:2005-06-15)
参考文献数
27
被引用文献数
5 8

未同定種Oulenzia sp. のヘキサン抽出物に警報フェロモン活性を認めた.ヘキサン抽出物は,2 種の未知化合物を含め,トリデカン,ネラール,ペンタデカン,ドデカン,3-ヒドロキシベンゼン-1,2-ジカルバルデヒド,ゲラニアール,(Z)-7-ペンタデセン,7-ヒドロキシフタライドの10 化合物で構成されていた.抽出物をシリカゲルカラムで精製したところ,活性フラクションにはネラールとゲラニアールが含まれていた.ネラール(1–1000 ng で活性)はゲラニアール(1000 ng でのみ活性) よりも強い活性を示すことから, ネラールを本種ダニの警報フェロモンと同定した.
著者
藤川 徳子 藤田 正雄 青木 淳一
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.2, no.Supplement, pp.1-121, 1993-04-25 (Released:2011-05-09)
参考文献数
532
被引用文献数
9 20
著者
國本 佳範 西野 精二 大辻 純一 有馬 毅
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.11-16, 1997-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
5

奈良県北葛城郡新庄町のキク圃場で, ナミハダニ黄緑型の寄主植物およびキク圃場での発生消長, キクへの寄生部位を調査した。1. キク圃場周辺の数種の雑草でナミハダニの寄生を確認した。2. 慣行の薬剤散布条件で栽培された2品種"紅葉", "リンカーン"上でのハダニの発生消長はピークの期間などに違いはあったが, おおむね一山型であった。3. 両品種とも収穫後の株や翌春伸長したシュートにもハダニが寄生しており, 挿し芽を経て, 苗に寄生したまま新しい圃場へと移動し, 繁殖した。4. キク上のナミハダニは定植後1ケ月以上経過した後の7月以降に急激に密度を増し, 9月ころにピークを迎えた。その後, 個体数は減少するものの, 2月でも寄生が認められ, 周年でキク上にハダニの寄生が認められた。5. キクへのナミハダニの寄生部位は, 植物の生育状況に左右されて変動した。
著者
田神 一美
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 = Journal of the Acarological Society of Japan (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.91-99, 2013-11-25
被引用文献数
1

本邦産のヒゲジロハサミムシ <i>Gonolabis marginalis</i> Dohrn, 1864(Dermaptera: Anisolabididae)に便乗しているヒゲダニの第二若虫を飼育して得られた第二若虫を第 1脚長が短いと言う相違はあるが<i>Histiostoma mahunkai</i> Fain, 1974と同定した.また,飼育から得た雌雄成虫形態を記載した.ハサミムシに便乗するヒゲダニに関する知見は,欧州産の <i>H. polypori</i> と <i>H. feroniarum</i> に偏っていたが,最近になって豪州産の3種類が追加され本種が新たに加わった.本種はアフリカのコートジボワールが原記載地である.ハサミムシとヒゲダニの便乗関係を更に詳細に調べる必要がある.
著者
田神 一美
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 = Journal of the Acarological Society of Japan (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.91-99, 2013-11-25
参考文献数
14
被引用文献数
1

本邦産のヒゲジロハサミムシ <i>Gonolabis marginalis</i> Dohrn, 1864(Dermaptera: Anisolabididae)に便乗しているヒゲダニの第二若虫を飼育して得られた第二若虫を第 1脚長が短いと言う相違はあるが<i>Histiostoma mahunkai</i> Fain, 1974と同定した.また,飼育から得た雌雄成虫形態を記載した.ハサミムシに便乗するヒゲダニに関する知見は,欧州産の <i>H. polypori</i> と <i>H. feroniarum</i> に偏っていたが,最近になって豪州産の3種類が追加され本種が新たに加わった.本種はアフリカのコートジボワールが原記載地である.ハサミムシとヒゲダニの便乗関係を更に詳細に調べる必要がある.
著者
後藤 哲雄 高山 健志
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.45-60, 1992-05-25
被引用文献数
10

オウトウハダニTetranychus viennensis Zacherには, 周気管の形状と雄成虫の体色, 産卵習性を異にする系統が存在する。これらは種内変異と考えられているが, 詳細には検討されていない。本研究では, 複雑な周気管を持ちバラ科樹木に寄生するリンゴとサクラ系統, および単純な周気管を持ちブナ科樹木に寄生するミズナラ系統が同一種であるかまたは別種であるかを明らかにする目的で, 寄主範囲, 増殖率, 生殖和合性およびエステラーゼザイモグラムを調査した。リンゴとサクラ系統の寄主範囲は非常によく類似していたが, ミズナラ系統とは明らかに異なっていた。ミズナラ系統の内的自然増加率はリンゴ系統と類似した値を示したが, サクラ系統の値よりは低く, ブナ科とバラ科寄生系統間の差は不鮮明であった。系統内交配およびリンゴとサクラ系統間の交配では雌雄の子孫が出現し, 和合性を示したが, バラ科に寄生する2系統とミズナラ系統の交配では雄の子孫のみが出現し, 生殖的な隔離が見られた。エステラーゼアイソザイムのバンドは, 3系統に共通する1本(E7)を含む8本が検出された。リンゴとサクラ系統では, サクラ系統に特異的な1本(E1)を除き, 共通する3本のバンドを示したが, ミズナラ系統はこれらと異なる3本のバンドを出現した。以上の結果から, バラ科に寄生するリンゴとサクラ系統は同一種であるが, ブナ科に寄生するミズナラ系統は明らかに別種であると結論された。
著者
春日 志高 天野 洋
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.31-42, 2000-05-25
参考文献数
15
被引用文献数
7 12

1999年3月8日から5月31日の期間に全国47都道府県を対象としてケナガコナダニ属のダニのホウレンソウ加害に関するアンケート調査を実施した.被害は北海道から九州までの広範囲で認められ, 施設栽培で早春と晩秋に発生するのが一般的だった.ケナガコナダニ属のダニはまれに大きな被害を引き起こすが, 季節的に限定された発生を示すため害虫としての重要性は比較的低く評価された.また, 最近5年間くらいで被害が認識されるようになった比較的新しい害虫であることが示された.被害傾向は「年によってまちまち」が50%, 「横ばい」が27.1%, 「年々増加」が18.8%, そして「年々減少」が4.2%だった.イナワラやモミガラの堆肥, 特に未熟堆肥の大量投入が発生を助長する傾向が認められた.さらに登録のある2薬剤の評価を求めたところ, DDVP乳剤の効果にばらつきが認められた.この原因は薬剤がダニの寄生する新芽部にかかりにくいためと考えられた.一方, DCIP粒剤の評価は比較的高かったが匂いが強いためか使用例は少なかった.郵送されたサンプルからダニを採取し同定したところ, ホウレンソウケナガコナダニが優占種であり, ホウレンソウ加害の主要種と考えられた.
著者
田島 隆宣 大橋 和典 高藤 晃雄
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.21-27, 2007 (Released:2007-06-06)
参考文献数
19
被引用文献数
3 6

個体群間の交流が可能な同所的に植栽されたキョウチクトウ,アジサイおよびヤマブキに発生するカンザワハダニ個体群が,それらが発生している寄主植物に特異的に適応しているかどうかを明らかにするため,これらの寄主植物における各個体群の成虫化率と産卵数を比較した.その結果,すべての個体群における成虫化率は,各個体群が利用していた寄主において利用していない寄主よりもはるかに高かった.また,産卵数も寄主として利用していた寄主で高い傾向がみられた.特に,毒性の高いキョウチクトウとアジサイの個体群間では寄主利用能力が著しく異なり,キョウチクトウ個体群はアジサイ上で,アジサイ個体群はキョウチクトウ上で成虫化率,産卵数ともに著しく低かった.このことから,これら2個体群間には寄主利用能力に分化がみられ,同所的にホストレースが形成される可能性が示唆された.また,それぞれの個体群が一方の寄主に特異的に適応する結果,他方に対する利用能力を喪失するというトレードオフの存在が示唆された.
著者
大滝 倫子 川上 裕司
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-28, 1998-05-25
参考文献数
7

1993年3月より, 1994年2月まで九段坂病院皮膚科を受診した20歳以上の新患患者1, 884名, および20歳以上の一般人1, 046名にダニ対するアンケート調査を行った.ダニが原因と思って九段坂病院皮膚科を受診した112名中ダニ刺されは1名のみであった.ダニあるいは昆虫に関係する症例は24名で両者合わせても22.3%にすぎない.過去のダニの被害の訴えは皮膚科患者では27.4%, 一般人では39.5%, いずれも女性に訴えが多かった.ダニ被害の有った人のうち皮膚科患者では男性17.2%, 女性24.8%, 一般人では男性11.1%, 女性18.6%が医師を受診しており, いずれも女性のほうが受診率が高い.医師により皮膚科患者では51.3%, 一般人では57.1%がダニないし虫刺されと診断された.ダニ被害ありとする人の50%(皮膚科患者), 80%(一般人)が殺虫剤を使っていた.殺虫剤の種類では畳注入式が一位を占め, 点火式燻煙剤がこれに次ぐ.
著者
酒居 勇太 須藤 正彬 刑部 正博
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-6, 2012-05-25 (Released:2012-06-25)
参考文献数
20
被引用文献数
3 5

ナミハダニが寄主葉の上面を産卵場所として利用しないことは,風雨や太陽光紫外線による卵への悪影響を回避するための適応だと考えられている.一方で葉面の表裏における栄養条件の違い,および上下の葉面において虫体に掛かる重力方向の違いが,ナミハダニの適応度に与える影響は十分に検討されていなかった.本研究ではインゲンマメのリーフディスク(単一葉面)を用い,その表裏および上下がナミハダニの産卵数に与える影響を評価した.葉表では葉裏よりも,下面では上面よりもそれぞれ産卵数が増加する傾向が支持された.しかし「葉表かつ上面」と「葉裏かつ下面」のリーフディスク間では,これら2因子の影響が打ち消し合い産卵数は拮抗した.すなわち葉面の栄養条件ないし重力方向について,単独でのボトムアップ効果は認められるものの,ナミハダニがインゲンマメ葉の上面(葉表)に卵を産まない理由にはならないと考えられた.
著者
斎藤 一三
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.139-140, 1997-11-25