著者
若林 素子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.20, pp.21-26, 2013-03

カリタ式ペーパードリップ法において、 湯を、 蒸らし時間を加えながら 4回に分けて注ぐ抽出法Iと、 同量の湯を一度に注ぐ抽出法IIによりコーヒー抽出を行い、 それぞれのカフェイン濃度の違いを HPLC により定量分析した。 コーヒーとしては市販の焙煎直後のブラジル、 コロンビアおよびマンデリンの 3種を使用し、 抽出直前に粉砕した。 抽出法 I では65-93 mg/100g、 抽出法IIでは48-55 mg/100gのカフェインが抽出液に含まれることが明らかとなり、 3種いずれのコーヒーにおいても、 抽出法 I においてはIIと比較して約1.4倍から約1.7倍有意に (p < 0.01) カフェイン濃度が高くなることが示された。
著者
谷口(山田) 亜樹子 山口 真由
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.19, pp.51-59, 2012-03-31

This study focused on female students to examine the trend of brown-bag lunch and surveyed the students' awareness of the factors considered while preparing lunch. This survey was conducted in 2009, and the participants were 72 freshman-year female university students. The survey results confirmed that the students brought a brown-bag lunch more than 70% of the time. Their reasons for bringing their own lunch were that it was "economical and thus one saves money" (60%) and that it was "good for one's health as it had well-balanced nutrition" (13%). In contrast, those who did not bring any lunch said that they did not wish to "prepare it and wash the lunchbox" (45%) and "there's no build" (27%). Fifty-three percent of the students prepared their own lunch, whereas forty-seven percent of the students would ask a family member to prepare it for them. Many students also prepared lunch for their respective families. The factors considered by the participants while preparing lunch included nutrition (38%), sanitation (29%), and the financial aspect (25%). While several students considered both nutritional balance and economic savings as important factors, many others focused only on the hygiene factor. Participants mentioned that they would also prefer a lunch box "that could keep food warm," "that was air tight," "that could hold soup without it leaking," "that was easy to clean," and "that did not hold steam pressure."
著者
伊藤 嘉奈子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.43-49, 2008-03

近年、フリーターやニート、ひきこもりなど、若者をめぐる様々な問題が取り上げられている。特にフリーターとニートに関しては、若年者をめぐる雇用の問題として、研究がなされるようになった。しかし、両者の定義ははっきりと定まっていない。そこで、大学生278名に対し、フリーターとニートのイメージについて、質問紙法にて回答を求めた。カテゴリー分析を行なった結果、大学生は、フリーターに比べて、ニートに対しては、ネガティブなイメージを持っていることが明らかとなった。したがって、両者について正しく理解することができるよう、大学においてキャリア教育や、若者の社会的問題への心理的支援などを実施することの重要性が示唆された。
著者
桐生 直幸
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.63-73, 2008-03

本研究では、英語授業を受講している心理学専攻の大学生32名を対象とし、授業改善の一環として授業評価アンケートを実施した。学生による授業評価、学習の自己評価、および授業に対する満足度・理解度の関係を、興味に焦点を当てながら分析した。分析の結果、以下の点が明らかとなった。(1)自己評価に影響を及ぼす要因のうち、興味に関しては「学習内容に対する興味」と、「英語に対する興味喚起」の2つの要因に分けられる。(2)授業の満足度に影響を及ぼす要因は授業回によって異なるが、主たる要因として「授業の展開方法・内容の適切さ」と、「学習内容に対する理解・興味」の2つが挙げられる。
著者
吉岡 範武
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The Journal of Kamakura Women’s University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.29-45, 2019-01

本研究はエディプス的テーマに焦点を定め、関連する先行研究も踏まえながら、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』というテキストに現れる無意識の諸相について論じる。まず、父フョードルと息子ドミートリイが女性と金をめぐり争うドラマのレベルと、イワンとアリョーシャが神と正義をテーマに議論する形而上的レベルを措定した上で、ドラマレベル、形而上学レベルでの「parricide」をめぐる登場人物たちの隠れた欲望に光をあてる。その際、必要に応じて、十九世紀ロシア社会の背景と近代ヨーロッパとの比較対照も視野にいれる。
著者
柴村 抄織 Saori Shibamura
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.21, pp.128-114, 2014-03-31

源氏物語篝火巻には源氏から玉鬘への贈った歌がある。 源氏は、 自分の心情を庭園の篝火の煙に喩える。 玉鬘も、 玉鬘自身の状況についての考えを空と煙の和歌で返歌する。 紫式部は、 この表現によって玉鬘の人物造型を巧みに描写している。 この表現の調査によって、 贈答歌の新解釈を行った。
著者
牧野 久実
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The Journal of Kamakura Women’s University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.73-80, 2019-01

本稿は、伝統的な大木桶の建造に和船建造の技術、特に板の擦り合わせ技術が用いられたという仮説(牧野 2017)を検証する論考である。板の擦り合わせ技術に重要な材料となるのは槇の檎皮を縄状にした槇肌であるが、今回日本で唯一醤油大桶の製造を手掛ける職人に聞き取り調査を行い、かつては槇肌を用いていたことを確認した。 これまで竹釘のみで材を合わせ、漏れ出る醤油で材が膨らむことで合わせ目が閉じるということが定説だったが、今回得られた証言は醤油桶の建造のみならず、かつての槇肌の利用や製造に関してより広範囲に調べる必要を示唆する重要な証言と言える。これに関連して、槇肌の利用に関する現存資料や史料を整理した。
著者
橋本 吉貴
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The Journal of Kamakura Women’s University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.47-57, 2019-01

本研究では、算数・数学と音楽に関連した先行研究や書物を通して、どのようなことが論じられているのかを明らかにするとともに、算数・数学と音楽が、どのような場面で活かされているのか考察した。 その結果、ピタゴラス音律や平均律等が算数・数学と深く関連していることや、音符の計算やフレーズの読み取り、リズムの変化等について、トピック教材として扱うことが可能であることが明らかになった。 今後の課題は、学生自身が算数・数学に興味を広げて指導できるように、ピタゴラス音律などの追体験を通して、算数・数学と音楽との関連性について実感できるようにすること。また、算数・数学と音楽以外の教科との関連で考察を行うことである。
著者
福田 喜一郎 Kiichiro Fukuda
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.13, pp.39-50, 2006-03-31

Kant stand nach seiner Aufklärung-Schrift (1784) verschiedenen Schwierigkeiten gegenüber. Seine Unterscheidung zwischen dem öffentlichen Gebrauch und privaten Gebrauch der Vernunft wurde von Hamann streng getadelt. Kant wurde danach in den Spinoza-Streit zwischen Jacobi und Mendelssohn hineingezogen und für Atheisten gehalten. Ferner gab es heftigen Angriff der Schwärmer auf die in Berlin entwickelte Aufklärung. Kant hat in dieser Phase seine Orientierung-Schrift (1786) geschrieben, um die Idee von seiner Aufklärung in praktischer Absicht zu erklären. Seine Idee wurde neu als "Selbstdenken" vorgelegt, dessen Maxime heisst: "den obersten Probierstein der Wahrheit in sich selbst suchen".
著者
前野 澄子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.12, pp.63-70, 2005-03

John Schumann studied the progress of English language acquisition by Alberto, an immigrant from Puerto Rico. After ten months of research, Schumann found that Alberto showed little progress. Alberto's utterances were strikingly similar to pidgin English, baby talk or foreigner talk. After studying Alberto, Schumann proposed his Pidginization Hypothesis of second language acquisition. In the current climate where English is becoming regarded as a world language and non-speakers of English use English as a communication tool, Schumann's hypothesis seems to shed a new light on the study of changing English.
著者
大滝 世津子 Setsuko Otaki
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.22, pp.13-22, 2015-03-31

本研究は幼児の性自認に関する諸理論に対し、 社会学的観点から批判的検討を加えることを目的とし、 有効性と限界を検討した。その結果、 以下の点が明らかになった。 (1)発達同一視理論、 ジェンダー発達理論、 パーソンズの社会化論は、 家庭内における大人-子どもという垂直軸を基本としており、 子ども同士のピアという水平軸が含まれていなかったという点に限界があった。(2)社会的学習理論、 認知発達理論、 ジェンダー・スキーマ理論、 言語的認知説は、 家庭外における大人や仲間の影響を指摘している点に有効性があるが、 幼稚園や保育所のような組織的集団の中で生じた集団力学の影響等については説明していない点に限界があった。
著者
梨本 加菜
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The Journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.15-27, 2019-01

青少年の放課後の文化活動に対する関心は、日本経済の深刻な状況や高額な学校教育費、また社会的・経済的に厳しい家庭を背景にしながら十分では無い。先行研究や優れた事例により、児童館や居場所事業、学校や公民館の「カフェ」、また博物館の教育活動の有用性が明らかになっている。障害者の文化活動も重要である。青少年の自主的で固有の活動と文化の観点から、発展的な研究が行われる必要があろう。
著者
東 ゆかり Yukari Azuma
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.21, pp.31-41, 2014-03-31

本研究の目的は、 東京女子師範学校附属幼稚園開設時に日本人初の保母となった豊田芙雄 (1845-1941) が歌詞を作成した保育唱歌 「六球」 について、 豊田自筆の6種類の文書の分析を通して、 従来の保育唱歌研究の中でその存在が謎に包まれていた 「六球」 の唱歌がどのようにして作られたのか、 その一端を明らかにすることにある。 文書の分析の結果、 9曲からなる 「六球」 の唱歌は、 最初の 1曲が作られ、 それに続けて赤色から間色までの 8曲がほぼ同時に作成されていたことがわかった。 特に、 赤色・黄色・青色の 3曲については、 何度も歌詞の推敲がおこなわれていたことが明らかになった。
著者
柴村 抄織
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The Journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.27, pp.66-53, 2020-03-31

『源氏物語』五十四帖中、浮舟は、手習巻で出家する。手習巻の自然描写は、浮舟の内面と関連し、『伊勢物語』八十二段と八十三段を受容している。紫式部は、『伊勢物語』の描写によって、聖と俗の境、人物の内面を描写している。
著者
東 ゆかり
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.24, pp.39-47, 2017-03

The aim of this study is to examine the creative process of Hoiku Shoka from the perspective of the Reijin, members of the Gagaku Department of the Court Ministry, who were engaged in its composition. The study was conducted by analyzing autographed manuscripts written by Fuyu Toyoda, a teacher at the Tokyo Women's Normal School Kindergarten who worked as a translator and lyric writer during the early Hoiku Shoka period. Originally, Hoiku Shoka began as a collection of educational songs for kindergarten instruction. It then started being used for various purposes, such as for Tokyo Women's Normal School students or unspecified audiences at concerts. The study reveals that the music composition quality underwent changes under the circumstances.
著者
薩摩林 淑子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.23, pp.17-29, 2016-03

I discuss the musical properties of Yoshinao NAKADA's 17 children's songs with lyrics by Hachiro SATO, through musical analysis focusing on the relationship between the poems and rhythm, melody, and harmony. As a result, I point out six characteristics of his composing style, from which I could derive three new features; compositions with repetitive lyrics, onomatopoeic words, and reverberation in the bridges. Finally, I discuss the significance of his works for children today from three points of view; cultivating emotions, encountering beautiful Japanese language, and the function of gate in the works of the art of music.
著者
前野 澄子 Sumiko MAENO
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.10, pp.159-165, 2003-03-31

19世紀におけるイギリスのアジア,アフリカヘの植民地政策,さらに20世紀後半のアメリカ合衆国の世界における政治・経済力の増大という二つの要因により,英語は世界共通語の地位を得たかに見える。英語は世界各地で使用され,それは必然的に地域の言語,社会文化の特性を色濃く反映した数多くの変種英語を生み出すこととなった。変種英語は言語学的にも英語の方言として認められ,世界中でこの分野の研究が盛んに行われている。今,英語は英語圏内外で大きな変容の時にある。英語の未来はいかなるものか,それが日本に及ぼす影響はいかなるものか。本稿では最近の文献を中心に本問題を概観する。The English language gained the status of a global language in the mid 20th century. As English has come to be used in various parts of the world, many modified Englishes have been born. These Englishes strongly reflect the culture of the local people. These varied Englishes, called New Englishes, are recognized as part of the English language family and are being studied by many scholars. English is changing rapidly. What is in store for the future of the English language and what influence will it have in Japan? This paper will provide a brief overview on these issues.
著者
山野 清二郎
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.142-135, 2008-03

河島皇子は大津皇子と莫逆の契りを交わしながら、大津皇子の謀反を密告した人物として『懐風藻』伝記は扱っている。一般に『懐風藻』の伝記は詩作品と関連性を有しているのに、『懐風藻』中に遺る彼の詩「山斎」は、この事件とは関係を持たない春の宴の詩と見られて来た。しかるに、語句の検証により、その詩は事件一、二ヶ月前の作と考えられ、伝の記述とつながってくることが分かる。大津皇子との親交によって、河島皇子はむしろ朝廷側から疑惑を招いた可能性があり、彼は莫逆の契りを守り、大津皇子を弁護することによって、かえって密告者の熔印を押される結果となったのであろうと思われる。
著者
吉田 啓子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.79-87, 2007-03-31

寿司製品は持ち帰り商品として人気があるが、品質および安全性の確保が難しい食品である。一方、それら寿司製品の消費期限は、経験に基づき設定している場合が多く、実態に合わせた科学的根拠のある期限設定が望まれる。そこで、データの蓄積を目的に、29種の寿司製品を対象にして異なる保存温度における微生物学的動態を調査した。その結果、微生物学的品質は、原材料の取り扱いと購入後の保存温度に影響を受け、製品個々の実態に合わせた期限設定が必要であることが認められた。
著者
谷口(山田) 亜樹子 ヒューズ 美代
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.20, pp.41-48, 2013-03-31

"女子大生132名を対象に、 2011年 4月に豆類の摂取に対する意識のアンケート調査を実施した。 アンケート内容は、 豆類の種類、 摂取頻度、 よく食べる豆料理や食品開発についてである。 調査対象者の83%が豆を好み、 46%がよく食べると回答し、 64%が週 1回以上摂取しており、 一人あたり平均4.2種類の豆類を認知していた。 よく食べる豆料理は和風料理が多く、 食べてみたい豆料理は洋風料理であった。 豆類の食品開発は、 従来の和風料理だけでなく、 外国料理、 菓子類についても取り入れ、 美味しさと栄養面の両方を求める消費者のニーズにあった新しい豆類の食品開発が必要であると考えた。 (2012年 9月28日受稿)"