著者
栗林 芳彦
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.123-132, 2013

西尾市は抹茶の生産量が日本一であり,多くの加工食品に西尾抹茶が使われているが,残念ながらその事実はあまり知られていない.他方,宇治抹茶の評価は極めて高い.今回実施した調査では,西尾抹茶がこれに対抗する糸口を探るべく,宇治抹茶が加工食品の原材料として使われた際もその高いブランド力を維持するかをインターネット調査を通じて調べた.結果としては,宇治抹茶を使った製品は産地を特定しない抹茶を使用した製品に比べて高い評価を得ていた.ただし,宇治抹茶の評価は日常的な抹茶への接触経験の多寡と直接的に関係がないことも明らかになり,消費者の食品ブランドに対する態度の複雑さを浮き彫りにすることになった.
著者
長谷川 聡 安井 明代 山口 宗芳
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.51-58, 2013-03-31 (Released:2019-07-01)

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の教育利用の可能性とソーシャルラーニングシステムの教育効果について名古屋文理大学における実践を通して述べる.SNS は iPad を使った講義や講演で講師と学生間のコミュニケーションに利用した.また,ソーシャルラーニングシステムは,モバイルシステム開発の授業で利用したもので,パソコン上で電子教科書にコメントを書きこむものである.コメントは,ネットワークを介して,教員,SA(学生アシスタント),授業の受講者だけでなく卒業生などからも書き込まれて共有された.本論文では,SNS やソーシャルラーニングシステムが大学教育でどのように利用されたかを紹介する.
著者
関川 靖
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.51-61, 2006

消費者は,基本的には標準的な経済理論の前提条件である所得制約・時間制約に従った合理的な行動をとるが,日々の生活における経済行動を考えると必ずしも合理的な行動をとっていないケースもある.このような消費者の非合理的な行動を,標準的な経済学によって分析することは困難であった.この非合理的な行動の分析は,経済学に心理学を導入した研究によって行われるようになった.そして,この研究は1980年代に活発化し,理論の精緻化が進み「行動の経済学」と呼ばれるようになった.本論文では,この行動の経済学が消費者の現実の経済行動を説明できるかどうかを検証するとともに,マクロ統計上に非合理的な行動が現れにくい要因も考察する.
著者
近藤 みゆき 後藤 由貴
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.39-45, 2012-03-31 (Released:2019-07-01)

電子レンジは,近年もっとも一般的な家電のひとつとなっている.少量の温めをはじめとする加熱に適するため,一人暮らしの若者や高齢者には欠かせない調理機器である.著者らは,本学平成23年度課外ゼミナールの課題として学生とともに「電子レンジ調理」に取り組んだ.「電子レンジ調理」に関する書籍を参考にし,様々な食材での調理法を試みた.この中で「スポンジケーキ」について詳しく調べた.この結果,電子レンジ加熱ではオーブン加熱に比べ加熱後の褐変がほとんどなかった.また加熱直後より冷凍保存後の方がしっとり感が増した.
著者
芳本 信子 吉川 祐子 吉田 久江 菅沼 大行 山根 理学 稲熊 隆博 内藤 敬子 内藤 耕太郎
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-7, 2007-03-31 (Released:2019-07-01)

トマトやすいかに含まれ, 強い抗酸化作用を有するリコピンの摂取が, 2型糖尿病患者の酸化障害を軽減する可能性を考慮して血糖値, 特に糖化ヘモグロビン(HbA1c)の変動に及ぼす影響を検討した.リコピン摂取前平均7.9%であったHbA1cは, 摂取1年後には6.8%に低下し改善が認められた.2型糖尿病患者の高血糖による弊害をコントロールする1つの方法としてリコピンの含まれている食品を継続摂取することの有用性が示唆された.
著者
内多 允
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.97-102, 2007-03-31 (Released:2019-07-01)

大豆は日本では味噌や醤油,豆腐や納豆等の加工食品の原料として消費量の多い,農作物である.また,大豆は食用油や家畜の飼料原料としても重要な農作物である.大豆の生産や貿易の動向が世界の食料供給に与える影響力は極めて大きい.特に近年は中国がさまざまな一次産品の輸入量を増やしているなかで,大豆の輸入も増加している.中国の大豆輸入増加には,ブラジル等の南米からの供給が米国を上回る実績をあげるなどその貿易構造を変える影響を与えた.本稿では,近年における大豆と大豆油の生産・貿易動向を取り上げる.また,これに関して世界の大豆貿易に与える影響が大きいブラジル・中国間の農産物貿易に言及する.
著者
近藤 みゆき 後藤 由貴
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.39-45, 2012

電子レンジは,近年もっとも一般的な家電のひとつとなっている.少量の温めをはじめとする加熱に適するため,一人暮らしの若者や高齢者には欠かせない調理機器である.著者らは,本学平成23年度課外ゼミナールの課題として学生とともに「電子レンジ調理」に取り組んだ.「電子レンジ調理」に関する書籍を参考にし,様々な食材での調理法を試みた.この中で「スポンジケーキ」について詳しく調べた.この結果,電子レンジ加熱ではオーブン加熱に比べ加熱後の褐変がほとんどなかった.また加熱直後より冷凍保存後の方がしっとり感が増した.
著者
平林 泰 長谷川 旭 長谷川 聡
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.57-64, 2007-03-31 (Released:2019-07-01)

安全で安心な大学を目指すうえで,大学キャンパス内の災害時・緊急時の避難経路に関する情報が,学生や教職員に十分に周知されることが不可欠である.本稿では,名古屋文理大学のWebサイトで携帯電話向けのキャンパス避難経路情報を提供するための,アニメーションによるビジュアルな避難経路情報コンテンツについて報告し,あわせて,災害・防災情報の携帯電話での提供の可能性と問題点について検討する.
著者
芦田 玉一
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.81-91, 2002-04-01

X線結晶構造解析法は結晶構造・分子構造を決定する最も有力な方法である.この方法は,発足は約90年前であるが,とくにこの30年ほどの間に大きく発展し,低分子の原子価電子の精密解析から,分子量100万を超えるタンパク質複合体までの広い範囲を研究対象とし,また構造解析の専門研究者だけではなく,周辺の,物性,材料,化学,生物,薬学,医学,鉱物等の多くの研究者も研究手段として利用するようになった.この間のこの分野の成果を紹介し,方法の発展のあとをレビューし,将来を展望する.
著者
大西 梨沙 内田 あや 加藤 恵子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.63-67, 2015-03-31

高齢者と高校生の菓子に対する意識についてライフステージ別の特徴を明らかにすることを目的とした.高齢者(65 歳以上)の女性28 名と,女子高校生75 名を対象に,菓子について質問紙法調査を行った.その結果,菓子を食べる頻度では,「ほぼ毎日食べる」が高齢者(46.8%),高校生(48.0%)と多かった.好きな菓子については,高齢者は,「米菓」や「まんじゅう」を好む者が多かった.高校生は「チョコレート」や「スナック菓子」を好む者が多かった.世代間で好きな菓子に違いがみられた.菓子について日頃気にしていることでは,両世代とも「おいしさ」が多かった.他に,高齢者では「糖分」,「脂肪分」,「塩分」,高校生では「値段」,「カロリー」を挙げていた.菓子を食べることは体や心にとって大切と思うかでは,「思う」が多く,その理由は,両世代とも「ストレス解消」「気分転換」「コミュニケーション」だった.世代間で好まれる菓子は異なっていても,菓子には「おいしさ」を求め,菓子を食べることは体や心にとって大切ととらえていた.菓子は両世代において「気持ち」の面でQOL の向上に寄与していることが推察された.
著者
佐久間 重
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.33-42, 2013-03-31

本論は,ラインホールド・ニーバーが彼の著作『人間の本性と運命』の中で正義をどのように解釈しているかを詳述したものである.ニーバーの解釈を通じて,キリスト者は社会的正義をどのように捉えているかを明らかにすることを狙いとしている.ニーバーは,歴史的状況の中で人間が正義を実現するための手段や,正義が確立した理想的な社会を提示することはない.社会の中で同胞愛の理想を求めながらも,歴史から戦争や悪政を取り除くのは不可能であるとしても,より高度の正義の実現に努力することが重要であるとしている.ニーバーにとって,正義の樹立に近づける現実的な状況が諸勢力の均衡状態である.
著者
宮地 忍
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.27-32, 2013-03-31

iPadが日本発売された2010年は「電子書籍元年」とも言われたが,さほど画期的状況が生まれたわけではなかった.各社のタブレット端末が相次いで発売された2012年が,改めて「本格元年」と呼ばれる年になるのかどうか.我々は,ヨハネス・グーテンベルグの"印刷術発明"(1455年ごろ)以来の文化的革命を同時代的に目撃する可能性もあるが,高度複雑な情報伝達力では,印刷の地位は揺るがないようにも見える.「印刷書籍」と「電子書籍」の将来を考察する.
著者
森 博 杉江 晶子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.71-78, 2006-03-31

筆者らは,平成11年4月名古屋文理大学情報文化学部発足時から,一貫して「マルチメディア」を中心にした「情報リテラシー」教育に取り組んできたが,近年急速に進歩し,学生達の必須アイテムと化した「カメラ付き携帯電話」に着目し,それをメディアコンテンツ作成時の入力デバイスとして活用した「メディアリテラシー」教育を提案するものである.カメラ付き携帯電話は,手軽な画像入力デバイスであるだけでなく,今後は,パソコンに変わって,テレビ,ラジオなどの受信媒体,ゲームマシン,音楽や映像プレーヤーになる可能性が高いため,それで扱うファイル形式の知識やデータ入出力技術の修得は,デジタルメディア社会における必要不可欠なメディアリテラシーといえる.本稿では,カメラ付き携帯電話で撮影した動画像をとりこんでショートムービーを作成するための具体的な方法と,実際に半期15コマの演習を行う場合のシラバス案を提示した.
著者
北越 香織 島 康久 堀江 緑 齋藤 由貴 見取 祐子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.143-146, 2012-03-31

The purpose of the present study was to evaluate the effects of Grifola gargal (mushroom)extracts on insulin resistance induced by high-fructose diet. 12 Male rats of Wistar strain aged 7 weekswere divided into 3 groups. That is 1) high-fructose diet group (Fructose 60% content; FRU), 2) highfructose + Grifola gargal group (FG) and 3) normal diet group (Control). The rats in 3 groups werebreeded for 4 weeks.Then, afterfasting for 16 hours, a sequential euglycemic clamp experiment with twodifferent insulin infusion rates of 6.0 (L-clamp) and 30.0 mU/kgBW/min (H-clamp) was performed. Theserum glucose concentration in each rat was maintained at the level of basal blood glucose concentrationsin the experiment. The glucose infusion rate (GIR) was assumed to be an index of the action of insulinfor 60-90 and 150-180 minutes. As a result, the FRU group and FG group markedly reduced GIRs inL-clamp experiment compared with Control group. However, a significant difference was not able to beconfirmed between FG and FRU groups. Consequently, the effects of Grifola gargal extracts were notshown. While, in H-clamp, GIR in FG group were increased by Grifola gargal extracts compared withFRU group, and reached the almost same levels as in Control group. Therefore, it was suggested t
著者
佐原 理
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.117-124, 2008-03
被引用文献数
1

インタラクティビティーの追求は今日の芸術に大きな影響を与えた.人間は視覚や聴覚,嗅覚,味覚,バランス感覚などの様々な感覚を通じて現象を捉える能力を有する.単一の感覚器で捉えられる現象はそのモノの認知に繋がる,しかし複数の感覚器から同時に得られる反応からは高度に複雑な感覚を得ることができる.感情と呼ばれる感覚はこの複雑な感覚の反応の頂点にあるものである.これらの複雑に絡み合った人間の感覚は複雑な反応をもたらし認知される.新しいテクノロジなどによって新たに拡張された人間の感覚としてのインターメディアアートはインタラクティブな反応を伴い,芸術の表現の一部として成立すると考える.この仮定に基づき,いくつかのコンセプチュアルなインターメディアアートを名古屋文理大学にて制作した.また,新たな芸術概念を文化の一部として定着させるためにはマスメディアがその多くの役割を通訳する形で担っている.芸術が文化の一部として社会に存在するのであれば,このことはインターメディアアートのような新たな概念にとっても重要な視点である.それゆえ,教育機関としての名古屋文理大学というローカルな場から,インタープリテーションプロジェクトを展開した.
著者
関 豪
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.147-153, 2001-04-01
被引用文献数
1

学生が大学でのキャンパスライフを満喫するためには,サークル活動等「課外の教育」が大きな鍵となると思われる.そこでサークル活動を活性化するにあたり,検討していくべき次の事項を提示する.1)サークル活動の基盤となる学生層の獲得,2)教職員の積極的な協力,3)サークル活動に携わる学生及び教職員に対する援助・補助規定の作成,4)学生及び教職員の組織作り,5)大学,自治会,同窓会の組織化等である.今後,以上の事項について検討を進めることにより,本学においてサークル活動の活性化が図られていくことを願うものである.
著者
関 豪
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.133-146, 2003-04-01

学生が大学でのキャンパスライフを満喫するためには,サークル活動等「課外の活動」が大きな鍵になると「課外活動における活性化の試案」で述べた.しかしながら,大学が設立されてから4年目を迎えた現在,サークル活動や自治会活動を積極的に取り組む学生は少ないのが現状である.そこで課外活動に関する本学学生の実態を明らかにすることを目的としてアンケート調査を実施した.有効回答495名(70.1%)の調査結果は,1.中学・高校時代を通じて課外活動を経験してきた学生は,それぞれ80%と62%であり,その活動を大学でも実施したいと希望している学生は46%であった.2.課外活動に携わっている学生は全体の26%にすぎなかった.活動している理由の約半数が,活動している種目や内容が好きであると答えている.しかし,活動しているにも関わらず,障害があると答えている学生は57%であった.3.活動しない理由は,活動したいと思うサークルがないと答えた学生が最も多く32%であった.これらの学生の約半数が新しくサークルをつくりたいと答えているが,つくるに当たり障害があると74%の学生が答えている.4.課外活動は人間形成に役立つ,友人を作る場となる,健康の維持増進に役立つ,忍耐力や根性をつける等と答えた学生は多かったが,進学や就職に有利であると答えた学生は少なかった.5.勉学以外に学生生活で興味を持っている学生は半数以下であった.6.本学学生の77%が運動不足を感じ,47%の学生が全く運動をしていない状況であった.7.約7割の学生がアルバイトに携わっており,週5日4時間の学生が最も多かった.8.平日の自由時間は,遊びもしくはアルバイトで過ごす学生が多かった.9.本学の課外活動についてサークルの数が少ない,課外活動が行われているのか分からないと答えた学生が多く,そのほかにも様々な不満や希望があることが分かった.以上の結果を含まえ,今後「課外活動における活性化の試案」を具体化し,課外活動の活性化,更には大学の活性化に繋がるよう努めたい.
著者
吉田 友敬 武田 昌一
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.113-119, 2012

本論文では,音楽と音声言語におけるリズム的特徴の普遍性について検討する.音楽のリズムに関しては,特にグレゴリオ聖歌についての議論に注目した.グレゴリオ聖歌は後世の西洋音楽に大きな影響を与えているものである.一方,言語におけるリズムについては,音韻論の立場から検討を加える."foot",あるいは "Ictus"という概念を音楽と音声リズムの共通性を論じる上で中心的概念として導入する.その後,これらの音響的特徴について,試行的検討を行った.