著者
小林 あづみ
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.39-60, 2020-03-31 (Released:2021-03-01)

鎌倉時代の華厳僧、明恵上人(京都栂尾高山寺の中興開祖)について、観音菩薩に関する夢やコメント等を『華厳経』や『華厳経』の内容を絵画化した作品と対比させて考察した。結果、明恵が夢に見た観音は、自身が制作に関与した華厳変相図に基づくものであり、観音の住む補陀洛山を夢に見、普陀山(補陀洛山の写しとして知られる中国の観音霊場)を意識した場で仏事を行ったことが判明した。また、明恵が華厳の守護神として祀った善妙についても、その働きを観音と同一視している。明恵による観音への直接的言及は少ないが、その特色として挙げられる点(紀州での修行、法然による著作への反論、五秘密への傾倒、善妙を神として祀り善妙寺を建立する)の基底には観音があったのではないかと結論づけた。
著者
山本 ちか
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-9, 2012

本研究は,日本の中学生を対象として思春期的変化の時期と早熟や晩熟が中学生の心理的特徴,行動的特徴にどのような影響を与えるのかを検討することが目的である.本研究では,思春期的変化の指標として,男子は精通現象,女子は初潮をとりあげた.思春期的タイミングが他の中学生よりも早い中学生を早熟群,遅い中学生を晩熟群,多くの中学生が思春期的変化を経験する時期に変化が起こった中学生を中間群とし,群ごとに外見についての意識や行動,抑うつや自己評価,問題行動の程度が異なるかを検討した.その結果,思春期的変化は,男女とも外見への意識に変化を与え,男子の早熟は外的な問題行動と,抑うつなどの内的な問題行動の両方に影響を与え,女子の早熟は内的な問題行動に影響を与えている可能性が示唆された.
著者
内田 あや 大橋 美佳 中村 美保 松田 秀人
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.33-39, 2008-03

米飯食は伝統的な日本型食生活の中心であり,日本食は肥満や糖尿病食として推奨されている.米飯食が血糖コントロールの面から良い食品であるかをパン食と比較検討した.被験者は19〜20歳の健常な女性35名で,被験食品(約350kcal)を10分間で摂取させた.空腹時,食後30分,60分,90分,120分の計5回指先より採血し血糖測定器で測定した.その結果,空腹時血糖値は全員110mg/dL未満で耐糖能異常者はいなかった.食後60分,90分,120分の来飯食の血糖値がパン食より有意に高かった.また,体脂肪率30%以上の被験者ではパン食と米飯食間での有意差はなく,30%未満では食後60分,90分,120分の米飯食の血糖値がパン食より有意に高かった.米飯食で比較すると体脂肪30%未満が30%以上に比べて食後30分値が有意に高かったが,パン食では有意差はなかった.体脂肪率30%以上の人には内臓脂肪によるインスリン抵抗性が惹起しているのではないかと考えられる.
著者
日比野 久美子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.41-48, 2014-03-31 (Released:2019-07-01)

グルテンを粉末状にした市販の活性グルテンには,添加物や乾燥法など製造方法により様々な種類があり,用途により使い分けられている.グルテンのドウを形成する際,副資材として用いられる食塩は,グルテン構成タンパク質であるグルテニンとグリアジンの相互作用に関わり,特にグリアジン会合体の形成に機能していることが明らかにされているが,他の塩類については詳細が不明である.本研究では,硬水が市販活性グルテンのネットワーク形成に与える影響を調べ,活性グルテンの種類によっては大きな影響を及ぼすことを明らかにした.特に,分散剤に酢酸を使用した市販活性グルテンは,共存イオンの影響を大きく受けた.アンモニアや還元剤処理グルテンでは,顕著な塩類の影響は認められなかった.
著者
柴田 賢
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.167-174, 2002-04-01

1945年1月23日の稲沢空襲について,空中写真の解析と空襲体験者の証言から空襲の状況を検証した.米軍が戦後撮影した空中写真には稲沢空襲の際の爆弾跡(クレーター)が明瞭に残っており,54個が確認された.市街地に落下した爆弾を加えると投下された爆弾は全部で97個にのぼる.これらは1km四方の狭い範囲に分布していて,8ないし9機のB29より投下された.16個の焼夷爆弾落下地点が確認されたが,それらはほぼ2列に並ぶ線上に配列している.爆弾落下地点の予測計算から,爆弾投下は一宮市萩原町上空で開始されたと推定され,これは目撃証言と一致する.稲沢空襲では当時の特殊軽合金を第一目標とし,隣接する市街地も併せて爆撃した可能性が高い.
著者
松田 秀人 冨田 円香 野木 絵美子 林 美千代 正岡 久美 三輪 恵未
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.81-87, 2015-03-31

「特定保健用食品」とは,特定の保健の目的が期待できることが認められた食品である.「特定保健用食品」の効果・効用について,健康な女性に対して表示内容について一定の効果が認められるかどうかを調査することを目的とした.健康な女性5 名(BMI:21.56±1.81 kg/m2 ) を対象として,おなかの調子を整える食品として「ヤクルト400」を,血中中性脂肪と体脂肪が気になる方の食品としてクロロゲン酸含有「ヘルシアコーヒー」を,血糖値が気になり始めた方の食品としてβ-グルカン含有「大麦ごはん」を摂取させた.その結果,「ヤクルト400」による便秘改善効果および「ヘルシア」による体脂肪減少効果は認められたが,大麦β-グルカンによるセカンドミール効果は認められなかった.「特定保健用食品」は境界型のヒトに最適で,BMI 25.0 kg/m2 以上の肥満者や24.0〜25.0 kg/m2 の境界型が対象者に含まれていなかったため,効果が認められなかったと考えられる.
著者
井上 治子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.79-89, 2010-03-31

The political process has changed rapidly in Japan today, by power change in 2009. In this changing nonwesterncountry, we pay attention especially to Aichi prefecture where COP10 will be held in 2010. Inthis paper, I will treat two antagonistic Environmental Movements; anti Expo Movement and anti ToyotaTest Course Movement, mainly in relating with politics and bureaucracy in the region. On the process ofanalyzing those cases, we will find a new concept of behavior named` Astroturfing'. The final goal ofthis paper is to consider the limitation of partnership view point on view point of.
著者
関川 靖 山田 ゆかり 吉田 洋
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.119-127, 2011-03-31

2000年代にはいっても地域経済は疲弊しており,各地域では地域振興のために地域ブランド食品を開発し販路拡大を模索している.現状において,B1グランプリは販路拡大戦略として有効な手段であるという結果が出ている.しかし,継続的な地域振興を考えたときには問題点がある.販路拡大による継続的な地域振興を図るためには,大学との連携や地域ブランド食品の輸出という2つの新たな手段が必要と思われる.本稿では,この2つの手段の現状とその効果,および導入可能性を考察した.
著者
山田 弘明
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.63-78, 2010-03-31

本稿はデカルトとベークマンの往復書簡(1630-34年)への翻訳・注解である.その解題として,この時期の二人の状況,関連年表,書簡の内容とその解釈を記した.すなわち,1630年の2通には,デカルトの『音楽提要』は自分の教示によるものとベークマンが自慢したことに対して,前者の激烈な批判が展開されている.だが,かりに後者が本当に自慢したとしても,公平に見てデカルトがベークマンに負うところは大きい.デカルトは誇り高い人であったにせよ,先学に対して節度を越えた言いすぎがあったとしなければならない,と解した.
著者
山田 弘明
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.37-47, 2009-03-31

デカルトは最初のオランダ滞在時に,当地の学者ベークマンと共同で数学的自然学の研究に従事したことが知られている.両者が交わした1619年の6通のラテン語書簡には,その交流のありさまが仔細に描かれている.本稿はその翻訳・注解である.話題は,音楽論,新しいコンパスの考案,角の三等分と三次方程式,新学問の構想,ドイツへの旅の計画,天測による航海術,機械学,ルルスの術,アグリッパなどである.たしかに,デカルトはべークマンから数学と自然学とを結合する発想を得た.だが,後者の研究がどこまでも自然学の枠内にとどまるものであったのに対して,デカルトの構想する新学問はその普遍性においてベークマンを超えるものであった.後年の確執の原因は,二人のこころざしの相違に由来するものでもあろう.両者の背景を考証しつつ,これらのことを具体的に確認する.
著者
近藤 みゆき 日比野 久美子 三田 弘子 宮澤 節子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.137-143, 2011-03-31
被引用文献数
1

本学食物栄養学科では,平成20年度愛知県農林水産部食育推進課募集による「学園で食育・モデル事業」に採択され,「三世代を紡いでいくイキイキ健康クッキング」というテーマで,幼稚園児とその母親(保護者)と高齢者を対象に食育講座や料理教室,講演会という手法で活動を行った. ここでは,幼児の食生活の実態を報告する.平成20年6月N 市のS 幼稚園年長児109名の母親(保護者)に対して園児の食生活に関するアンケート調査を行った.この結果,朝食は「毎日必ず食べる」が96%,間食については「ほとんど毎日1回以上食べる」が9割以上をしめていた.食べ物の好き嫌いについては「少しある」「ある」が73%と多く,嫌いな食べ物は野菜やきのこ,牛乳が高率であった.食育については,幼児期までに始めるべきとの回答がほぼ10割で,「今よりよりよくしたいが時間的に難しい」が7割を超えた.
著者
山本 ちか
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.15-22, 2010-03-31

本研究の目的は,大学生の全体的自己価値の様相を検討することである.全体的自己価値については,男子の得点が高く,女子の方が自分自身を否定的に評価している.また1年生と比較して2,3年生の方が肯定的に評価している.具体的側面の自己評価も同様で女子の方が否定的に評価している.また全体的自己価値と具体的側面の自己評価,具体的側面の重要度の関連の仕方については,男女ともいずれの学年も「身体的外見の自己評価」と「知的能力の自己評価」が全体的自己価値に影響していた.その他については,学年別・性別に影響の仕方が異なっていた.
著者
谷口 泉 堤 浩一 成田 裕一
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.43-49, 2019-03-31 (Released:2021-03-01)

本研究では,タピオカ澱粉および馬鈴薯澱粉をつなぎとして使用した米粉パスタ麺を調製した.各澱粉をそのまま粉で使用したもの場合と一部を糊化させて使用した場合の製麺性およびゆで麺の物性について比較検討を行った.製麺性については,糊化澱粉を使用した方が,生麺の状態で切れにくい麺を調製することができた.物性については,クリープメーターを用いて破断測定を行った結果,調製した米粉パスタは全て,小麦パスタと比べ破断強度が小さかった.調製した米粉パスタ麺はいずれも柔らかくコシのない麺であった.糊化した澱粉を加えた場合においても,破断強度には改善が見られなかった.糊化した澱粉の配合割合のさらなる検討が必要である.
著者
長谷川 聡 長谷川 昌広
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.93-99, 2002-04-01 (Released:2019-07-01)

セルオートマトンによる球面上でのシミュレーションを目的に,球面にセルを配置する方法について検討し,実際に,メダカ初期発生卵の律動性収縮運動のシミュレーションに応用した.セルオートマトンによるシミュレーションの実現には,セルをできるだけ均等に配置することが必要であるが,球面上を均等にセルで覆う方法は単純ではない.ランダムにセルの位置を生成しボロノイ多角形により位置の最適化を図る方法の他,正多面体をもとにして幾何学的に整然とセルを配置する方法を検討した.メダカ卵の実例では,発生段階ごとの卵の極性(細胞の分布部位の偏りや球面上の胚体の位置など)を容易に再現するために幾何学的なセル配置を採用し,表面波の発生源がリズムのペースメーカーとして働くことなどの条件の下に,初期発生の各段階における波面伝搬をモデル化した.このモデルにより,発生が進んだ段階では収縮波が2点で発生し胚体の位置にも影響を受ける複雑な収縮運動の表面波の伝搬を再現することができた.この事例を通して,球面セルオートマトンの実現と応用の可能性について考察する.
著者
國友 宏渉 江上 いすず
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.139-145, 2001-04-01 (Released:2019-07-01)

健康な男女大学生を対象に,CXD (Computed X-ray absorptiometry)法および超音波(Ultrasound method: US法)法を用いて骨密度を測定し,異なる2つの測定法による評価値の比較・検討を行った.また,両評価値と身体属性や運動歴との関連についても分析を行った.その結果,CXD法およびUS法によって得られた骨密度指標ΣGS/DとStiffnessによる評価結果は必ずしも一致せず,両者の間に相関関係は認められなかった.その原因の一つとして,測定部位の特性が骨密度に反映されるということが考えられる.つまり,外的ストレスの影響を多く受けると考えられる踵骨骨密度(US法)と,影響が少ないと思われる,第2中手骨骨密度(CXD法)では,一定の条件下で比較することは困難であるといえる.また,体格や運動歴と骨密度との関係においても,体重荷重や運動による機械的ストレスが多く加わる踵骨との間にのみ相関関係が認められた.一方,第2中手骨骨密度に関しては,外的ストレスによる影響の個人差が小さいことから,今後食生活や遺伝との関連について分析していくことにしたい.
著者
髙橋 圭 関 豪
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.85-90, 2022-03-31 (Released:2023-06-01)

熱中症は暑熱環境に体が適応出来ずに体温が上がることで起きる疾患である.教育現場では毎年5000件程度発生している.また,毎年1000人以上の高齢者が亡くなっている.各省庁が熱中症予防のために指標やガイドラインを作成しているが,個々人の習慣によって予防することが重要だと考える.そこで今回,食事・栄養や運動に焦点を当てた熱中症予防の方法についてまとめた. 食事としての予防は,(1) 喉が渇いていなくても水分をこまめにとること,(2) 水分補給できる食材を食べること,(3) 塩分はとりすぎに注意して補給すること,(4) 朝ごはんもしっかり食べること,(5) 調理方法や食事内容を工夫することが考えられる.運動による予防は,暑熱順化が起きるよう汗をかく程度の運動を習慣づけて行うことが考えられる.
出版者
名古屋文理大学
巻号頁・発行日
2001
著者
吉田 洋
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.153-157, 2013-03-31 (Released:2019-07-01)

資産除去債務の会計基準の影響により,企業が抱える潜在的な債務が明らかになった.本稿では外食産業を例にして資産除去債務の会計処理方法の問題点を明らかにする.資産除去債務は外食産業各社によって費用計上の考え方が大きく異なっている.企業間比較のため,外食産業における資産除去債務の会計処理の統一が課題として必要である.
著者
須藤 裕之 菱田 次孝
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.127-138, 2010-03-31 (Released:2019-07-01)

戦後の食生活の大きな変化とともに食の多様化・国際化が進み、わが国の食料消費量の相当な部分が海外からの輸入食料に依存している。その結果、わが国の食料自給率(カロリーベース)は先進国中、最低水準の40%にまで落ち込んでおり、将来の食料安全保障問題を懸念する声が大きくなりつつある。こうした事態に至った背景には、食の簡便化・外部化の進展に伴う調理済み食品への需要増加と栄養面における動物性タンパク質の過剰摂取があるといえる。本稿では、年間2200万tにも達する食品輸入と総量ベースでほぼ同量の食品廃棄物(食品ロス)の問題に焦点を当てて、わが国が現在抱えている「食」に関する諸問題に対して今後どのように対処していくべきかを検討している。
著者
内多 允
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-36, 2005-03-31 (Released:2019-07-01)

中南米各国は世界各地に,出稼ぎ労働者や移民を送り出している.その最大の受入国は,米国である.彼等の多くは母国の家族への送金を続けているが,その額は中南米における対外資金の流人源として無視できない規模に達している.本稿では,その実態と中南米への主要な送金元である米国におけるヒスパニック(中南米系)社会の経済規模を取り上げる.なお本稿では,出稼ぎ就労者や移民が母国へ送る行為を「送金」と記載している.