著者
塩田 雅弘 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2020-GI-44, no.3, pp.1-6, 2020-06-20

本研究では,近年将棋で用いられている評価関数の機械学習の手法を 5 五将棋に適用することで,5 五将棋でもその手法が有効であるかを検証した.具体的には,オープンソースで公開されている「やねうら王」をベースに,この手法を 5 五将棋に応用したプログラムを開発した.その結果,本プログラムは,2020 年 3 月に開催された UEC 杯 5 五将棋大会において,全勝優勝した.また,有力プログラムとの対戦結果をもとにその強さを比較した.
著者
廣瀬 雄一 和賀 正樹 末永 幸平
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2023-GI-49, no.13, pp.1-8, 2023-03-10

将棋 AI は近年目覚ましい成果を上げており,プロ棋士による将棋の研究にも用いられるようになってきている.一方で,将棋 AI の選ぶ指し手については解釈可能性が低いという問題点がある.解釈可能性を向上させることにより,将棋研究における将棋 AI の有用性が向上すると期待される.本研究では,将棋 AI である dlshogi の評価関数の feature attribution に基づく解釈可能性向上手法を提案する.dlshogi は入力特徴量として,各マスにどの駒があるか,どのような利きがあるかなどの,解釈が容易な盤面情報を用いている.本研究では,与えられた指し手にとっての各特徴量の貢献度を数値化する手法を提案する.提案手法は SARFA と呼ばれる各特徴量の関連度と特異度から貢献度を算出する手法の拡張となっている.本手法をいくつかの棋譜に適用した.本論文ではその有用性と改善点について議論する.
著者
高橋 竜太郎 池田 心
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GI, 研究報告ゲーム情報学 (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2018-GI-39, no.10, pp.1-7, 2018-02-23

将棋や囲碁,麻雀など多くのゲームでコンピュータプログラムが十分強くなり,より複雑なゲームやより高次な目的に関心が移りつつある.「ぷよぷよ」 は二十年以上遊ばれる人気の落ちものパズルゲームであるが,これも近年十分強いコンピュータプログラムの作成が達成された.本研究では,“連鎖構成” というこのゲームの中心的課題の一つに着目し,連鎖構成を身につけられれば楽しめる一方でこれができずに上達を諦めてしまう人が多い現状を解決したいと考える.そのためには,連鎖構成に特化した問題群,いわゆる 「なぞぷよ」 「詰めぷよ」 を沢山与えることが有効であると考える.人手により多くの良い問題が作成公開されているが,プレイヤごとの技術レベルや嗜好に合わせた問題が自動で無数に作成できれば,ぷよぷよを続ける人が増えることが期待できる.我々は,ランダム生成検査方式と,逆向き生成方式の二つのなぞぷよ作成法を試みる.さらに,作成された問題の 「難しさ」 「面白さ」 「役立ち度」 などを推測する関数を機械学習によって構成することを試みる.これらにより,プレイヤのレべルや好みにあった問題だけを提示するシステムを提案する.
著者
馬場 匠 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.13, pp.1-8, 2019-03-01

本研究では,なるべく少ない棋譜から将棋プレイヤの棋力を推定する手法を提案する.先行研究の将棋AIを用いた棋力推定の手法では20局程度の対戦を必要としていた.これは,分析対象とする局面の条件に「序盤や終盤の除外」などの制約があるため,1局あたりの分析局面数が少なることが原因である.本研究では,どのような局面が棋力推定に有効に働くのかを詳細に調べた.その結果,接戦の局面ほど棋力推定に適していることが判明した.そこで,接待将棋AIを用いて接戦の局面を多く作ることにより,少ない対局数から棋力推定をする手法を提案した.この手法により,3~4局程度の対戦でかなり正確に棋力推定ができることを確認した.
著者
阪本 真基 上野 敦志 田窪 朋仁
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2016-GI-35, no.12, pp.1-6, 2016-03-01

本論文では,自然言語によって対話を行うコミュニケーションゲーム 「人狼」 において,機械学習を用いてプレイヤの発言から役職の推定を行う手法を提案する.学習データはオンラインで提供される 「人狼 BBS」 のプレイログを用いた.プレイヤの発言を文書としてまとめ,word2vec を用いて単語の意味の類似性を考慮したベクトル表現を獲得する.獲得したベクトル表現を用いて,進行中のプレイヤの発言に基づいてプレイヤのベクトルを求め,k 近傍法,SVM により人狼の役職の推定を行い,交差検証により評価し考察した.
著者
齋藤 雅史 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2023-GI-49, no.14, pp.1-6, 2023-03-10

人間を超えるレベルの将棋 AI が出現して,プロ棋士はそれを学習に利用するようになって久しい.将棋 AI がプロ棋士の棋譜に与えた影響について,将棋AIを用いてプロ棋士の定量的分析を行ってきた.その結果,将棋 AI との一致率が高くなることが判明した.一方,中盤以降の拮抗した局面における平均損失は変化がないことが確認された.本研究では,同様の分析をレーティング上位の 9 名(トッププロ棋士)について行い,全体のプロ棋士の結果と比較した.その結果,プロ棋士全体の順位戦の棋譜の結果に比べて,トッププロ棋士の定量的データが有意に高いことが示された.
著者
齋藤 雅史 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2021-GI-46, no.3, pp.1-6, 2021-06-12

近年,将棋 AI はプロ棋士をはるかに凌駕するレベルにある.その結果,多くのプロ棋士が将棋 AI を自身の研究に取り入れるようになってきている.AI が賢くなるにつれて,我々人間は AI の影響を受け,その思考にも変化が生じている可能性がある.一方で近年の賢い AI が人間の思考に与える影響に関する研究はまだ少ない.将棋 AI は 2015 年頃に人間のトップを超えたと言われ,特に勝負の世界で生きているプロ棋士はその影響を強く受けていることが予想される.そこで,本研究では,人智を超えた将棋 AI の登場がプロ棋士に与えている影響について調査する.具体的には,プロ棋士の棋譜に注目し,将棋 AI を用いて AI との着手一致率や評価値の推移などを調べ,どのような変化が現れているのかを定量的なデータをもとに考察していく.
著者
山名 琢翔
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2022-GI-48, no.5, pp.1-5, 2022-06-25

オセロAI(オセロに自動で着手するプログラム)を制作し,計算資源の制約が厳しい世界的なオセロ AI コンテストで世界 1 位になった.コンテストの厳しいコードの文字数制限に対応するため,深層学習を用いた評価パラメータの圧縮を行った.さらに,手法を改善してコンテスト外の一般的なパソコンでも,現時点で世界最強と呼ばれるオセロ AI Edax 4.4 に勝利できるオセロ AI を制作した.本稿では深層学習による評価関数の圧縮に着目し,これら 2 つのオセロ AI における工夫を論じる.
著者
牧田 光平 池田 心
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.21, pp.1-8, 2019-03-01

ぷよぷよは対戦型落ち物パズルゲームの一つであり,「連鎖」を効率よく構成することが重要な課題であるとともに楽しみにもなっている.初心者初級者が連鎖構成力を鍛える際,実戦だけではあまり効率が良くないため,“2手で3連鎖せよ”といった「なぞぷよ」問題が用いられることがある.高橋らの先行研究ではなぞぷよを自動生成しその面白さや難しさを教師あり学習で推定する試みが行われているが,本研究ではこれをさらに進め,2~4色,多数ぷよ~少数ぷよ,簡単~難しいなど多様なものを提供する方法を提案する.さらには,何を面白いと思うかはプレイヤごと,またはプレイヤの強さごとに異なることなどを踏まえ,個人や強さグループごとの教師あり学習を行って違いを見るなど,よりきめ細かいなぞぷよ提供システムの構築を試みる.
著者
芝 世弐
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2021-GI-46, no.2, pp.1-3, 2021-06-12

2020 年 11 月に行われた世界将棋 AI 電竜戦において深層学習とモンテカルロ木探索を組み合わせた所謂 PV-MCTS 系のプログラムが優勝し,将棋の探索エンジンとしては同系のものが今後主流となると思われていた.しかしながら,2021 年 5 月に行われた第 31 回世界コンピュータ将棋選手権においては決勝 8 チーム中 1 チームのみが同系エンジンであった.本研究はこの事象を持ち時間の観点から説明を試みる前段階として探索アルゴリズムの時間利用の適性を評価しようとするものである.
著者
門 裕太 大久保 誠也 若月 光夫 西野 哲朗
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.12, pp.1-6, 2019-03-01

コンピュータ大貧民の研究がUEC標準ルールに基づいて行われている.しかし,ローカルルールの効果に関する研究は,ほとんど行われていない.本研究では,ローカルルールが各種指標にどのような影響を与えるかについて検討を行った.特に,平均終了手数や平均合法手数といった指標について検討した.また,UEC標準ルールに基づいた大貧民は,戦略的複雑さが,他の現代のゲームと比べて非常に単純であることが示されている.そこで,ローカルルールによって複雑にすることができるかについて検討した.さらに,大貧民は,交換ルールによる順位の格差が大きいことや,席順によって得点に差があることも知られている.そこで,各種ローカルルールが席順と得点に与える影響について調査した.具体的には,代表的な大貧民プログラムを11バックや5飛び,6リバースに対応させ,それらを用いた計算機実験によりデータを収集し,その分析を行った.その結果,11バックは,階級の格差を改善するが,平均合法手数や戦略的複雑さは変化させないこと.また,5飛びや6リバースは,席順に応じた得点の差に影響を与えることがわかった.
著者
大渡 勝己 西野 順二
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.24, pp.1-8, 2019-03-01

レーティングシステムはスポーツやゲームにおいてプレイヤの強さを推定し順位付けを行うことに役立っている.一般に広く用いられているイロレーティングはプレイヤの強さに全順序性を仮定しており,じゃんけんのように強さの関係が循環する場合を表現できない.近年,このような相性関係も含んだレーティングシステムの研究も行われており,本稿では相性を含んだレーティングモデルとして有用性が期待できるものを複数提案する.特に,三つ巴関係を直接表現するモデルを現実世界のデータに対して適用し,この提案モデルが現実のデータの推定精度を向上させうる可能性を示した.
著者
石井 岳史 川上 直人 橋本 剛 池田 心
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GI, 研究報告ゲーム情報学 (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.19, pp.1-8, 2019-03-01

ボードゲーム『ガイスター』は6×6のボード上で青赤2種8つの駒を交互に動かし,「脱出」「青駒全取り」「赤駒全取られ」のいずれかを狙う,対戦相手の駒の色がわからない2人用不完全情報ゲームである.不完全情報ゲームであるという点から運が影響しやすいが,駒の動きから非公開駒の種類を予測するなど心理戦の要素も多い.本ゲームにおいて上達するためには終盤の駒の動かし方について学ぶことが重要である.そこで詰将棋のような『詰めガイスター問題』を提案,実際に生成し有効性の考察を行うことで.対戦相手がいなくても初心者がガイスターに触れ,学ぶことができる環境の提供を目指す.本研究では通常のガイスターのルールに則った一般問題と,対戦相手の一部の駒を公開することで実戦での駒の種類予測を反映するような一部公開問題の2種を提案・考察する.一般問題では限られた勝利条件の問題しか生成できず,直感的に解くことができる問題が多かった.一部公開問題では,一般問題では生成できなかった青駒全取り問題を生成でき,アンケートでも高い評価を得ることができた.
著者
牧野 貴斗 濱川 礼
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2021-GI-46, no.7, pp.1-6, 2021-06-12

本研究では CGDL (A Card Game Description Language) を用いてトリックテイキングゲームのルールを記述し深層生成を行いトリックテイキングゲームを自動生成する手法を提案する.トリックテイキングゲームとは,ナポレオンやコントラクトブリッジに代表される全員でカードを決められた枚数出し.出したカードの大小などで勝敗を決めるトリックを複数回繰り返すゲームのことである.人の顔を見ながらできるカードゲームは,コミュニケーション能力を養い,ゲームに勝つために考える過程で思考力を養うことができる知育能力があると考えられている.ただ同一のゲームを繰り返しているとセオリーが確立し思考機会の減少,遊び慣れからゲームに飽きてしまい,カードゲームの持つ知育能力が損なわれてしまう.そこで,常に新しいゲームを提供することができればこの問題を解決できると考え,カードゲームの自動生成を行った.ゲームの自動生成分野では遺伝的アルゴリズムを用いてチェッカーや Go などのバランスの取れたボードゲームを設計する試みなどがあるがこれらの研究では限られたバリエーションでしかルールを表現できていない.そこで本研究では CGDL を用いてトリックテイキングゲームのルールを記述することで様々な形式に対応させ,これを深層学習で学習させることで,ルールをより多彩に表現することを試み,生成したゲームの評価を行った.
著者
都 勇志 木谷 裕紀 小野 廣隆
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2022-GI-47, no.14, pp.1-7, 2022-03-11

ゲームの難易比較や AI ベンチマークの妥当性評価などのため,二人零和有限確定完全情報ゲームの「複雑さ」の計量が様々な形で研究されている.代表的な「複雑さ」の尺度の一つが状態空間数であり,これは初期局面から到達可能な局面数として定義されている.本研究では将棋の状態空間数の見積もりを行う.禁則ルールの多さなどから将棋の厳密な状態空間数を測ることは容易ではないが,2008 年の篠田の研究により 4.65×1062 と 9.14×1069 の間の値を取ることがわかっている.本研究では将棋の状態空間数のより正確な評価を行い,2.45×1064 と 6.78×1069 の間の値を取ることを示す.上界値の評価については持ち駒が少ないほど局面のパターンが増えることに注目した計量方法を提案する.下界については,篠田により提案された駒配置のテンプレートを改良し,これに基づく解析を行う.また将棋から派生したゲームである 5 五将棋についても状態空間数が 13 桁から 20 桁の間であることを示す.
著者
吉田 友太 池田 心
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GI, ゲーム情報学 (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.23, pp.1-8, 2020-03-06

グラディウスなどに代表される 2Dシューティングゲーム(STG)は,プレイヤが自機を操作して敵や弾を回避しながら進めるゲームであり,その面白さや難易度は,敵の配置や攻撃パターンから構成されたステージに大きく依存する.それらは通常,"初見で攻略することは困難だが,繰り返し同じステージをプレイすることで攻略法が見つけることができる"ように,人手でデザインされる.一方で,毎回見たことのない新しいステージをプレイしたいと考えるプレイヤ層も存在し,ランダムなステージ生成にも需要がある.しかし,完全にランダムに生成してしまうと,難易度や面白さの観点から,人間がプレイするには不適当なステージばかりが生成されてしまう.そこで本研究では,それらに配慮したステージの自動生成システムの構築を目指した.生成手法は様々存在するが,我々は,遺伝的アルゴリズムによる最適化に,AI プレイヤによる評価を組み合わせた生成検査法を採用した.評価関数としては,AI プレイヤのクリア状況や,緊迫度を図るために無行動率などが一定範囲に入っているかのペナルティなども加えた.また,多様性の抑制のため,敵の群れをステージの最小要素とした.さらに,人間らしい挙動を行う AI プレイヤを用いることで,「AI プレイヤには簡単だが,人間には難しい」といった難易度の誤推定の防止を図った.得られたステージは,被験者実験によって,工夫を行わないものよりも難易度・面白さともに良い評価を得た.
著者
大渡 勝己 木谷 裕紀
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2021-GI-46, no.15, pp.1-7, 2021-06-12

二人単貧民はトランプゲーム大富豪を簡略化した二人零和完全情報ゲームであり,この勝者は両プレイヤの手札枚数に対して線形時間で決定できる.本研究では,二人単貧民において,勝者の最後の提出札に着目し,この札の上に相手が札を提出可能か,またはパスしかできないかを考慮して試合結果を細かく分ける.このとき,互いのプレイヤの最強札の強さが異なる条件下においては,この試合結果についても手札枚数に対して線形時間で求められることを示す.さらに,最強札が同じ強さの場合についても,計算機実験の結果から予想しているゲームの性質について議論する.
著者
川上 直人 池田 心 石井 岳史 橋本 剛
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GI, ゲーム情報学 (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2020-GI-43, no.13, pp.1-8, 2020-03-06

世界的に親しまれているチェスと似たようなルールを持ちながら不完全要素のあるボードゲーム『ガイスター』では,駒を交互に動かし 3つある勝利条件のいずれかを目指す.ガイスターでは強い AI プレイヤの研究が盛んにおこなわれている一方,教育,楽しさを目的としたコンテンツ生成の研究もあり,2019年3月には『詰めガイスター問題』が発案された.詰めガイスター問題は,ガイスターにおいて確実に勝てる局面を問題化したものであり,終盤力を上げる教育的コンテンツとなっている.2019年11月には,逆向き生成法と証明数探索により19手問題が生成された.また,別アプローチとして後退解析によって得られた37手問題も紹介され,後退解析によって長手数問題を効率的に生成できるのではないかと考えられている.本研究では,駒数が少ない局面に限定し,『詰めガイスター問題』の後退解析をおこなった.結果,駒数が 2対2の場合において「一般問題」では勝ち191,992局面,負け514,214局面,引き分け654局面,最長勝ち19手,「公開問題」では,勝ち783,232 局面,負け402,822局面,引き分け227,666局面,最長勝ち37手になることを確認し,引き分けの存在を確認できた.また,先行研究で議論されていなかった,問題のカテゴリ分け,解の一意性について定義,実験をおこない,いくつかの知見を得た.
著者
Panumate Chetprayoon Iida Hiroyuki
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2016-GI-36, no.6, pp.1-7, 2016-07-29

This paper explores an innovative way to find a comfortable setting of video games. Pokemon is chosen as a benchmark and game refinement theory is employed for the assessment. Pokemon has many entertaining factors to be considered like other video games. Interestingly, there are some factors which are still remained after the first episode of Pokemon was released in 1996. Among them, the number of Pokemon that one trainer can carry (n=6) has never been changed. It is assumed that the setting may be optimal, which has been realized by players as well as composers. In this paper, Pokemon battle game is simulated by simplifying many factors and different types of computer players (AIs) are developed for the experiments. The experimental results show that the setting (n=6) is the best in the sense that the setting covers most players of various levels and that Pokemon is mostly played by children. Moreover, there are other reasonable settings for some specific levels. For example, n=5 and n=7 may be a comfortable setting for experts and beginners, respectively.
著者
座間 翔 篠埜 功
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2017-GI-37, no.7, pp.1-12, 2017-02-28

問題集などに掲載される数独の問題は,初期配置の数字が図や模様を描くように配置されているものがある.本研究ではそのような視覚的なデザインを考慮した問題制作を支援するため,初期配置の位置を問題制作者に指定させ,それに従って問題を自動生成する手法を提案する.この手法では,指定されたマスへの数字配置と配置した数字の変更によって問題を生成する.その際,マスに入る数字の可能性を絞り込むような数字配置手法や,解探索で解の求まらないマスを減らす数字変更基準を設け,唯一解を持つ問題生成の成功率を高める.また,唯一解の探索は人間が通常用いる解法を実装した解探索アルゴリズムにより行う.さらに,制作者による問題の難易度設定の補助として,より難易度の高い問題を自動生成する手法を考案し,実装した.