著者
田口 東
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.720-723, 2011-12-01

東日本大震災後の電力節減に対応するために,首都圏鉄道では運転本数が削減され激しい混雑が生じた.公共交通機関というだけあって,利用者はストレスなく路線を乗り継いでいる.一方,乗客の流れとそれを運んでいる電車の運行を,事業者単位では把握しているが,ネットワーク全体でみるという視点が平常時から欠けている.混雑を和らげる決め手は分散乗車である.ここでは,ネットワーク全体を対象として,分散乗車の詳細なシミュレーションを行い,その効果が実現目標として提示できることを示す.これは,各事業者が閉じた計画を立てたのでは,利用状況への影響が十分把握できず,偏った利用者負担による不公平感が生ずる可能性があること,事業者ごとの電力削減目標を基にした運転計画を総合してネットワーク全体の混雑を計算し,削減目標を調整するというプロセスが必要であると考えるからである.
著者
宇井 徹雄
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.243-248, 2009-05-01
被引用文献数
1

大学生の学力低下問題は,大学入学時の学力低下問題と大学卒業時の学力低下問題に分けられる.入学時の学力低下問題は,義務教育段階と高校生の学力問題にも関係している.日本の生徒の学力は国際的に見て高いといえるが,数学や理科に対する関心や態度のレベルは低い.大学過多による入学生の学力低下は当然,大学生の量的拡大は質的変化を伴い,学力低下のみならず,意欲低下,モラル低下も顕在化している.この問題の解決のためには,大学自身のさまざまな努力や改革のみならず,国の教育行政,中学・高校からの教育,国民の意識,産業界の意識にも関係していて,その変革が求められていることを示す.
著者
佐藤 敏彦 清水 宏昭
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.159-162, 2005-03-01

弊社ではサプライチェーンマネジメント改革の推進により, 旧来の押出し(プッシュ)型の生産方式を需要の変動に即応できる引っ張り型(プル)型の生産方式に革新し, 主力製品の市場競争優位性の維持と基盤強化を達成することができた.また, この改革の推進により製品の納入リードタイムの短縮, および仕掛りの圧縮と継続的な適正維持による棚卸し資産の回転率向上を実現し, キャッシュフローの改善に貢献できた.
著者
Chukova Stefanka 早川 有
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.390-396, 2007-07-01

本稿では,統計的推測におけるベイズ的方法と頻度論的方法について比較する.両方法の背景となる根本的原理の相違についてまとめ,それがどのように点推定,区間推定,仮説検定に反映されているかについて述べる.信頼性の観点から,両方法の差異がもたらす統計的推測の結果に焦点をあてる.最後に,ベイズ的アプローチと頻度論的アプローチの相違点をどう克服するかについての可能性についてコメントをする.