著者
武田 朗子
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.254-259, 2014-05-01

機械学習の分野では,データから規則性やパターンを発見するため,しばしば数理最適化手法が用いられている.本稿では,われわれの成果も含めた2つの研究を取り上げ,ロバスト最適化がどのように機械学習において使われたかを紹介する.この研究成果の紹介を通して,「数理最適化の研究者(私)が機械学習分野で何ができたか」をお伝えしたい.
著者
橋本 剛
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.5-9, 2007-01-01

コンピュータ将棋は予想を上回る勢いで進化を遂げ,プロレベルまであと一歩のところまで来た.本稿ではその強さを象徴する話題を取り上げ,次に最新技術の紹介を探索,評価関数,詰み探索の順に行う.実現確率探索は人間に近い思考を実現する画期的な方法でブレークスルーとなった.2006年コンピュータ将棋選手権で初出場初優勝を果たしたBonanzaは,これまでの常識を覆す全幅探索と評価関数の学習でこの世界に衝撃を走らせた.今後はさらに進歩が加速すると予想され,名人を超える日もそう遠い未来ではないのかもしれない.
著者
稲増 一憲
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.232-236, 2011-04-01

メディア報道を実証的データに基づいて分析する内容分析は古い歴史を持つ手法であるが,コンピューター技術の発展とともに新たな広がりを見せている.本稿では,メディア研究を概観した後,実際の内容分析手順に沿って,手法の概要・留意すべき点などについて解説を行う.
著者
逆瀬川 浩孝
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.198-204, 2014-04-01

待ち行列現象を理解するために実際に起きている事象を仮想体験するシミュレーション分析が有効である.簡単に試すことができるいくつかの例を「R」のプログラムとともに説明する.定常状態の評価指標をシミュレーションで推定する場合のやり方と結果のまとめ方,結果の待つ意味と限界について説明し,シミュレーションの正しい使い方についての注意をまとめる.
著者
山下 浩
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.145-149, 2007-03-01

ORに関連したアルゴリズム開発,パッケージ開発,コンサルティングなどを中心に数理科学に関わる仕事をしたい著者・学生のための極めて個人的な対縁談.
著者
佐々木 良一
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.155-160, 2009-03-01
被引用文献数
2 2

近年,利用が増大しつつあるデジタル署名は,電子の世界のはんこの機能を実現するものであり,その安全性は公開鍵暗号の安全性に依存している.したがって,公開鍵暗号が危殆化した場合のデジタル署名ならびに署名付文書への影響とその対策を検討せざるを得ない.そこで,公開鍵暗号の危殆化が近く生じることが明確になった場合に,既存の署名付き文書に関連した各種対策の最適な組合せを対策費用とリスク低減効果のバランスを考慮しつつ求める評価方法を開発した.さらにその方法を適用し,ある想定した状況における最適な対策案の組合せを求めたので,その適用結果を報告する.
著者
高橋 伸夫
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.487-492, 2006-08-01

知的財産権の評価については,経営学の立場から,実際の企業行動と市場取引に関する知見に基づき,ライセンス・ビジネス的な枠組みを提示することができる.しかしこのことは同時に,技術者が金銭という同じ土俵の上で会社側と報酬の金額を争っていたのでは,ライセンス・ビジネスの現実に打ちのめされることも意味している.技術者にとって望ましい成果配分とは何か.職務発明家が追い求めている成果とは何か.それが会社側が求めている成果とは異なる種類のものであるというところにこそ,両者の共存共栄の可能性が見出されるのである.
著者
竹村 和久
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.583-590, 2011-10-01

多属性意思決定における心理モデルとその知見および合理的な意思決定についての批判的検討と「よい意思決定」についての考察を行った.まず,規範的分析として,序数効用理論の基本的な枠組を示してこの枠組みを合理性の観点から考察し,次に,序数効用理論を多属性意思決定に拡張した定義を与えることにより,多属性意思決定の合理性をアローの一般可能性定理から再解釈した.本論文で定義した合理的な多属性意思決定は,特定の属性のみに基づく一次元的な意思決定を除いて,達成することが不可能なことをアローの一般可能性定理の再解釈を通じて論じた.次に,人間の多属性意思決定の記述的分析を行い,人間は多属性意思決定問題においても,一次元的な意思決定をしやすいことを,意思決定の心理モデルから説明した.最後に,多属性意思決定の処方的考察を行い,特に重要な意思決定においては,一次元的な意思決定を回避することが重要であり,上記の意味での合理性は満たさないかもしれないにもかかわらず多元的な観点からの意思決定をすることが「よい意思決定」につながるということを論じた.
著者
増田 直紀
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.511-516, 2008-09-01
被引用文献数
1

現実世界に見られるグラフは複雑である.複雑でありながらも,スモールワールド,スケールフリーなどといった特徴が同定されている.そのような複雑ネットワークの研究は1998年ごろから始まった.10年が経過した現在,多くの研究者の参画によって,様々な方向へ研究が発展している.本稿では,複雑ネットワークの代表的なモデルを概観した後に,ネットワーク上の現象論やその応用可能性を述べる.
著者
中原 孝信 前川 浩基 羽室 行信
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.442-448, 2013-08-01

本研究は,特定のテレビ番組を視聴しながら投稿されたツイートの内容を解析することで,急激に投稿数が増加したときの内容などを検出し,それらを要約する手法を提案する.提案手法では,まず単語の共起関係に基づいたクラスタリングから概念を生成する.そして,バースト時の投稿と番組の台詞に一致した投稿を興味対象のツイートとして考え,それらのツイートをできる限り多く被覆するような少数のクラスタをナップサック制約付き最大被覆問題を用いて抽出する.抽出されたクラスタは,興味対象のツイートから得られたトピックを表していると考え,膨大なツイートから特定の目的に関係する投稿内容を要約することが可能である.計算実験では,テレビアニメーション番組「宇宙兄弟」を対象にして提案手法の有効性を示す.