著者
伊澤 達夫
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.580-587, 1987-06-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
9

連載講座『光通信技術』の第1回として, 光通信の歴史的背景と技術的背景を概説するとともに, その基礎となる光ファイバや半導体レーザなどの基本原理, および光通信システムの特長, 現状, 将来の動向などについて解説する
著者
栗原 明 井上 幸俊 汐見 勝彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.1506-1512, 1995-11-20
参考文献数
5

フライバックトランスは, テレビセット内で使用される高電圧発生用トランスであり, 従来の方式では, 使用されるコイル内の短絡に起因するレアショート事故が発生していた.生産開始以来, 約25年を経過して, この対策のための新たな巻線, 工法の評価法を開発した.このシステムの採用により, 社会問題になっていたテレビの発煙発火については保護回路の研究も進み, ほぼ皆無にすることができた.同時に, フライバックトランスを使用する方法も改善し, 寿命を短期間に推定可能な加速寿命試験方法の開発に取組み, 成果を得ることができたので, ここに報告する.
著者
中村 有光
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.901-904, 1979

中国の放送事情については, あまり知られていなかったが, 今年2月, NHKの技術関係代表団が中央広播事業局の招待を受けて訪中し, 中央テレビ局をはじめ各地の放送局や放送関係工場を視察して, 現状を把握し, 交流を深めることができた.今後の日中交流の促進のため, その一端を紹介するものである.
著者
岩館 祐一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.1579-1587, 1990
被引用文献数
3 1

現在, MUSE方式を用いたハイビジョンの実験放送が行われているが, 本格的な実用化を前にMUSE信号に対する伝送路の許容周波数特性を明らかにすることが求められている.伝送歪みと画質の関係は必ずしも1対1ではなく, 同じ画質を与える歪み波形は無数に存在する.したがって, 許容特性を求めるに当っては, 歪みと画質の関係を整理した上で, 主観評価実験を行う必要がある.本論文では, 伝送歪みがデコーダでサンプリングされることにより, 離散的な歪みになることに着目し, これをエコーの集合として扱う.その上で, 各エコーによる画質劣化度がロジスティク関数で表わされることを示す.また, 複数のエコーによる画質劣化の主観評価値がこれらのロジスティク関数の合成式で表せることを実験的に示す.さらに, 許容周波数特性を求める際には, エコーがリップル状の偏差を持つ周波数特性により生じることから, 一般的な周波数特性を周期の異なるリップル特性の合成として考えた上で, ロジスティック関数の合成式を用いて求めるている.
著者
若杉 誠 中谷 清一郎 衣畑 晃治 田村 信一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.75-87, 1987

テレビ放送が開始されて以来, 3分の1世紀が過ぎた.この間送信機は小型化, 高信頼化と, 制作用放送機器のそれほどではないにせよ着実な進歩を遂げて来た.特に, ここ数年来の大電力放送機の全固体化技術は, 世界のトップレベルを行く飛躍的なものである.トランジスタPAの並列による冗長系の増加は, 総合システムの構成に影響を与えると同時に, バッテリーバックアップによる停電時の無停波も可能にした^<1)〜3)>.従来, ウィークポイントとされた電子管の排除による高圧・冷却水からの解放が, 保守・運用にもたらす効果は絶大である.さらに, コンピュータを利用した監視・測定装置が開発されるに至り, 運用面の大幅な改善が見られるようになった.昭和53年に音声多重放送が, 昭和60年には文字多重放送が運用を開始しているが, 他の放送に比べ広い帯域を有するテレビ放送電波には, なお隙間と呼ばれる空間が残されており, ニューメディアへの利用として多重放送技術の研究が盛んに行われている.一方, 国内のテレビ伝送網は, 昭和29年に東京-大阪間にマイクロウェーブ回線が開通して以来, 回線のループ化, コンピュータによる回線制御, 音声多重伝送, CSの実用化等に, 目ざましい進歩を遂げ, 現在では, 全国の主要都市に極めて信頼性の高い伝送路が張り巡らされている.ところが, 一見充足しているかに見える回線網も, ひとたびイベント, 事件が発生し, 一地点から各社が独自の回線を要求するようになると, もはや早い者勝ち的様相を呈して来る.また今後ローカル局の増加も予想されるため, 昭和63年に運用開始予定のいわゆる民間衛星を含めた伝送網の再検討がなされている.なお地上系, 衛星系の電気通信事業者の新規参入により, 放送事業者が独自の回線を保有することも今後は可能となる.世界109カ国が加盟するインテルサット(国際電気通信衛星機構)は, 太平洋, 大西洋およびインド洋上の静止衛星により, ほぼ全地球をカバーしており, これにより我々は茶の間で世界の最新の情報を見聞することができる.現在, 我が国の国際テレビ中継には, 太平洋およびインド洋上のインテルサット衛星を利用しているが, 伝送番組(素材)は年々増加しており, 現行の1トランスポンダ(36MHzおよび41MHz)当たり2チャンネルのFM伝送では, 将来の回線品質の向上, 需要の増加には対処できない.この解決策として, 高能率符号化ディジタル伝送方式による, 高画質化および3チャンネル, 4チャンネル伝送(1トランスポンダ当り)の実験が行われている^<4)>.NHK, 東京民放各社では, 緊急時の回線予約の困難を緩和するため, 昭和59年4月より特に利用頻度の高い米国との通信に太平洋上のインテルサット予備衛星のトランスポンダ1本を, 長期サービスの一環としてプリエンプティブル契約(現用衛星に障害が発生した場合は, インテルサットに優先権を渡す)し, 共同で運用している^<5)>.以下に, 送信機, 国内・国際テレビ中継における最近の技術動向を述べる.
著者
陳 黎明 長谷川 伸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.615-623, 1992
被引用文献数
2 1

カラー画素をマトリクス状に配した画像表示装置の解像度に関する表示特性の評価は, 固体撮像素子のように単にサンプリング定理での解釈だけでは済まず, 人間の目の視覚特性を取り入れて一緒に考えなければならない.本論文では, 3種類のカラー画素配列について, それぞれの画素逆格子による表示ナイキト限界を導入した後に, 静止画および動画表示における2次元視認解像度限界を主観評価で定量的に求め, カラー画素配列の評価を行っている.まず静止画表示では, それぞれが静止した白黒正弦波および単色正弦波を表示したときの2次元視認解像度限界を, 多数の被験者によるシミュレーション画像の主観評価から求め, 表示ナイキスト限界との比, すなわちケルファクタともいうべき解像度限界係数を求めた.その結果, 白黒表示ではその限界係数は約0.6〜0.7で, 単色表示ではそれは約0.5〜0.6であった.また3種類のうち, 総合的にデルタ配列が最も優れていると評価された.一方, 動画表示では, 定速度で水平, 斜め, 垂直方向に動く白黒正弦波パターンを表示したときの視認解像度限界を同様にして求め, この種の表示装置の動画表示における視認解像度特性と動きの速度, 画素配列との関係について検討した結果, どの画素配列においても, 最適速度で一般にその視認解像度限界は, 静止画表示と比べ, 最大約10%〜20%の改善をしていることを明らかにした.
著者
福田 忠彦
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.210-216_1, 1978-03-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
4
被引用文献数
1

ちらつき光に対する視野各部の感度特性をCFFを指標に求めたところ, 小面積視標の場合は網膜上の視細胞 (錐体・杆体) の密度分布と強い相関を示すこと, 大面積視標の場合は網膜周辺部における面積効果により, 周辺部でCFFが最も高くなること, また, 眼球運動中の方が視線を固定した場合よりCFFが高いことなどが明らかになった.
著者
武田 立 磯村 嘉伯
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.1425-1430_1, 1990

イメージ符号型文書ファイルのリモート目視検索について報告する.ファイルサーバからLAN経由でリモートワークステーションへイメージ符号文書データを転送する手法について述べており, その圧縮イメージ符号文書の新しい取扱い方法を提案した.また, ネットワーク経由での文書転送速度を考察し, 高速ページ転送を検証した.実験システムは, 文書の圧縮符号化ボードとアプリケーションプログラム以外は既存汎用装置で構成した.文書ファイルサーバは, 書換型光ディスクを備えたUnixワークステーションで構成し, LANにはEthernetとTCP/IPを使用した.文書のLAN転送は, MH符号と間引き画像データの使い分けで実験した.結果として, 改頁指示操作から表示開始までの応答速度として, 4本/mm相当のCRT表示のとき約4秒/ページ, 2本/mmのとき約2秒/ページの改ページ速度が得られることを確認した.これらの結果は, LANを利用するOAの推進に貢献する.
著者
田村 博
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.961-966, 1990-08-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
Judice Charles N. 外村 佳伸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.285-289, 1993-03-20

アメリカにおけるマルチメディア通信応用とその環境はようやく形をなし始めた段階であり, 成功例はまだない.マルチメディアプラットホームとしてはApple社やIBM社がしのぎを削っている.家電領域のCD-I, CDTVはあまり成功していない.むしろコダック社のフォトCDが消費者をマルチメディアに導くきっかけになろう.動画が入り始めたゲーム機器も無視できない.一方, マルチメディア応用を支えるネットワーキングとサービスの観点でみると, 一般に広帯域回線が必要と考えられがちだが, 必ずしもそうではない.ISDN等, 新しい環境への投資がにぶる景気沈滞期にあって, パソコン, モデム, CD-ROMと既存の電話回線を組合せたサービスの可能性を過小評価できない.例えば既存電話回線を用いたテレビ電話や, 下り1.5Mb/s, 上り9.6kb/sを通すサービスなどがある.エンドユーザ応用としては, 家庭向けにはやはりエンターテイメント分野への投資が期待でき, 昨今の各社間の提携もここをねらっている.一方, ビジネス分野におけるマルチメディアの重要性は過大評価されているきらいがある.むしろ近未来市場としては, この景気沈滞期にあっても投資が落ちていない教育と訓練の分野に大きな期待ができる.
著者
樋渡 涓二 入部 紳一郎 鈴木 寿
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.942-947, 1983
被引用文献数
1 1

テレビジョンアイカメラを用いて日本語文章のディスプレイに対する人間の目の注視点の挙動について測定した.すなわち, 第一に日本語文章の形態などの違いに対する注視点の停留時間と移動距離の分布を求めた.文字の大きさ, 縦書き横書き, 読む速度, 漢字混じり文とひらがな文などに対する注視点の動きを測定し, その結果, 停留時間はすべて一定であり, 一方, 移動距離は文字単位で一定であるなどの結果を得た.第二はアイカメラにさらに視野制限装置を結合し, 実効的に視野を狭くしたときの注視点の挙動ならびに文章に対する認知率を求めた.視野を制限すると移動距離はおおよそ1文字毎となり, 認知率も低下する.以上から文章認知においても周辺視は重要であり, かつ眼球運動は文章の文脈や意味に強く支配されることがわかった.