- 著者
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佐々木 司
松元 俊
- 出版者
- 公益財団法人大原記念労働科学研究所
- 雑誌
- 労働科学 (ISSN:0022443X)
- 巻号頁・発行日
- vol.89, no.5, pp.174-194, 2013
国際線運航乗務員の年齢構成,乗務編成,睡眠-覚醒パターンを模擬して,調査対象者X(男性,36歳)とY(男性,47歳)の2名が,睡眠脳波,直腸温,パフォーマンスを測定する予備調査を行った。乗務条件は,往復夜間乗務でシングル編成のデリー便および,往路昼間乗務,復路夜間乗務でマルチプル編成のムンバイ便であった。両便の往路乗務直後の睡眠は,睡眠間隔が通常より長いにも係らず短縮した。復路乗務前に現地の昼間時刻帯にとる予防的仮眠は,勤務開始時刻に制限されて出発時刻の早いムンバイ便でより短縮した。これらの睡眠の劣化は,若年者であるXより熟年者であるYで大きかった。また昼間乗務より夜間乗務,また往路乗務より復路乗務の反応時間の劣化が著しく,その対策として現地の昼間にとる補償的仮眠と,とりわけ熟年者には夜間乗務中の仮眠が重要と結論付け,調査方法を再検討して本調査に資することにした。(図4,表4,写真2)