著者
中本 裕也
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.54-55, 2018-06-25 (Released:2019-06-25)
参考文献数
4
著者
小川 祐生 八村 寿恵 山岡 佳代 和田 慎太郎 大成 衷子 網本 昭輝
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.97-100, 2016-09-25 (Released:2017-09-25)
参考文献数
9

猫の若年性歯周病は乳歯列から永久歯列への交換の時期に始まる歯肉・歯周炎であり,過形成性歯肉炎と若年性歯周炎に大別される。本症例は発症が4.5カ月齢時で,重度の歯肉炎や歯周炎がみられたことから若年性歯周炎と診断し,抗生剤やステロイドなどによる一般的な内科的治療を実施したが奏功しなかった。歯肉炎を起こし歯肉後退を起こした部分と,それに続く健康な歯を含めた全臼歯抜歯を実施したところ症状の軽快を得た。本症例により,第一選択の治療であるスケーリングや,ステロイド剤や抗生物質などの内科的治療に反応が見られない症例に対して,全臼歯抜歯が有効な治療法であることが示された。
著者
酒井 秀夫 阿野 仁志 久世 法子 酒井 聖花
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.182-185, 2017

<p>9歳の去勢雄のノルウェージャンフォレストキャットが健康診断のため来院した。一般血液検査では変性性左方移動が認められた。 血液塗抹では好中球,好酸球,好塩基球および単球に核の低分葉が認められ,それらは1年以上継続してみられた。血液化学検査,画像診断,微生物検査(FIV, FeLVなど)および,骨髄検査の結果から偽ペルゲル・フェット異常を除外し,ペルゲル・フェット異常と診断した。</p>
著者
上垣 華穂 李 奇子 佐々木 直樹 石井 三都夫 古岡 秀文 廣川 和郎 成澤 昭徳 山田 一孝
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.77-81, 2011

子牛の肺炎診断を目的に,11頭の子牛に対して立位で胸部側方向像のComputed Radiography(CR)撮影を行った。撮影条件の失宜による取り直しはなく,全例で肺後葉の観察が可能であった。今回の基礎的検討では,肺後葉の病変の摘発が可能であったが,前葉の病変は描出できなかった。この結果から,子牛の胸部におけるCR診断は肺炎のひろがり診断,重症度判定に有効と考えられた。
著者
奥田 綾子
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.39-43, 2002 (Released:2007-11-02)
参考文献数
5
被引用文献数
2
著者
池水 智博 白浜 潤
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.16-23, 2017-03-25 (Released:2018-03-25)
参考文献数
8

犬のフィラリア症(Heartworm Disease , HWD)と診断した22頭を,クラス1の11頭,クラス2の5頭,クラス3の5頭およびクラス4の1頭の4群に分類し,ドキシサイクリンおよびイベルメクチンの経口投与およびメラルソミン1回注射併用による治療を試みた。その結果,最終観察日までの平均生存日数は504病日(22頭)であり,死亡率は22.7%(5頭/ 22頭:クラス1の1頭/ 11頭,クラス3の4頭/ 5頭)であった。最終観察日までの抗原の陰転化に要した平均日数は312病日であり,抗原の陰転化率は95%(陰転化頭数19頭/検査頭数20頭)であった。また,クラス3では,76日間の腹水の消失が1頭,685日間の腹水の消失が1頭,812日間の腹水の消失および失神の著明な改善が1頭で認められた。さらに,クラス4の1頭では,胸部X線検査所見の改善および臨床症状の著明な改善がみられた。今回の治療経験から,ドキシサイクリンおよびイベルメクチンの経口投与およびメラルソミン1回注射併用による犬のHWDの治療法は安全性が高く効果的な方法であると考えられた。
著者
才田 祐人 高島 一昭 山根 剛 西川 和男 西尾 達也 Hiroaki OKANO 山根 義久
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.125-130, 2011-12-31 (Released:2012-12-18)
参考文献数
10

プラズマクラスターイオン®(PCI)は,種々の細菌およびウイルスに対して有効性が認められている。しかしながら,臭気および動物飼育環境中の細菌に対する有効性に関しては不明であるため,実験ボックス内においてアンモニア付着臭に対するPCIの効果を検証し,さらにビーグル犬を用いて動物飼育環境におけるPCIのアンモニアおよび細菌に対する有効性を検討した。その結果,実験ボックス内においてPCI 25,000個/cm3ではPCI発生後から45分で発生前と比較して有意にアンモニア濃度の抑制を示した(p<0.01)。また,動物飼育環境におけるアンモニア濃度は,PCI発生後2週で発生前の50%以下に軽減され,その後も時間経過とともに減少がみられた。さらに,浮遊菌のコロニー数は,PCI発生後に軽減し,停止後には増加するという変化を示した。以上より,PCIは動物飼育環境中を衛生的に保つ上で有用であることが示唆された。
著者
小林 真歩 小泉 紫織 左向 敏紀 松原 孝子
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.188-192, 2015-12-25 (Released:2016-12-25)
参考文献数
6

高齢犬の中には寝たきりになり,褥瘡を発生してしまう現状がある。そのため,褥瘡の予防は,動物看護において重要な課題であると考えられる。本研究は,動物看護において使用する,犬における褥瘡発生予測評価表の作成を目的とした。今回,寝たきりで褥瘡を発生している柴犬2事例に対して,人における褥瘡発生予測評価表4種類を適用し,人と犬の評価基準の相違点を検討することで,犬における褥瘡発生予測評価表の作成を試みた。
著者
深瀬 徹
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.103-107, 2007-12-20 (Released:2008-11-12)
参考文献数
5

2001年から2005年の期間に犬糸状虫症予防薬の不適切な投与を受けた犬5頭に犬糸状虫成虫の寄生が認められた。その要因を検討したところ,第1例は,2001年6月から8月にミルベマイシン オキシムの錠剤,11月と12月にモキシデクチンの錠剤の投与を受けたが,9月と10月には予防薬が投与されていなかった。また,第2例は,2001年9月から12月までイベルメクチンのチュアブル製剤が投与されたが,8月までは投薬が行われていなかった。この2例では,投薬期間が不適切であったために成虫の寄生を受けたと考えられた。一方,第3例では,2003年の6月から12月までイベルメクチンのチュアブル製剤が投与されていたが,この犬は8月と9月の投薬時に下痢を発症しており,消化管からの薬物の吸収が不良であったことが推察された。第4例は,2004年6月から12月までイベルメクチンのスポットオン用滴下式液剤が投与されたが、飼い主が犬の被毛を分けて投薬を行わなかったため,被毛から薬液が飛散し,十分な経皮吸収が行われなかったことが疑われた。第5例は,2005年6月から12月までモキシデクチンの錠剤が投与されたが,この間に犬の体サイズが著しく増加したにもかかわらず,6月の際の体重にもとづいて投薬を継続したため,必要な用量の有効成分が投与されなかったものである。犬糸状虫症予防薬を処方および投与する際には,以上のような種々の点について考慮し,加えてクライアントエデュケーションを十分に行うことが重要であると考えられた。
著者
下田 哲也 真下 忠久 松川 拓哉 中西 淳 岩本 竹弘 長谷川 篤彦
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.81-85, 2001 (Released:2007-04-17)
参考文献数
19
被引用文献数
1

猫白血病ウイルス(FeLV)感染猫にみられる貧血の特徴を明らかにする目的で貧血が認められたFeLV感染猫267例の臨床病理学的および病態生理学的検討を行った。網赤血球の評価のある224例中、再生性貧血に分類された猫は27例、非再生性貧血に分類された猫は197例であった。非再生性貧血をMCV値と貧血の程度によって分類すると、貧血が重度になるほど大球性貧血に分類される症例が増加する傾向がみられた。再生性貧血27例の原因はヘモバルトネラ症が19例、IHAが8例であった。非再生性貧血の原因には、本来再生性貧血に分類されるが診断時に網赤血球数が2%未満で貧血に対する十分な反応がみられなかったため、非再生性貧血に分類された免疫介在性溶血性貧血(IHA)17例と、ヘモバルトネラ症13例、ハインツ小体性貧血2例が含まれた。赤芽球の低形成によるものは36例、慢性炎症に伴う貧血(ACD)によるもの26例、二次性貧血によるもの12例、無効造血によるもの9例であった。
著者
大竹 修
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.193-196, 2015-12-25 (Released:2016-12-25)
参考文献数
4
著者
朴 永泰 伊藤 淳 岡野 昇三
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.115-118, 2014-10-20 (Released:2016-02-06)
参考文献数
11

8才の雑種のウサギが全身の鱗屑,脱毛,両側眼球突出,呼吸困難を主訴に来院した。各種検査により,縦隔領域には胸腺腫の発症が疑われ,全身の皮膚は腫瘍随伴症による脂腺炎の発症と診断された。飼い主は皮膚症状に対する治療のみを希望されたため,犬の脂腺炎治療を参考にシクロスポリンを中心とした対症療法を行ったところ,2カ月後,胸腺腫のサイズ縮小が認められ,眼球突出,呼吸困難は改善された。ウサギの胸腺腫に対しては,外科療法,放射線療法,化学療法が選択されるが,本症例はシクロスポリンを中心とした投薬によって胸腺腫を縮小させる可能性を示した。
著者
藤井 仁美
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.101-104, 2017-09-25 (Released:2018-09-25)
参考文献数
8
著者
水谷 雄一郎 小笠原 淳子 髙島 一昭 山根 剛 山根 義久
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.113-118, 2017-09-25 (Released:2018-09-25)
参考文献数
24

鳥取県西部の米子動物医療センターに来院した猫のFeLV抗原陽性率,FIV抗体陽性率などを過去12年間,カルテの記録をもとに回顧的に調査した。FeLV抗原陽性率は,12年間の平均で7.0%であり,年度別陽性率については低下していた。FIV抗体陽性率は,12年間の平均で16.8%であり,年度別陽性率は横ばい傾向であった。口内炎の罹患率は, FIV/FeLV陰性群16.1%,FeLV単独陽性群25.6%,FIV単独陽性群27.4%,FIV/FeLV陽性群29.7%であり,いずれの陽性群も陰性群に比べ有意に高値であった。リンパ腫の罹患率は,FIV/FeLV陰性群0.5%,FeLV単独陽性群14.6%,FIV単独陽性群1.9%,FIV/FeLV陽性群2.7%であった。死亡年齢の平均は,FIV/FeLV陰性群9.5歳,FeLV単独陽性群5.9歳,FIV単独陽性群10.3歳,FIV/FeLV陽性群6.4歳であった。
著者
田村 慎司 田村 由美子 鈴岡 宣孝 大岡 恵 長谷川 孝寿 内田 和幸 渡邊 洋平 朝長 啓造
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.49-52, 2006 (Released:2007-11-14)
参考文献数
14

急性の脳幹・辺縁系症状を呈した猫が,各種検査で広範な脳炎と診断された。安楽死後,通常の病理組織学的検査により,MRIで炎症像が認められた部位に一致したクリプトコッカス脳炎と診断された。血清中の抗ボルナ病ウイルス(BDV)抗体が陽性だったため,脳組織を免疫染色したところ,MRIおよびH&E染色による病理組織学的検査でともに異常が認められなかった小脳・橋・延髄の神経細胞内に免疫染色でBDV抗原が検出され,BDV感染が確認された。
著者
柴田 恵美子
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.158-164, 2015

青少年のいじめや自殺などの社会問題に対処する活動の1つとして,うさぎ,モルモット,チャボなどの学校飼育動物を「生きた教材」として有効に使う「命の教育」が成果をあげている。我々は2013年12月に名古屋市において小学校の飼育の実態を調査し,その前後の2010年から2014年にかけて行った小学校の生活科の動物ふれあい教室,教員セミナー,放課後学級における動物ふれあい教室,児童飼育委員会への飼育指導,市民セミナーなどの支援活動について,教員を対象にアンケート調査を行った。アレルギー,休日飼育など解決すべき問題はあり,飼育は減少傾向にあるが,学校動物飼育は体験を通して子供の「命の教育」に成果を上げていると推測された。そして,名古屋市という都市型の小学校における課題は,学校飼育を減少させないことであり,獣医師は教育関係者へ動物介在教育の意義を周知するために,保護者,行政機関と協力して,丁寧な活動を継続しなければならないことを再認識させられた。
著者
田中 克実 桃井 康行 峯岸 美知代 関口 麻衣子 紺野 克彦 田中 あかね 松田 浩珍 岩崎 利郎
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.5-11, 2003 (Released:2007-11-02)
参考文献数
12

本研究では犬の肥満細胞腫の病態、予後、術後の転移を予測する指標を検索する目的で、肥満細胞腫の犬12症例を対象に血中ヒスタミン濃度および末梢血をカルシウムイオフォアで刺激した後のヒスタミン放出を測定した。その結果、肥満細胞腫の犬の血中ヒスタミン濃度は健常犬と比較して高値であり、腫瘍の大きさ、病期と相関する傾向が見られ病態や治療効果の監視に有用である可能性が示された。血中ヒスタミン濃度が特に高値であった肥満細胞腫の犬9例の生存期間は2-130日(中央値29日)と極めて短く、予後との間に相関傾向がみられた。また末梢血の肥満細胞数の指標として血液を刺激した後のヒスタミン濃度を測定した。その結果、転移がみられた8例のうち6例で明らかなヒスタミン放出がみられ、転移がない4例ではみられなかった。このことから、刺激によるヒスタミン放出は転移の存在を示唆すると考えられた。また特に著しいヒスタミン放出が見られた6症例では治療法に関わらず全例が130日以内に死亡した。本研究により血中ヒスタミン測定が肥満細胞腫の予後の予測や治療法の選択に際し、有用な情報を提供し得ることが示された。