著者
松尾 淳一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.244-247, 2013-05-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
6

ある炭素-水素結合を炭素-重水素結合に置き換えた場合に,反応速度が遅くなることがある。その効果を速度論的同位体効果という。その置き換えた結合がその反応にて切断される場合は,一次同位体効果として知られている。また,重水素にて置き換えた結合が反応によって切断されない場合は二次同位体効果として知られ,その重水素の位置の違いから,α二次同位体効果およびβ二次同位体効果として分類されている。これらの速度論的同位体効果によって,反応のどの段階が一番おそい段階(律速段階)なのか知ることができ,さらに反応の遷移状態の構造に関しても情報を得ることができる。したがって,速度論的同位体効果を明らかにすることは,反応機構を調べる際の重要な方法の一つとなっている。
著者
渡辺 正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.600-603, 1999-09-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
3

アメンボが水面に遊び, 朝露が葉の上でころがり, きれいなガラス面に水滴がさっと広がる。水性インクではプラスチック表面に文字が書けず, 水面に置いたショウノウはあちこち動き回り, テフロンコートのフライパンはこげつかない…どれも表面張力の織りなす世界である。表面張力はどうやって生まれるのか, その大きさは何が決め, どんな要因で変わるのかを考えつつ, いっぷう変わった「表面ワールド」を鑑賞しよう。
著者
上平 恒
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.494-500, 1995-08-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
6

水の中の水分子はお互いに水素結合で結ばれており, 1つの水分子の周りに4.4個の水分子が存在する。水はそのようにかさばった液体構造をもっているが, ミクロにみると水分子はきわめて激しい回転や並進運動を行なっている。例えば, 並進運動の時速は183kmである。このため水素結合で結ばれた水のクラスターの大きさや形は絶えず変化しており, クラスターの平均寿命は10^<-12>sのオーダである。水は約4℃で1g・cm^<-3>という最大密度をもつなど, 種々の特異な性質をもっているが, これは水の独特な液体構造によるものである。
著者
齊藤 幸一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.432-435, 2017-09-20 (Released:2018-03-01)
参考文献数
8

原子価殻電子対反発(VSEPR:valence shell electron pair repulsion)モデルは,分子をルイス構造(電子式)で表し,電子対間の反発を考えることにより,分子の形を定性的に簡便に予測できる。この考え方は,化学基礎の教科書にも登場し,大学入試問題にも出題されている。分子の構造を丸暗記に頼らず予測できるVSEPRモデルや,それを考える上で前提となるルイス構造,VSEPRモデルより理論的な背景をもつ混成軌道の概念などを高校現場の経験をふまえ,いつどこまで教えるのか振り返ってみた。
著者
角田 陸男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.162-166, 1993-03-20 (Released:2017-07-13)

ファーブルの言葉に"小さな子どもはみんな科学者だ"というのがある。日本でも小学生, 特に低学年の児童にとっては「理科」は大好きな教科の一つである。しかし, 昨今大きな問題として出てきている高校生の「理科離れ」の実状にも伺うことができるように, 「理科に対する好き嫌いの意識」は学齢が進むにつれ, しだいに変容していくことを示しているように思われる。それでは, 児童・生徒はどこで「理科」が嫌いになるのだろうか。
著者
丑田 公規
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.228-231, 2017-05-20 (Released:2017-11-01)
参考文献数
13

大量発生し,厄介者とされているクラゲを有効活用する解決策は,繰り返し話題になっているが,実情はそれほど容易な問題ではない。生物としてのクラゲの習性と,それを取り巻く社会状況は曲解され,それはメディアの取り上げ方によって拡大している。著者は新規な糖タンパク質であるクニウムチンをクラゲ体内に発見した経験をもつが,今のところその抽出が有効対策になるとは考えていない。またクラゲだけでなくムチンという化学物質については,一般人のみならず専門家の間にも誤った情報や呼称が広がっている。そこで,一般の化学教育に携わっている方に正確な情報をていねいにお伝えするため本稿を執筆することにした。
著者
西川 純
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.432-435, 2015-09-20 (Released:2017-06-16)

理科は実験方法の検討,実験結果の予想で子どもたちが話し合う場面が多い。また,実験・観察では子どもたちが主体的に学習している。本稿では,『学び合い』という授業によって,理科が国語,英語より優れた言語学習の場になることを紹介する。
著者
阿部 文一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.562-565, 2009-12-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4

電気化学がイオンの存在や挙動を徐々に明らかにして行った。水溶液中ではイオンは水和しており,水溶液の電気伝導率と溶液中のイオンの移動に密接に関係している。中和反応の進み方と伝導率および酸塩基滴定などについて実際の測定を念頭に置いて解説する。
著者
近江谷 克裕
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.372-375, 2016-08-20 (Released:2017-02-01)
参考文献数
12

ホタルの光に代表される生物発光は基質ルシフェリンの酸化に伴う化学反応の光である。酵素ルシフェラーゼによって効率よく光が生み出されることから冷光ともいわれる。未解明な生物発光の仕組みもあるが,8つのルシフェリンの構造が明らかとなり,それらの酸化反応を触媒するルシフェラーゼも明らかになりつつある。一方,生物発光はATPの定量化や細胞内の遺伝子発現の解析等,生命科学を支える重要な光である。
著者
松井 亨
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.326-329, 2017-07-20 (Released:2018-01-01)
参考文献数
3

筑波大学理工学群化学類で実施される入学試験のうち推薦入試とAO入試を取り上げ,試験の内容・特徴と実施結果,それにより生じた課題を論じる。推薦入試では思考力や発想力に富んだ真面目な学生を,AO入試ではより自主性に富んだ学生が入学する傾向にある。これらの試験によって,通常のペーパーテストでは獲得しにくい層が取り込まれて,本学における多様な人材育成に貢献している。受験者の減少などの問題を抱える一方で,成績調査の結果では化学類においては入学経路に依存した大きな差異は見られないことから,さらなる人材の多様化を目指すためには今後これらの制度を活用した入試形態が望まれる。

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著者
内藤 卓哉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.574-577, 2017-11-20 (Released:2018-05-01)
参考文献数
2

白熱電球は100年近くの間照明の主流であり,私たちの生活に深く溶け込むとともに,生活を大きく変えたものであった。しかし,電球はエネルギー効率の低さから,蛍光灯,さらにはLEDへの転換が進んでいる。電球の生産は縮小しており,電球の役目はほぼ終了したといわれているが,その開発で築かれた材料技術や生産技術は他の光源の技術に引き継がれている。ここでは,電球の6大発明を中心として白熱電球の技術と開発の歴史を振り返る。
著者
菅野 政勝
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.596-597, 1991-10-20