著者
渡辺 正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.500-503, 2005-09-20 (Released:2017-07-11)

1996〜98年ごろいきなり大きな騒ぎとなったのに,もう新聞もテレビもほとんどやらない「ダイオキシン・環境ホルモン間題」とは,いったい何だったのか。命や健康にあぶないとか,果ては人類の未来を脅かすといった話はどのようにして生まれ,どんな人たちが騒ぎ,なぜ終息に向かっているのだろう?そのへんを振り返ってみれば,昨今の「環境問題」がもつ性格と,今後への教訓が浮き彫りになる。
著者
立川 眞理子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.460-463, 2007-09-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
3
被引用文献数
1

水道水を始めとする種々の浄水処理で使用されている塩素(Cl_2やHClO)とその関連物質(オキソ酸,二酸化塩素およびクロラミン)について化学的な説明を行い,それを基に実際の塩素処理の機構とその化学的な背景,およびそこから生じる塩素副生成物などの種々の問題点について例をあげて解説する。
著者
山口 敏男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.344-347, 2022-07-20 (Released:2023-07-01)
参考文献数
5

水は,地球表面の7割を覆っており,成人のヒトの体重の7割を占める。水は地球に生命が誕生するために,また地球上の動植物の生命活動に不可欠な液体である。水は,正常な液体に比べて多くの異常性を示す。水の構造や特性は1世紀以上にわたり研究されてきたが,現在も水の本質を解き明かすモデルが活発に研究されている。近年,種々の実験技術の進歩により,広い温度圧力領域や特殊環境下での水の構造が明らかにされている。
著者
原 博
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.385-389, 2000-06-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
2

生体のしくみが精密に明らかになるにつれ, それに関与する医薬品や農薬, さらに情報機器に多用される液晶においても光学活性化合物の理解とそれらの入手が必須となってきた。また, 大学入試においても光学異性体について他の異性体を含めて頻繁に出題されるようになってきた。どの高校の教科書にも光学異性体の存在と簡単な説明がある。不斉炭素が一つのときはわかりやすいが, 二つ以上のものについては記述がないか, 混乱しているものもある。本稿では立体異性体の分類とそのなかでの光学異性体の位置, およびその周辺を整理して解説する。
著者
岡内 辰夫 北村 充
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.130-133, 2019-03-20 (Released:2020-03-01)
参考文献数
4

2010年,「有機合成におけるパラジウム触媒を用いたクロスカップリングの開発」に貢献した3人(Heck,根岸,鈴木)に,ノーベル化学賞が与えられた。そのうち2人が日本人であったため,マスコミで大きく取り上げられ,クロスカップリングという言葉が広く知られるようになった。受賞者の1人である北海道大学名誉教授の鈴木 章先生らのグループが開発した反応が,鈴木-宮浦クロスカップリングである。この反応は,有機ホウ素化合物と有機ハロゲン化合物に対して,パラジウム触媒を作用させることで炭素-炭素結合が形成するというものである。この反応は,我々の身の回りの医薬品,農薬,液晶材料,EL材料などの開発・量産化に大いに貢献している。

2 0 0 0 OA 奈良の墨

著者
野田 盛弘
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.514-517, 2016-10-20 (Released:2017-04-03)
参考文献数
8

奈良の正倉院には,およそ1300年前に中国から伝来したと考えられる「墨」1)が伝わっている。その「墨」の外観を見る限り現在の墨とその製法が変わっている様子はなく,油煙もしくは松煙などの煤と膠を混練した後に成型,乾燥させたように見える。和紙に墨で書かれた文字は,正倉院文書が現代に伝わっているという事実から1300年の時を経ても変わることのない,長期保存安定性に優れた稀有な記録材料であるといえる。コロイドという言葉の語源でもある膠を利用した記録材料である墨は,現在も全国生産高の95 %以上が奈良の地で作り続けられており,現代ではコロイドの技術がインクジェットプリンターのインキや導電性塗料,化粧品など我々の身近な製品に多く利用されている。
著者
齋藤 俊和
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.158-161, 2021-04-20 (Released:2022-04-01)
参考文献数
9

界面活性剤が水の表面張力を変化させ,洗剤として機能するメカニズムについて述べる。次にセッケンや合成洗剤の原料物質と合成された界面活性剤の性質との関係について触れ,セッケンと合成洗剤の違いについて述べる。
著者
西出 宏之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.116-119, 2000-02-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

空気から酸素分子を選択的に取り込み運搬するヘモグロビンは, 中心に鉄をもつ分子「ヘム」を含むタンパク質である。ヘモグロビン中のヘムの構造と, 酸素の結合平衡反応をもとに設計された全合成ヘムは, タンパク質なしでも酸素運搬できるので, 酸素運搬輸液(いわゆる人工血液)としての試験が進んでいる。全合成ヘムを組み込んだフィルムによる(酸素/窒素)分離など, ヘモグロビンを超える全合成ヘムの機能も紹介する。
著者
河野 俊哉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.50-53, 2021-02-20 (Released:2022-02-01)
参考文献数
5

新型コロナウイルスが席巻する現在,北里柴三郎の営為は益々再評価される機運にある。また,北里と言えば第1回ノーベル賞候補,ペスト菌真贋論争,脚気論争,伝染病研究所移管騒動などエピソードに事欠かない人物でもあるが,それらを精査する時期にも来ている。そこで最新の科学史研究の成果を基に北里の上記エピソードの現在の状況を確認すると共に北里研究所・北里柴三郎記念室や東京大学医科学研究所・近代医科学記念館など白金周辺の探索の成果も併せて紹介したい。
著者
竹内 俊夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.31-35, 1991-02-20 (Released:2017-07-13)

宝石ブームだそうである。日本での宝石全体の販売金額は2兆6000億円, とある雑誌に書いてあった。そしていまに金余りの日本は, アメリカを抜いて世界の宝石大国になるのではともいわれている。そういわれてみると, ほとんどの女の人の指に指環が光っている。全財産ではないかと思われるほど, 左右の指に何個もはめている人もいる。しかし宝石の歴史や性質, その美しさの要因を知っている人は少ない。宝石を通して自然の鉱物の美しさを知って欲しいと思う。実験室でできるめのうの着色についてもふれておいた。
著者
前田 直美 小瀬川 度
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.128-129, 2008-03-20

現地に住む者として、そんな見方のすべてが誤解とは言わない。しかし、少なくともビジネスを築き上げた人物となれば、イタリア人も日本人が驚くほど勤勉だ。 オフィス家具メーカー「ウルトム」の創業社長のルイージ・トムボラン(78)もよく働く経営者の一人だ。 ルイージは伝統的な木工場にすぎなかった家業を、デザイン力の高いオフィス家具メーカーに育てた。
著者
深野 哲也
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.132-135, 2017-03-20 (Released:2017-09-01)
参考文献数
8

炎色反応は,『化学基礎』では「成分元素の検出」において,『化学』では「アルカリ金属」「2族元素」において必ず取り上げられる学習項目である。様々な色彩の炎が簡単に観察できるので,生徒実験や演示実験が多くの高校で行われてきた。ところが生徒実験としては,教科書から消えている場合もあり,実験方法の紹介も簡単に済ませている教科書が増えている。本稿では,多くの高校で実施されてきた実験方法を紹介するとともに,少し視点を変えた銅の炎色反応の紹介を行う。併せて,炎色反応の歴史的なトピックスや,よく炎色反応の応用例として紹介される花火に関する知見を記し,最後にその今日的な活用例に触れる。
著者
伊藤 美千穂
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.616-619, 2016-12-20 (Released:2017-06-01)
参考文献数
3

日本古来の奥ゆかしい伝統に,沈香*1などの香木を穏やかに暖めて立ち上がる芳香を“聞く”香道がある。また,西洋でアロマセラピーが提唱されるより以前に,北宋の詩人である黄庭堅により香の精神的・身体的効能を謳った漢詩「香十徳」*2が書かれており,日本でも広く知られていた経緯がある。しかし,現代の薬学分野では,主に再現性や定量性の問題からにおい自体やにおい成分の薬理効果などは研究対象になりにくいものとされ,これらについての研究は精力的には進められてこなかった。他方,においの効果に興味を持った著者らはマウスを使ったにおい成分の経鼻吸収モデルを構築し,香道で用いられる沈香の芳香成分に強い鎮静作用があることを明らかにした。さらに沈香等の薫香生薬類やハーブ類の精油等からのにおい成分の摂取がマウスの行動に与える効果を行動薬理的に解析することにより,これらのにおいの中の活性成分の詳細な検討や,薬としての応用の可能性について研究を行っている。