著者
石黒 史郎
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.30-41, 2007-04-30 (Released:2009-08-04)
参考文献数
25
被引用文献数
2

本稿の目的は, 家族社会学の形成過程を探るという問題関心の下, 戸田貞三の初期著作において, 家族が, どのように問題にすべきものとして構成されているのかを検討することである。彼の初期著作において看過できないのは, 明らかな社会改良への志向である。制度や集団, その成員, あるいは生活形式などの一般的なタームも, その志向をめぐって組織化されており, それによって社会的な弊害が析出される。そこで重要になるのは人々が正確な事実を知り, それに基づいて行為することであり, そのための契機として家族は位置づけられている。統計法はそうした人々が基づくべき事実を知らしめるための方法であり, それによって, 彼の論理において重要な位置を占めている家族についての事実も知らされるのである。
著者
田渕 六郎
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.117-122, 2000-07-31 (Released:2009-09-03)
参考文献数
44
被引用文献数
2

本稿は、近年の家族研究において注目されている構築主義的研究の動向を紹介することを目的とする。ここで構築主義的研究とは、以下で述べる意味で「構築主義的」な理論枠組みを採用していると考えられる研究を指す。関連する研究動向の紹介としては、拙稿 (田渕, 1996, 1998) のほかに、構築主義的家族研究を代表する研究であるGubrium and Holstein (1990) の訳書「あとがき」に訳者等による紹介があり、宮坂 (1999) や土屋 (1999) も関連する実証研究の動向を整理している。本稿は研究動向の紹介を網羅的に行う紙幅を欠くため、紹介はこれら先行研究に挙げられている文献と重複しないものを優先していることをお断りしておきたい。
著者
宮坂 靖子
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.37-47, 1999

近代家族論を経由し、またフェミニズムの影響を受けた後の我が国の家族社会学研究は、大人中心の家族論になったとて言われるが、果たしてそうであろうか。戦後の親子関係研究は「しつけ」をキータームとしていたが、内容的には一貫して大人の視点からなされてきた。「情緒的な専業母」の規範化が子ども中心と理解されてきたに過ぎない。ここ約10年間の研究成果を鑑みれば、むしろ父親排他的な専業母による育児が、子ども、母親、父親の三者にとって望ましいものでないことが明らかになってきており、親子研究は、ポスト近代家族の模索の中にあって、両親による共同育児という方向性を明示してきている。しかし同時に、研究者はその言説の持つイデオロギー的側面に留意する必要がある。家族社会学は自己の発した言説を相対化する視点も同時に把持する必要がある。
著者
西村 昌記
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.165-176, 2012
被引用文献数
1

ストレスプロセスモデルを用い,高齢者を介護する配偶者のストレスとその性差について検討した.対象は配偶者を介護する60歳以上の主介護者314名(女性206名,男性108名)であった.分析モデルは介護者の年齢と活動能力,1次ストレッサー(被介護者のADL障害,認知症に関連する行動),2次ストレッサー(介護負担感),心理社会的資源(情緒的サポート,介護統制感),精神的健康から構成されている.構造方程式モデリングによる同時分析の結果,1次ストレッサー,2次ストレッサー,精神的健康の相互の関連には男女に共通性が高く,これらと心理社会的資源との関連にはやや性差があることが示唆された.すなわち,男女とも情緒的サポートと介護統制感が介護負担感を低下させ,精神的健康に寄与するという媒介効果が示された一方,女性にのみ介護統制感が精神的健康に寄与するという直接効果が認められた.

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著者
野田 潤
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.74-75, 2007-04-30 (Released:2009-08-04)
被引用文献数
1 1
著者
荒牧 草平
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.85-97, 2018-04-30 (Released:2019-04-30)
参考文献数
25

子どもに対する親の教育期待は,親の社会経済的地位と子どもの学歴を媒介する,重要な要因とみなされてきた.一方,近年の研究は,子どもの学歴に対し,親だけでなく,祖父母やオジオバといった拡大家族の学歴も関連することを報告している.こうした分析結果は,回答者にとっての重要な他者である親キョウダイの学歴や態度が,回答者の教育態度の形成に関与していることを反映していると考えられる.また,これと同様の影響は,家族以外の重要な他者である,友人・知人からも受けていると予想できる.したがって,本稿では,拡大家族や友人・知人を含めた家族内外のパーソナルネットワークが,回答者の高学歴志向の形成に与える影響を明らかにすることを目的とした.小中学生の母親を対象とした質問紙調査データの分析から,1)キョウダイ,夫の親,友人・知人の学歴が本人の高学歴志向に独自の正の効果を持つこと,2)ネットワークメンバーの持つ高学歴志向が本人の高学歴志向に独自の正の効果を持つこと,3)本人や夫の階層要因は直接的な効果を持たないことなどが明らかとなった.最後に分析結果の意味について階層論とネットワーク論の観点から考察を行った.
著者
松岡 英子
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.101-112,142, 1993-07-25 (Released:2010-02-04)
参考文献数
26
被引用文献数
8 2

This paper discusses and estimates the various factors on stress which have been used with family caregivers for the impaired elderly, and explores the factors influencing the stress of family caregivers, using the conceptual components of stress : “Stressor”, “Perception of caregivers”, “Resources” and “Stress response”. The sample consists of 873 family caregivers for the impaired elderly living in Nagano prefecture, of which 712 (81.6%) were valid responses. A questionnaire was developed to investigate present stress symptoms of the caregivers. Principal component analysis, Cronbach's alpha, Multivariate analysis of variance and Multivariate analysis of convariance are used to look at the relationships between factors on the stress of caregivers. The findings show that, the conceptional components, “Stress response” is related to the other components “Stressor”, “Perception of caregivers” and “Resources”. As for “ Stress response”, there were nine significant factors influencing the stress level of family caregivers. They are the elderly person's mental status, the quality of service, traditional caregiving ideology, the caregiver's health, the caregiver's job status, the emotional attachments in family relations, the emotional support from relatives, the emotional support from friends and neighbors, and instrumental support in the case of emergency from relatives.