著者
谷口 昭弘 森田 信一
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.101-111, 2010-11

本論文は,明治時代,どのように西洋音楽が富山県に持ち込まれたか,あるいはそれにもとづいて,富山県内で,その音楽がどのように人々の間に広まっていったのかについて調査したものである。
著者
下田 芳幸 黒山 竜太 吉村 隆之
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.171-180, 2011-10

本研究は,共感性が対人ストレスコーピングおよびストレス反応に及ぼす影響について検討するものである。本研究は,多次元的な視点で捉えられた共感性が,対人ストレスコーピングおよびストレス反応に及ぼす影響について探索的に検討することを目的とした。なお共感性,対人ストレスコーピングおよびストレス反応とも,得点に男女差が報告されていることから(共感性については BaronCohen&Wheelwright,2004;植村ら,2008など,対人ストレスコーピングについては加藤,2000,ストレス反応については鈴木ら,1997),関連性に男女差が示される可能性を考慮しつつ検討を行った。
著者
鼓 みどり
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.277-289, 2016

Does video clip claim for political or social issues? How the artists represent their opinions in their clips? This paper focuses on claims of clips on environmental issues, victims of the war and racism. Firstly we invest clips claiming environmental issues and victims of the war. Their message is quite political even though they were made for promotion. Clips present opinions of artists. Secondly we look into claims for racism in clips, especially of Michel Jackson's. His message is quite strong in his clips such as "Bad", "Black or White" and "Jam". Thirdly we examine the films "Marcom X", "Do the Right Thing" and "8 Miles" to follow the history of the racism in the States. We notice the expansion of Hip Hop culture.
著者
魚住 明生
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.79-89, 2007-02

近年,高等専門学校でのロボットコンテスト(以下,ロボコンとする。)を契機として,高校や大学など各種学校においてロボコンが数多く実施されている。中学校においても平成12年度から全国大会が開催され,平成15年度には全国で約20都府県において地区大会が実施されており,ロボコンを取り入れた取り組みは,[生きる力]の育成をねらいとした現行学習指導要領における技術科教育の新しい題材の1つとして注目されている。本研究では,科学技術教育における新たな教材を開発することを目的として,火星ローバーコンテストに向けてのローバー製作講習会の受講者と,そのコンテストの参加者へのアンケート調査を基にして,火星探査を題材とした火星ローバーコンテストの有効性について検証した。さらに,それを基にして,科学技術教育における教材開発の視点を検討した。
著者
北島 由紀子 堀田 朋基
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.51-66, 2011-03

The purpose of present study was to investigate the effect of dodgeball training on the throwing performance in elementary-school children. Total 125 boys and 159 girls ranged 2nd grade to 5th grade in elementary-school participated in this study. The subjects were classified into control group, dodge ball game training group (DBTR), throwing motion training group(TMTR), respectively. DBTR played 10 min dodge ball game in each training session. TMTR trained 15 times dodge ball throwing without game in each training session. Both DBTR and TMTR trained 3 times per week, continued 3 weeks in the school. Kinematic analysis was performed by two directional video camera recordings(30 frames second). Movement evaluation score during throwing movement was also used to categorize the throwing motion from immature pattern(score 1)to mature pattern(score 6). Throwing movement score was improved both 2nd and 3rd grade girls after the training in the DBTR and TMTR(p<.05). Moreover, throwing distance was increased in the 3rd grade girls(p<.01). Both shoulder and hip rotational velocities were increased in the 2nd grade girls of DBTR and TMTR(p<.01). Shoulder rotational velocity was increased in the 2nd grade boys of DBTR and TMTR(p<.01). The angle of ball release was increased in the 2nd grade boys of DBTR and TMTR(p<.01). It has been suggested that the dodge ball training has influenced throwing performance in the 2nd grade children and the 3rd grade girls.
著者
川崎 聡大 福島 邦博
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.29-34, 2009-11

The aim of this study is to reveal how a set of training in Japanese syntax can affect on communication ability of a case of PDD. An eight-year old girl (Second grade year in Japanese School), who was diagnosed to have autism and mild mental retardation, was involved in this study. Baseline developmental status was FIQ63 (VIQ75, PIQ57) with WISC-III and receptive vocabulary was equivalent to 6 years and 1 month old with PVT.Receptive and productive syntax ability was equivalent to first half of 3 years old children (Stage 4-2 by S-S language developmental tests) and dissociation between syntax ability and other aspects of language development was observed. A training program was planned to make her use Japanese syntactic particles (Stage 5-2 by S-S) during Aug. 2006 to Nov 2006. T-QAR was evaluated before and after training to evaluate her communication ability. Three months after the commencement of this training program, she could pass Stage 5-2 and total score of T-QAR improved from 177 (Before training: equivalent to 4 year-old score)to 220 (Aftert raining: equivalent to 5 year-old score). Selected approach in limited language domains may be able to improve the child's total communication ability.
著者
水谷 秀樹
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.239-245, 2010

本研究は,登山が戦技として位置づけられる状況の中で,当時の立山登山はどのような目的をもって実施されていたのか,また,立山は当時の社会状況のなかでどのように位置づけられていたのか,その実際を当時の県内新聞社(富山日報社・北日本新聞社)の新聞報道から明らかにしたい。
著者
志賀 文哉
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.137-140, 2015

2013年12月生活困窮者自立支援法が公布され,2015年4月から施行されることになっている。本法は子どもの貧困対策法および生活保護法改正と合わせ,日本における現代の貧困状況の深刻さを示すものである。「自立相談支援事業」と「住居確保給付金の支給」を必須事業としながら,就労準備支援や子どもへの学習支援を任意事業として含めるなど,生活保護法や子どもの貧困対策法から求められる支援に関連する設計が示されている。このような骨子部分が定められるためには,これまで法律が定められる前から取り組まれてきた国や自治体の取り組み等を振り返り,「生活困窮者」にとって必要な支援のあり方を模索してきた経緯がある。本稿では,来年度の施行に向けて準備が進められる生活困窮者支援の現状と課題について,これまでの取り組みとの関連にも触れながら述べる。
著者
佐伯 聡史
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.73-88, 2009-03

本研究は「倒立プロジェクト」と題し,富山市立堀川小学校の協力のもと,児童を対象とした倒立の段階的指導を実践し,その効果について検証する。そしてこの研究は,原則的に授業以外の時間を有効利用して行うこととした。そのためには児童による自習形態が前提となるため,児童が自らの意志で安全に取り組めることと,体育を専門としない教員でも倒立の指導が容易になるようなるような練習プログラムの作成を心がけ,実際の器械運動指導の現場へ寄与することを目的とする。
著者
千田 恭子 嶋田 愛
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.75-91, 2008-11

現在,わが国のクラシックの演奏会における西洋声楽曲のレパートリーは幅広い。その中でも,ドイツリートやイタリア歌曲,イタリアオペラに馴染みが深いように感じるが,ここに至るまでにわが国の西洋声楽曲のレパートリーはどのように変化してきたのだろうか。 本論では,明治以来のわが国の近代化と共に歩んできた西洋声楽曲のレパートリーの移り変わりについて明らかにする。方法としては主に,現在の東京藝術大学の前身,東京音楽学校で行われた各種コンサートの資料を用い,その中から独唱曲として演奏されている西洋声楽曲について調査する。また,時期としては日本人によって初めて西洋声楽曲が演奏された明治29年から東京藝術大学設立までの約55年間を,時代を追って扱うものとする。
著者
森田 信一 松本
出版者
富山大学
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.247-260, 2006-12-14

大正期の童謡運動は、鈴木三重吉が子どものための質の良い読み物を考慮し、「子供の純性を保全開発するために、現代第一流の藝術家の真摯なる努力を集め、兼て、若き子供のための創作家の出現を迎ふる、」(鈴木 1917)ことを目指して大正7年に創刊した「赤い鳥」に代表され、続いて「金の鈴」「童謡」などの雑誌も刊行された。これらの雑誌を中心とした童謡作品については、主に物語や詩などの言葉の面から多くの研究が行なわれている(藤田 1971,童謡詩人會 1997)。音楽面からは童謡運動に参加した作曲家について、小島(2004)が「赤い鳥」と「金の鈴」を中心にとりあげ、成田為三、草川信、弘田龍太郎、本居長世、中山晋平、藤井清水、山田耕筰、河村光陽の童謡作品について、特に旋律の音階構造を詳しく分類、分析している。これらの作曲家は、日本近代の洋楽作曲家として、大正期から昭和期にかけて活躍した人々である。それらの作曲家のうち草川信については、現在でも「ゆりかごの歌」「春の歌」「どこかで春が」「風」「夕焼け小焼け」「汽車ポッポ」「みどりのそよ風」などの童謡作品がよく聴かれ、演奏されている。草川は童謡の作曲家と捉えられることが多いが、実際には童謡以外にも、歌曲、合唱曲、器楽曲などを残している。しかしこれらについては、現在ほとんど知られていない。そこで本稿では、まずいくつかの資料とご子息(次男)草川誠氏へのインタビューから草川信の生涯と仕事を概観する。次に、和声学を中心とした当時の日本の作曲理論の状況を調査し、彼の音楽技法上の背景を知る。そしてそれらに基づいて、草川信の作品のいくつかを分析して、この作曲家の、和声構造を中心とした音楽上の特徴を明らかにする。これによって、これが草川信の作曲法の特徴をつかむとともに、大正から昭和期へかけての日本の洋楽の作曲様式の状況を知る、ひとつの手掛りにもなると考えられる。
著者
竹腰 佳誉子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.203-210, 2012

本稿では,印刷業に関わるフランクリンの人脈,あるいは人脈づくりに着目し,順を追って述べていきたいと思う。それによって,そのネットワークがフランクリン自身にとって,ひいては植民地にとって何をもたらしたのか,植民地独立にいかに関与したのかということも明らかにされると思われる。
著者
坂本 麻実子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.235-241, 2012

井上ひさし(1934-2010)は演劇界へのデビュー作「日本人のへそ」(1969年 2月初演)から最後の新作となった「組曲虐殺」(2009年10月初演)までの40年間,役者たちの歌を伴奏するためにピアニストを使用する作品を断続的に書いてきた。ピアニスト1名を使うのが井上が愛用するやり方である。井上が愛好した作曲家ガーシュイン Gershwin, George(1898-1937)が自作自演のピアニストとしても活動したことに着目し,井上のガーシュイン愛好と音楽劇におけるピアニストの使用の関連から考えてみたい。
著者
中村 順子 浦林 寛英 中島 育美 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.199-204, 2011-10

わが国における大学等の高等教育における発達障害傾向のある学生に対する支援は始まったばかりであり,また,これまでカウンセリングが中心となっている。平成23年度より,大学入試センター試験において,発達障害学生が受験する際の合理的配慮が公的に保障されるようになったため,今後の大学における発達障害学生への支援については,質的にも数的にもさらなる充実した取り組みが必要になると考えられる。本稿では,発達障害学生に対して,障害者支援に関する法的整備,医療との連携を踏まえた上での根拠のある支援を継続してきているアメリカ合衆国の例をもとに,わが国の高等教育における今後の発達障害学生への支援のあり方を検討した。
著者
竹腰 佳誉子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.203-210, 2012-03 (Released:2016-02-15)

本稿では,印刷業に関わるフランクリンの人脈,あるいは人脈づくりに着目し,順を追って述べていきたいと思う。それによって,そのネットワークがフランクリン自身にとって,ひいては植民地にとって何をもたらしたのか,植民地独立にいかに関与したのかということも明らかにされると思われる。
著者
笹田 茂樹
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.1-15, 2011

本稿ではまず,教育と公共圏の関係について,ハーバーマスの描いたシェーマ(schema,図式)に概ね沿う形で,黒崎が指摘する具体的な「仕掛け」としての学校評価活動を研究対象として論究していくが,公共圏に参加する主体の形成に関しては,ハーバーマス理論を援用する野平の構想には与せず,ホネットの理論に準拠しながら検討したいと考えている。本稿第1章では,ハーバーマスのコミュニケーション理論から,「コミュニケーション的権力」概念を学校評価活動に適用する。これは,討議過程において人びとがコミュニケーション的自由を公共的に使用することから権力が発生するという概念で,評価活動における「参加」や「協働」の制度設計を考える際に重要なものとなる。第2章では,ホネットの理論から,彼の「承認をめぐる闘争」概念を用いて,学校評価活動への生徒参加について論じる。この概念は,アイデンティティ形成に必要な相互主観(間主観)的な承認関係が他者との闘争によって発展・拡大していくというもので,公共圏における世代間闘争を論ずる際にこれを援用することで,生徒参加の理論構築を試みる。なお,本稿で使用する「公共性」という用語は,特に指定しない場合は「市民的公共性」を指し,その意味は入江幸男の定義に基づいて「ある問題に関してあらゆる論点を自由にとりあげて,それについて理性的に議論を行い」,しかも「その議論が公開されて,すべての人がその議論に自由に参加できる」性質とする。そして,このような状態が成立している社会空間を「(市民的)公共圏」あるいは「公共空間」と呼ぶこととする。さらに「熟議」という用語については,管見によればこの語を初めて使用した法哲学者である井上達夫が,「一人で熟慮するのではなく,皆で話し合って熟慮する」ことであると解説している。この解説とハーバーマスの協議政治モデルに基づき,本稿が用いる学校評価活動などにおける「熟議」とは,「生徒・教職員・保護者,あるいは地域住民が対等の立場で協議し,熟慮し合うことで共通理解を形成していく行為」とする。
著者
姜 信善 河内 絵理
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.1-15, 2010-03

愛着(attachment,アタッチメント)とは,「乳幼児期を過ぎると消え去るのではなく,青年期,成人期以降も持続し,人生において重要な役割を果たす,特定の対象に対する特別な情緒的結びつき」のことである(Bowlby,1973)。本研究では,愛着の<親への安心>と<親への親密>という 2側面に焦点をあて検討を行うこととする。また,本研究では,愛着対象を,・母親・とは限定せず,父親,母親を統合した ・親・との愛着を想定し,親への愛着の尺度の作成を行い,学校適応との関連を検討することとする。次に,調査対象は小学生とする。これまでの愛着についての研究は,乳幼児,中学生,大学生を対象としたものがほとんどであり(山川,2006;松岡・青柳・斎藤,2001;五十嵐・萩原,2004),小学生を対象とした研究はほとんど見当たらない。中学生や大学生にとって,親への愛着の重要性が示されたが,親の援助がより多く必要であると考えられる小学生にとっては親への愛着は,より重要な影響を及ぼすことが推察される。以上のことを明らかにすることを本研究の目的とする。