著者
宮迫 隆典 一瀬 智生 市川 史子 吉田 かおり 山本 益枝 信家 弘士 長坂 信夫 川端 康司
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.970-978, 1992
被引用文献数
1

我々は,小児の健全な成長発育を把握し,地域の歯科医療の推進に貢献する目的で,広島県湯来町の保育所および幼稚園の協力を得て,昭和62年より毎年,幼児の歯科検診を実施し,幼児の口腔内の縦断的観察を行っている。今回,幼児の生活環境のアンケート調査を行い,以下の結果を得た。<BR>1)自分自身の齲蝕予防に心がけている親は41.9%であった。<BR>2)幼児の食生活では,果実,菓子類が好まれ,野菜類は好まれない傾向が認められた。おやつの回数は, 通園日1 日1 回および休園日1 日2 回が約80%を占めた。また, 6歳児の買い食いは, 4歳,5歳児の15~20%と比較して, 約40% と増加しており, 6 歳と他の年齢間に統計的有意差を認めた。<BR>3)幼児の歯磨きでは,朝食後と就寝前の歯磨きが70%以上を占め,就寝前以外の歯磨きでは,幼児自身が磨くことが多く,時間も短かったが,就寝前の歯磨きでは,過半数以上の親が手伝い,3分以上磨く者の割合が多かった。<BR>4) 親子関係では, 親自身が齲蝕予防に心がけている方が心がけていない方より, 朝食後,夕食後に子供の歯磨きをよく手伝い,おやつを与える回数も少なく,統計的有意差を認めた。
著者
宮迫 隆典 一瀬 智生 市川 史子 吉田 かおり 山本 益枝 信家 弘士 長坂 信夫 川端 康司
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.970-978, 1992
被引用文献数
1

我々は,小児の健全な成長発育を把握し,地域の歯科医療の推進に貢献する目的で,広島県湯来町の保育所および幼稚園の協力を得て,昭和62年より毎年,幼児の歯科検診を実施し,幼児の口腔内の縦断的観察を行っている。今回,幼児の生活環境のアンケート調査を行い,以下の結果を得た。<BR>1)自分自身の齲蝕予防に心がけている親は41.9%であった。<BR>2)幼児の食生活では,果実,菓子類が好まれ,野菜類は好まれない傾向が認められた。おやつの回数は, 通園日1 日1 回および休園日1 日2 回が約80%を占めた。また, 6歳児の買い食いは, 4歳,5歳児の15~20%と比較して, 約40% と増加しており, 6 歳と他の年齢間に統計的有意差を認めた。<BR>3)幼児の歯磨きでは,朝食後と就寝前の歯磨きが70%以上を占め,就寝前以外の歯磨きでは,幼児自身が磨くことが多く,時間も短かったが,就寝前の歯磨きでは,過半数以上の親が手伝い,3分以上磨く者の割合が多かった。<BR>4) 親子関係では, 親自身が齲蝕予防に心がけている方が心がけていない方より, 朝食後,夕食後に子供の歯磨きをよく手伝い,おやつを与える回数も少なく,統計的有意差を認めた。
著者
広瀬 弥奈 松本 大輔 八幡 祥子 前山 善彦 青山 有子 島袋 鎮太郎 千秋 宜之 松下 標 倉重 多栄 福田 敦史 伊藤 綾子 野呂 大輔 齊藤 正人 丹下 貴司 五十嵐 清治
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.444-452, 2006-06-25
被引用文献数
4

改革した小児歯科学基礎実習の点検評価を,本学歯学部4年生の96名に対しアンケート方式にて実施した。アンケートの内容は,実習に対する理解度,満足度についてで,「全くできなかった,あまりできなかった,どちらでもない,できた,よくできた」の5段階による無記名回答方式で調査した。その結果,予習の段階で実習書の内容について理解できた者は,フッ化物応用法,ラバーダム防湿法,窩溝填塞法,乳歯の歯髄切断法,既製乳歯冠修復法,治療計画の立案(口腔疾患の予防)の各実習項目とも約80%を占め,多くの者がこれから行う内容についてある程度理解しながら実習を行っていると判断された。<BR>また,本実習を通して理解を深めることのできた者は,いずれの課題も80%以上を占め,本実習によりある程度体得できたものと思われた。テユートリアル実習においては80%以上の者が本実習に積極的に参加したと自己評価していたが,あまり参加できなかった者も16%認められ,再検討が必要であると思われた。マネキンを実患者と想定した施術時態度・技能の修得については,マネキンへの話しかけを有益でないと答えた者が約30%認められたことから,学生の意識改革を惹起するような対策・対応が必要と思われた。
著者
福原 信子 竹辺 千恵美 野中 歩 藤村 良子 平野 洋子 武田 康男
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.880-885, 1997-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
2

本研究は,北九州市内の障害児(者)施設のうち,就学前のMR通園の3施設,292名を対象に行った健診内容から,早期口腔衛生指導と地域歯科健診の効果,健診後の歯科受診勧告の動向について検討したものである。以下の結果を得た。1.齲歯率の減少,シーラント処置者率の増加およびf歯率の増加傾向が認められた。2.初健診時に関してみると,0歳からの早期指導を受けた「療育群」が,開業医,病院歯科等を受診した「その他群」や「未受診群」に較べ齲歯率が低く,f歯率,シーラント処置者率が高かった。3.健診回数が増すに従い,平均齲歯率の減少,平均歯率,平均シーラント処置者率の増加傾向が認められた。4.初健診時の歯垢重症度,歯肉炎重症度は「療育群」が「その他群」,「未受診群」に較べ良好であり,また健診回数の増加に従い両重症度とも軽減が認められた。5.健診後に歯科受診不要とされた者の割合は年次とともに増加した。6.勧告後の歯科処置の内容は,「療育群」では「その他群」の医療機関に較べて歯磨き指導や予防処置に重点が置かれていた。以上の結果は,北九州市における施設職員を含む地域の歯科健診システムの有効性を示すものと考えられる。
著者
森高 久恵 木村 光孝 中村 嘉明 松山 道孝 住本 和隆 篠崎 英一
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.515-522, 1983-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
18

著者らは,初診時4歳9ヵ月,Hellman's Dental Age II Aの女児において,既に4歯芽の早期萌出と,動揺による咀嚼障害を主訴として来院した症例に遭遇した。歯芽は舞踏状に動揺し,脱落寸前であった。電気診(一),X線診査で歯根形成が認められないため,保存不可能と判断し歯芽を除去した。歯芽のエナメル質表面は一部褐色を呈している部分があり,エナメル質形成不全であると思われた。除去した歯芽を2分割し,一方は未脱灰研磨切片を作製し光顕的観察に,もう一方は走査電顕的観察に用いた。光顕的にはエナメル質,象牙質ともに形成不全像を呈し,電顕的には肉眼像で褐色を呈する部分にpitsが散在し,構造は粗造でエナメル質低石灰化像を呈していた。低石灰化部と健全部のエナメル質をX線マイクロアナライザーで分析すると,定性的には全く差異を認めなかった。歯芽と同時に歯芽直下の歯槽内より摘出した軟組織の病理組織所見は慢性肉芽性炎症であった。本症例の発生原因を文献的考察と合わせて探ってみた結果,先行乳歯への影響が永久歯歯芽に及び,歯芽が壊死に陥ったため異物排除機転が働いたものと考えられる。
著者
中島 謙二 青木 浩子 加藤 敬 田村 康夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.926-935, 1997-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究は,乳首の違いが乳児の吸啜運動に及ぼす影響を検討する目的で,乳房哺乳群(BRF群),丸型人工乳首群(ROF群)および有弁型人工乳首群(SV群)を対象に,吸啜時の口腔周囲筋筋活動を筋電図学的に比較検討したものである.その結果,1)最大筋活動量は,咬筋と口輪筋においては3群間で差はみられなかったが,側頭筋ではBRF群がROF群より有意(P<0.05)に高い活動を示し,舌骨上筋群もBRF群とSV群がROF群より有意(P<0.01)に高い活動を示した.2)総筋活動量はBRF群とSV群がROF群よりそれぞれ有意(p<0.01,p<0.05)に高い活動を示した.3)吸啜サイクル時間はBRF群とROF群で差はなく,SV群が有意(p<0.01)に長いサイクル時間を示した.4)口腔内の動きと筋の協調の観察では,丸型人工乳首も有弁型人工乳首も舌の蠕動様運動を伴い基本的には差はみられず,有弁型人工乳首は舌の下降時に弁が上下に大きく離開し,その時舌骨上筋群が大きい活動を示していた.以上の結果より,丸型人工乳首が乳房哺乳や有弁型人工乳首に比べ筋活動量が小さかったことから,乳児にとって丸型人工乳首は比較的容易に吸引できることが示唆された.
著者
今村 均 西田 郁子 牧 憲司 森本 彰子 古谷 充朗 上田 秀朗 坂本 淑子 曽我 富美雄 内上 堀征人 木村 光孝
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.732-742, 1993-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
27
被引用文献数
2

著者らは小児における歯牙の測色にビデオディジタイザーとコンピュータを応用することを考えた.しかし,本機材はコンピュータグラフィック用に開発されたもので測色値は保証されない.今回の実験では機材の特性を調査し設定方法について検討した.1)機材の電源投入後30分以上経過して測定値が安定した.2)HPV2コマンドではカラーレベルが3,γ 補正値が4のとき10YR7/3の基準信号を良好に測定した.これは,HV-HP-S013012コマンドに相当した.3)ビデオカメラの設定を次のようにすると良好な結果が得られた.(1)シャッタースピード:1/60S(2)絞り:F3.4以上またはオート設定(3)ゲイン:+6dB(4)ホワイトバランスまずカメラを横壁に向ける.次にホワイトレンズキャップを付けピントを最大にぼかす.ワンプッシュホワイトバランスボタンを押す.4)無彩色を取り込んだ測色値の特性は非直線的で理論値と一致しなかった.5)計測値を理論値に近づける数学的補正の基本式にK×M1/3+A(K,Aは定数)を用いると良好な補正値が得られた.
著者
香西 克之 鈴木 淳司 内川 喜盛 木本 茂成 田村 康夫 中島 一郎 小野 俊朗 有田 憲司 新谷 誠康 福本 敏 海原 康孝 林 文子 土屋 友幸
出版者
日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.517-523, 2008-12-25
被引用文献数
3

本邦における小児歯科学教育の現状を調査するために,全国29歯科大学・大学歯学部の小児歯科学担当講座(分野)に対してアンケート調査を行った.アンケートは小児歯科学授業(講義),基礎実習,臨床実習の3項目について行った.アンケートの結果から以下の実態が確認された.授業では,ほとんどの大学で小児歯科,あるいは成長,発達などの小児歯科学と関連のあるシラバスの科目名称を有していたが,小児歯科学単独のシラバスを持たない大学もあった.授業時問は平均55時間程度であったが,最も少ない大学と多い大学では6倍の差があった.基礎実習は平均35時間行われていたが,国公立大学の平均に比べ私立大学は有意に多かった.臨床実習実施期間は平均11.9か月で大学間の差は少なかったが,実施時期は国公立大学に比べ私立大学が約6か月程度早期に行われていた.また,臨床実習での学生の参加形態や評価方法などは大学問で大きな差があった.<BR>以上のことから,小児歯科学の教育は各歯科大学・大学歯学部で大きな差があることが確認された.特に授業時間や実習時間は私立大学が多い傾向にあった.また臨床実習の実習期問は大学問で大きな差はないが,開始時期は私立大学が国公立大学に比べ有意に早いことが示された.
著者
南 貴洋 奥野 麻也子 高橋 亜緒郁 瀧口 宮子 松村 美依子 祖父江 鎭雄
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.590-594, 1999-06-25
被引用文献数
4

5か所の小児歯科専門の診療所で定期的に口腔衛生管理を受けている小児349名を対象として,齲蝕多発傾向者の定義に基づいて齲蝕多発傾向を有する者とそうでない者に分類し,口腔衛生管理を開始した時期とその後の齲蝕罹患状況について経年的に調査を行った。その結果,口腔衛生管理開始時に齲蝕多発傾向を有すると判定されたものであっても,永久歯萌出前に口腔衛生管理を開始することにより,永久歯における齲蝕発生を抑制できることが明らかとなり,早期のカリエスコントロールの重要性があらためて示唆された。