著者
渡部 茂 大西 峰子 河野 英司 新川 斉 五十嵐 清治
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.57-63, 1990-03-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
34

小児の唾液クリアランス能に関与している唾液分泌量について,生理学的な背景を得るために,5歳児,男女各20名の安静時唾液分泌量と,クエン酸刺激による最大唾液分泌量を測定した.クエン酸は1%(52mmol/l),3%(156mmol/l),5%(260mmol/l)溶液を用い,直径2.5mmのチューブにて,流速5ml/minで1分間口腔内を刺激し分泌された唾液量を測定した.安静時分泌量は首をやや前傾させ,口を軽く開け,舌,口唇を動かすことを禁じたまま5分間採取し,1分間の分泌量を求めた.その結果,平均の安静時唾液分泌量は,0.24±0.13ml/minで,1%クエン酸による分泌量は2.34±1.11ml/min,3%クエン酸では3.18±1.03ml/min,5%クエン酸では4.25±1.38ml/minであった.これら全ての値に男女間の有意差は認められなかった.5%クエン酸による分泌量を100%とした場合,安静時唾液分泌量は約5%,1%クエン酸による分泌量は約57%,3%では約80%を示していた.これは同様の実験で得られたBecksら,Watanabeらの成人の値と比較すると,ほぼ等しい割合を示していた.また,安静時唾液分泌量は成人の分泌量の約75%,各クエン酸溶液による分泌量は成人の約50~60%の範囲にあった.今回の結果は乳歯列での唾液クリアランス能を成人と比較して考えるうえで重要な示唆を与えるものと思われた.
著者
柳澤 孝彰 見明 康雄 藥師寺 仁
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.680-687, 2003-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究は,実験的初期齲蝕エナメル質病巣に及ぼす市販のフノリ抽出物(主成分フノラン)と第二リン酸カルシウムを配合したキシリトールガムおよびリン酸化オリゴ糖カルシウムを配合したキシリトールガムの再石灰化促進効果を検討するとともに,それらの比較評価を目的としたものである.実験的初期齲蝕エナメル質病巣は,ヒト抜去第三大臼歯のエナメル質を酢酸緩衝液(pH4.0)で50℃,2日間脱灰することにより作製した.本試験は,それぞれのガム抽出液を含む再石灰化液に脱灰したエナメル質を37℃,2週間浸漬して行った.その後,浸漬したエナメル質を脱水し,ポリエステル樹脂に包埋,厚さ100μmの研磨切片を作製した後,軟エックス線発生装置でコンタクトマイクロラジオグラムを撮影し,鏡検した.また,再石灰化の程度は,画像処理解析を行うことにより算出した.さらに,それぞれのガムでの再石灰化の程度はstudent'st-testによる統計処理を行って,有意差を検定した.フノリ抽出物と第二リン酸カルシウムを配合したキシリトールガムは,初期齲蝕エナメル質病巣の全層にわたって再石灰化を高めており,再石灰化率は45.5%であった.これに対し,リン酸化オリゴ糖カルシウムを配合したキシリトールガムでは,再石灰化がほとんど認められず,再石灰化率も23.7%であった.フノリ抽出物と第二リン酸カルシウムを配合したキシリトールガムの再石灰化率は,リン酸化オリゴ糖カルシウムを配合したキシリトールガムの約1.9倍であった(P<0.01).
著者
石川 朋穂 高田 貴奈 渋谷 泰子 浅里 仁 井上 美津子 柳原 正恵 足立 マリ子 佐々 龍二
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.434-438, 2006-06-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
11

平成15年4月から平成16年3月までの期間に,東京都K区の保健所および保健センターの歯科健診に来所した2歳6か月児459名について咬合状態の診査を行い,同時に保護者を対象におしゃぶりの使用状況についてアンケートによる調査を行い,以下の結論を得た。1.おしゃぶりの現在使用群では,使用経験なし群に比較して開咬の者の割合が明らかに高かった。2.おしゃぶりを過去に使用していた群では,開咬の割合は少なかった。3.おしゃぶりの使用開始時期にかかわらず,使用期間が長期間に及ぶほど開咬になる割合も高くなった。4.おしゃぶりの現在使用群では,使用経験なし群に比較して習癖を持っている者の割合が少なかった。5.おしゃぶりとしゃぶり癖の両方を行っている者はほとんどいなかった。6.おしゃぶりのみを現在使用している群は,しゃぶり癖のみを行っている群に比べ,開咬になる割合が高く,その範囲は広範囲に及び,程度も大きくなっていた。
著者
日本小児歯科学会医療委員会 品川 光春 田中 光郎 犬塚 勝昭 大原 裕 國本 洋志 鈴木 広幸 福本 敏 藤居 弘通
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.397-408, 2010-06-25 (Released:2015-03-12)
参考文献数
42
被引用文献数
2

低年齢児の診療導入に関する実態調査をするために,小児歯科専門医である日本小児歯科学会の役員117 名にアンケート調査を行った。その結果,56 名(47.9%)から回答があり,低年齢児434 名について検討したところ以下のような結果を得た。1 .医療機関選択の理由は,専門医だから33.2%,他医からの紹介32.3%,知人家族等の紹介31.3%の順に多く,地域での小児歯科専門医の役割を示している。2 .保護者の希望は,多少の泣き嫌がりは仕方ない50.7%,泣き嫌がってもしてほしい44.7%,泣き嫌がる時はやめたいは4.6%であった。3 .保護者の69.8%が診療開始から終了まで入室を希望していた。4 .診療中の子どもの反応は,泣き動くため抑制34.6%,おりこう31.6%,泣き動きそうだがおとなしくできる19.1%,泣き動くが抑制せずに何とかできる14.7%であった。5 .術者の対応は,必要な対応法を取りながら計画治療を実施が71.9%で最も多かった。6 .診療に要したスタッフ数は,子どもの年齢の増加とともに減少し,平均人数は2.7 名であった。7 .診療の所要時間は,4 歳児が最も長く42.8 分で,平均38.6 分であった。また,泣き動くために抑制の方が,おりこうの場合より所要時間が長かった。8 .小児歯科専門医としての診療の説明および診療の評価は,ほとんどが良好であり,小児歯科専門医を受診した患者の満足度が高いことが示された。
著者
玉井 久光 田中 敏子
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.1091-1099, 2000-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
42
被引用文献数
1

北九州市内の歯科医院において抜去収集された乳歯350本を対象として,乳歯のエナメル質及び象牙質に含まれるSr,Al及びMn濃度と齲蝕との関連性を検討した。乳歯は齲蝕経験のない健全歯群,齲蝕未処置の齲蝕歯群及び充填歯群の3群に分類し,エナメル質と象牙質とに分離した。両歯質中のSr,AI及びMn濃度はフレームレス原子吸光分光光度計を用いて測定した。健全歯エナメル質中のSr,Al及びMn濃度はそれぞれ,71.1±24.0μg/g,37.0±27.3μg/g,3.03±1.53μg/gであった。また,象牙質中のSr,AI及びMn濃度はそれぞれ,67.4±23.0μ;g/g,33.9±28.2μg/g,0.92±0.74μg/gであった。健全歯群で性差を検討したところ,エナメル質,象牙質ともSr,Al及びMn濃度に性差は認められなかった。次に,健全歯群で歯種別差を検討したところ,Sr濃度に差は認められなかったが,AlとMn濃度については歯種別差が認められ,エナメル質,象牙質とも,乳犬歯に比べ乳切歯は約1.7-2.1倍も高かった。健全歯群,齲蝕歯及び充填歯群の歯質中Sr濃度は近似しており,齲蝕との関連性は認められなかった。Al濃度については,健全歯群は齲蝕歯群及び充填歯群と比較して有意に高く,エナメル質でそれぞれ1.6倍,1.4倍,象牙質でそれぞれ1.6倍,2.3倍であった。また,乳切歯のみを用いて検討しても,健全歯群は,齲蝕歯群及び充填歯群と比較してそれぞれエナメル質で15倍,1.4倍,象牙質で1.6倍,25倍と有意に高かった。健全歯群,齲蝕歯及び充填歯群の歯質中M11濃度は近似しており,齲蝕との関連性は認められなかった。乳切歯のみを用いて検討しても同様であった。以上のことから,SrおよびMnには齲蝕との関連性は認められず,Alは抗齲蝕作用を持つ元素であることが強く示唆された。
著者
小久江 由佳子 猪狩 和子 小松 偉二 真柳 秀昭
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.140-147, 2003-03-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
24
被引用文献数
4

近年,口呼吸をする小児が増加しているといわれているが,実際に口呼吸をしている小児の割合や口呼吸が引き起こす問題点に関しては未だ明らかにされていないことが多い.そこで,今回小児における口呼吸の実態を調査する目的で仙台市内の保育園11か所における年長児クラス(4~6歳)275名の保護者を対象にアンケート調査を行い,206名から回答を得た(回収率74.9%).アンケートにより,口呼吸吸群群,鼻呼,中間群と群分けし比較したところ,以下の結果を得た.1.保育園児の22.8%が口呼吸をしている可能性が高い.2.口呼吸群は鼻呼吸群と比較して以下のような傾向があった.1)鼻咽頭疾患の既往率が高い.2)口唇,口に乾燥がみられる.3)唇が弛緩し,上唇がめくれている.4)風邪をひきやすい.5)よく聞き返す.6)前歯部の咬合は正常の割合が低い.7)咀嚼嚥下が上手にできない.8)猫背である.3.口呼吸は離乳時期,おしゃぶりの使用の既往との間に関連は認められなかった.以上より口呼吸は様々な問題点を引き起こしていることが示唆され,外来患者における呼吸様式を把握することの重要性ならびに耳鼻咽喉科との連携強化の必要性を再確認した.
著者
河合 利方 福田 理 中野 崇 磯貝 美佳 中田 和彦 中村 洋 土屋 友幸
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.684-691, 1998-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
34

外傷により脱落した歯を再植し,その予後を良好なものとするためには,その歯根膜の活性の維持が重要な要因の一つであると考えられている。本研究では,歯根膜の活性の維持をするための保存液としてソフトコンタクトレンズ保存液に注目し,その溶液の歯根膜細胞への影響をヒト歯根膜由来線維芽細胞を用い,それまで脱落歯の保存液として有効性が報告されている牛乳と生理食塩水を比較対照とし,短時間低温保存条件下で細胞数,細胞形態の観察から検討を加え,次の結果を得た。1.細胞数の測定3種類のソフトコンタクトレンズ保存液ともに,牛乳のような高い細胞数は示さず,溶液間にも差が認められた。しかし,経日的に細胞数の増加が認められ,作用7日後には牛乳の作用直後より高い細胞数を示した。2.細胞形態の観察牛乳においては,まったく異常所見は認められなかった。3種類のソフトコンタクトレンズ保存液では,生理食塩水と同様な所見を示した。すなわち,作用直後に原形質突起の縮小・球状化・剥離が認めらるものの,作用7日後には回復傾向を示し異常な所見は認められなくなっていた。以上のことからソフトコンタクトレンズ保存液は,脱落歯保存液の第一選択とされている牛乳よりも劣るものの,緊急時の一時保存溶液として短時間低温条件下での有用性を示唆したものと考える。
著者
日本小児歯科学会 有田 憲司 阿部 洋子 仲野 和彦 齊藤 正人 島村 和宏 大須賀 直人 清水 武彦 尾崎 正雄 石通 宏行 松村 誠士 石谷 徳人 濱田 義彦 渥美 信子 小平 裕恵 高風 亜由美 長谷川 大子 林 文子 藤岡 万里 茂木 瑞穂 八若 保孝 田中 光郎 福本 敏 早﨑 治明 関本 恒夫 渡部 茂 新谷 誠康 井上 美津子 白川 哲夫 宮新 美智世 苅部 洋行 朝田 芳信 木本 茂成 福田 理 飯沼 光生 仲野 道代 香西 克之 岩本 勉 野中 和明 牧 憲司 藤原 卓 山﨑 要一
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.363-373, 2019-06-25 (Released:2020-01-31)
参考文献数
17

要旨:日本人永久歯の萌出時期,萌出順序および第一大臼歯と中切歯の萌出パターンを明らかにし,約30 年前と比べて永久歯の萌出に変化があるか否かを検討する目的で,4 歳0 か月から18 歳11 か月の小児30,825 人を調査し,以下の結果を得た。1 .男子の萌出は,1 が5 歳6 か月-7 歳0 か月,6 が5 歳10 か月-7 歳6 か月,1 が6 歳6 か月-7 歳10 か月,2 が6 歳3 か月-8 歳3 か月,6 が5 歳11 か月-8 歳7 か月,2 が7 歳6 か月-9 歳2 か月,3 が9 歳2 か月-11 歳3 か月,4 が9 歳1 か月-11 歳7 か月,4 が9 歳5 か月-11 歳6 か月,3 が9 歳10 か月-12 歳1 か月,5 が10 歳4 か月-13 歳0 か月,5 が10 歳3 か月-13 歳2 か月,7 が11 歳3 か月-13 歳 10 か月,7 が12 歳1 か月-14 歳5 か月の順であった。2 .女子の萌出は,1 が5 歳5 か月-6 歳7 か月,6 が5 歳6 か月-7 歳0 か月,1 が6 歳3 か月-7 歳7 か月,2 が6 歳3 か月-7 歳8 か月,6 が5 歳10 か月-8 歳4 か月,2 が7 歳2 か月-8 歳8 か月,3 が8 歳 8 か月-10 歳5 か月,4 が8 歳11 か月-11 歳0 か月,4 が9 歳1 か月-11 歳1 か月,3 が9 歳2 か月- 11 歳4 か月,5 が10 歳1 か月-12 歳11 か月,5 が10 歳2 か月-13 歳1 か月,7 が11 歳2 か月-13 歳 10 か月,7 が11 歳9 か月-14 歳3 か月の順であった。3 .萌出順序は,男女ともに上顎が6≒1 →2 →4 →3 →5 →7 で,下顎が1 →6 →2 →3 →4 →5 → 7 であった。4 .第一大臼歯と中切歯の萌出パターンは,男子では上顎がM 型77.2%,I 型22.8%で,下顎がM 型29.2%,I 型70.8%であった。女子では上顎がM 型73.4%,I 型26.6%で,下顎がM 型36.7%,I 型63.3%であった。5 .萌出時期の性差は,すべての歯種で女子が早く萌出しており,上下顎1, 2, 3, 4 および6 に有意差が認められた。6.約30 年前に比べて,男子は上下顎4, 5, 6 が,女子は3,上下顎の4, 5, 6, 7 の萌出時期が有意に遅くなっていた。
著者
関口 浩 町田 幸雄 尾股 定夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.99-109, 1996-03-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
25

日常頻繁に摂取する食品171品種の硬さについて,新測定法として硬さ測定用触覚センサを採用して調査した結果,以下の結論を得た。1.硬さ測定値は0Hzから3,868Hzまでと広範囲にわたっていた。この測定値を基に0Hzから4,000Hzを等分し,硬さを8段階に区分した。最低値を示した食品は茶碗蒸,最高値を示した食品はキャラメルであった。2.全食品の硬さの分布状況をみると,90%が硬さ順位1から4の間にあり,軟らかい方に集中していた。3.各食品群別に硬さの分布状況をみると,穀類,肉類,調理加工食品類,野菜類は硬さ順位4に多くの食品が分布していた。これらに比べて,いも類,種実・豆類,果物類,卵・乳類および魚介類は,硬さ順位1から2の間に分布する食品が多く,軟らかい傾向が認められた。菓子類は他の食品群に比べて,分布範囲が広く,硬さ順位1から8の間に分布していた。4.硬さ順位ごとに代表的食品を挙げると,1:プリン,豆腐,2:肉団子,大根(煮),3:うどん,ウィンナーソーセージ,4:ハンバーグ,食パン,5:せんべい,するめ,6:チョコレート,あめ玉,7:無し,8:キャラメル,キャンデーであった。5.硬さ測定用触覚センサは幅広い測定範囲と高い感度を有しているため,種々な食品の硬さの測定が可能であり,しかも,短時間で判定できるため,多くの食品について測定することが可能であった。
著者
岡崎 好秀 宮城 淳 堀 雅彦 東 知宏 中村 由貴子 小坂田 弘子 紀 螢 Bazar Oyuntsetseg Rodis Omar 松村 誠士 下野 勉
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.693-700, 2002-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
37
被引用文献数
2

齲蝕のない3~5歳の小児114名を対象として,Dentocult-SM®strip Mutansテスト(Orion Diagnostica社製)を用い,ミュータンス連鎖球菌数について調べた。また小児の生活習慣に関する15問のアンケートを実施した。そしてミュータンス連鎖球菌数とアンケート項目との関係について数量化理論II類を用い解析した。さらに上位にランクされた項目についてはχ2検定を用い検討を加えた。1.Dentocult-SM(R) Strip mutansテストの判定結果の分布は,クラス0は69.3%(79/114名),クラス1は21.9%(25/114名),クラス2は8.8%(10/114名)であり,クラス3は1人もいなかった。2.以下の項目はミュータンス連鎖球菌数と有意に関係していた。1)間食の不規則摂取(χ2検定p<0.01)2)間食回数3回以上(χ2検定p<0.01)3)甘味飲料を多く飲む(χ2検定P<0.05)4)保護者の齲蝕が多い(χ2検定p<0.05)5)間食後の歯磨きをしない(χ2検定P<0.05)以上より,これらの項目に対する保健指導を行えば,ミュータンス菌の定着のリスクが減少し,ひいては小児の齲蝕予防につながることが期待できる。
著者
後藤 早智 茂木 瑞穂 薮下 綾子 三輪 全三 髙木 裕三
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.193-201, 2012-06-25 (Released:2015-03-17)
参考文献数
25
被引用文献数
1

歯科用局所麻酔剤スキャンドネストⓇ(3%メピバカイン塩酸塩製剤)は,血管収縮薬,防腐剤や酸化防止剤等の添加物が無配合,短時間作用型という特徴を持つことから小児歯科治療において有用であると考えられるが,小児に対しての国内での使用成績の報告は少ない。そこで,本研究では,小児歯科治療における本剤の臨床的有用性を検討した。対象は東京医科歯科大学歯学部附属病院小児歯科外来で局所麻酔下にて窩洞形成や抜髄等の歯科治療を行った148 症例で,術者および患児にアンケート調査を行った。局所麻酔剤はスキャンドネストⓇ,シタネストⓇ,シタネスト-オクタプレシンⓇ,キシロカインⓇ,オーラⓇ注の5 種類から,術者の判断で選択し,使用した。その調査結果では,麻酔効果および処置中の痛みにおいて,薬剤間による有意差は認められなかった。また,薬剤の種類と術後違和感において有意な差が認められ,スキャンドネストⓇは,他剤と比較して術後違和感が少ない傾向が認められた。以上より,スキャンドネストⓇの麻酔効果は他剤と同等で,持続的観血処置や長時間(30 分以上)の処置を除けば,術後の咬傷などを防ぐ意味でも小児歯科において有用性の高い局所麻酔剤と考えられ,他剤を含めた局所麻酔剤の選択肢が拡大したといえる。
著者
張 野 Lina M. Cardenas 今武 由美子 山邊 陽出代 岩沼 健児 後藤 讓治
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.478-488, 1997-06-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
37

咬合面小窩裂溝と並んで頬面小窩は齲蝕好発部の一つである.頬面小窩の形態を解明する目的で,ヒト未萌出下顎第一大臼歯20歯を用い,頬面小窩の形態についてSEMによる観察,樹脂包埋の連続研削面について実態顕微鏡による観察および計測を行い,以下の結果が得られた.1)未萌出下顎第一大臼歯20歯中の13歯(65.0%)に18の頬面小窩が観察された.同一個体の左右同名歯に左右対称的に発現する傾向が認められた.2)未萌出下顎第一大臼歯における頬面溝の長さは平均2.5mmであり,頬面小窩はすべて頬面溝の下1/3部に認められた.3)未萌出下顎第一大臼歯における頬面小窩開口部の形態は楕円形のものが最も多く,18中の12(66.7%)であった.4)頬面小窩の各計測平均値は,開口部の長径553μm,開口部の幅径189μm,小窩の深さ867μm,小窩底部エナメル質の厚径658μmであった.5)未萌出下顎第一大臼歯における頬面小窩の長径と幅径との間,頬面小窩の長径と深さとの間にそれぞれ正の相関関係が認められた(p<0.01).6)未萌出下顎第一大臼歯における頬面小窩の形態は,DV型が最も多く,18中の7(38.9%),SV型とSK型がそれぞれ4(22.2%),DK型が3(16.7%)であった.SU型とDU型はなかった.
著者
林 文子 Tedjosasongko Udijanto 粟根 佐穂里 岡田 貢 香西 克之 長坂 信夫
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.708-715, 1999

日本茶,ウーロン茶,紅茶などの各種茶のフッ素溶出濃度を測定し,齲蝕予防への効果を検討するため,宇治産および静岡産煎茶,静岡産ほうじ茶,中国産ウーロン茶,スリランカ産紅茶を材料とし,浸出温度50℃,60℃,70℃,80℃ および90℃,浸出時間30秒,1分,2分,5分および10分の各条件下で浸出した茶浸出液のフッ素溶出濃度を測定し,以下の結果を得た。<BR>1)温水で浸出した場合のフッ素溶出濃度は,浸出温度にかかわらず紅茶,ほうじ茶,煎茶,ウーロン茶の順に高く,その濃度は浸出温度80℃,浸出時間2分の場合紅茶1.82ppm,ほうじ茶1.02ppm,煎茶(宇治産,並級,古茶)0.80PPm,ウーロン茶0.48PPmであった。2)煎茶においては保存期間にかかわらず,並級の方がフッ素溶出濃度が高い傾向がみられた。また,産地別では宇治産のものにフッ素溶出濃度が高い傾向がみられた。3)水だしした場合のフッ素溶出濃度は,ほうじ茶(3.69ppm),ウーロン茶(2.18ppm),煎茶(1.39PPm),紅茶(1.58PPm)の順に高かった。<BR>以上の結果より,茶浸出液のフッ素溶出濃度は茶の産地や製法で異なり,煎茶においては,一般に下級と言われる硬化した下位葉を使用した茶に多く含まれていることが示された。これらの結果は,齲蝕予防における食生活指導への茶飲料の効果的な利用を示唆するものである。
著者
山内 理恵 有田 憲司 阿部 洋子 森川 富昭 木村 奈津子 山口 公子 津田 雅子 福留 麗実 西野 瑞穂
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.506-513, 2003-06-25
被引用文献数
6

母親の年齢と乳歯の齲蝕発生との関連を検討する目的で,徳島県名西郡石井町の地域歯科保健管理データベースを利用して,1991年~2001年の間に生まれた第一子の小児を母親の初産年齢をもとにG1群(初産年齢22歳以下),G2群(初産年齢23~28歳),G3群(初産年齢29~34歳)およびG4群(初産年齢35歳以上)に分類し,齲蝕罹患状況を分析し,以下の結果を得た.<BR>1. 1歳6か月ではG4群で齲蝕有病者率および一人平均齲歯数が最も高かった.<BR>2. 2歳6か月ではG1群で齲蝕有病者率および一人平均齲歯数が最も高かった.<BR>3. 3歳6か月ではG1群で齲蝕有病者率および一人平均齲歯数が最も高かった.<BR>4. 5歳ではG3群で齲蝕有病者率および一人平均齲歯数が他の群に比べて著しく低かった.<BR>5. 1歳6か月で離乳の完了していない小児の割合は,G1群およびG4群で高く,G3群で低かった.<BR>6. 1歳6か月で哺乳瓶をくわえて寝る癖のある小児の割合は,G2群およびG4群で高く,G3群で低かった.<BR>7. 親による仕上げ磨きは,GI群ではどの年齢においても毎日する割合が低かった.G4群は2歳6か月では毎日する割合が最も高かったが,5歳では最も低かった.<BR>以上より,G1群およびG4群は齲蝕ハイリスク群で,G3群は齲蝕ローリスク群であり,母親の年齢が乳幼児期の齲蝕発生要因となることが示唆された.
著者
松崎 和江 外木 徳子 長谷川 浩三 矢島 功 町田 幸雄 井坂 隆一
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.88-93, 1985-03-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
16
被引用文献数
2

歯磨圧は歯垢清掃効果及び歯質,歯周組織の損傷と大きな関連性を有しているものと思われる。そこで本研究は,小児のスクラブ法による最適歯磨圧を歯垢清掃効果率,刷掃時の疹痛及び歯齪よりの出血の有無等を参考として求めた。被験者は,4歳から5歳までの歯牙の欠損および歯列不正を認めない乳歯列期の小児15名である。歯ブラシは中等度の毛の硬さを有するライオン株式会社製DentM-2を使用した。測定部位は上下顎左右側の乳臼歯部頬面の4部位で,欄掃回数は各部位とも20回とした。設定歯磨圧は,100g,200g,300g,400g,500gとし,その他の条件は一定とした。得られた結果は以下の通りである。1)100gの歯磨圧での歯垢清掃効果率は30・2%であり,200gでも44.3%であった。これらに対し300gでは76・1%と大きな向上が見られた。しかし,400gでは76.7%,500gでは73.4%とあまり変化がみられなかった。それぞれについて有意差検定を行ったところ1009,2009及び3009の間には1%の危険率で有意差が認められた。しかし,300g,400g,500gの間には有意差は認められなかった。2)部位による清掃効果の差は,歯磨圧100gおよび200gにおいてはみられたが,300g,400g,500gにおいては殆どみられなかった。3)刷掃時の疹痛は300g以下では全く認められなかったが400gで8名,500gで11名の小児に認められた。また,辺縁部歯齪からの出血が400gで3名,500gで5名の小児に認められた。以上の結果より小児のスクラブ法による刷掃において,中等度の硬さの歯ブラシを用いた場合,最適歯磨圧は300gと考えられる。
著者
秋友 達哉 光畑 智恵子 太刀掛 銘子 新里 法子 岩本 優子 達川 伸行 櫻井 薫 香西 克之
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.374-381, 2019-06-25 (Released:2020-01-31)
参考文献数
9

広島大学病院は2013年9月に医科歯科それぞれの外来を統合し,より緊密な医科歯科連携が可能となった。この度,外来診療棟移転後である2015年度に当院小児歯科を受診した知的障害児(者)を対象に,歯科治療の実態調査を行い,移転前である2004年度および2009年度における当科の実態と比較し,以下の結果を得た。1.2015年度に来院した知的障害児(者)は312名(男児214名,女児98名),延べ1,538名であった。そのうち147名については,2009年度より当科を継続的に受診していた。2.年齢分布は7歳~12歳が35.5%と最も多く,次いで13歳~18歳が33.6%であり,2004年度および2009年度と著変なかった。3.患児(者)の障害の種類は,自閉症が41.9%と最も多く,次いで知的障害のみが34.6%,Down症10.8%,脳性麻痺10.2%であった。2009年度と比較し知的障害のみの占める割合が増加した。4.診療内容は歯科衛生実地指導が34.8%,歯石除去が24.3%,形成充填が14.8%であった。過去の調査と比較し,歯科衛生実地指導が顕著に増加した一方,形成充填・既製冠修復は減少していた。5.対象者の58.1%に対し,体動コントロールを行っていた。行動変容法においては,視覚支援の使用が経年的に増加していた。
著者
森田 渉 清水 武彦 前田 隆秀
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.511-516, 2008-12-25
参考文献数
18

EL/Seaマウスは100%の頻度で第三臼歯を欠如しており,ヒトにおける先天性欠如歯の原因解明に有用なモデルマウスである.EL/Seaマウスにおける歯の欠如は常染色体劣性遺伝性であると報告されているが,歯の欠如の原因遺伝子は未だ明らかにされていない.著者らは過去にEL/Seaマウスの第三臼歯先天性欠如の原因遺伝子を探求し,EL/Seaマウス第3番染色体の123.1から136.9メガベースペア(Mbp)間に野生型MSM/Msマウスの染色体を導入したコンジェニックマウスを作製し,当該領域に欠如歯の原因遺伝子が存在することをin vivoにて証明し,この遺伝子をabsence of the third molars(am3)としたことを報告している.今回,この第9世代のコンジェニックマウス(N9マウス)を用いて交配実験を行い,MSM由来の染色体の導入領域をさらに限局したマウスを作製し,第三臼歯の欠如率を評価することで,am3の存在領域をさらに狭い範囲まで限定し,候補遺伝子を選定することを目的とした.コンジェニックマウスの第三臼歯欠如の頻度と遺伝子型の結果から,マウス第3番染色体の130.7から131.7メガベースペア(Mbp)間の領域に第三臼歯欠如の遺伝要因が存在することが明らかとなった.この領域内に存在するLef1,Hadh,Cyp2u1,Sgms2,Papss1の5遺伝子が候補であることが示唆された.