- 著者
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折原 良平
- 出版者
- 公益社団法人 応用物理学会
- 雑誌
- 応用物理 (ISSN:03698009)
- 巻号頁・発行日
- vol.90, no.8, pp.488-494, 2021-08-05 (Released:2021-08-05)
- 参考文献数
- 21
ディープラーニングをはじめとする人工知能技術の新たな適用先として芸術の創作が注目されており,絵画,音楽,文学などの分野で研究例がある.研究成果である計算機の「作品」の中には,オークションハウスにて高額で取り引きされたり,著名な美術館に展示されるような作品もあらわれている.こうした流れの中の1つの方向性として,すでにこの世に亡い芸術家の作風を機械学習し,その芸術家をほうふつとさせる作品の生成を試みるものがある.話題になったプロジェクトとしては,レンブラントや美空ひばりの例がある.現代日本を代表する芸術であるマンガにおいても,先ごろ手塚治虫の「新作」を生成しようとするプロジェクト「TEZUKA2020」が実施され,話題を呼んだ.本稿では,TEZUKA2020の概要と技術的背景を解説するとともに,人工知能技術を用いた発想支援の実践としての文脈からプロジェクトを評価する.