著者
米澤 誠
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.305-309, 2005-07-01
参考文献数
6

図書館で行う展示会は, 図書館資料の利用を促進する活動の一環であり, 図書館の存在を社会に示す広報活動としても意義づけ, 図書館展示の持つ積極的意義を見直す。また, 東北大学で実施した「企画展」を事例として, 展示・解説の効果的実践方法を示す。
著者
ティムソン ジョウナス
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.207-212, 2014-06-01

2010年に文部科学省から出された『大学図書館の整備について(審議のまとめ)-変革する大学にあって求められる図書館像-』では,大学の教育機能に対する社会的要請が急速に高まっている中で,図書館員による教育支援がこれまで以上に期待されていること,そして効果的な教育支援を実現するための専門性が図書館員に求められていることが記されている。本稿では,これから大学図書館員として働こうとしている人を対象として,大学図書館の実際の業務の内容と,それらの業務を最大限に展開するための要素を踏まえながら,教育に関わる図書館員として活躍していくために必要な知識や専門性について述べた。
著者
大向 一輝
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.595-601, 2008-12-01
被引用文献数
2

近年,学術情報サービスには専門家だけではなく一般の人々に対する情報の提供という役割が求められるようになっている。国立情報学研究所では,論文情報ナビゲータCiNiiについて,ファインダビリティ向上を目的とした大規模なリニューアルを行った。リニューアルに際しては,新たなユーザである一般のウェブ利用者のユーザモデルに関する検討を行い,オープン化ならびにウェブ検索エンジンとの連携が必要であるとの結論を得た。これをふまえて2006年から2007年にかけてシステムの改良を行った結果,サービスの利用回数が従来と比較して3〜10倍程度に増加し,CiNiiの知名度を高めることができた。本論文では,学術情報サービスにおけるユーザモデルについて議論するとともに,CiNiiリニューアルで実施したファインダビリティ向上のための具体策とその効果,ならびに今後の展望について述べる。
著者
飯野 勝則
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.355-360, 2011-09-01

佛教大学図書館は,2011年4月に「ディスカバリーサービス」であるSummonを日本で初めて導入した。だが,その能力を十分に発揮するためには,図書館で従来から利用されてきたOPACやリンクリゾルバとの連携が欠かせない。とはいえ,OPAC連携においては,削除レコードや通信プロトコルの問題など,日本の図書館システム特有の課題も存在する。一方,リンクリゾルバは,Summon上の論文メタデータから図書館の紙媒体の雑誌への誘導をシームレスに行うことを可能にし,またハーベストを行えない非連携サイトへの誘導すら可能にすることから,再度着目すべきツールとなった。今後はSummonの日本語コンテンツの強化とともに,リンクリゾルバの機能強化が課題になるだろう。
著者
杉山 智章 森内 文 高橋 里江 森部 圭亮
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.478-483, 2012
参考文献数
13

クラウドコンピューティングの普及とともに,クラウドを使用した図書館向けサービスや,機関単位でのクラウド化の事例がみられるようになった。静岡大学では,プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を活用した情報基盤の更新が行われ,附属図書館でも機関リポジトリや図書館業務システムなど,システムの全面パブリッククラウド化を達成した。その際,データの保全性を高めるためのバックアップや事業継続のためのリストア手順の確認を行った。クラウドによる効果はこれまでの機器・設備管理からの解放などがあげられる。一方,停電時の対応など,実際の運用を通して危機管理意識の重要性を再認識した。
著者
高倉 暁大
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.350-356, 2021-08-01 (Released:2021-08-01)

全米図書館協会(ALA)の取り組みに始まり,全世界の図書館では様々なゲームを提供するようになってきた。近年,日本でも公共図書館を中心にゲームを活用した企画が数多く開催されている。賑わい創出,資料の利用促進,コミュニティの確立など様々な目的の元に行われ,効果を上げている一方,騒音問題,ゲーム知識や技術のある司書が必要というハードルの高さなど,課題も多く見られる。本稿では,図書館でのゲーム企画事例を紹介し,その目的や狙い,効果などを述べる。
著者
藤田 節子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.82-88, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)

わが国の料理本の索引の実態を調査するため,2014,2015年の「料理レシピ本大賞in Japan」で一次選考を通過した,27冊の巻末索引を詳細に分析調査した。その結果,レシピ名と材料を索引対象として,体系順に配列された材料の分類の下に,レシピ名が50音順あるいは頁順に配列されている索引が多いことがわかった。相互参照や凡例はなく,見出し語の選択,副見出しの記述,配列のしかたなどに課題が見られ,料理本の索引が不十分であることが明らかになった。今後,料理本の著者や編集者,出版社に,索引に関する知識や索引作成技術の普及が必要であろう。
著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.160-163, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)

AIの活用を含むデータ駆動型社会の実現や,より包括的なオープンサイエンスが目指す科学,社会,科学と社会の変容に向けて,UNESCO,G7,OECD等の国際的な動きが活発化しており,また,欧州を筆頭に日本でも研究データ基盤整備などが進んでいる。本稿では,オープンサイエンス政策の現状と学術情報流通を中心とした研究データ利活用の国内外の動向について解説し,レファレンスサービス関連を含む学術情報流通サービスの展望を述べる。
著者
是住 久美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.615-618, 2016

<p>職場内自主学習グループ「ししょまろはん」は,業務では出来ないメンバーのアイデアをいくつか実現させてきた。「ししょまろはん」は,司書としての専門性を活かしつつ,みんなの役に立ち,自分たちも楽しんで取り組めるアイデアを出し合い,それを試すことが出来る場であり,正職員や非常勤職員の関係を越えて対等に意見を出し合える職場内のサードプレイスにもなっている。また,ウィキペディアタウンなどの外部のコミュニティ活動に司書として参加し,役割を果たすことで新たな図書館の可能性に気付くこともある。取り組みの一部は,外からの評価や中の理解を得て,業務として取り組むことができるものも出始めている。ボトムアップでやりたいことを仕事に近づける一つの方法として事例を紹介する。</p>
著者
山本 泰智
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.392-398, 2020-08-01 (Released:2020-08-01)

コンピューターで知識を処理しやすく,そしてインターネット上でデータを共有しやすいようにセマンティックウェブの関連技術であるRDFとその問い合わせ言語SPARQLが開発された。世界的に広く普及しているウェブ技術は,インターネット上で膨大な知識を共有する場として重要な社会基盤となっている。主に自然言語でウェブページに書かれているこれらの知識を,RDF技術はコンピューターにも処理しやすくするとともに,ウェブ技術と共存共栄を図れるように設計されている。本稿ではこれらの概要を紹介し,そして実際に試せるような例を挙げて解説する。
著者
中林 雅士
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.317-323, 2011-08-01 (Released:2017-04-20)
参考文献数
5

大学財政規模が縮小する中,図書館運営予算も削減を余儀なくされている。加えて,大学間の競争は激しさを増しており,図書館はこのような環境変化の中で,自らのミッションを堅持しつつも,新たな環境に適応する必要に迫られている。直近の課題の1つは,図書館運営費の安定確保である。図書館を取り巻く多くのステークホルダーに対する社会的責務を果たすためには,財政問題を避けては通れない。本稿では,図書館運営費の安定確保について,図書館と国庫助成,図書費,業務委託費を取り上げつつ考察する。
著者
池内 淳
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.25-29, 2017-01-01 (Released:2017-01-01)

2011年に「図書館法」が改正された際,公共図書館が収集するべき資料の種別に電子的資料を含めることが明記された。しかしながら,平成27年度の文部科学省委託調査によれば,電子化資料を利用者に提供している図書館は日本全国で約16%であった。さらに,米国では90%以上の図書館が実施している電子書籍サービスについては,日本では,54自治体の図書館が提供するに止まっている。そこで本稿では,(1)出版界と図書館界との関係,(2)都道府県立図書館の役割という二つの観点から,公共図書館に電子書籍サービスを導入することの意義と効果について論じた。
著者
後藤 敏行
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.68-74, 2010-02-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
34

コンピュータゲームは一大産業化し,現代文化の要素になっているため,保存して後世に残す必要があると考えられる。保存に対する課題には,メディアの短命さや技術の陳腐化がある。対策にはマイグレーション,エミュレーション等があり,特にエミュレーションに期待が集まる。だが,完成された技術ではまだなく,著作権や特許権を侵害する可能性もある。複数のコンピュータゲームアーカイブがすでに設立され,運用を開始している。それらは,世界のすべてのコンピュータゲームを収集するには至っていない。今後の施策として,ゲーム会社とコンピュータゲームアーカイブの連携協力や,図書館界の一層のコミットメントを提言する。