著者
山本 泰智
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.594-599, 2016-06-15

生命科学分野には,実験で得られたデータおよび実験に基づき記述された論文から得られたデータを納める多種多様なデータベースがあり,そこで記述されている概念を示す語彙の共通化とアクセス方法の共通化による相互運用性の確保は生命科学の効率的な発展に必須である.語彙の共通化を目指して様々な領域オントロジーが開発され,また,アクセス方法の共通化のためにRDFが採用されつつある.この結果,国内外で生命科学分野のLODが充実してきたが,研究の進展により得られた知見はそれまでの語彙構造を変化させ得ることから,蓄積されている膨大なデータや知見の間の関係性を適宜整理できる技術基盤を構築することが望ましい.
著者
山本 泰智
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.392-398, 2020-08-01 (Released:2020-08-01)

コンピューターで知識を処理しやすく,そしてインターネット上でデータを共有しやすいようにセマンティックウェブの関連技術であるRDFとその問い合わせ言語SPARQLが開発された。世界的に広く普及しているウェブ技術は,インターネット上で膨大な知識を共有する場として重要な社会基盤となっている。主に自然言語でウェブページに書かれているこれらの知識を,RDF技術はコンピューターにも処理しやすくするとともに,ウェブ技術と共存共栄を図れるように設計されている。本稿ではこれらの概要を紹介し,そして実際に試せるような例を挙げて解説する。
著者
川村 隆浩 江上 周作 長野 伸一 大向 一輝 森田 武史 山本 泰智 古崎 晃司
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本論では,2018年に国内で初開催するナレッジグラフを対象とした推論チャレンジについて述べる.近年,深層学習をきっかけに人工知能(AI)技術への関心が高まっている.今後,AI技術は幅広く普及し,さまざまな社会システムに埋め込まれるようになるだろう.しかし,安全・安心に社会の中でAIを活用していくためには,AIによるシステムの動作を正しく解釈,検証し,品質を保証する技術が必要となる.そこで,本会セマンティクWebとオントロジー(SWO)研究会では,解釈可能性なAIに関する最先端技術の共有と研究開発の促進を図るため,推論に関するチャレンジを開催する.具体的には,広く知られたシャーロックの推理小説をナレッジグラフ化し,そこから犯人を推理(推論)する技術を広く一般から募集する.本チャレンジは2018年度人工知能学会全国大会開催当日より約半年間の日程でスタートする.是非,チャレンジへの参加をご検討されたい.
著者
山本 泰智 山口 敦子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1K2J403, 2019 (Released:2019-06-01)

我々はUmaka-Yummy Dataという生命科学分野のLinked Dataを提供するSPARQLエンドポイントの評価システムを構築し、結果を公開している。その目的は、より良いLinked Data利用基盤を構築することであり、そのためには、Linked Data提供者と利用者の相互理解を促すことが必要と考えているからである。SPARQLエンドポイントの評価は稼働率など6つの観点から行い、100点満点の数値化したUmaka Scoreとしている。これまで3年間の運用を経験し、Linked Data提供者から様々な意見や質問を得ている。本論文ではこれらの意見や質問を議論し、上述のより良いLinked Data利用基盤を構築するために必要な事項をまとめた。その結果、Linked Data提供者と利用者の間の相互理解を促すのに先立ち、信頼できる評価を提供するために、Linked Data提供者と我々の間の信頼関係の構築が重要であることが分かった。
著者
佐藤 仁 小西 史一 山本 泰智 高木 利久 松岡 聡
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2009-HPC-123, no.6, pp.1-7, 2009-11-23

TSUBAME 上で Hadoop を実行するためのツール 「Tsudoop」 を開発した.Tsudoop は,既存システムの構成や運用方針の変更をすることなく,TSUBAME 上のジョブスケジューラである n1ge や Lustre ファイルシステムなどと協調して動作して Hadoop 実行環境を構築し,ユーザの MapReduce アプリケーションを実行する.予備実験として,このツールを用いて,生物医学系の学術論文を対象にした書籍情報データベースである MEDLINE に対してテキストの全文検索を行うアプリケーションを実行した.その結果,1 ノード (16 コア) での実行と 32 ノード (512 コア) での実行とを比較して 14 倍の性能向上を示し,TSUBAME のような高速な共有ファイルシステムやジョブスケジューラが存在するような計算環境でも,MapReduce アプリケーションの実行が可能なことを確認した.
著者
山口 敦子 櫛田 達矢 山本 泰智 古崎 晃司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.SWO-047, pp.07, 2019-03-10 (Released:2021-09-17)

ライフサイエンスのRDFのデータベースは,測定機器の発展に伴い,ますます巨大化し複雑化している.そのような状況のもと,効率的に利用したいデータの関係を洗い出し,その関係を利用して検索をかけるには,適切に定義したRDFデータベースのスキーマを利用できることが望ましい.そこで,ライフサイエンスデータベースにおけるスキーマがどの程度適切に定義されているかを調査し,その分析結果を報告する.
著者
江上 周作 山本 泰智 大向 一輝 奥村 貴史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-056, pp.16, 2022-03-11 (Released:2022-03-24)

COVID-19の感染拡大防止に向けて,日本国政府では「3つの密」(以下,三密)や,「5つの場面」を提言してきた.これらの提言に基づき,各人の感染リスクを自動で評価できれば,追跡調査対象者の順序付けやスクリーニングといった保健所で行われている業務を大幅に効率化できる.本論文では,場所や行動に紐づくCOVID-19感染リスクを整理し,個別の行動事例における感染リスクを推論可能なオントロジー(CIRO)を開発した.また,CIROに基づいたナレッジグラフから,追跡調査に有用な三密リスクの推論とグラフ検索が可能であることを示した.さらに,追跡調査業務の現場における実用化に向けて,データサイズと条件を変更しながら推論実験を行い,CIROの十分性や拡張性,実現可能性を考察した.
著者
江上 周作 大向 一輝 山本 泰智 神崎 正英 野本 昌子 坂根 昌一 伊藤 真和吏 網 淳子 奥村 貴史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回全国大会(2021)
巻号頁・発行日
pp.3H1GS3d02, 2021 (Released:2021-06-14)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に向けて,政府より「3つの密(三密)」「5つの場面」が提言されている.これらの標語・指標に基づいて,個別の行動事例のリスクを評価するためには,行動履歴情報,空間情報,およびそれらの知識の定義が必要となる.本研究では,感染症患者に対する聞き取り調査で得られる行動履歴情報を用いて,その行動における三密の度合いを推論可能なオントロジーを提案する.推論結果は,公衆衛生当局における追跡調査業務の省力化や,実データとの照合による,感染に結びつく行動の分析などに応用できると考えられる.本稿では,提案オントロジーの実運用に向けたシナリオの検討と課題を述べる.
著者
山本 泰智 山口 敦子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.1K2J403, 2019

<p>我々はUmaka-Yummy Dataという生命科学分野のLinked Dataを提供するSPARQLエンドポイントの評価システムを構築し、結果を公開している。その目的は、より良いLinked Data利用基盤を構築することであり、そのためには、Linked Data提供者と利用者の相互理解を促すことが必要と考えているからである。SPARQLエンドポイントの評価は稼働率など6つの観点から行い、100点満点の数値化したUmaka Scoreとしている。これまで3年間の運用を経験し、Linked Data提供者から様々な意見や質問を得ている。本論文ではこれらの意見や質問を議論し、上述のより良いLinked Data利用基盤を構築するために必要な事項をまとめた。その結果、Linked Data提供者と利用者の間の相互理解を促すのに先立ち、信頼できる評価を提供するために、Linked Data提供者と我々の間の信頼関係の構築が重要であることが分かった。</p>
著者
川村 隆浩 江上 周作 長野 伸一 大向 一輝 森田 武史 山本 泰智 古崎 晃司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1F101, 2018

<p>本論では,2018年に国内で初開催するナレッジグラフを対象とした推論チャレンジについて述べる.近年,深層学習をきっかけに人工知能(AI)技術への関心が高まっている.今後,AI技術は幅広く普及し,さまざまな社会システムに埋め込まれるようになるだろう.しかし,安全・安心に社会の中でAIを活用していくためには,AIによるシステムの動作を正しく解釈,検証し,品質を保証する技術が必要となる.そこで,本会セマンティクWebとオントロジー(SWO)研究会では,解釈可能性なAIに関する最先端技術の共有と研究開発の促進を図るため,推論に関するチャレンジを開催する.具体的には,広く知られたシャーロックの推理小説をナレッジグラフ化し,そこから犯人を推理(推論)する技術を広く一般から募集する.本チャレンジは2018年度人工知能学会全国大会開催当日より約半年間の日程でスタートする.是非,チャレンジへの参加をご検討されたい.</p>
著者
山本 泰智 佐野 元昭 関根 松夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.94, no.264, pp.17-22, 1994-09-30
被引用文献数
4

レーダは、現在、航空機や航舶の安全航行上必要不可欠な装置となっている。そして、レーダの信号処理では、いかにしてクラッタを抑圧しターゲットの検出を容易にするかが問題となる。本研究では、フラクタル次元を用いて適当な閾値を得ることにより、クラッタとターゲットの分離を試みた。我々は、X-バンドレーダを用いて、強雨とシークラッタに埋もれた2隻の船を観測した。実際に観測したデータからいくつかのサンプルを取り出して様々な閾値におけるフラクタル次元の変化を観ることに依って、最適な閾値を得ることができ、雨雲とシークラッタが抑圧されターゲットである船舶を検出できた。