著者
時実 象一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.34-37, 2017-01-01 (Released:2017-01-01)

Europeana Newspapersは欧州委員会のプロジェクトで,12ヵ国,17機関が参加した。1800万ページの新聞紙面をデジタル化,そのうち1000万ページは全文検索可能である。さらにそのうち200万ページは記事のレイアウトが解析済みで,中には名称要素が抽出されている記事もある。このデータベースの内容,用いられている技術,メタデータの構造,検索例などを示した。
著者
橋本 雄太
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.525-530, 2015-12-01 (Released:2017-04-13)

学術領域におけるオープンデータの活用に関する議論が盛り上がりを見せつつあるが,構造化データが扱われることの少ない人文学分野においては,必ずしもオープンデータの効用は明らかではない。本稿では,従来の文化資料デジタル化事業との対比から,人文学資料のオープンデータ化には(1)資料活用の多様化,(2)研究成果の再利用促進,(3)情報探索の効率化,といった意義があることを指摘する。続いて,国内外で提供される人文学資料のオープンデータ化事例を概観し,オープンデータを活用したアプリケーションの開発事例として拙作『近デジリーダー』を紹介する。最後に,人文学分野におけるオープンデータの普及に向けた諸課題を展望する。
著者
Liz FERGUSON Ben TOWNSEND
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.392-397, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)

現在,オープンアクセス(OA)は,全出版論文数のうち約30%を占め,STM(理工医学)出版全体を大きく上回る速度で成長している。その背景には,欧州を中心とするOA推進政策がある。その中で近年特に影響力を持ったのがcOAlition Sだが,そのポリシーには賛否がある。Wileyを含む各出版社は,新規OA誌の創刊,既存誌のフルOAへの転換(フリップ)などの方法を通じて,OA出版へのニーズの高まりに対応してきた。中でも近年普及が著しいtransitional agreement(転換契約・TA)について,Wileyが独Projekt DEALと結んだ契約などを例に,その仕組みや影響力を検討する。
著者
藤田 節子 平田 泰子 戸塚 隆哉 井上 孝 山﨑 久道
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.108-114, 2022-03-01 (Released:2022-03-01)

書籍の巻末索引は,重要であるにもかかわらず,「本の飾り」くらいにしか思われていない傾向がある。INFOSTA分類/シソーラス/Indexing部会では,この巻末索引についての研究の一環として,一般向け書籍3冊を選び,メンバーで分担して索引作業を実施し,その結果を共有して議論した。2冊については,語による索引を付与し,1冊については,段落ごとにUDC(国際十進分類法)の分類番号を振ることにした。その結果,索引における索引語の選択基準や索引語と本文中の語との関係などの多岐にわたる問題について,検討することとなり,一定の知見が得られた。この知見は,書籍の索引を作成する場合はもとより,論文などの索引付けや文献データベースの索引部分の設計にあたっても,参考にできる。
著者
佐藤 翔
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.492-498, 2013-12-01

図書館公式ブログやTwitterの普及により,発信される情報の量が増え,それらを網羅的に追うことは難しくなっている。その中で従来以上に情報の取捨選択の重要性が増している。図書館系ニュースサイトは読者に代わって一次ニュースからの取捨選択を担う,エージェントとなりうるものである。読者は自身の嗜好をはてなブックマークやTweetを通じてフィードバックすることで,ニュースサイトを自分に適したものへと育てていくことが可能である。
著者
緑川 信之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.254-259, 2016-06-01 (Released:2016-06-01)

分類といってもその意味するところは多様である。まず2章で分類の全体像を概観した。3章では,分類の最も基本となる区分原理について,血液型の分類,学問分類,生物分類を例にして考察した。4章では,ネットワーク時代における分類を考えるために,オントロジーを分類体系と比較して検討した。その結果,オントロジーにおいても区分原理が基本であることが明らかとなった。このように,分類においてもオントロジーにおいても最も基本となるのが区分原理であるが,区分原理自体については深く検討されて来なかったように思われる。区分原理に焦点をあてた総合的な研究が期待される。
著者
小山 洋子 杉浦 慶美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.357-361, 2021-08-01 (Released:2021-08-01)

北海道にある人口4000人弱の小さな村の公共図書館において,ボードゲームの貸し出しを始めた経緯や狙い,また実際の利用状況や反響,運用上の課題について述べる。
著者
酒井 美里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.166-170, 2019-04-01 (Released:2019-04-01)

ICT(情報通信技術)の発展や,IoT,AI(人工知能),機械学習等の実用化が急速に進む中,「インフォプロの生き残りは?」「技術の進歩に追随し,サポートしていくには?」等の話題も多く聞かれる。時代の流れが確実に速くなる中,陳腐化せず第一線で活躍を続けるためには,どのようなスキルアップを図れば良いのであろうか。本稿では筆者自身の心がけている点や具体的な情報収集の方法,勉強内容を紹介する。
著者
鳥谷 真佐子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.171-178, 2017-04-01 (Released:2017-04-03)

大学等研究機関の研究力分析・評価には,抄録・引用文献データベース,研究力分析・評価ツール,研究者プロファイリングツールという,大きく分けて3つにカテゴライズされるサービスが利用されている。これら3つのカテゴリに属する各種サービスについての比較紹介を行い,3者の関係性について説明する。また研究力分析・評価を行うにあたっての実質的な課題や可能性,今後必要な機能などについて考える。最後に,研究力分析・評価結果を活用し研究力強化を進めるための,機関内での情報の整備や研究力強化施策への展開について論じる。
著者
前田 直俊 大山 聡
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.73-78, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)

過去20年にわたって世界各国でウェブアーカイブが行われ,法制度の整備,技術開発,人材育成など様々な分野で発展を遂げてきた。とりわけ技術開発においては,IIPCを中心とした国際的な取組の成果が顕著で,その成果は今日におけるウェブアーカイブ技術の基盤を形成している。本稿では,それらウェブアーカイブ技術の中核であるクローラHeritrix,保存ファイルフォーマットWARC,閲覧ソフトWaybackを取り上げ,各国機関における導入状況,開発経緯や仕組みを紹介する。また,NutchWAXやSolrなどの全文検索エンジン,メタデータによる組織化,アーカイブ間の連携を目指すMementoプロジェクトについても概要を紹介する。
著者
船戸 奈美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.204-209, 2019-05-01 (Released:2019-05-01)

マルクーシュ構造は類似構造を有する化合物をまとめて表現する表記手法であり,一つの構造図で多数の化合物を表すことができるため特許での化学物質の記載によく用いられている。しかし,そのマルクーシュ構造の柔軟な表現が,化学的な同一性を判断してトポロジカルにデータを捉えることを困難にし,調査を複雑なものにしている。本稿では世界中の特許をマルクーシュ構造から検索することができるSTNのMARPATファイルを取りあげ,マルクーシュ構造の収録方法,効率よく検索するためのスクリーンやノイズを減らすためのスピンオフといった検索のしくみについて述べる。
著者
千 錫烈
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.113-120, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)

図書館は不特定多数が利用する施設であり安心安全でなければならない。しかし,近年の図書館では迷惑行為や犯罪行為を行う「問題利用者」が問題となっている。本稿では①リスクマネジメントやリスクアセスメントの策定によるリスク対応の可視化,②利用規則による抑止,③図書館職員のホスピタリティを向上させるサービスコードの3つの方策を示して問題利用者の抑止策について検討していく。さらには実際に問題行動が起きた際の対応策として,遭遇する確率が高い怒った利用者を事例として挙げ,6つの対応スキルについて紹介する。
著者
小林 眞代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.506-510, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

シュプリンガー・ネイチャーは,オープンアクセス出版のパイオニアとして,ジャーナルや書籍でのオープンアクセス出版の促進,また研究データ共有を促進する新たな出版サービスの開発を進めているほか,オープンサイエンスの動向を把握するための研究調査を継続的に行っている。2016年には,データ・シェアリングのための共通指針である「標準データポリシー」を作成したほか,2017年にはデータ・シェアリングに関する研究者の意識調査に基づいたホワイトペーパーを公開した。本稿では,これらの活動を行う「オープンリサーチ部門」の最近の取り組みと,日本での活動について紹介する。
著者
鎌倉 幸子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.300-305, 2014-08-01

ファンドレイジングは資金調達をするだけではなく,支援者と受益者とをつなぎフレンドレイジングをする貴重なツールとなる。その間にいる架け橋がファンドレイザーの役割だと考える。ファンドレイジングは闇雲に実施しては非効率である。シャンティ国際ボランティア会は,限られた時間や人材というリソースの中で,効率的に管理,運営するためにドナーピラミッドを活用している。団体を知らない人たちに認知してもらうことが最初の一歩となる。支援者の負担が少ないメールマガジンの登録から,イベント参加,物品の寄贈,単発寄付,マンスリーサポーターのような継続寄付,大口寄付とドナーピラミッドの底辺から頂点までステップアップしていくためのプログラムを紹介する。
著者
當山 仁健
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.520-525, 2006-11-01

OPACでの検索の際,複数の利用者が同一の検索質問を用いたとしても,利用者のプロフィール(知識世界,背景等)が異なれば,検索質問で表現を試みている概念は異なり,情報要求も異なることが多い。そこで,検索結果を利用者のプロフィールに合わせて調整することにより,利用者満足度の高いOPACの構築が期待できる。また,従来の文字列検索によるOPACでは柔軟性に乏しく,情報検索の道具としては不十分である。これらを踏まえ,沖縄国際大学図書館において,適合性判断基準の一つとして貸出履歴を利用したOPACを実装した。本システムでは柔軟な検索結果が得られるよう,従来の文字列検索ではなく連想検索技術を用いている。
著者
島田 たかし
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.167-170, 1999-04-01 (Released:2017-05-25)
参考文献数
4

利用者から質問があった時, その利用者(と情報要求)を知るために行うのがレファレンス・インタビューである。レファレンス・インタビューの技術とは, 広義な意味では資料を探し出す能力のことである。この部分は「経験」が大きな比重を占める。一方, 実際に行う「インタビューの方法」の部分はマニュアル化しやすい。これが狭義の意味でのレファレンス・インタビューの「技術」である。本稿では, どこまでが「技術」であり, どこからが「経験」であるかを, 事例を参考に考察する。
著者
吉武 博通
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.400-404, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)

大学は改革を求められ続け,近年その圧力はさらに高まる傾向にあるが,それによって大学はより良い方向に向かっているのだろうか。このような問題意識に基づき,改革の実効性を高めるために,組織設計と人事管理の2つの要素が重要であることを指摘した上で,大学職員の育成の在り方を考える上での視点を提起する。さらに,大学において専門性の高い職員がより一層求められるようになりつつある中で,専門的職員の先駆けともいえる図書館職員の育成はどうあるべきか,その課題について検討する。